独身や身寄りがない場合、入院時に困ることがあるのではないかと不安に感じる方も多いでしょう。本記事では、独身や身寄りがない方が入院する際の実情や、なぜ身元保証人が必要とされるのか、その理由を詳しく解説します。また、身寄りがない方が安心して入院できるための対策方法や、困ったときの相談先についても紹介します。さらに、いざというときに備えるためのサポートサービス「ひとりのミカタ」についても取り上げますので、ぜひご参考ください。
(本記事は2024年8月7日時点の情報です)
- 独身や身寄りがなくても入院はできるが、身元保証人がいない場合、さまざまな場面で困ることがある
- 身元保証人は、緊急連絡先、治療方針の確認、入院費用の支払い、退院後のサポートなど、重要な役割を担っている
- 身寄りがない場合の対策として、身元保証サービスや成年後見制度の活用、友人・親戚への依頼などがある
- 困ったときは、弁護士などの専門家、医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センターに相談するのが良い
独身や身寄りなしの方は入院できない?!
独身で身寄りがない方にとって、入院時に身元保証人や入院保証人を用意できないことは大きな不安材料です。病院側としては、万が一の際の対応や未収金のリスクを避けるために、身元保証人等の提示を求めるケースが多いからです。
以降では、身元保証人等が用意できない場合、本当に入院できないのかを詳しく解説します。
結論!入院はできる
結論から言うと、独身や身寄りがなくても、入院することはできます。医師法第19条により、医師は正当な事由がない限り、診療の求めがあれば応じなければならないとされているからです。つまり、身元保証人等がいないことだけを理由に、入院を拒否することはできません。
ただし、身元保証人等がいない場合、入院中や退院後のさまざまな場面で困ることがあります。例えば、治療方針の説明を理解し同意する人がいない、入院費用の支払いが滞るリスクがある、退院後の転院先や施設の手配が難しいなどの問題が生じる可能性があります。
身寄りがいない方が入院する際に病院から取られる対応
医師法により、独身や身寄りなしでも入院できるようになっているものの、実際には身元保証人等がいない場合、病院側がさまざまな対応をとることがあります。
入院を断られるケースもありますが、多くの病院では何らかの代替手段を用意しています。例えば、入院時に一定額の保証金を預けてもらう、成年後見制度の利用を提案する、行政の福祉課などに相談・連携するといった対応が取られています。
病院側としては、トラブルを未然に防ぎ、円滑に医療サービスを提供するために、できる限りの対応を行っていますが、身寄りのない方の入院は、さまざまな課題が伴うのが現状です。
なぜ身元保証人が必要なのか?
身元保証人は、入院患者の身元を確認し、病院に対して患者が治療を受けることを保証する重要な役割を担います。病院にとって、患者の身元確認と治療費の支払い保証は切実な問題であり、身元保証人の存在は欠かせません。
では、具体的にどのような場面で身元保証人が必要とされるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
緊急時の連絡のため
入院中は予期せぬ事態が起こる可能性があるため、病院は緊急連絡先として身元保証人を必要としています。
例えば、患者の容態が急変したり、事故に遭ったりした場合、速やかに身元保証人に連絡を取り、適切な対応を取ってもらう必要があります。患者本人では意思疎通が困難な場合もあるため、身元保証人の存在は欠かせません。
治療方針などの確認のため
医療法第6条の4により、病院は入院中の治療内容や退院までの計画を、本人または家族に書面で説明する義務があります。
本人が意識不明であったり、認知症などで理解が難しい場合、身元保証人に説明し、本人の理解を促す必要があります。身元保証人は、本人をサポートして治療方針を理解し、適切な判断に導く重要な役割を担っているのです。
入院中に必要なものの準備のため
入院中には、着替えや洗面用具、タオルなどの日用品が必要になります。これらの準備を、身元保証人に依頼するケースがあります。
ただし、最近では病院の売店で購入できたり、有償レンタルサービスを導入している病院もあります。入院が予定されている場合は、事前に病院にサービスの有無を確認し、必要なものを準備しておくと良いでしょう。
入院費用の保証のため
入院費用は原則として患者本人が支払いますが、万一支払いが困難になった場合、病院は身元保証人に費用の支払いを求めることがあります。身元保証人は、入院費用の連帯保証人としての役割も期待されているのです。
病院にとって、医療費の未収金は経営を圧迫する大きな問題であり、身元保証人の存在は未収金リスクを軽減する上で重要な意味を持っています。
退院後のサポートのため
退院後、患者が自宅で従来通りの生活を送れる場合もありますが、リハビリや療養のために別の病院に入院したり、介護施設に入居したりするケースもあります。その際、病院は身元保証人に退院支援を依頼することがあります。
自宅に戻る場合でも、訪問看護や介護サービスの手配など、身元保証人によるサポートが求められる場合があります。
万一のときの遺品引き取りや葬儀の準備のため
万が一患者が亡くなった場合、病院は遺体や遺品の引き取りを身元保証人に依頼します。身元保証人には、葬儀の準備や各種手続きなども求められます。
こうした万一の事態に備えて、身元引受人としての役割を担ってもらう必要があるのです。病院にとって、遺体の安置スペースには限りがあるため、身元保証人による速やかな対応が欠かせません。
身寄りがない場合の対策方法
独身で身寄りがない方が入院する際、身元保証人を立てられないことは大きな不安材料です。
しかし、身元保証サービスや成年後見制度の利用、友人・親戚への依頼など、さまざまな対策方法があります。それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分に合った方法を選択することが重要です。以下で詳しく見ていきましょう。
身元保証サービスを活用する
身元保証サービスとは、身元保証人の役割を代行するサービスです。司法書士事務所や専門の企業、NPO法人などが提供しており、身寄りがない方でも安心して利用できます。サービス内容は身元保証だけでなく、入院中の生活支援や死後の手続き代行まで幅広くカバーしているのが特徴です。
メリットとしては、専門家が身元保証人となるため安心感があること、生活支援や死後の手続きまで一括して任せられることが挙げられます。一方、デメリットとしては、サービス利用料がかかること、サービス内容や質がまちまちなことなどがあります。利用する際は、複数の事業者を比較し、自分のニーズに合ったサービスを選ぶことが大切です。
成年後見制度を活用する
成年後見制度は、判断能力が不十分な方の権利や財産を守るための制度です。この制度を利用することで、独身で身寄りのない方も、入院時の手続きや日常生活の支援を受けることができます。
成年後見制度を活用するメリットには、法的に認められた支援者がつくことや、財産管理や契約行為のサポートを受けられること、そして本人の意思を尊重した支援が受けられることなどがあります。しかしながら、手続きに時間がかかることや、後見人への報酬を支払う必要があること、さらには原則として亡くなるまで後見が継続されることなどがデメリットとして挙げられます。
成年後見制度は、法定後見と任意後見の2つに分けられます。法定後見は、すでに判断能力が不十分な状態にある方のために、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があります。
一方、任意後見は、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ自分で後見人を選んでおく制度です。本人の意思をより反映しやすい特徴があります。
これらの対策方法を知っておくことで、独身で身寄りがない方も、入院時の不安を軽減し、必要な医療を受けやすくなります。自分の状況に合わせて、適切な方法を選択することが大切です。
友人や親戚に依頼する
身元保証人を頼める身内がいない場合、仲の良い親戚や友人に依頼するのも一つの方法です。しかし、実際には大きな負担を強いることになるため、トラブルに発展するリスクがあります。
例えば、緊急時の対応や入院費用の支払いなど、予想以上の負担がかかることがあります。また、お礼の品や心遣いなどをすることが習慣になり、金銭的なトラブルに発展することもあるでしょう。さらに、依頼された友人・親戚の家族との関係悪化なども懸念されます。
身元保証人を引き受けてもらうことは、相手にとって大きな決断です。トラブルを避けるためにも、事前によく話し合い、双方の理解を得ておくことが大切です。安易に友人・親戚に頼るのではなく、専門のサービスを利用することも検討すべきでしょう。
困ったときは誰に相談すると良い?
独身で身寄りがない場合、入院時の身元保証人の問題で困ったときは、一人で抱え込まずに専門家や関係機関に相談することが大切です。
弁護士などの専門家、医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センターなど、それぞれの特徴を理解して、自分に合った相談先を選びましょう。以下で詳しく見ていきます。
弁護士などの専門家
身元保証人の問題に限らず、法律が関わる問題については、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのがおすすめです。入退院の手続きだけでなく、財産管理や相続など、幅広い分野で専門的なアドバイスを受けられます。
特に、トータルでサポートしてくれる専門家は心強い存在です。身元保証人の問題から、将来の生活設計、終活までを見据えたアドバイスを受けられるでしょう。信頼できる専門家を見つけることが、安心につながります。
医療ソーシャルワーカー
急に入院が決まり、身元保証人の問題で困っている場合は、病院の医療ソーシャルワーカーに相談するのが有効です。医療ソーシャルワーカーは、患者やその家族の抱える心理的・社会的な問題の解決を支援する専門職です。
カルテの記録なども確認しながら、患者の状況を把握した上で相談に乗ってくれるのが大きなメリットです。身元保証人の問題だけでなく、治療や退院後の生活についても、適切なアドバイスや関係機関との調整を行ってくれます。
ただし、病院によっては予約が必要な場合もあるので、事前に確認しておくことが大切です。
地域包括支援センター
お住まいの地域の地域包括支援センターも、頼りになる相談先です。地域包括支援センターは、高齢者の生活を総合的に支援する公的機関で、保健師や社会福祉士などの専門職が在籍しています。
身元保証人の問題をはじめ、介護保険の利用や日常生活の悩みなど、高齢者の生活全般について幅広く相談できます。必要に応じて、他の関係機関とも連携を取りながら、問題解決のサポートをしてくれるでしょう。
ただし、地域包括支援センターが対応するのは原則65歳以上の方に限られます。65歳未満の方は、社会福祉協議会などの他の機関に相談する必要があります。
いざというときに備えるなら「ひとりのミカタ」
独身で身寄りがなく、いざというときの入院に備えるなら、クレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が提供する終活支援サービス「ひとりのミカタ」がおすすめです。
「ひとりのミカタ」は、セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が提供する終活支援サービスで、独身や身寄りのない方の不安や悩みに寄り添い、安心な老後を支えてくれます。
入院時や高齢者施設へ入居するための身元保証や、24時間の電話健康相談などを中心とした「エルダープラン」と、普段の暮らしや将来への備え、遺言書作成や任意後見契約、さらにお亡くなり後に発生する多岐にわたる事務手続きを代行するエンディングサポートなどが加わった「プラチナプラン」の2種類から選べます。自分のニーズに合わせてプランを選択できるのが魅力です。
また、「ひとりのミカタ」ではおひとりさまの悩みごとを解決するセミナーなども開催しています。身元保証だけでなく、相続などについても学べるので、老後のさまざまな問題に備えることができます。
さらに、弁護士・司法書士などの有資格者が在籍する信頼のおける士業事務所とも提携しているため、法的な問題にも対応できる安心感があります。
いざというときに備えて、「ひとりのミカタ」に申し込んでおけば、独身で身寄りがない方も安心して老後を過ごせるでしょう。
おわりに
独身や身寄りのない方にとって、入院時の身元保証人問題は大きな不安要素ですが、適切な知識と対策を持つことで、安心して医療を受けられます。身元保証サービスや成年後見制度の活用、専門家への相談など、さまざまな選択肢があります。特に、「ひとりのミカタ」のような終活支援サービスは、入院時の身元保証だけでなく、老後のさまざまな問題に備えることができるため、おすすめです。いざというときに備えて、自分に合った対策を講じておくことで、独身や身寄りのない方も安心して暮らせるでしょう。