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お墓の相続は兄弟でできる?本家のお墓に入れる方や永代供養墓についても解説

お墓の相続は兄弟でできる?本家のお墓に入れる方や永代供養墓についても解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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きょうだいが2人以上いる場合で、かつ先祖代々のお墓がある場合、そのお墓をどのように相続すれば良いか迷う方もいるのではないでしょうか。また、「長男がお墓を相続した。自分は次男の立場だが、実家のお墓に入りたい」と考える方もいるかもしれません。ここではこれらの疑問に答えつつ、「お墓を相続する人がいない場合はどうするか」の質問にも答えていきます。

この記事を読んでわかること

  • お墓は祭祀財産に当たるため、分割して相続することはできない
  • ただし、きょうだいで話し合って、入る方やお墓の維持管理費を決めることは可能
  • 先祖代々のお墓に入ることができる方は、相続人の配偶者、子どものいない直系卑属などが中心だが、お墓を引き継いだ方や霊園側との話し合いも必要
  • お墓を引き継ぐ方がいない場合は、永代供養という選択肢がある

2人以上のきょうだいの場合は、どちらか片方のみがお墓を引き継ぐ

お墓を2人以上の兄弟の場合は、どちらか片方のみがお墓を引き継ぐ

現在はひとりっ子が増えてきたとはいえ、きょうだいを持つ方も決して少なくありません。そして、複数人のきょうだいがいる場合、「残されたお墓は誰が管理するか」という問題が出てきます。

「先祖代々のお墓を管理していた父母が、両方とも亡くなった。自分たちは、長男・次男・長女の3人きょうだいである」などの場合は、3人きょうだいのいずれかの方がお墓を引き継ぐことになります。

きょうだいでお墓を分割して相続することはできません。「お墓」は祭祀財産に分類されるうえ、現金などと異なり3分割にして引き継ぐことができないものだからです。

なお、ここでは便宜上「お墓を相続する」という表現を使っていますが、本来お墓は「相続」するものではなく「継承」するものです。

お墓の相続は放棄できるか

お墓の相続は放棄できるか

財産の相続に関しては、「相続放棄」という選択肢があります。これは「マイナスの遺産を引き継がない代わりに、プラスの遺産も引き継ぎません」とするものです。理論上は、相続人全員が相続放棄をすることも可能です。

ただし、お墓は祭祀財産という特殊な性質を持つため、相続放棄を行うことができません。お墓の継承は誰かが行わなければならないものです。また、相続放棄をした場合でも、お墓を引き継ぐことはできます。

お墓の相続は長男がするもの?

お墓の相続は長男がするもの?

ここからは、「お墓の相続は誰がするか」について考えていきましょう。

長男以外でも墓の相続は可能

墓の継承者の決め方には、民法により以下のようにされています。

  1. 故人の遺言により指定された方
  2. 残された方たちが承諾した方
  3. 家庭裁判所が指定した方

1と2で決定しなかった場合にのみ、3のやり方が選ばれます。

なお現在は、「長男が絶対に継がなければならない」などの規定はありません。またもちろん、女性であってもお墓を引き継ぐことができます。

墓地や霊園によっては、継承者の立場を限定しているケースもある

前述した通り、「故人の遺志」「残された人が承諾した人」であれば、誰でもお墓の継承者になれます。つまり、全くの他人であっても、故人の遺志や残された方が承諾した方であるならば、血のつながりのない方でもお墓を受け継ぐことができます。

ただし、墓地や霊園によっては、「その墓地に入っている人と血縁関係にある方でなければ、継承を認めない」としていることもあります。そのため、実際にお墓を引き継ぐことになった場合は、墓地(霊園)の利用規約などを確認するようにした方が良いでしょう。また、場合によっては墓地(霊園)の管理者と話し合いの機会を持つことも検討しなければなりません。

お墓をきょうだい共同で管理する際のポイント

お墓をきょうだい共同で管理する際のポイント

上記で述べたように、きょうだいが何人いようとも、お墓を継承することができるのは1人だけです。

しかし、「管理」は複数人で行えます。ここからは、「複数人でお墓を管理する場合に、気をつけるべきポイント」について解説していきます。

お墓に入る方について話し合う

「お墓に誰を入れるか」についての一般的な考え方は、「その家の人と結婚した人」「子どもがいない人」などです(詳しくは後述します)。

ただこのあたりは、人によって考え方が異なります。「入籍こそしていなかったけれど、長く一緒にいた内縁の妻も一緒のお墓に入れたい」と考える方もいれば、「結婚していたわけでもないのに一緒のお墓に入るのはおかしい」と考える方もいるでしょう。

きょうだいで共同で管理していく場合は、このあたりの意見のすり合わせも必要です。

お墓にかかる費用について話し合う

墓地・お墓は、その管理において、年間管理費や修繕費用などが発生することもあります。この「費用」を誰が負担するかについても話し合う必要があるでしょう。

特に年間管理費は基本的には毎年発生するものですから、相続の段階で負担する方を決めておく必要があります。

お墓参りや墓掃除の分担を話し合う

墓地は、放置しておくと荒れてしまうものです。特に屋外型の墓地の場合は、荒れるスピードが非常に速いものです。そのため、お墓の掃除をする方が必要になります。

お墓の掃除は、お墓の近くに住む方が担うのが一般的です。全員が遠方に住んでいる場合は、ローテーションで掃除をしに行ったり、墓じまいをしたり、お墓参り代行サービスを利用したりすることも視野に入れると良いでしょう。

一般的に先祖代々のお墓に入る方

一般的に先祖代々のお墓に入る方

現在は埋葬の形態も多様化していて、「先祖代々のお墓であっても、血縁関係にない人が入っても問題はない」と考える方も増えてきました。ただここでは、このことを踏まえたうえで、「先祖代々のお墓に入ることになる人」について取り上げていきます。

なお下記は、「長男がお墓を引き継いだ場合」を想定しています。

墓を相続した方の配偶者

お墓を相続した方の配偶者(この場合は長男の妻)は、本人から反対の意志が示されない限り、先祖代々のお墓に入ることが多いといえます。

独身のきょうだい

「長男・次男・長女で、長男がお墓を引き継いだが、次男は生涯未婚のままだった(あるいは離婚した)」などの場合は、次男が実家に戻り、長男の管理する先祖代々のお墓に入るケースがよく見られます。

またこれは、当然「次男」に限ったことではなく、長女あるいは三男以降の場合も、独身であったのならば同じように扱われることが多いといえます。

子どものいないきょうだい

「結婚をして添い遂げたが、子どもがいなかった」という場合は、「新しいお墓を建てても継承者がいない状況」に陥りやすいため、実家のお墓に埋葬されることがあります。

ただ現在は、子どもがいないご夫婦でも永代供養を選ぶことでご夫婦だけで眠れるようになっているため、ご夫婦で新しい埋葬場所を選ぶケースもよく見られます。

未婚の直系卑属(祭祀継承者の子どもなど)

「不幸にして、長男の子どもが先に亡くなってしまった」「結婚しないまま孫が亡くなった」などのように、未婚の直系卑属が亡くなった場合は、先祖代々のお墓に埋葬するのが基本です。

また、離婚した子どもや孫についても、同じように扱われることが多いといえます。

お墓に入るときに必要な許可とは 

お墓に入るときに必要な許可とは 

家制度が廃止され、宗教への帰属意識が薄れつつある現在、「お墓に入る人の立場を限定する」という考えは廃れつつあります。しかし先祖代々のお墓に入る場合には、下記の3つの許可が必要となります。

埋葬許可証

埋葬許可証とは、「このご遺体は火葬を確かに終えたので、埋葬できます」とする書類です。火葬場から発行されるもので、これがない限りはどのようなご遺骨であっても埋葬できません。

ちなみにこの埋葬許可証は骨壺と一緒に保管されていることが多いので、「見当たらない!」という方はまずここを確認すると良いでしょう。

墓地側の許可 

埋葬に当たっては、墓地側の許可も必要です。「墓地を継承した人のきょうだい」の立場であれば、墓地側が埋葬を断るケースはまずありません。ただし、「墓地を継承した人のきょうだいが、自らの内縁の配偶者とともに先祖代々のお墓に眠りたいと言っている」などのようなケースの場合は、墓地の運営者によって見解が分かれると考えられます。

墓の永代使用権を持つ方の許可

上記の2つをクリアしても、墓を継承した方がその方を受け入れないという姿勢を示した場合は、お墓に入ることが難しくなるでしょう。

上記で取り上げたものの中で、どのような場合でも必ず提出が求められるのは「埋葬許可証」のみです。墓地側の許可に関しては墓地運営者の見解によって判断が分かれるため墓地の利用規約を確認する必要がありますし、継承した方が反対している場合は話し合いで解決していくことになるでしょう。

お墓を相続する方がいない場合の弔いの方法

お墓を相続する人がいない場合の弔いの方法

上記では「きょうだいがお墓に入る場合の話」をしてきました。しかし中には、「自分が墓を引き継いだが、きょうだいにも自分にも子どもがいない」「とりあえず自分がお墓を引き受けたが、きょうだいの誰も実家の近くに住んでいない」というケースもあるでしょう。

そのような場合は、実家のお墓の墓じまいをして、他の埋葬方法に切り替えることを考えなければなりません。

永代供養とは

「子どもがいない」「きょうだい全員が遠方に住んでいるうえ、本人の死生観によって『継承しなければならないお墓』を持ちたくないと考えている」という場合は、「永代供養」という選択肢を視野に入れる必要があります。

永代供養とは、「お墓を継承する人がいなくても、霊園側がご遺骨の管理を行います」とする方法を指します。この永代供養にはいくつかの種類があります。

※なお厳密には「供養」という言葉は仏教用語ですが、代わる言葉がないため、ここではこの表現を用います。

永代供養の種類

永代供養の種類として、次が挙げられます。

  • 合葬墓
  • 樹木葬
  • 永代供養付き一般墓

それぞれの特徴を紹介していきます。

合葬墓

「合葬墓」とは、多くの方のご遺骨を一緒にして埋葬する形式をいいます。ひとつの大きな墓石の下に、骨壺から出したご遺骨を入れる形式が多いといえます。

個別のスペースを持たないため、費用が安く、50,000円程度で利用できるケースも多く見られます。

樹木葬

樹木葬とは、木の下にご遺骨を埋めて埋葬する方法のことを指します。墓石を持たないこと、植物の基本的な管理は運営者が行ってくれることから、「個別のスペースはあっても、継承者の必要のない埋葬形態である」として近年注目を浴びています。

なお樹木葬にも「合葬」という考え方があります。この場合、大きな木の下に、骨壺から出したご遺骨を埋める方法がよくとられます。

永代供養付き一般墓

「一定期間(十三回忌までなど)は個別のお墓で眠り、その後に合葬墓に移動される」という形式の埋葬方法を、「永代供養付き一般墓」といいます。

「子どもはいるが、孫はいない」「自分たちを直接知っている人が生きている間は面倒を見てもらいたいが、それ以降の世話はいらない」と考える人は、この方式を選ぶと良いでしょう。

「お墓の継承者がいない」「お墓の管理が難しい」などのお悩みは、「セゾンの相続 お墓探しサポート」へご相談ください。経験豊富な提携専門家のご紹介も可能です。

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おわりに 

お墓の継承に対する価値観の変化や、生涯未婚者割合の上昇や離婚率の上昇、さらに少子化の影響などによって、人の埋葬形態も変わりつつあります。特に、「兄弟姉妹のお墓をどうするか」「継承者のいないお墓の管理をするか」は非常に重要な問題です。

この問いへの明確な答えはありません。ただ、自分の希望を明確にしたうえで話し合えば、ご家庭ごとの答えが出てくることでしょう。

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