終活を始める時期について、多くの方が60代もしくは70代に入ってから始める傾向がみられます。その背景には、60代だとまだ働いている方も多く、これからは70歳まで働くことを支援する制度が浸透していくことがあると思われます。
しかし、終活は50代から始めるほうが良いといわれています。
今回は、50代から終活を始める理由として、体力や判断力があるからこそできることや、セカンドライフの計画の立てやすさ、老後の経済的な余裕、家族とのコミュニケーションの取りやすさについてご紹介します。
終活とは何か?
50代から終活を始める理由を紹介する前に、終活とは何かについて解説します。
終活とは、大きな意味で「人生の終わりを迎えるための活動」です。そして、その内容は細かく以下のように分けられます。
自分の死後に残される家族や財産のことを考えて準備すること
終活では、ご自身が亡くなった後に残される家族に対し、誰にどれだけの財産を残すか考え、相続開始時にもめることのないように準備することです。
終活では主にエンディングノートを利用して、財産をどのように分けたいと考えているかをまとめますが、エンディングノートには法的効力はないため、必要に応じて遺言書を準備する必要があります。
また、生前贈与を考えているなら、併せて準備しておきましょう。
自分の葬儀やお墓、遺言などの希望を明確にすること
ご自身が亡くなったときにどのような葬儀を行ってほしいのか、分骨などの希望があれば、家族に伝えておく必要があります。
お墓を準備していないなら準備しなければなりませんし、葬儀の際に呼んでもらいたい相手について、リストなども作っておくと良いでしょう。
もし遺言書を作成するなら、その内容やどの方法で遺言書を作成するかも考えなければなりません。
自分の人生を振り返り、これからの生き方を考えること
終活を行うことで、これまでの人生を振り返り、残された時間をどのように過ごすかを考えることができます。
最後まで自分らしく生きるにはどのように行動したら良いのかを考える機会になりますし、そのために必要な行動や考え方について意識したり、新しい人間関係を構築したりすることも大切です。
50代から終活を始める理由は?
では、なぜ50代から終活を始めたほうが良いのでしょうか。その理由について、以下で説明します。
体力や判断力があるうちにできるから
50代はまだ比較的体力がある年代です。終活を行うためには、荷物の整理などを行うこともあり、体力が必要です。年齢を重ねると体力が落ち、なかなか片付けが進まないことも考えられますし、断捨離を行っているときにケガをするリスクも高くなります。
また、人間は年を重ねるにつれ、認知症のリスクが高まります。終活は自身が認知症になった際にどのように対応してほしいかまで考える必要がありますので、判断力があるうちに相続関係や葬儀のこともあわせて希望を伝えられます。
セカンドライフの計画が立てやすいから
人生100年時代といわれている今、50歳は人生の折り返し地点です。このタイミングで終活を行うことで、その後の人生をどのように送るかといった計画を立てやすくなる点も、50代で終活を始めるべき理由です。
定年が間近に迫ってくるなかで、定年後の生活をどのように過ごすかについて余裕を持って考えられます。
老後の経済的な余裕ができるから
50代から終活を始めることで、リタイア後の経済的な余裕ができることも、終活を始める理由です。50代でリタイアする方は少なく、まだ現役で働いている方がほとんどではないでしょうか。
そのため、希望している老後の暮らし方のために、今よりももっと多くの資産が必要であれば、資産形成に取りかかるのも良いでしょう。
リタイア後は収入が年金のみになる方も多いため、現役時代から資産形成を行うことで、老後に希望する生き方に応じた経済的な余裕が作れます。
家族や友人とのコミュニケーションが取りやすいから
相続をはじめ、介護の心配は子どもの負担になることのひとつです。できるだけ子どもに負担をかけたくないと思う親と、ここまで育ててくれた親に対して最良のことをしてあげたいという子どもの思いを言葉にして納得のいくまで話し合うことで、お互い納得する方法が見いだせるでしょう。
人間はいつ亡くなるかわかりません。親の気持ちや考え方を全く知らないままだと、残された子どもの負担はとてつもなく大きくなります。
残される方が困らないように、そして、自身が納得する人生を送り最期を迎えるためにも、終活は早くから始めておくにこしたことはありません。
50代から終活でやるべきことは?
50代から終活でやるべきこととしては、以下のものが挙げられます。
不要なものを断捨離する
まず、身の回りの不要なものを断捨離しましょう。断捨離する際には以下の点に気をつけながら行う必要があります。
残したいものや家族に譲りたいものを整理する
不要なものだと思っていても、最終的には残しておきたいと思うものや、家族に譲りたいと思うものも出てきます。そのようなものは断捨離の対象から外しておきましょう。
間違えて捨てないように、それぞれ箱に入れて別の場所に置いておくことをおすすめします。
使わないものや思い出の品を処分する
いつか使うだろうと思って取っておいても、結局何年も使っていないままのものはありませんか?そのようなものは、思い切って捨ててしまいましょう。スペースもただではないのです。使わないものを置いておくスペースほど無駄なものはありません。
そして、最後に思い出の品のなかで処分するもの、しないものを決め、処分すると決めたものは併せて処分しましょう。
捨てるときは家族に確認する
ただ、捨てるときは事前に家族に確認しましょう。ご自身は使わないと思っていても、家族が使おうと思っていた、もしくはあると知ってこれから使いたいと思っていたというケースもあります。
不用品の再利用の意味も含め、効果的に断捨離を行うようにしましょう。
財産を整理・管理する
不要なものを断捨離したら、財産を整理しましょう。
貯金や不動産などの資産状況を把握する
まず、ご自身の名義の預貯金や不動産などの資産状況を確認します。株式などの運用商品や宝石、高価な時計などを持っている場合もあるでしょう。それらの資産を全て把握することが大切です。
また、それに併せて不要な口座やクレジットカード、生命保険の解約も進めていきましょう。
相続人や相続税などの法的な問題を調べる
ご自身が亡くなって相続が開始した際の法定相続人は誰か、また誰にどの財産を譲るかによっては相続税が発生する可能性もあります。
特に法定相続人以外の方に遺贈により財産を譲る場合は、相続税額が2割加算になりますので、財産を譲り受けた方の負担にならないようにすることも大切です。相続税は現金納付になるため、相続した方によっては資金を準備しておかなければならなくなります。
遺言書を作成する
相続に関して、法定相続人が法定相続分で分けるのではなく、特定の財産を特定の相手に譲りたいと思っている場合は、その内容を必ず遺言書に記すようにしましょう。遺言書については、3つの種類があり、規則にのっとった作成方法でなければなりません。
遺言書の種類や特徴を理解したうえで、ご自身に合った方法で遺言書を作成しましょう。
エンディングノートを作成する
エンディングノートは、ご自身が亡くなったときや認知症、もしくは介護が必要になった際にどうしてほしいかという希望を書くものです。
遺言書と異なり、法的な効力はありませんので、財産分与のことは遺言書に記載するようにしましょう。
自分の葬儀やお墓の希望を書く
エンディングノートには、ご自身が亡くなったときの葬儀の仕方やお墓の希望を書きます。どのような葬儀にしてほしいか、納骨するお墓はどこか、また葬儀の参列者のリストも忘れずに記載します。
自分の人生や家族への感謝を書く
エンディングノートには、相続や葬儀などについての必要事項だけでなく、これまで生きてきたことや家族に対して、感謝の気持ちを記載するのも忘れないようにしましょう。
定期的に見直す
作成したエンディングノートは定期的な見直しが必要です。時の経過に応じて、希望する内容が変わっていくこともあるでしょう。必要な箇所には追記や修正を行うなど、常に最新の情報に更新しておきましょう。
医療や介護・葬儀の希望をまとめておく
ご自身が病気になったときや、介護状態になったとき、さらには亡くなったときの葬儀の希望をまとめておくことも大切です。
延命措置などの意思表示(リビングウィル)をする
病気になった際に延命措置を希望するのか、希望しないのかの意思表示ははっきりと決めて家族に伝えておきましょう。
介護施設や在宅介護などの選択肢を調べる
介護状態になったときには、施設に入るのか、それとも住み慣れた自宅で介護を受けたいのかを考える必要があります。そのためにはどのような介護サービスがあるのかを調べなければなりません。
どのような介護サービスがあり、費用はどのくらいかかるのかを調べたうえで、最終的に決めるようにしましょう。
葬儀社やお墓の場所などを予約・契約する
もし独身なら、ご自身が亡くなったときに葬儀を依頼する葬儀社やお墓などについて、生きているうちに契約を済ませておきましょう。
50代で終活する際の注意点は
50代で終活する際に気をつけなければならない点もあります。
家族と相談すること
終活は家族と相談しながら進めていくことが重要です。
終活の内容や進め方について家族に伝える
なぜ終活を始めようと思ったかを家族に伝えて理解してもらったうえで、終活の内容や進め方についても伝えておきましょう。
家族の意見や希望も尊重する
終活の内容によっては家族の意見や希望を尊重することも大切です。特に相続やお墓の問題などは双方が納得いくまで話し合うようにしましょう。
家族に負担やトラブルをかけないようにする
断捨離などを家族に手伝ってもらう場合は、極力負担をかけずに済むように気をつけましょう。そのためにも、終活に対する家族の理解は必須です。
終活に時間やお金をかけすぎないこと
終活に時間やお金をかけすぎないことも大切です。
終活は自分の死後のことだけでなく、今後の生き方にも関わる
終活はご自身が亡くなったときのことだけではなく、病気になったときや認知症を発症した際の生き方にも関係します。それらを踏まえたうえで計画的に終活を進めていくようにしましょう。
終活に必要以上に時間やお金をかけると、今を楽しむことができなくなるかもしれない
終活を行うことによって、今後ご自身がどう生きるかを考えるきっかけになりますが、終活ばかりに気を取られていると、ご自身が本当にやりたかったことができなくなってしまいます
終活は自分のペースで進める
終活はご自身のこれからの生き方をまとめる手段です。そのため、ご自身の考えを大切にしながら、ご自身のペースで進めるようにしてください。
まとめ
50代から終活を始めることは非常に重要です。まだまだ先のことだと思わず、50代になったらできるだけ早く取り組むようにしましょう。
50代から終活を始めると、自分や家族のためになる
50代から終活を始めることによって、老後の悩みや心配がなくなり、毎日を楽しんで過ごせます。毎日を楽しんで過ごすことは、ご自身のみならず家族の幸せにもつながります。
終活する際は、家族と相談し、時間やお金に余裕を持つ
終活を始める際には、まず家族と相談し、時間やお金に余裕を持たせることが大切です。
例えば、老後資金が不足するなら、自宅を売却して現金化し、その後は賃料を支払うことで売却した家にそのまま住み続けられるリースバックを利用することもひとつの方法です。
リースバックはオーバーローンでなければ住宅ローンの残債があっても利用できます。特に、セゾンのリースバックをご利用いただいた場合、水回りや給湯器のトラブル対応、セコムのホームセキュリティやHOME ALSOK みまもりサポートなど、必要に応じて医療や防犯、火災などに関するサポートを受けられますので、選択肢のひとつに入れておきましょう。
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