孤独死がいま社会問題となっています。これまではひとり暮らしの高齢者の問題と考えられていましたが、最近は若者にも孤独死のケースが増えています。孤独死は決して人ごとではありません。このコラムでは孤独死を招く原因を取り上げ、対策方法についてご紹介します。孤独死の実情を知り、万が一に備えましょう。
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孤独死とは
孤独死とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。
孤独死の具体的な状況
孤独死とは、ひとり暮らしの方が誰にも看取られず亡くなることです。多くの場合、亡くなったことに誰にも気づいてもらえず、死後しばらく経ってから発見されます。
孤独死と聞くとひとり暮らしの高齢者というイメージを持つ方が多いでしょう。ところが、若者でも孤独死となるケースがあります。孤独死は社会的な問題と考えて良いでしょう。
孤独死は大変つらいものです。助けを呼ぶ声に気がついてくれる方がいれば助かっていたかもしれません。傍らで看取る方がいれば、最後に言葉を残すことができたかもしれないのです。
孤独による問題点
孤独死が周囲に与える問題は次のようなものがあります。
- 亡くなった家が賃貸の場合、不動産価値が下がる
- 行政が行う死亡人の手続きが大変
- 遺族への金銭的な負担が発生する
孤独死は、本人はもちろんのこと、周りの方々や環境にも大きな問題を残すことになりかねません。例えば、賃貸住宅に居住していた場合、管理会社などから遺族に補償金が請求される場合があります。孤独死で発見が遅れた場合は事故死扱いとなり、次の入居希望者に告知する必要があり、場合によっては不動産価値が下がるためです。
したがって、孤独死はできる限り避けたい問題といえます。ひとり暮らしの孤独死を防ぐためには、高齢者・若者問わず、普段から対策を講じる必要があるでしょう。
孤独死を招く原因
孤独死はなぜ起こってしまうのでしょうか。孤独死は次のようなケースで発生することが多いです。
- 高齢者
- 配偶者と死別、別れた方
- 未婚者
- 親族がいない、親族付き合いがない
- 持病がある
- 仕事をしていない
- 賃貸暮らしで近所付き合いが希薄
ここからは孤独死が起こりやすい代表的なケースをいくつかピックアップしてご紹介します。
貧困
リストラや倒産により失職して生活苦に陥ることがあります。加えて、生活苦が原因で他人との関わりを避けてしまうケースもあるでしょう。貧困状態では持病があっても医療機関を受診できず、病気が悪化して結果孤独死となってしまうことも充分考えられます。
未婚
ひとりで生活をしている場合は孤独死のリスクが高くなります。未婚であっても家族と一緒に住んでいる場合は、孤独死のリスクは低くなります。とはいえ、高齢になり仕事を退職したり社会参加の機会が減少するにつれ、生活で不便や精神的な不安を感じる方が多くなるようです。加えて、年齢を重ねれば病気になるリスクが高くなることも忘れてはいけません。
家族形態の変化
核家族化の増加と孤独死とは切っても切り離せません。子どもの独立により高齢の親のみで生活する世帯が増え、結果孤独死と繋がってしまうのです。
また、親と同居して生活のあらゆる面で親に依存しているパラサイトシングルも増加しています。多くの場合、30・40代になってもなお親に依存した生活を続けることで、経済的な自立や新しい人間関係の構築をすることが難しいといわれています。
パラサイトシングルの高齢化や核家族化など、家族の暮らし方、世帯形態の変化は孤独死を発生させる要因といえるでしょう。
希薄化した近所付き合い
近所付き合いの少なさは孤独死の原因になります。
現代は、マンションなどの賃貸暮らしに加えて、個人情報の意識の高まりにより、近所付き合いが減少しています。総務省発表の「市町村が把握している自治会の加入率(平成22年〜令和2年)の推移」によると、多くの市町村で自治会加入率は10年間で減少、最大で約8%程度減少しているということがわかっています。
近所付き合いが希薄になると、困ったときに頼れる相手がいません。もし怪我をしたり体調を崩したりしても頼れる方がいないと孤独死につながりやすくなります。
また、SNSの発達も近所付き合いの希薄化に拍車をかけていると考えられます。SNSでは、オンライン上で会話を楽しむことはできますが、実際には相手の顔はわかりません。顔の見えないSNSのみでのつながりでは、現実に困ったことが起きても助けてもらうことはできないでしょう。
孤独死を防止するための対策法
孤独死を避けるには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。自治体における取り組みやサービスをご紹介します。
自治体のサービスを利用する
自治体によっては、福祉サービスの一環として、高齢者の自宅を月1回程度訪問して状況を確認する取り組みが行われています。
例えば、神奈川県では孤独死防止を目的とした「地域見守り活動」が行われています。県と「地域見守り活動に関する協定」を結んだ業者が個人宅を訪問します。新聞が溜まっているなど生命の危険性を予見した際に、警察や消防に通報する仕組みです。
自治体によるサービスは、お住まいの自治体のWEBサイトや窓口で確認しましょう。
民間警備会社の利用
自治体だけでなく、民間の警備会社でも孤独死対策のサービスがあります。
警備サービスを提供する「ALSOK」では、「HOME ALSOK みまもりサポート」として、高齢者の生活サポートを行っています。怪我や体調が悪いときに、ボタンを押すだけで24時間365日ガードマンが駆けつけてくれるため安心です。
健康について気になることがあれば看護師資格を持つスタッフに相談することも可能です。
老人ホームや高齢者用住宅に入居する
高齢者の孤独死対策として、老人ホームや高齢者用の住宅へ入居する方法があります。さまざまなタイプの施設があるため、どのようなサービスを受けられるか、ニーズに合わせて検討すると良いでしょう。
金銭的な問題で、一般的な老人ホームへの入居が難しいようであれば、養護老人ホームが利用できる可能性があります。養護老人ホームへの入居には審査があるため、まずは役所に相談してみましょう。ただし、養護老人ホームは貧困救済と社会的自立を促すことを目的とした施設となるため、そのまま生活を続けることはできません。自立へのヒントを得るために利用するようにしましょう。
積極的な近所付き合い
近所の方と顔見知りになることは、孤独死を防ぐために有効です。もし何日も顔を合わせないということがあれば、異常に気付いてもらえる可能性があります。
また、なにか困ったときなど、いざというときに頼れる相手がすぐ近くにいると安心です。
家族や親せきとの連絡は定期的に
家族や親せきと定期的に電話やSNSなどで連絡をとる習慣があれば、近くに居なくても連絡が無いことで異変に気づける確率も高まります。万が一の際には、早めに対処することが可能になります。
親族とは定期的に連絡を取るとともに、ご自分の健康状態や病歴、日常の習慣などを伝えておくことも大切です。何かいつもと違ったことがないか、気づけるようにしましょう。
健康面に配慮する
ひとり暮らしでは、生活が乱れがちです。ひとりだからと食事に気を使わなくなる方も多いようですが、ひとり暮らしだからこそ食生活に気を配り、健康を意識しましょう。
健康な身体を維持するためには、バランスの良い食事や適度な運動が不可欠です。お酒やたばこは控えめにすると良いでしょう。また、異変を感じたら放置せず、すぐに病院へ行くことをおすすめします。
コミュニティに参加する
趣味のコミュニティに参加することは、孤独死の防止におすすめです。習い事を始めれば定期的に外出の機会ができるため、孤独死の原因となる引きこもりを解消できます。また、近所付き合いと同様で、何日も顔を合わせないことが続けば、異変に気づいてもらえる可能性が高まるでしょう。
自治体が主催するスクールやカルチャーセンターなど、高齢者を対象とした催しがたくさん設定されていますので、気になるものがあれば足を運んでみてはいかがでしょうか。
万が一の孤独死に備えて、事前にできる対策は?
孤独死を防ぐ対策を取ったとしても、結果的に孤独死となってしまうケースはあります。万が一孤独死となってしまった場合に備えがあると安心です。
葬儀の手配
人が亡くなった場合、孤独死であっても葬儀方法に大きな違いはありません。ただし、葬儀会社によっては孤独死の方の葬儀ができない場合があるため注意が必要です。
もし身寄りがない場合は、自治体によって火葬されます。遺骨の引き取り手がなければ「無縁塚」に埋葬されることになるでしょう。基本的に火葬費用は扶養義務者や法定相続人に請求されることになるため、周りに迷惑をかけたくないと考えるならば、貯蓄をしておくと安心です。
いずれにしても、孤独死を発見してからの葬儀手配は周りの大きな負担となるため、生前に葬儀を手配し段取りをつけておくことをおすすめします。
荷物の整理
遺品整理はとても大変な作業であるため、生前に整理をしておきましょう。とくに賃貸住宅に住んでいる場合は、死亡確認後すぐに退去する必要があります。遺族の負担を減らすためにも、日頃から整理整頓をしておくことが大切です。
印鑑や貴重品がどこにあるのか、銀行口座や株式などの資産情報などはエンディングノートなどに残しておきましょう。遺族が片付けや手続きをする際にスムーズです。
相続対策
もし相続人がいる場合は、遺産を誰にどれだけ渡すかを決めておく必要があります。遺産の相続方法がはっきりしていないと、もめ事の種になりかねません。遺産の相続方法については、公正証書による遺言書を残しておくことをおすすめします。
また、相続税の対策を考えているなら、計画的に進めておきましょう。
遺言書の作成
相続対策として遺言書を残すことをお伝えしましたが、書き方に不備があると無効になるため、正しく作成する必要があります。
遺言書は自身で作成する自筆証書遺言も可能ですが、せっかく書いたのに発見されなかったり不備があり無効になってしまったりするケースもあります。一方、公正証書遺言は公証人などの立ち会いの元で作成するため、未発見や不備といったリスク回避ができます。公証人が原本を管理してくれるなど、相続手続きが楽であるといった点もメリットです。デメリットとしては、財産の多さに応じて手数料がかかることです。また、必要な書類を揃えておかなければなりません。手続きが心配な方は司法書士や弁護士などへの相談も検討してみてください。
お墓の手配
孤独死で遺骨の引き取り手がない場合、無縁仏として行政の手により埋葬されることは前述しました。もし身寄りがない場合は、事前にお墓を購入しておくと安心です。
後々の供養の軽減を考えるのなら、寺院や霊園が管理や供養をしてくれる永代供養が良いでしょう。最近は海洋葬や樹木葬などの需要も増えています。費用も数万円から数百万円程度までと幅広いため、ご自身の希望に合わせて選びましょう。
死後事務
同じ孤独死でも遺族がいる場合、遺族が死後事務の手続きを行うことになりますが、身寄りのない方はどうなるのでしょうか。
身寄りのない方の場合、市町村によって火葬が行われることになります。ただし、絶対に身寄りがいないとは限らないため、一旦遺体は安置され、相続人や親族の確認調査がされます。親族がなかなか見つからない、見つかってもトラブル発生などで決着がつくまでに1年近く遺体を安置されるケースもあります。
もし身寄りがなく、死後事務を行う方がいない場合は「死後事務委任契約」を結んでおくことで手続きを滞りなく進めることができるでしょう。最近では、親族がいる場合でも遺族への負担を軽減する目的で死後事務委任契約を結ぶ方が増えています。
似たものに「身元保証契約」というものがありますが、こちらは、身寄りのない方が病院や施設に入る際などに家族に代わって身元を保証するためのものです。「死後事務委任契約」との違いは、生前から関わるか死後から関わるかになります。
おわりに
孤独死は、本人はもちろんのこと周囲にも大きな負担となります。日頃からご近所付き合いを増やしたり、行政のサービスを積極的に活用することは孤独死を防ぐ方法として有効です。また、ご自身が亡くなったあとにできるだけ周りに迷惑を掛けないよう、荷物の整理や遺言の準備をしておくことをおすすめします。
孤独死はひとり暮らしの高齢者だけの問題ではありません。孤独死を招きやすい環境にある場合は、万が一に備えて事前に対策をしておきましょう。
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