家族葬を行うとき、誰を呼ぶか、どこまで呼ぶか、というのは悩ましい問題です。家族葬の参列者を決めるには、どのようなポイントに注意すべきでしょうか?この記事では、家族葬の参列者を決めるポイントや家族葬を行うメリット、デメリットについて解説します。また、家族葬を知らせる際の注意事項についても解説していますので、家族葬を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
(本記事は2024年3月21日時点の情報です)
- 家族葬の参列者は、故人の意向や葬儀の規模を基準に決め、判断に迷った場合は招待するほうが無難であること
- 家族葬は、故人との別れに向き合える、アットホームな雰囲気で行える、コストを抑えられるなどがメリットであること
- 家族葬は、参列者の選定が難しい、香典収入が少なくなる、弔問トラブルの可能性があるなどがデメリットであること
- 家族葬の連絡では、連絡する方の基準を設ける、案内か訃報かを明確にする、香典辞退は明記する、呼ばない方への配慮も必要であること
家族葬の参列者を決める3つのポイント
家族葬とは、故人の近親者を中心とした小規模な葬儀のことを指します。一般的な葬儀と比べ、参列者の範囲が限定されているのが特徴です。ただし、家族葬における参列者の範囲に明確な基準はなく、遺族の判断に委ねられています。
公正取引委員会の実施した「葬儀の取引に関する実態調査報告書」では、家族葬は「親族や親しい友人など親しい関係者のみが出席して執り行う葬儀。通夜・告別式,火葬等は一般葬と同様に執り行われる。」としています。
ここでは、家族葬の参列者を決めるポイントとして、以下の3つについて解説します。
- 故人の意見を尊重する
- 葬儀の規模をもとに考える
- 判断に迷った相手は呼ぶ
故人の意見を尊重する
家族葬の参列者を決める際に最も重要なのは、故人の意向を尊重することです。故人が生前に特定の人々と過ごした時間や、その人々への想いは、参列者選定の大きな手がかりとなります。
故人が遺言や日頃の会話の中で特定の友人や親族を指名していた場合、その希望を最優先に考えましょう。故人の意思を反映させることで、より故人らしい家族葬となります。
葬儀の規模をもとに考える
家族葬の規模によって、参列者の対象範囲を検討することも大切です。規模別の参考例を以下に示します。
- ①10名程度:故人の配偶者、故人の親、子ども、孫まで
- ②20名程度:上記①に加え、故人の兄弟・姉妹まで
- ③30名程度:上記①②に加え、故人の従兄弟や従姉妹、甥姪まで
ただし、これはあくまで目安であり、遺族の意向や故人との関係性を考慮して、柔軟に対応することが求められます。
判断に迷った相手は呼ぶ
家族葬の参列者を決定する過程で、特定の人を招くべきかどうか迷うことがあるかもしれません。このような場合、その方々を招待する方が無難でしょう。故人を偲ぶ機会を、できるだけ多くの方に提供することが望ましいためです。ただし、参列者が多すぎると家族葬の趣旨から外れてしまう恐れがあるため、バランスを考えながら決定することが重要です。
家族葬を行うメリット・デメリット
家族葬を行うには、メリットとデメリットがあります。故人を偲ぶ時間の確保や費用の削減などがメリットとして挙げられる一方、参列者の選定の難しさや遺族への負担が増すなどがデメリットとして考えられます。
家族葬を検討する際は、これらのメリット・デメリットを理解した上で、故人の希望や家族の事情を考慮して決定することが重要です。
メリット
家族葬を選ぶ主な理由には、そのシンプルさやアットホームな雰囲気が挙げられます。具体的なメリットとしては、準備の手間が少なくなる、形式にとらわれない自由度の高さ、親しい人たちとの温かな別れが可能になる、そしてコストを抑えられる点です。
以降では、それぞれについて解説します。
個人との別れにしっかり向き合える
家族葬では、大規模な葬儀で発生しがちな弔問に対する過度な気遣いや大掛かりな準備に追われることなく、故人との別れに向き合う時間を十分に確保できます。家族や親しい親族だけで、ゆっくりと故人を偲ぶことができるため、故人との思い出を振り返り、心の整理をつけることができるでしょう。
親しい人たちに生前のお礼を伝えられる
家族葬では、故人と親しかった人たちを招いて、故人の生前の思い出を語り合い、感謝の気持ちを伝えることができます。生前に故人が関わった人々に、その関係や友情に対する感謝を表す場となり、遺族と参列者の間で心温まる時間を共有できます。
アットホームな葬儀にできる
家族葬は、故人や遺族の希望に沿った形で行うことができます。故人が生前愛した音楽を流したり、特定の趣味にちなんだ装飾を施したりするなど、故人の人となりを反映したアットホームな葬儀を行うことができます。
葬儀のコストを抑えられる
返礼品や会食費など、一般的な葬儀に比べて費用を大幅に削減できます。家族葬は参列者数が限られているため、食事や返礼品の準備が少なく済み、結果として葬儀全体のコストを抑えることができます。
デメリット
家族葬には、アットホームな雰囲気で故人を偲べる、費用を抑えられるなどのメリットがある一方で、デメリットもあります。参列者の選定や香典収入の減少、弔問トラブルなど、注意が必要な点もあるでしょう。
ここでは、家族葬を行うデメリットについて解説します。
参列者の選定に苦労する
家族葬は、その名の通り親族や親しい人だけを招く形式の葬儀ですが、誰を招待するかの線引きに苦労する場合があります。故人と親しかった人々や、故人が生前に関わりの深かった人たちをどこまで含めるか、その選定には慎重な判断が求められます。選定する際は、故人との関係性や、家族の意向を十分に考慮する必要があります。
香典が少なくなる
家族葬では参列者が限られるため、香典の収入も自然と少なくなります。葬儀費用の持ち出しの割合が増える可能性があるため、費用面での負担が大きくなるかもしれません。葬儀の規模を決める際には、この点を考慮し、事前に費用の見積もりを取ることが重要です。
予期せぬ弔問トラブルに見舞われる可能性がある
家族葬を行うと、不義理だと思われる可能性があります。特に、故人と親しかった人や地域社会での付き合いがあった場合、家族葬の意図を理解してもらえないことがあります。これにより、予期せぬ弔問トラブルが発生することがありますが、このようなトラブルを避けるためにも、葬儀の意図を周囲に丁寧に伝えることが重要です。
家族葬の具体的な流れを確認
家族葬を行う流れとしては、以下のようになります。
- 危篤・死去を告げられる
- 遺体を安置する
- 家族葬の打ち合わせをする
- お通夜を行う
- 葬儀・告別式を執り行う
以降では、それぞれについて解説していきます。
危篤・死去を告げられる
故人が危篤状態になった際、または死去された際には、速やかに家族や親しい友人に連絡を取ります。この時点で、参列を依頼する予定の相手にその旨を伝えることが大切です。また、遺体の安置をする前に葬儀社にも連絡をします。
遺体を安置する
故人が亡くなった後、遺体を安置しますが、安置する場所は、自宅、葬儀社の安置施設、または病院内の施設などになります。安置の期間は、葬儀の日程によって異なりますが、一般的な安置期間は2日〜3日程度であることが多いでしょう。これは、日本では死後24時間は火葬してはならないと法律で決められているためでもあります。この期間は、遺族が故人と最後の時間を過ごすためのものであり、後の葬儀準備のための時間でもあります。
家族葬の打ち合わせをする
葬儀社との打ち合わせでは、家族葬の日程、流れ、予算などを詳細に決めていきます。ここで、故人の意向や遺族の希望に基づいた形式や内容を決定することが重要です。また、参列者に対する連絡方法や、お通夜・葬儀当日の流れについても確認します。
お通夜を行う
お通夜は、葬儀の前日に行われる儀式です。家族葬の場合、参列者は限定されるため、お通夜を行わないケースもあります。お通夜を行う場合は、参列者に対して、お通夜の日時や場所を連絡します。
お通夜では、祭壇に遺影を飾り、参列者が焼香を行います。また、喪主や親族が参列者に挨拶をし、故人を偲ぶ時間を持ちます。
葬儀・告別式を執り行う
家族葬の葬儀・告別式も、一般的な葬儀と同様の流れを取りますが、より個人的で親密な雰囲気が特徴です。参列者全員が故人との関係を深く語り、故人を心から偲ぶ時間を持つことができます。
家族葬を選択する際には、これらのステップを踏まえつつ、故人の意向と遺族の願いを反映させることが最も重要です。適切な計画と準備を行うことで、故人にとって意義深いお別れの場を作り出すことができます。
家族葬を知らせる際の4つの注意点
家族葬を計画する際、適切な方法で情報を伝えることは、後のトラブルを避けるために非常に重要です。
ここでは、家族葬を知らせる際の主な注意点として、以下の4つについて解説します。
- 家族葬の連絡をする方の基準を設ける
- 葬儀の案内か訃報を知らせるのみかを明確にする
- 香典を辞退する場合は案内に明記しておく
- 家族葬に呼ばない方への配慮も忘れない
家族葬の連絡をする方の基準を設ける
家族葬の連絡をする方を決める際は、明確な基準を設けておくことが重要です。例えば、「故人の親族のみ」「故人と特に親しかった方のみ」などの基準を設け、連絡する方を限定することで、トラブルを避けることができます。
また、連絡する際には、「家族葬であるため、参列者を限定させていただいております」などの一言を添えることで、理解を得やすくなるでしょう。
葬儀の案内か訃報を知らせるのみかを明確にする
訃報のみを伝える場合と葬儀の案内をする場合の区別を明確にし、それぞれの場合で伝えるべき情報を決めておくことが重要です。訃報のみを伝える場合は、葬儀後に知らせることで、急な弔問を避けることができます。
事前に知らせる場合は、参列や香典が不要な点など、明確に記すべき内容があります。「家族葬のため、参列は控えさせていただきます」「香典は辞退させていただきます」などの文言を添えることで、トラブルを避けることができるでしょう。
香典を辞退する場合は案内に明記しておく
家族葬では、香典を辞退するケースが多くあります。香典を辞退する場合は、案内状に明記しておくことが大事です。「香典は辞退させていただきます」「お心づけは不要です」などの文言を添えることで、参列者に香典の準備をさせないようにしましょう。
また、「故人の遺志により」「家族葬のため」などの理由を明記して香典を辞退する理由を添えることで、参列者の理解を得やすくなるだけでなく、遺族側も香典の受け取りや返礼品の準備に関わる負担を減らすことができます。
家族葬に呼ばない方への配慮も忘れない
家族葬に参加しない方々への配慮も重要です。特に、家族葬の事実を黙って進めてしまった場合、後から知った人が不快に感じる可能性があります。家族葬を行う意図や、故人との関係性を踏まえた上で、可能な限り事前に説明を行い、理解を求めることが望ましいです。
家族葬の相談はセゾンの相続「お葬式サポート」へ
家族葬を行う際、どこまで参列者を呼ぶかなど、事前準備が重要です。しかし、葬儀の準備は複雑で、慣れない方には難しいものです。そんな時は、セゾンの相続「お葬式サポート」に相談してみるとよいでしょう。
セゾンの相続「お葬式サポート」は、クレディセゾングループが運営しているサービスのため、安心して相談することができます。また、終活・相続に関するお役立ちセミナーや、各手続きに関するご相談はすべて無料で受けられます。将来に備えて元気なうちに相談しておきたい方から、すでに相続が発生した方まで、提携する専門家の協力を得ながら、終活・相続に関する幅広いお悩みをサポートしてくれます。
- 自分の葬儀は自分で準備したいが、どうすればいい?
- 遺族に葬儀費用の負担をかけたくない。
- 葬儀社選びや葬儀の段取りのことで、遺族に負担をかけたくない。
- 料金の安さだけを判断材料に、遺族に葬儀社を選ばれると悲しい。
このようなお悩みのある方は、まずは気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
おわりに
家族葬は、故人を偲び、親しい人々と別れを告げる大切な儀式です。参列者の選定や連絡、葬儀の準備には注意が必要ですが、故人の意向と遺族の想いを大切にすることが何より重要です。本記事では、家族葬の参列者の決め方やメリット・デメリット、具体的な流れ、連絡の際の注意点などを詳しく解説しました。セゾンの相続「お葬式サポート」のような専門家のサポートを受けながら、故人にふさわしい家族葬を行い、心温まるお別れの場にしましょう。