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ここがポイント!おひとりさまの相続対策①~兄弟姉妹やその代襲相続人が相続人となるケース~

セゾンのくらし大研究 編集部

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おひとりさま(ここでは、配偶者も子供もおらず、両親も既に亡くなっている方を指します)の相続対策について、不安を抱いている方が多くいらっしゃいます。

おひとりさまの相続対策には、いくつかの特徴や留意点がありますので、これらを踏まえた早めの対策が有効です。今回は、おひとりさまの相続で「兄弟姉妹やその代襲相続人(甥・姪)が相続人となるケース」について、具体的な事例を通じて考えてみましょう。

元気なうちに、かしこい相続対策を

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全部で16人!相続人が思わぬ大人数になることも

行政書士の先生から、おひとりさまAさん(60代・女性)からの、こんなご相談事例をお聞きしました。

「妹と2人で80代の叔母の面倒を見ています。叔母はずっと独身を貫いてきた方で、子供もいません(直系尊属も既に亡くなっています)。叔母から『私が死んだ後のことはすべて任せるから』といわれていますが、叔母が亡くなった場合の相続人が、すごい人数になりそうなんです。相続手続きが不安で・・・」

配偶者も直系卑属(子やその代襲相続人の孫など)も直系尊属(両親、祖父母など)もいない方の場合、兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子である甥・姪が代襲相続人となります。Aさんからいただいた親族関係図を確認してみると、叔母さまの兄弟姉妹は7人。Aさんのお母さまも含め、うち5人が既に亡くなっており、その代襲相続人はAさんも含めて14人。これにご存命中の叔母さまの弟(Aさんの叔父さま)2人を加えると、相続人の人数は実に16人!そのなかで日常的に連絡を取り合っているのは、妹1人だけ。

「他の相続人(いとこや叔父さまたち)とは、もう30年以上会っていません。叔母に聞いても連絡先がわからない人が何人かいます」とAさんは仰っていました。

相続人の確定のために収集する戸籍謄本が膨大に!相続人の人数が多く、互いに疎遠な場合、遺産分割協議が難航することも

相続が発生した場合、「相続人の確定」→「相続財産の調査」→「遺産分割協議」→「相続財産の名義変更手続き」という流れで手続きを進めていきます。被相続人の収入状況や相続財産額によっては、準確定申告(死亡後4ヵ月以内)や相続税の申告(死亡後10ヵ月以内)が必要な場合もあります。

相続人が配偶者や子の場合、相続人を確定するためには、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」、「相続人の現在の戸籍謄本」を収集し、確認すれば足ります。これに対し、兄弟姉妹が相続人となる場合は、上記に加えて、「被相続人の父母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」が必要となります。直系尊属である父母がすでに死亡していることを確認し、すべての兄弟姉妹の存在を把握するためです。

また、生きていた場合の年齢によっては、「被相続人の祖父母の死亡の事実がわかる除籍謄本」が必要になることもあります。更に、兄弟姉妹が亡くなっていて、その子である甥・姪が代襲相続人となる場合、代襲相続人の存在と人数を確認する観点から、「被代襲者(亡くなった兄弟姉妹)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」も必要になります。Aさんの叔母さまの相続では、膨大な戸籍謄本の収集が必要になるでしょう。

また、「遺産分割協議」は、相続人全員の同意が必要で、ひとりでも反対する方がいると、協議は成立しません。必ずしも相続人全員が一堂に会して行う必要はなく、手紙やメールでやり取りしながら調整を図っていく進め方でも構わないのですが、相続人の人数が多く、互いに疎遠なAさんの叔母さまの相続では、最終的に決定した内容を「遺産分割協議書」として文書化し、相続人全員が署名・捺印を行うという「出口」に到達するまでに、かなりの困難を伴うことが予想されます。Aさんが取りまとめ役をやるとしたら、とてつもない労力が必要になるでしょう。

おひとりさまの相続対策の切り札!遺言書の作成

このように、大変な困難を伴うことが予想されるAさんの叔母さまの相続。事前に対策を打っておくことはできるのでしょうか?答えは、「Yes!」です。叔母さまは要介護2で、介護施設で暮らしていますが、判断能力はしっかりしています。そこで、叔母さまの本音を聞き出してもらったところ、「いつも面倒を見てくれているAさんと妹さんの2人で、全財産を均等に相続して欲しい」ということでした。そこで、その思いを反映した公正証書遺言を作成することにしました。

叔母さまが公証役場に出向くのは、体力的に難しかったので、公証人さんに介護施設まで出張してもらい、無事作成を終えることができました。遺言書がある場合、遺産分割はその内容に従って行いますので、相続人16人による遺産分割協議を行う必要はありません。

ただ、Aさんと妹さんだけが叔母さまの財産を相続するとなると、他の相続人の中には、面白く思わない方がいるかもしれません。一定の範囲の法定相続人には、「遺留分」という最低限の遺産取得分が認められています。遺留分を侵害する内容の遺言は無効ではありませんが、遺言により遺留分を侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求権」を行使し、侵害された遺留分を取り戻すことができます。今回のケースでは、そうなる心配はないのでしょうか?

答えは、「心配ありません!」です。なぜなら、遺留分を認められている相続人は、「配偶者・子・直系尊属」のみで、兄弟姉妹やその代襲相続人である甥・姪には遺留分がありません。したがって、叔母さまの遺言書に書かれた内容は、遺留分侵害額請求権の行使という横槍を入れられることなく、実現することができるのです。おひとりさまには、遺留分を認められた相続人がいないため、遺言書との相性が非常に良いのです。これは、声を大にして強調したい重要なポイントです。

この他、おひとりさまの相続対策の次の記事が読まれています。「ここがポイント!おひとりさまの相続対策②~法定相続人がいないケース~」

おわりに

Aさんの叔母さまの事例のように、遺言書は、おひとりさまの相続対策において、強力な切り札となります。ただ、認知症による判断能力の低下等により、遺言者に遺言能力が認められない場合、遺言書が無効となってしまうケースもありますので、早めの検討が必要です。 

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