戸籍謄本は「役所に行く」「コンビニで発行する」など、さまざまな方法で取得できます。婚姻届を提出したり、相続の手続きをしたりする方であれば、戸籍謄本の取り方について具体的に知りたいのではないでしょうか。
そこでこの記事では、戸籍謄本の取り方や必要書類などを解説します。手数料や戸籍抄本との違いなどもわかり、スムーズに手続きを進められるでしょう。
この記事を読んでわかること
戸籍謄本は、戸籍に記載されている全員の「出生から死亡までの、出生や結婚、離婚、死亡、親族関係といった情報」を証明する資料です。戸籍謄本は、「役場に行く」「郵送で取り寄せる」「電子申請で取り寄せる」「コンビニで発行する」といった方法で取得できます。自治体や方法によって取得に必要なものは異なり、コンビニ発行に対応していない自治体もあるため、あらかじめホームページや電話で確認すると安心です。取得する際には、有効期限や「必要なのは戸籍抄本ではないか」も確認しましょう。
戸籍謄本とは
戸籍とは、日本国民の出生から死亡までの、出生や結婚、離婚、死亡、親族関係などを登録し、公証(おおやけに証明する)するためのものです。
「夫婦と未婚の子ども」がひとつの単位となり、子どもが結婚すると新たな戸籍が作られます。そして戸籍は日本国民全員が持つものです。ここでは、戸籍謄本に記載されている内容や戸籍抄本との違いについて解説します。
戸籍謄本の内容
戸籍謄本(こせきとうほん)とは、戸籍に記載されている全員について証明したものです。「戸籍全部事項証明書」または「全部事項証明書」とも呼ばれます。
戸籍謄本の内容は、以下のとおりです。
- 本籍
- 戸籍の筆頭者の氏名
- 全員の氏名、生年月日
- 全員の父母の氏名と続柄
- 出生情報(出生日、出生地、届出日、届出人)
- 婚姻情報(婚姻日、配偶者氏名、前の本籍) など
「本籍」とは戸籍がある場所のことで、住所とは別物です。「筆頭者」とは戸籍の一番目に記載されている者で、夫または妻のうち「婚姻により氏が変わらなかった方」となります。例えば結婚すると新しい戸籍が作られますが、夫側の苗字を選んだ場合には、筆頭者は夫です。
戸籍謄本を見ることで、「個人が生まれてから亡くなるまでどのような人生を歩んできたか」がわかるため、公的で重要な資料として用いられます。
戸籍謄本と戸籍抄本の違い
戸籍謄本と間違えやすいものに、「戸籍抄本(こせきしょうほん)」があります。戸籍謄本とは戸籍に記載されている全員分の写しのことです。
一方で戸籍抄本とは戸籍の一部の方(ひとりもしくは複数人)の写しのことです。戸籍抄本は「戸籍部分事項証明書」「個人事項証明書」とも呼ばれます。家族の中で一部の者のみの情報が必要なときに、戸籍抄本は用いられます。
戸籍謄本と戸籍抄本のどちらが必要かわからない場合には、戸籍謄本を用意しておくと安心でしょう。
どんなときに戸籍謄本が必要になるのか
戸籍謄本は日常ではあまり使われませんが、結婚や相続などで提出を求められることがあります。
具体的には、以下の場面で必要です。
- 本籍以外の市区町村に婚姻届を提出するとき
- 遺言書を作成するとき
- 相続税を申告するとき
- 亡くなった方の預貯金や不動産の登記・名義変更をするとき
- 相続人を調査するとき
- 死亡保険金を請求するとき
- 年金の受給を申請するとき
- パスポートを取得するとき など
なお戸籍謄本を取得する際には、役所に出向いたり手数料がかかったりするため、戸籍謄本が本当に必要か関係機関にあらかじめ問い合わせておきましょう。
戸籍謄本を取る方法
- 役所に行く
- 郵送で取り寄せる
- 電子申請で取り寄せる
- コンビニで発行する
戸籍謄本は本籍地の役所で取得できますが、自治体によっては出向かなくても取得できる場合があります。必要な手続きには期限が定められているケースもあるため、取得方法を知り、スムーズに手続きを進めましょう。
本人が役所に行く
本人が本籍地の役所に出向くことで、その場で戸籍謄本を取得できます。
運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類や手数料・印鑑を持参し、請求書には「本籍」「筆頭者」「請求の理由」などを記載します。請求書については本籍地役場のホームページからダウンロードが可能です。
出向く際には、役所の受付時間を確認しておきましょう。
代理人が役所に行く
本人が本籍地の役所に出向けないときには、「委任状」を用意した上で、家族が代わりに行き取得できます。
委任状には「取得したい本人の住所や氏名、生年月日」と委任者(窓口に行く方)の住所、電話番号、氏名、生年月日などを記載します。スムーズに手続きができるように、ご自身の住所や生年月日を委任者に伝えておきましょう。
また代理人ご自身の本人確認書類や印鑑、手数料も必要です。
郵送で取り寄せる
本籍地の役所が遠く、本人が出向けない場合には、郵送で取り寄せることもできます。主に以下の書類が必要です。
- 郵送請求書
- 手数料(定額小為替)
- 運転免許証やマイナンバーカードなど現住所を確認できる本人確認書類のコピー
- 切手を貼った返信用封筒
郵送請求書は役所のホームページでダウンロードできます。戸籍謄本が届くまで時間がかかるため、余裕を持って進めると安心です。送付先を間違えないように注意しましょう。
電子申請で取り寄せる
マイナンバーカードとICカードリーダーを用意することで、パソコンからオンライン申請ができます。NFC対応のスマートフォンからも申請が可能です。
専用サイトから請求し、手数料や送料をクレジットカードで支払った後に、戸籍謄本がマイナンバーカードに記載された住所に送られます。
電子申請に対応していない自治体もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
コンビニで発行する
マイナンバーカードを使って、コンビニで発行する方法もあります。コンビニであれば基本的に平日9時〜17時まで利用できるため、仕事や家事で忙しい方でも利用しやすいでしょう。また本籍地に住んでいなくても最寄りのコンビニで取得できます。
ただし、すべての自治体で導入されているわけではありません。以下では、コンビニ発行ができる自治体と店舗を紹介します。
コンビニ発行ができる自治体
コンビニ発行ができる自治体は「コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付(コンビニ交付)」で確認できます。自治体ごとの利用時間も記載されています。
コンビニ発行が利用できる店舗
「コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付(コンビニ交付)」では、利用できる店舗名の確認も可能です。具体的にはセブンイレブン・ローソン・ファミリーマートといったコンビニのみならず、イオン、マックスバリュといったスーパーなどでも発行できます。
本籍地以外から戸籍謄本を取りたいとき
戸籍謄本は本籍地に住んでいない方であっても、代理人が役所に出向いたり、郵送・電子申請をしたりして取得できます。
現在住んでいる住所と本籍地が異なる方がコンビニ交付を利用する際には、事前に「利用登録申請」が必要です。パソコンもしくはコンビニで利用登録申請をし、数日後にステータスが「利用可能」になったら、正式に戸籍謄本を申請できるようになります。
戸籍謄本の取得時に気をつけるポイント
戸籍謄本を取得する際には、以下の点に気をつけましょう。
- 必要書類を確認する
- コンビニ発行に対応していない自治体もある
- 発行には手数料が発生する
- 戸籍謄本か戸籍抄本どちらが必要か確認する
- 戸籍謄本の有効期限を確認する
注意点を把握することで、スムーズに手続きを進められるでしょう。
必要書類を確認する
直接役所で取得したり、郵送で申請したりできますが、手続きの方法や自治体によって、必要なものは異なります。運転免許証やマイナンバーカードといった本人確認書類のみならず、請求書に記載する内容についても把握しておくと安心です。
あらかじめ自治体のホームページや電話で確認しておくことで、無駄な手間を省けるでしょう。
コンビニ発行に対応していない自治体もある
最寄りのコンビニで戸籍謄本を取得できるのは便利ですが、全ての自治体でコンビニ交付を導入しているわけではありません。導入している自治体は「コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付(コンビニ交付)」で確認できます。
発行には手数料が発生する
戸籍謄本の交付手数料は、多くの自治体で1通につき450円です。コンビニ交付の手数料が「100円引き」「半額」などとしている自治体もあります。
戸籍謄本か戸籍抄本どちらが必要か確認する
手続きによっては戸籍謄本ではなく、戸籍抄本が必要なケースもあります。関係機関にしっかり聞き、戸籍抄本であれば「戸籍の筆頭者を省略すべきか」も確認しましょう。
戸籍謄本の有効期限を確認する
手続きによっては、戸籍謄本が発行されてからの有効期限が「おおむね3ヵ月以内」などと設けているケースもあります。
相続手続きの際に取る戸籍謄本を紹介
戸籍謄本が必要になる場面として、相続手続きがあります。預貯金の名義変更や不動産の相続登記などでは、戸籍謄本を用いて「亡くなった方の法定相続人」を特定しなければなりません。
相続手続きで必要な戸籍謄本は?
相続手続きでは一般的に、「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の現在の戸籍謄本」が必要です。
ただし状況によっては代襲相続人や亡くなった方の両親の戸籍謄本などを用意することになります。
取り寄せる戸籍謄本が多くなるケースも
結婚・離婚を繰り返し本籍を変更した場合などには、必要な戸籍謄本の数も増えてしまいます。役所に出向いたり問い合わせたりする手間がかかり、負担になるケースもあるでしょう。
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おわりに
戸籍謄本は、「役場に行く」「郵送で取り寄せる」「電子申請で取り寄せる」「コンビニで発行する」といった方法で取得できます。自治体や取得方法によって必要書類や手数料は異なるため、あらかじめホームページや電話で確認しましょう。
また相続手続きの場合でも戸籍謄本は必要です。相続の状況によっては多数の戸籍謄本を用意しなければならず、時間と手間がかかってしまいます。専門家への相談も検討してみましょう。