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介護保険の自己負担割合は?介護にかかる費用負担の軽減方法を紹介!

介護保険の自己負担割合は?介護にかかる費用負担の軽減方法を紹介!
セゾンのくらし大研究 編集部

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介護保険サービスの利用料は、自己負担と介護保険からの給付によってまかなわれます。介護保険には利用限度額があるため、限度額を超えた分は全額自己負担となる点に注意が必要です。実際にサービスによってどの程度のお金がかかるかは、大まかには知っておきたいところです。

この記事では、介護保険の自己負担割合の基本を解説し、介護サービス利用時の実際の自己負担額を紹介します。

この記事を読んでわかること
  • 介護保険の自己負担割合はほとんどの人は1割だが、2割または3割の高所得者もいる
  • 居宅サービスでは要介護度別に利用限度額が決められている
  • 施設サービスでは居住費や食費が全額自己負担になる
  • 自己負担額が多くて生活が苦しい場合、負担を軽減する制度を利用するとよい
ひとりのミカタ

介護保険制度をおさらい

介護保険制度をおさらい

最初にこれらの、介護保険制度の基本を押さえておきましょう。

  • 保険料の負担はいつから?介護保険の仕組み
  • 介護保険で受けられるサービス

以下で詳しく説明します。

保険料の負担はいつから?介護保険の仕組み

介護保険とは介護や支援が必要な人に、介護または介護予防でかかった費用の一部を給付する制度です。40歳になると介護保険に加入し、保険料の納付が義務づけられます。介護保険の保険料は健康保険と一緒に徴収され、会社員・公務員の場合は給料から天引きされます。

65歳以上の年金受給者は年金からの天引きで、市区町村が徴収する仕組みです。

介護保険で受けられるサービス

介護保険では65歳以上の人は第1号被保険者、40歳から64歳の人は第2号被保険者となります。第1号被保険者は、要介護・要支援状態になった原因を問わず、介護保険のサービスを受けられます。

しかし、第2号被保険者がサービスを受けられるのは、特定の病気で要介護状態となった場合に限られる点に注意が必要です。

介護保険で利用できるサービスには、要介護1~5と認定された人が利用できるサービス(介護給付)と、要支援1~2と認定された人が利用できるサービス(予防給付)があります。

介護サービスの種類は多岐にわたり、次のようなサービスを受けられます。

  • 介護サービスの利用にかかる相談、ケアプランの作成
  • 居宅での家事援助等のサービス
  • 施設などでの日帰りのサービス
  • 施設などに宿泊して、長期間または短期間受けられるサービス
  • 訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス
  • 福祉用具を利用するサービス

介護保険サービス料の自己負担割合は?

介護保険サービス料の自己負担割合は?

介護保険の自己負担割合は、どうやって決まるのでしょうか。介護保険のサービスにかかる負担割合は、世帯内の65歳以上の第1号被保険者の人数や年金収入とその他合計所得金額によって決まります。自己負担割合は、1割・2割・3割のいずれかです。

介護保険の負担割合は基本的に1割

介護保険の自己負担割合は被保険者の所得に応じて異なりますが、多くの人は1割負担です。以下は自己負担割合が1割に該当する人の条件をまとめた表です。

40歳~64歳(第2号被保険者)全員
65歳以上(第1号被保険者)生活保護受給者
住民税非課税者
本人の合計所得金額が160万円未満

介護保険の負担割合が2割になるケース

介護保険のサービスを受けた人の基本的な自己負担割合は1割ですが、一定以上の所得がある人は2割または3割となります。自己負担割合が2割になる人の条件は、以下のとおりです。

65歳以上(第1号被保険者)で本人の合計所得金額が160万円以上単身世帯で、年金収入+その他合計所得金額=280万円以上
夫婦世帯で、年金収入+その他合計所得金額=346万円以上

合計所得金額とは収入から公的年金控除や給与所得控除、必要経費を控除した後で、基礎控除や人的控除等をする前の所得金額です。その他の合計所得金額とは合計所得金額から、年金の雑所得金額を除いた所得金額です。

介護保険の負担割合が3割になるケース

自己負担割合が3割になる人の条件は、以下のとおりです。

65歳以上(第1号被保険者)本人の合計所得金額が220万円以上単身世帯で、年金収入+その他合計所得金額=340万円以上
夫婦世帯で、年金収入+その他合計所得金額=463万円以上

介護保険の負担割合はいつ決まる?

介護保険の負担割合はいつ決まる?

介護保険の負担割合は、要介護認定と同時に決定します。ここでは、介護保険の自己負担割合の決定と更新について見ていきましょう。

「介護保険負担割合証」の交付

介護保険の保険料の自己負担割合は、要介護認定が下りる際に前年の所得をもとに決定されます。決定した自己負担割合は、市区町村から交付された「介護保険負担割合証」で確認できます。

要介護認定の申請をすると1ヵ月程度で要介護度が決まり、認定結果通知が送付される流れです。介護保険負担割合証は認定結果通知に同封され、負担割合を確認できます。

負担割合の更新時期

介護保険負担割合証の有効期間は、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間です。その後は自動更新となりますが、更新が決まるタイミングは自治体ごとに5月や7月などさまざま。利用者負担割合は毎年見直され、前年の所得により決まります。新年度の介護保険負担割合証は、7月中に市区町村から届きます。

世帯員の増減や所得の更生があった人は、負担割合が変更になる可能性が。負担割合が変更になった場合、申請手続きをしなくても市区町村から新たな負担割合証が送付されます。

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介護保険サービスの料金はいくら?

介護保険サービスの料金はいくら?

実際に介護保険サービスを利用するようになった場合、サービスの料金はいくらで、自己負担額はどの程度になるかが気になる人も多いでしょう。ここでは、介護保険サービスの種類ごとの費用を紹介します。

居宅サービスの場合は「区分支給限度額」がある

居宅サービスとは、自宅で生活する要介護・要支援者の介護サービスをいいます。居宅サービスには、以下のような種類があります。

  • 居住介護支援
  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問リハビリテーション
  • 訪問看護
  • 居宅療養管理指導
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
  • 特定施設入居者生活介護
  • その他のサービス(福祉用具貸与、福祉用具購入、住宅改修)

居宅サービスを利用するときには、「区分支給限度額」という上限金額が要介護度別に決められています。要介護度別の1ヵ月あたりの区分支給限度額は、以下のとおりです。

要支援150,320円
要支援2105,310円
要介護1167,650円
要介護2197,050円
要介護3270,480円
要介護4309,380円
要介護5362,170円

出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」より

区分支給限度額の範囲内でサービスを利用した場合、利用者の自己負担割合に応じて自己負担分を支払います。区分支給限度額を超えた分は、利用者が全額負担する必要があります。

訪問介護(ホームヘルパー)の自己負担額シミュレーション

訪問介護とは、要介護者の自宅に介護福祉士やホームヘルパーが訪問して食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)をするサービスです。

以下は要介護1~5の認定を受けた人の、身体介護と生活援助の1回ごとの利用者負担額です(利用者負担割合は1割)。

<身体介護>

20分未満167円
20分~30分未満250円
30分~1時間未満396円
1時間以上579円

出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」より

<生活援助>

20分~45分未満183円
45分以上225円

出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」より

特別養護老人ホームの自己負担額シミュレーション

特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の認定を受けた人を対象とする介護施設です。常時介護が必要な人を受け入れ、入浴や食事のような日常生活上の支援や、機能訓練、療養上のサポートなどを提供します。

特別養護老人ホームを利用する際には、施設サービス費の他、居住費・食費・日常生活費などがかかります。施設サービス費は介護保険給付の対象ですが、居住費や食費は対象外であり、全額利用者負担です。

入居後は、介護保険適用で食事や入浴の介助といった日常生活における支援をはじめ、機能訓練や療養上のサポートを受けられます。また、サービス費用は施設の形態、部屋の種類、職員の人数などによって異なります。

ここでは、要介護5の人が1割負担で多床室を利用したケースと、ユニット型個室を利用したケースで自己負担額をシミュレーションしてみましょう。

<多床室>

施設サービス費の1割25,410円(847円×30日)
居住費25,650円(855円×30日)
食費43,350円(1,445円×30日)
日常生活費約10,000円(施設により異なる)
合計約104,410円

<ユニット型個室>

施設サービス費の1割27,870円(929円×30日)
居住費60,180円(2,006円×30日)
食費43,350円(1,445円×30日)
日常生活費約10,000円(施設により異なる)
合計約141,400円

上記のとおり、部屋のタイプが多床室か個室かで居住費に差があり、全体の費用負担にも影響することがわかります。

介護費用の負担は軽減できる!活用できる制度を確認

介護費用の負担は軽減できる!活用できる制度を確認

介護サービスを受けるには介護度や自己負担割合に応じた費用がかかり、家計が苦しくなるおそれもあります。そのような場合に助けとなる、介護費用負担を軽減する制度を紹介します。

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、一定の上限を超えた介護サービスの利用料金の一部の払い戻しを受けられる制度です。

利用者負担の上限額は、利用者の所得によって以下のように決められています。

対象者利用者負担上限額(月)
生活保護受給者世帯15,000円
世帯全員が市民税非課税で、課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円以下個人15,000円世帯24,600円
世帯全員が市民税非課税で、課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円超世帯24,600円
住民税税課税世帯で、課税所得380万円(年収約770万円)未満世帯44,400円
課税所得380万円(年収約770万円)以上690万円(年収約1,160万円)未満世帯93,000円
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上世帯140,100円

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)とは、介護保険施設で全額自己負担となる居住費や食費の負担を軽くしてくれる制度です。対象者には、介護保険負担限度額認定証が交付されます。介護保険負担限度額認定証をもらうには、所得と預貯金等の要件を満たす必要があります。

認定要件となる所得と資産の基準は、以下のとおりです。

所得要件資産要件(預貯金等合計額)
単身夫婦
生活保護受給者または老齢福祉年金受給者1,000万円以下2,000万円以下
住民税非課税世帯年金収入等80万円以下650万円 以下1,650万円以下
年金収入等80万円超120万円以下550万円 以下1,550万円以下
年金収入等120万円超500万円 以下1,500万円以下

高額医療・高額介護合算制度

高額医療・高額介護合算制度とは医療保険と介護保険の両方で自己負担が発生した場合に、負担を軽減する制度です。負担上限額を超えた場合、保険者への申請によって超過分の支給を受けられます。世帯単位の負担上限額は、以下のとおりです。

70歳以上70歳未満
年収約1,160万円以上212万円212万円
年収約770万~約1,160万円141万円141万円
年収約370万~約770万円67万円67万円
~年収約370万円56万円60万円
市町村民税世帯非課税31万円34万円
市町村民税世帯非課税かつ年金収入80万円以下等(本人のみ)19万円34万円

医療費控除

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日の間に支払った医療費が一定額を超えるときに、所得控除を受けられる制度のこと。対象となるのは、自分または同一生計の家族が支払った医療費です。

医療費控除の対象となる医療費には介護保険サービスの自己負担分や、入居施設の居住費や食費なども含まれます。

医療費控除の控除額は、以下の計算式で求められます(上限額200万円)。

実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補てんされる金額 - 10万円

その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%が控除額となります。

おわりに 

介護保険制度は、高齢化社会において欠かせないものですが、利用できるサービスには限界があり、自己負担額の事前把握とマネープランの準備が重要です。さらに、自己負担を軽減できる制度を調べ、介護が必要になった際の準備をしておくことが大切です。

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