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夫婦で宗教が違う場合お墓はどうなるの?葬儀についても解説

夫婦で宗教が違う場合お墓はどうなるの?葬儀についても解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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「自分には先祖代々のお墓があるけれど、配偶者はキリスト教徒だ」「自分も配偶者も仏教だけれど、信仰する宗派が違う」など、夫婦で信仰する宗教や宗派が違うと、お墓や葬儀が必要になったとき悩む場合があります。必ずしも別々のお墓を用意する必要はありませんが、注意点があるため気をつけなければなりません。

葬儀を執り行うときも気をつけたいポイントがあります。夫婦で宗教が違う方に向けて、お墓の選び方や葬儀の仕方を解説します。

この記事を読んでわかること

  • 宗教フリーの霊園を選んだり、散骨や合祀を選んだりすることで宗教が違っても一緒に入れる
  • 別々のお墓を用意する際は費用面の負担や承継者への負担を考える必要がある
  • 葬儀は故人の宗教に則って行うほか、無宗教葬にする、2部制にする、通夜と葬儀の宗教を変えるといった選択肢がある

同じ仏教でも宗派が違うとお墓も違うの? 

同じ仏教でも宗派が違うとお墓も違うの? 

菩提寺があると、違う宗派のお寺に依頼して葬儀を行うことができません。ということは、同じ仏教でも宗派が違う夫婦の場合、同じお墓には入れないのでしょうか。まずは夫婦ともに仏教を信仰している場合を想定して、宗派とお墓の関係について解説します。

お墓の形は一緒だが刻む文字が異なる

仏教の場合、どのような宗派でもお墓の形にあまり違いはありません。昔ながらの和型(縦長の墓石)が一般的ですが、最近増えてきた洋型(横長でプレート型の墓石)や、オブジェ風の墓石が選ばれることもあります。霊園によってはNGとなる墓石の形もありますが、それは景観を揃えるためなどの理由によるものであり、宗派を理由としてのことではありません。

しかし、宗派によってお墓に刻む文字が違う場合があります。それぞれの宗派で特に好んで使われる文字は、以下の通りです。

  • 共通してよく使われる文字
    「先祖代々墓」「○○家」
  • 天台宗
    一番上に大日如来を表す「ア」の梵字を入れる
  • 真言宗
    「南無大師遍照金剛」、一番上に大日如来を表す「ア」の梵字を入れる
  • 浄土宗・浄土真宗
    「南無阿弥陀仏」「倶会一処」
  • 曹洞宗・臨済宗
    円相(○)を一番上に入れる
  • 日蓮宗
    「南無妙法蓮華経」

「先祖代々墓」や「○○家」と刻んであるお墓の場合は、どんな宗派でも利用できます。しかし「南無妙法蓮華経」と刻んであるお墓の場合、日蓮宗の信者でないと使いづらくなってしまいます。

違う宗派のお墓に入れるかどうかは墓地により異なる

お墓に刻まれている文字が宗派特有のものでなくても、墓地の管理者によっては違う宗派を拒むことがあります。

公営霊園の場合は宗教フリーが原則ですから、どんな宗派の人でも受け入れています。宗教フリーをうたっている民間霊園も同様です。しかし、檀家となる人しか墓地を利用できないとしている寺院墓地の場合は、宗派が違うと同じお墓には入れません。

また、「宗教不問」とあっても、「契約するまでの宗教は不問」という意味であり、契約すると檀家として扱われる寺院墓地もあります。その場合、やはり経営主体となる寺院と信仰する宗派が違うと、お墓に入ることができません。

夫婦で宗教が違う場合お墓はどうなるの? 

夫婦で宗教が違う場合お墓はどうなるの?

夫婦で信仰する宗教が違う場合、お墓はどうすれば良いのでしょうか。昔は女性が結婚するとともに改宗し、将来は嫁ぎ先のお墓に入るのが一般的でしたが、今は事情が違ってきています。夫婦単位で、あるいは1人だけのお墓を作ることも可能になりました。

夫婦で宗教が違う場合のお墓にはいくつかパターンがあり、明確なルールは存在しません。以下、4つのパターンをご紹介します。夫婦の感覚に合った方法を見つけてみてください。

宗教不問の霊園に夫婦だけのお墓を作る

自治体が経営している公営墓地であれば、宗教宗派を問いません。また、経営主体がお寺であっても、宗教フリーとしている民間霊園はたくさんあります。

寺院墓地ではなく、公営墓地や民間霊園の墓地区画を契約し、夫婦2人だけのお墓を作れば、宗教が違っても一緒のお墓に入ることができます。

夫婦だけで納骨堂に納骨する

納骨堂とは、多数の骨壺を収容している屋内施設です。納骨堂は1人だけ、夫婦2人だけといった契約の仕方が可能で、宗教フリーの施設がたくさんあります。宗教フリーの納骨堂を夫婦で契約すれば、宗教が違っても一緒に入ることが可能です。

それぞれのお墓に少しずつ分骨する

夫婦それぞれが信仰する宗教特有のデザインを有するお墓に入りたいと願う場合や、菩提寺のお墓を使いたいと考えている場合は、同じお墓を使うことはできません。しかし、分骨してそれぞれのお墓に少しずつ埋葬することはできます。

違う宗教の配偶者の遺骨を少しだけ埋葬しても良いかどうかについては、菩提寺の住職など霊園管理者にしっかり確認しましょう。

散骨してお墓を作らないという選択肢もある

お墓を作らないという選択肢もあります。夫婦2人の遺骨を散骨すれば、お墓に悩む必要はありません。同じ場所を選んで散骨すれば、一緒に眠っているというイメージを持つことができます。

また、お墓を作らない方法としては他に合祀という選択肢もあります。合祀とは、遺骨を骨壺から取り出し、たくさんの人の遺骨と一緒に大きなお墓へ埋葬されることです。合祀墓の多くは宗教フリーです。

夫婦で違うお墓に入る場合の注意点 

夫婦で違うお墓に入る場合の注意点 

夫婦それぞれが違う宗教のお墓に入りたいと思っていたり、違う寺院の檀家になりたいと考えていたりするなら、お墓を別々にするしかありません。夫婦でお墓を別々にする際は、以下の3つに注意しましょう。

費用がかかる

すでにあるお墓を活用する場合は問題ありませんが、夫婦2人のお墓を新しく別々に用意するとなると、お墓2つ分の費用がかかります。お墓の平均的な費用は150万~250万円なので、単純に倍額がかかるということになり、かなりの負担になります。

お墓を別々に用意したいなら、まずは費用面から検討しましょう。

子世代に負担がかかる

夫婦で別々のお墓を用意すると、子世代は2つのお墓を管理することになります。さらに先祖代々のお墓が残っていれば、ますます負担は増えてしまうでしょう。

お墓を管理する側となる子世代と充分に話し合い、できる限り後の世代に負担がかからないよう対策することが大切です。もう使うことのない先祖代々のお墓があるなら、お墓を解体して墓地を霊園に返還する「墓じまい」を行うのはいかがでしょうか。

また、夫婦それぞれのお墓として、契約年数が過ぎたら合祀してもらう期限付きの永代供養墓を選ぶのもおすすめです。契約年数内であれば個別のお墓参りが可能で、合祀した後は年間管理費を支払う必要がなく、お墓参りやお墓掃除の必要もなくなります。契約時に、契約年数分の年間管理費をまとめて支払うこともできます。

違う宗教の葬儀の喪主になる可能性がある

夫婦のいずれかが亡くなったときは、配偶者が喪主になるケースがほとんどです。つまり、自分が信仰する宗教以外の葬儀の喪主になる可能性があります。作法に戸惑ってしまったり、儀式に違和感を覚えたりすることもあるでしょう。事前に、配偶者の宗教について学んでおく必要があります。

ただ、夫婦で宗教が違う場合、葬儀においては選択肢がいくつかあります。これについては次章で詳しくご紹介します。

夫婦で宗教が違う場合葬儀はどうなるの? 

夫婦で宗教が違う場合葬儀はどうなるの? 

夫婦で宗教が違うと、葬儀はどのように行えば良いのでしょうか。いくつかパターンがあるため、喪主が最も負担なく行えると感じる方法をとるのがおすすめです。生前に本人と希望を話し合っておくと、さらに安心できるでしょう。

故人の宗教で葬儀を執り行う

1つめの方法は、故人の宗教で葬儀を執り行うことです。喪主が違う宗教を信仰していても、故人の信仰する宗教で葬儀をすることは可能です。配偶者が亡くなったら、菩提寺や所属教会に連絡しましょう。故人の安置場所に来てもらい、葬儀社とともに打ち合わせをしてもらうのが一番安心です。

違う宗教を信仰する喪主や遺族は、もしかしたら葬儀の雰囲気や作法に戸惑いを覚えるかもしれません。また、違う宗教の知人などを参列者として招きにくいというデメリットもあります。ただし、故人の信仰心が深ければ深いほど、最も希望に沿う形で見送ることができるといえるでしょう。

宗派が違うお寺には葬儀は頼めない

大前提として、宗教が違うのはもちろんのこと、宗派が違うお寺には葬儀を依頼できません。違う宗派のお寺に葬儀を依頼してしまうと、菩提寺から納骨を断られてしまう可能性があります。宗派に則った戒名のつけ直しが必要になってしまうかもしれません。

もし故人の菩提寺が遠くにあり葬儀を依頼できないとしても、自己判断で違うお寺に依頼することはおすすめできません。菩提寺に電話などで事情を話して判断を仰ぎましょう。同じ宗派のお寺を紹介してくれるかもしれません。もし紹介できるようなお寺が見当たらなくても、お寺探しのアドバイスを受けられます。

無宗教で葬儀を執り行う

故人の宗教でも、喪主の宗教でもなく、無宗教で葬儀を執り行うという方法があります。故人の菩提寺や所属教会に、喪主となる自分自身は違う宗教であることを打ち明け、無宗教で葬儀をしたいと希望しましょう。丁寧に話をすれば、きっと理解してもらえます。

ただしこの場合、供養については故人が信仰していた宗教に沿って行うのがポイントです。無宗教の葬儀が終了した後、故人の菩提寺などへ行き、どのような供養がふさわしいか教えてもらいましょう。そのうえで戒名をつけてもらったり、四十九日法要や一周忌法要は故人の宗教宗派に則ったものにしたりして、しっかり供養を行います。

2部制で葬儀を執り行う

無宗教で葬儀を行うと、故人の宗教宗派を信仰する方が葬儀に参列しづらい可能性があります。気になる場合は、無宗教と故人の宗教の2部制で葬儀を行いましょう。

例えば、第1部は儀式を伴わない告別式として無宗教葬を行い、第2部は宗教儀式を伴う葬儀式として故人の宗教の葬儀を行います。1部と2部の間に休憩時間を設け、入れ替え制とします。この方法であれば、よりたくさんの方にお別れしてもらえます。

通夜と葬儀を異なる形で執り行う

葬儀自体を2部制にするのではなく、通夜と葬儀を異なる形で行うという方法もあります。たくさんの方が集まる傾向のある通夜は無宗教とし、翌日の葬儀は故人の宗教で執り行うのです。

無宗教の通夜においては、特別な儀式を行わず、故人の思い出話をしながらゆったりと過ごすのがおすすめです。場が持たないと感じたら、通夜ぶるまい自体をお通夜としても良いでしょう。オードブル形式の軽食をとりながら、スライドショーで故人の写真を流したり、翌日の葬儀には出られない方などが弔辞を述べたりする場とします。

翌日の葬儀は、故人の宗教に則って儀式を行います。故人と同じ宗教を信仰している人や、主な親族が参列者となります。

夫婦で宗教が違うときは事前に話し合いをしておこう

夫婦で宗教が違うときは事前に話し合いをしておこう

夫婦で宗教が違う場合、紹介したようにお墓や葬儀で悩みが生じます。できれば事前に話し合っておき、相手の要望をしっかり聞いておきましょう。また、喪主になり、お墓を管理していくことになるのは子世代です。当事者である子世代を含めて話し合いを進めるのが大事です。

とはいえ、働き盛りで忙しい子世代とじっくり話し合える時間はあまりないかもしれません。また、夫婦とはいえ自分の心からの希望を言い出しづらいと感じることもあります。

そこで有効になるのがエンディングノートです。エンディングノートは、お墓や葬儀、相続、介護や医療の希望などを書き留めておくことができるものです。「急な事故に遭って意識がない」「認知症になった」「亡くなった」など、自分で自分のことができなくなったときのため、意思を身内に委ねられます。エンディングノートはさまざまなタイプが市販されているため、自分が書きやすいと思えるものを選びましょう。

また、お墓や葬儀のプロに相談するのも良い方法です。「セゾンの相続 お墓探しサポート」では、夫婦で宗教が違うといったお悩みはもちろん、「子どもがいないのでお墓をどうすればいいかわからない」「田舎にある先祖代々のお墓が心配」といったご相談もしっかりサポートします。経験豊富な提携専門家のご紹介も可能ですので、まずはお気軽にお電話ください。

セゾンの相続 お墓探しサポートについての詳細はこちら

お墓探しサポート
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おわりに 

夫婦で宗教が違う場合、お墓のことはもちろん、葬儀をどうするかも悩みのタネとなります。しかしお墓についても葬儀についても、いくつか選択肢があるため、きっと夫婦の感覚に合う方法が見つかると思われます。率直に意見を交わし、理想的な方法を見つけましょう。

また、ある程度方針がまとまったら子世代にも相談し、しっかり納得してもらうのも大事です。子世代は実際に葬儀を執り行い、お墓を管理する当事者。負担をかけすぎない、最善の方法を一緒に考えましょう。

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