被相続人が遺言を残して亡くなった場合、原則としてその内容に従い相続手続きを行うことになります。相続発生後、まず必要となる遺言の有無の調査ですが、「被相続人が遺言を作成していた可能性があるが、見つからずに困っている」というご相談を受けることがあります。今回は、遺言の有無の調査方法について、ポイントをまとめてみました。
残された家族がもめないための遺言作成
「法定相続分以外の割合で遺産相続したい」「相続人の数が多く、疎遠な親族がいる」「子どもがおらず、配偶者のみに自身の財産を相続させたい」そんな方におすすめなのがクレディセゾングループの「セゾンの相続 遺言サポート」です。法定相続人の間柄によっては遺産の話し合いがスムーズに進まない場合があります。遺言書でスムーズな相続に備えたい方は、ぜひご相談ください。
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公正証書遺言の有無の調査方法
1989年以降に作成された公正証書遺言の作成情報は、日本公証人連合会によりデータベース化されており、作成年月日、遺言者の氏名、作成した公証人の氏名、作成した公証役場などの情報を全国の公証役場で検索することが可能です。遺言者の生存中は、遺言者本人でなければ検索できませんが、相続発生後は、相続人、受遺者(遺贈によって財産をもらい受ける方)、遺言執行者、相続人の代理人のいずれかであれば検索可能です。
被相続人が遺言を作成した公証役場がわからなくても最寄りの公証役場で検索できます。実際に公証役場に出向く場合は、電話で予約を取ってから足を運ぶとスムーズでしょう。遺言書検索システムの利用に手数料はかかりません。
必要書類は、相続人の場合、「遺言者の死亡の事実が把握できる書類(除籍謄本等)」「自身が相続人であることが確認できる書類(戸籍謄本等)」「本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど、顔写真付きの公的身分証明書または、交付から3ヵ月以内の印鑑証明書および実印)」です。
なお、遺言書検索システムでは、遺言の内容については確認できません。遺言の内容を確認したい場合は、遺言者が遺言を作成した公証役場を窓口にして、遺言原本の閲覧(1回につき200円)や遺言書謄本の交付請求(1頁につき250円)を行うことにより、確認することになります。
2019年4月以降、遺言の交付請求・受領を郵送で行うことができるようになっていますので、遺言者が遺言を作成した公証役場が遠隔地である場合など、郵送請求を活用すると便利です。遺言書謄本は、相続手続きを進めるうえで使用することになります。
自筆証書遺言の有無の調査方法
2020年7月10日より、自筆証書遺言を法務局が保管する制度がスタートしました。遺言者がこの制度を利用していた可能性がある場合、「遺言書保管事実証明書」の交付請求をすることにより、法務局に遺言が保管されているかどうかを調べることができます(1通につき800円)。交付請求は、誰でも行うことができ、全国どこの法務局でも手続き可能です。
交付請求書(法務省のホームページからダウンロードまたは最寄りの法務局で入手)に必要事項を記入のうえ、添付書類を添えて交付請求を行います。請求者が相続人の場合、添付書類は、「遺言者の死亡の事実が把握できる書類(除籍謄本等)」「請求者の住民票(作成後3ヵ月以内)」「請求者が相続人であることが確認できる書類(戸籍謄本等)」です。
交付請求は法務局の窓口で行っても構いませんし、郵送で行うこともできます。法務局の窓口で交付請求を行う場合は、事前予約が必要で、本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど、顔写真付きの身分証明書)を持参のうえ、予約した日時に窓口に出向きます。
郵送で交付請求を行う場合は、交付請求者の住民票記載の住所に証明書が郵送されますので、上記必要書類に加え、返信用封筒と切手を同封する必要があります。
遺言書保管事実証明書には、遺言の内容は記載されませんので、遺言の内容を確認する場合は、「遺言書情報証明書」の交付請求を行います(1通につき1,400円)。この証明書には、自筆証書遺言の画像情報が全て印刷されています。
全国どこの法務局でも手続き可能で、交付請求や受け取りの手続き(法務局の窓口または郵送)は、遺言書保管事実証明書と共通する部分が多いのですが、異なる点が2つあります。1つは、交付請求を行うことができる方が、相続人、受遺者、遺言執行者、相続人の親権者や成年後見人等に限定されること。
もう1つは、交付請求書の添付書類が複雑になることです。請求者が相続人の場合、「遺言者の出生から死亡時までの連続した戸籍謄本」「相続人全員の戸籍謄本」「相続人全員の住民票(作成後3ヵ月以内)」が必要です(法定相続情報一覧図がある場合は、戸籍謄本に代えて提出することが可能)。
遺言書情報証明書が交付されたら、これを使って相続手続きを進めることになります。法務局が保管していた自筆証書遺言の場合、偽造・変造の恐れがないため、家庭裁判所での検認(相続人全員に遺言の存在を知らせ、その内容を確認する手続き)は不要です。
なお、法務局で保管されていない自筆証書遺言については、被相続人の遺品をくまなく捜索するしかありません。弁護士、司法書士、行政書士などの専門家とやり取りをしていた形跡がある場合は、これらの専門家が保管している可能性もありますので、確認してみると良いでしょう。
また、自筆証書遺言を見つけた場合、家庭裁判所での検認が必要です。勝手に開封すると50,000円以下の過料が課せられることもありますので、注意しましょう。
遺産分割協議が終わった後で遺言が発見されたらどうするの?
相続人全員で遺産分割協議を終えた後、遺言が発見される場合もあり得ます。この場合、原則として、遺言の内容が優先されます。しかし、せっかく遺産分割協議を終えたのに、もう一度、遺言に従い遺産分割をやり直すのは大変なことです。
相続人全員が遺言の存在と内容を認識したうえで、既に終わった遺産分割協議の内容で遺産分割を行う旨の合意が得られた場合は、遺産分割協議の内容を優先することができます(遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者の同意も必要です)。
ただ、受遺者への遺贈を含む内容の遺言の場合は、受遺者による遺贈の放棄がない限り、遺産分割のやり直しが必要です。また、遺言により、特定の相続人が廃除(被相続人が相続人から虐待や重大な侮辱を受けていた場合など、当該相続人の相続権を失わせる手続き。遺言によって行うことも可能)されている場合は、当該相続人を含む遺産分割協議は無効となりますので、この場合も遺産分割のやり直しが必要です。
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