70歳だと、定年退職から10年以上経っている方も多いでしょう。しかし、現代の日本では、70歳はまだまだ元気で活動的な年代です。平均寿命も延びており、70歳からの過ごし方によってはあと20年以上の人生を楽しめる可能性があります。
この記事では、70歳から理想的な生活を送るための具体的な方法をご紹介します。健康の維持、趣味や生きがいの発見、賢いお金の使い方に焦点を当て、70代を楽しく充実したものにするためのヒントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
(本記事は2023年12月25日時点の情報です)
- 70歳から豊かな老後を送るためには、健康・体力、趣味・挑戦、お金の3つの面のバランスを取ることが必要
- 70歳からの健康・体力には、毎日の軽い有酸素運動やストレッチ、たんぱく質や塩分の摂取のコントロールなどが大切
- 70歳からは、年金だけに頼らずに収入源を確保したり、支出をシミュレーションや管理したりすることが重要
70歳からの過ごし方で豊かな老後を送れるかが決まる
70歳からの生活は、豊かな老後を送る上で非常に重要です。豊かな老後を送るためには、「平均寿命」だけでなく「健康寿命」がカギとなります。平均寿命とは0歳における平均余命のこと、健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。
「厚生労働省のデータによると、2022年(令和4年)における平均寿命は男性79.55歳、女性86.30歳のところ、健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳でした。平均寿命は延びていますが、健康寿命との差は依然として約10年あるのが実情です。
参照元:厚生労働省
健康寿命を延ばすためにも、70歳からの生活様式が非常に重要だといえるでしょう。
出典:厚生労働省
70歳からの過ごし方で大切にすること
70歳からの過ごし方で特に大切にしたいことは、以下の3点です。
- 健康・体力づくり
- 挑戦・趣味(生きがい)
- お金の使い方
これらの3つの要素は、相互に影響し合っています。
例えば、健康・体力があれば、挑戦・趣味にも積極的に取り組めますし、挑戦・趣味があれば、健康・体力も維持しやすくなります。
また、身の丈に合わせてお金を使うことも重要です。自分が幸せだと感じられるお金の使い方をすることで、健康・体力や挑戦・趣味の質が変わってきます。
そのため、70歳からの過ごし方では、これら3つの要素のバランスを上手くとることが大切です。
70歳からの健康・体力づくり
70歳を迎えると、筋力の衰えや疲れやすさを感じるようになるでしょう。家にこもりがちな方も多いですが、対策を行わないと要介護状態になってしまうリスクが高まりかねません。日常生活に支障が出たり病気になりやすくなったりしないためにも体を動かす、食生活に留意するなどして健康・体力づくりを行うことが非常に重要です。
健康・体力づくりのためには、以下のことがおすすめです。
- 軽度の有酸素運動を毎日行う
- 軽いストレッチを毎日行う
- たんぱく質をしっかり摂る
- 塩分を摂り過ぎない
健康に生活し、体力をつけるためにもぜひ習慣化していきましょう。それぞれについて解説します。
軽度の有酸素運動を毎日行う
軽い有酸素運動を毎日行うことで、心肺機能を高めることが可能です。例えば、ウォーキング、ジョギング、水泳などが挙げられます。
有酸素運動には血液の循環を良くして筋肉や骨の衰えを防ぎ、免疫力や代謝を高める効果が期待できます。また、認知症やうつ病の予防にも役立つでしょう。
特にウォーキングは、心臓に負荷のかかりにくい有酸素運動であり、上半身と下半身の筋肉をバランスよく鍛えられます。また、お金をかけずに気軽に始められるため、老後の趣味としても人気です。
ただし、無理をせず自分のペースで行いましょう。目安としては、息が上がらない程度で1日に30分以上、週に5日以上行うことが望ましいです。あまりにハイペースで長時間ウォーキングすると筋肉痛につながるため、短時間でも毎日継続して歩くことを意識してください。
運動に不慣れな方や持病がある方は、医師やトレーナーに相談してから始めることをおすすめします。
軽いストレッチを毎日行う
有酸素運動とともに取り入れたいのが、毎日のストレッチです。ストレッチには、筋力や関節の柔軟性を高め、血流やリンパの流れを促進するメリットがあります。また、疲労やコリの解消、姿勢の改善、バランス感覚の向上にも役立つでしょう。
例えば、以下のようなストレッチがおすすめです。
- 椅子に座って首をゆっくり回す
- 手を握る・開くことを繰り返す
- 肩の上げ下げをゆっくり繰り返す
- 足を前後に開き、アキレス腱を伸ばす
70歳からのストレッチでは、有酸素運動の前後や起床時、就寝前などに行うと良いでしょう。目安としては、1日に10分以上毎日行うのが望ましいです。
ストレッチに不慣れな方や関節に痛みがある方は、有酸素運動と同様に医師やトレーナーに相談してから始めてみてください。
たんぱく質をしっかり摂る
健康的な身体を維持するためには、バランスの良い食生活も大切です。しかし、70歳になると食欲が低下し、栄養バランスが崩れてしまうケースが少なくありません。そうすると、体重の減少、筋肉量の低下、免疫力の低下などの不調が起こりやすくなります。
特に、たんぱく質は意識して摂りましょう。たんぱく質は、筋肉や骨、皮膚、髪、爪などの体の組織を作る栄養素です。例えば、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などに多く含まれています。
また、たんぱく質には筋肉や骨の量・質を維持し、免疫力や代謝を高める効果もあります。
接種量の基準値として、公益財団法人 長寿科学振興財団では、男性だと1日に60g、女性で1日に50gが推奨されています。
塩分を摂り過ぎない
塩分は、体の水分や血圧の調節に必要な栄養素です。しかし、摂り過ぎると高血圧や脳卒中、心筋梗塞などのリスクを高める可能性があります。70歳になると味覚の衰えが原因で若いときよりも料理の味付けが濃くなりがちなので、塩分の摂りすぎには注意が必要です。
日本高血圧学会では1日の塩分摂取量をとして6g未満を推奨しており、世界保健機関ではすべての成人の減塩目標を1日5gとしています。目安は、1日に食塩小さじ1杯分以下です。
参照:日本高血圧学会
塩分の摂取量を抑えるためには、普段の食生活で以下の点を見直してみましょう。
- 塩や醤油、味噌などの調味料は少なめに使う
- 塩分の多い加工食品の摂取や外食を控える
- 塩分の代わりに香辛料やハーブなどで味付けをする
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70歳からの挑戦・趣味(生きがい)
70歳からの生活では、生きがいを見つけることが非常に大切です。挑戦や趣味を持つことは、生活を楽しく充実させてくれるだけでなく、脳の活性化や記憶力の向上が図れるため、健康促進や認知症の予防にも効果が期待できます。
70歳から始めるのにおすすめの趣味は、以下の通りです。
- 旅行
- ゲートボール
- シニアヨガ
- 俳句・短歌
- 楽器演奏
スポーツ系の趣味は、筋力維持や生活習慣病の予防など、健康的な身体づくりに効果的です。身体を動かすことでストレス解消につながるため、精神的な安定も得られるでしょう。ただし、体力に合わせて無理のない種目を選ぶことが大切です。
スポーツがあまり得意でない場合は、室内でできる、手先を動かすものや声を出すものがおすすめです。脳が活性化し、認知症の発生リスクを下げることができるといわれているので、家で過ごす時間が多い方はぜひ始めてみてはいかがでしょうか。
旅行
ソニー生命が50~79歳までのシニア世代を対象に行った「シニアの生活意識調査2023」によると、現在の楽しみについて男女総合1位は「旅行」でした。これまで忙しくて中々旅行に行けなかった方にとって、70歳からの旅行はシニア世代だからこその特権だといえるでしょう。
70歳からのおすすめの旅行方法は、以下の通りです。
- 他人のペースに合わせると疲れる場合、柔軟に旅を楽しみたい場合は個人旅行がおすすめ
- スケジュールが決まっていた方がいい、他の参加者との交流を楽しみたい場合は旅行会社のツアーを選ぶ
- シニア向け割引制度を利用する
旅行の計画や準備も楽しみの一つです。また、家族や友人と一緒に旅行をすれば、より絆を深めることもできるでしょう。
ただし、以下の点に十分注意してください。
- ゆとりのあるスケジュールを組む
- 混雑状況を確認しておく
- 転倒に注意する
- 健康保険証など万が一のためのアイテムを持参する
ゲートボール
ゲートボールは、木製のボールをスティックで打ち、コート上に設置されたゲートと呼ばれる金属の枠を通す、1チーム5人制のスポーツです。体力の消耗が少なく、幅広い年代の人が一緒に楽しめるスポーツでもあります。ルールも簡単なので、初心者でもすぐに楽しめるでしょう。
競技中に歩いたり、しゃがんだりすることで、軽度の有酸素運動や軽度のストレッチにもなります。また、予想しない展開になることもあるため、判断力、集中力など脳の機能を鍛えることも可能です。
団体競技であるためチームワークやコミュニケーションも必要です。そのため、仲間との交流にもつながるでしょう。
シニアヨガ
シニアヨガとは、シニア世代を対象に、日常生活に役立つ筋力を強化し、健康寿命を促進してQOL(生活の質)の向上を目指すヨガのことです。
例えば、椅子や壁などを使って、無理のないポーズで行うほか、車椅子に座ったままできるヨガもあります。
ヨガは、呼吸法や瞑想法を用いることで、心の安定やストレスの解消に効果があります。また、身体を伸ばしたり、ねじったりすることで、柔軟性やバランス感覚の向上にも役立つでしょう。
70歳からシニアヨガにチャレンジする際は、体調や気分に合わせて、リラックスしながら行うことが大切です。目安としては、週1~3回程度、1回30~45分程度にするとよいでしょう。
シニアヨガに興味がある方は、近くのヨガスタジオやヨガインストラクターに相談し、体験レッスンを受けてみてはいかがでしょうか。
俳句・短歌
歌心がある方には、俳句・短歌もおすすめ。俳句は5・7・5の17音で季節や自然を詠むことが多く、短歌は5・7・5・7・7の31音で恋や人生を詠むことが多い日本の伝統的な詩の形式です。70歳を過ぎたからこそ、豊富な人生経験を基により深みのある俳句・短歌を詠むことができるかもしれません。
俳句や短歌は、言葉の美しさや感性の豊かさを高めるのに効果的です。また、記憶力や表現力の向上にも役立ちます。特に費用もかからず、決まった時間にやらなければならないわけでもないので、気軽に始められるでしょう。
ひとりではなかなか取り組めない場合は、サークルに入って仲間と一緒に楽しんだり、教室で指導を受けても良いかもしれません。
楽器演奏
70歳を過ぎて初めて楽器演奏を始める方も少なくありません。また、子供の頃や若い時に習っていた楽器の練習を再開する方もいます。
楽器と一口にいっても、ピアノやギター、フルートなど、さまざまな種類がありますが、演奏することで音楽の魅力や楽しさを感じることができ、心の豊かさや癒しを得る効果が期待できます。また、楽譜を読み、手を動かすことで聴覚や視覚、リズム感の向上や脳の活性化にもつながるでしょう。
さらに、仲間とグループを作って一緒に演奏すれば生活に張りが出ますし、これまで触ってみたかったけれど機会がなかった楽器に挑戦してみても良いかもしれません。
70歳からのお金の使い方
「シニアの生活意識調査2023」によると、2021~2023年にかけてシニアの「貯蓄」に対する1ヶ月の出費が年々減少傾向にあることがわかります。男女別にみると、平均額は男性では2022年に6.0万円だったところ2023年には4.4万円と、前年に比べて1.6万円の大幅減少です。
参照元:ソニー生命|ニュースリリース(2023)シニアの生活意識調査2023
この結果から、シニア層が自分の楽しみのためにお金を使うことを控えている傾向が伺えます。もちろん、貯蓄は豊かな老後を送るために重要ですが、いきいきと過ごすためにはお金を使うこともときに必要です。
老後に賢くお金を使うためには、収入と支出のバランスを踏まえた資金計画が重要です。具体的には、以下のことを心がけましょう。
- 年金以外の収入源の確保
- 支出のシミュレーション・管理
それぞれについて解説します。
年金以外の収入源の確保
70歳以上だと年金で生計を立てている方が多いのではないでしょうか。年金で受け取れる額は現役時代の収入より少ないことが多く、生活が厳しいこともあるかもしれません。経済的な不安を払しょくするためにも、年金以外の収入源を確保する必要があります。
年金以外の収入源として、以下のことが挙げられます。
- 再就職
- 副業
- 資格・スキルの活用
- 資産運用や投資
身体の自由が利く場合は、70歳以上でも人材を採用している企業に再就職し、正社員・契約社員・パート・アルバイトなどの形で働くこともひとつの選択肢です。
また、ネットビジネスや趣味の販売などの副業、資格やスキルを活かして講師・コンサルタント・ライターとして働く個人事業主という働き方も視野に入ってくるでしょう。個人事業主なら定年もありません。
ただし、再就職や個人事業主、いずれの方法で働く場合も、能力や希望に合わせて、仕事の内容や時間を選ぶことが大切です。
株式、債券、投資信託、不動産への投資で資産を運用し、収入を得る方法もあります。利益をコンスタントに出すためにはある程度の知識が必要ですが、身体が思うように動かなくなっても収入を得られる可能性があるでしょう。
ただし、シニア世代を狙った投資詐欺も多く、金融商品の内容をよく理解せずに投資すると損をしてしまいかねません。そのため、信頼できる専門家などへの相談も有効です。
支出のシミュレーション・管理
支出には、食費や住居費、光熱費、医療費、交際費などが挙げられます。必要なものにお金を出すことは70歳からの生活の質や満足度を上げるために重要ですが、支出が収入を上回ると貯蓄を取り崩したり、借金したりする事態になりかねません。支出のシミュレーションを行い、しっかり管理することが大切です。
例えば、、以下のような方法で支出を記録し、見直しや予測を行うことをおすすめします。
- 支出の記録:家計簿やアプリなどで支出の履歴や分析を行う
- 支出の見直し:必要なものと不要なものの区別、節約の工夫など
- 支出の予測:将来の支出の増減の想定、緊急時の備えなど
これらを実践して、70歳からの賢いお金の使い方に役立ててください。
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おわりに
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