50代は健康診断で「所見あり」となる人が約6割を占める節目の年代です。特に、生活習慣病のリスクが高まり、がんや心臓病、脳血管疾患なども急増する時期を迎えます。
本記事では、50代の健康診断データと注意すべき検査項目、受診がおすすめの検査について解説します。後半では、今からできる対策についても紹介するので、健康な日々を過ごしたい50代の方はぜひ参考にしてください。
- 健康診断で所見ありと判定される50代は約6割に上り、この割合は年々上昇傾向にある
- 特に血中脂質や血圧、肝機能検査、血糖検査、心電図などの検査項目で所見が出やすい
- 健康的な50代を送るためには、日々の生活習慣の改善に加え、要再検査や精密検査の確実な受診が重要
- 万が一に備えて、医療保険の補償内容の確認や計画的な資産形成、入院時の身元保証人の選定なども検討する


健康診断で所見ありの人が増えている

近年、健康診断で「所見あり」と判定される人が増加しています。特に50代はさまざまな病気にかかるリスクの高い年代であるため、対策を講じることが重要です。ここでは、まず健康診断結果から見える現状についてみていきましょう。
健康診断で引っかかる人は年々増え続けている
厚生労働省の「定期健康診断結果報告」によると、健康診断で「所見あり」と判定される人の割合は年々増加しています。2014年には53.2%だった有所見率は、その後も増加を続け、2023年には58.9%まで達しました。
この増加の背景には、生活習慣の多様化や社会の高齢化が影響していると考えられます。さらに、医療技術の進歩により、健康上の異常をより早期の段階で発見できるようになったことも、有所見率の上昇の一因となっています。
50代で健康診断に引っかかる人の割合は?
日本赤十字社医療センターの健康管理センターが公表している「健康管理センターの概要」によると、2023年度における50代の有所見率には、次のような特徴が認められます。
肥満度
50代男性の約55%が要経過観察以上の判定となっています。一方、50代女性は約16%が要経過観察以上の判定となっており、男女差が明確に表れています。肥満は生活習慣病のリスクを高める要因となるため、特に注意が必要です。
血圧
50代では、男性の約35%、女性の約21%が要経過観察以上となっています。有所見率は男女ともに年々上昇しており、特に50代から急激に上昇する傾向が見られます。
糖代謝
50代では、男性の約32%、女性の約17%が要経過観察以上となっており、年齢とともに有所見率が上昇する傾向にあります。糖尿病予防の観点からも、この時期の数値の変化には注意が必要です。
コレステロール代謝
50代では、男性の約44%、女性の約42%が要経過観察以上となっています。男女ともに30~60歳にかけて高くなる傾向にあり、特に女性は50代で急激に高くなる結果となりました。これは更年期に伴うエストロゲンの減少が影響していると考えられます。
中性脂肪
50代における要経過観察以上の割合は、男性が約25%、女性が約9%となっています。全体的に男性の方が高い傾向を示し、特に40代から60代にかけて顕著な増加が見られます。一方、女性は60代から70代にかけて高い割合を示しています。
尿酸代謝
50代の要経過観察以上の割合は、男性が約26%であるのに対し、女性は約2%にとどまっています。これは男女差が顕著に表れる項目の一つです。
肝機能
肝機能検査の有所見率については、年齢別・性別の内訳は示されていませんが、全体では約15%が要経過観察以上と判定されました。このうち約2%については、要治療または要再検査・精密検査の判定となっています。
血算・血液像検査
血算・血液像検査の有所見率については、年齢別・性別の内訳は示されていません。全体では約13%が要経過観察以上と判定され、このうち約3%については、要治療または要再検査・精密検査の判定となっています。
心電図
心電図検査の有所見率は、年齢別・性別の詳細なデータは公表されていませんが、全体では約18%が要経過観察以上と判定されました。このうち約4%は要治療または要再検査・精密検査が必要とされています。
健康診断で引っかかりやすい項目とは?

50代は加齢による身体機能の変化や、長年の生活習慣の影響が顕在化してくる時期です。健康診断では、特に生活習慣病に関連する検査項目で所見が出やすい傾向が見られます。
健康診断で引っかかりやすい主な項目
厚生労働省の「定期健康診断結果報告」によると、2023年に健康診断を受けた人の中で最も所見が多かったのは血中脂質でした。次いで、血圧、肝機能検査、血糖検査、心電図の順に多くなっています。具体的な有所見率は、以下の通りです。
項目 | 有所見率 |
---|---|
血中脂質 | 31.2% |
血圧 | 18.3% |
肝機能検査 | 15.9% |
血糖検査 | 13.1% |
心電図 | 10.7% |
50代男性:がん、心臓疾患、脳血管疾患が急増
50代男性は40代と比べ、がんや心臓疾患、脳血管疾患などの重大な病気にかかるリスクが特に高まる時期です。
がんについては、大腸がん、肺がん、胃がんの発症リスクが上昇し、これらは50代から急増する傾向が見られるため、定期的な検診による早期発見が重要となります。
心臓疾患に関しては、高血圧や動脈硬化などに起因する虚血性心疾患のリスクが高まります。特に仕事のストレスや不規則な生活習慣が続いている方は、より一層の注意が必要です。
また、脳梗塞や脳出血といった脳血管疾患のリスクも上昇してきます。これらの疾患を予防するため、血圧、コレステロール値、血糖値などを定期的に検査することが大切です。
50代女性:更年期を境に注意したい項目が増える
50代女性は閉経に伴うエストロゲン減少により、さまざまな身体変化が生じやすい時期を迎えます。特に内臓脂肪の蓄積が顕著となり、腹部への脂肪蓄積が進みやすくなることで、メタボリックシンドロームのリスクが高まります。
また、血管の収縮を抑制する働きをもつエストロゲンの減少により、血圧が上昇しやすくなるのも特徴です。さらには、骨密度の低下による骨粗しょう症のリスクが増加し、脂質代謝にも変化が生じることでコレステロール値が上昇しやすくなります。
50代は病気のリスクが高まる!受診しておきたい検査を解説

50代はさまざまな病気のリスクが高まる年代であるため、定期的な健康診断や人間ドックを通じて、健康状態を確認しておきましょう。ここでは、50代の人におすすめする検査について解説します。
50代男性におすすめしたい検査
ここでは50代男性に多い病気のリスクから、おすすめしたい検査を解説します。
脳ドック
MRIやMRAを組み合わせた脳ドック検査では、脳の状態を詳細に把握でき、症状が現れる前の段階で異常を発見することが可能です。この検査により、脳梗塞や脳出血の前触れとなる血管の異常や、未破裂脳動脈瘤、脳腫瘍などを早期に発見し、適切な予防・治療につなげられます。特に50代男性は脳血管疾患のリスクが高まるため、2~3年に1回の定期的な受診がおすすめです。
心エコー・頸動脈エコー
心エコー検査では、超音波を用いて心臓の筋肉や弁の動き、収縮力などを詳細に観察できます。また頸動脈エコー検査により、頸部血管の状態を調べることで動脈硬化の進行度を評価できます。
これらの検査は、自覚症状が出にくい心臓病や動脈硬化を早期に発見する上で効果的です。特に喫煙歴のある方や、高血圧・脂質異常症の方には、定期的な検査をおすすめしています。
PSA検査・前立腺MRI
前立腺がんは50代から徐々にリスクが高まり始める代表的な疾患です。血液検査であるPSA検査で前立腺がんの腫瘍マーカーを調べ、必要に応じてMRI検査で前立腺の詳しい状態を確認します。前立腺がんは早期発見により予後が大きく改善する疾患のため、特に家族歴のある方は積極的な検査をおすすめします。
50代女性におすすめしたい検査
ここからは50代女性におすすめしたい検査を紹介します。
骨密度検査
女性の骨密度は50代前後から急激に低下し始めます。これは閉経に伴う女性ホルモンの減少が主な原因です。
骨密度検査では、X線やCTを用いて骨の密度を測定し、骨粗しょう症のリスクを評価します。検査結果に基づいて、運動や食事の指導、必要に応じて薬物療法を開始することで、骨折予防につながります。
脳ドック・心エコー・頸動脈エコー
50代女性も男性同様に、脳血管疾患や心疾患のリスクが高まります。特に更年期以降は女性ホルモンの減少により、血管の状態が変化しやすくなります。
定期的に脳ドックや心エコー検査を受けることで、重大な疾患を予防できます。また、頸動脈エコー検査で動脈硬化の進行度をチェックすることも有効です。
胃カメラ・大腸検査・腹部CT
消化器系のがんは50代から発症リスクが高まるため、複数の検査による総合的な評価が重要です。
胃カメラ検査では、胃粘膜の状態を詳細に観察することで、早期がんやがん化する前の粘膜変化を発見できます。大腸検査では、ポリープや早期がんの有無を確認し、また腹部CT検査により、肝臓、膵臓などの腹部臓器の状態を包括的に評価することが可能です。
50代を安心して過ごすために!自分でできる対策とは

健康診断の結果を活かし、日々の生活の中で実践できる対策に取り組むことで、健康的な50代を過ごせる可能性が高くなります。ここでは、具体的な対策方法について解説していきます。
生活習慣を整える
50代からの健康を維持するためには、日々の生活習慣の改善が重要です。適度な運動習慣を身につけることで、肥満予防や心肺機能の維持、筋力低下の予防につながります。ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動から始めることをおすすめします。
食事面では、塩分や糖分の過剰摂取を控え、バランスの良い食事を心がけましょう。特に野菜を十分に摂取し、適切な食事時間を守ることが大切です。また、十分な睡眠時間を確保し、ストレス解消法を持つことで、心身の健康維持につながります。
再検査・精密検査はしっかり受ける
健康診断で所見が認められた場合、再検査や精密検査を必ず受診することが大切です。早期発見・早期治療により、より多くの治療選択肢が得られるだけでなく、治療費の負担を抑えることにもつながります。また、疾患の重症化を防ぐことで、将来的な生活の質(QOL)を維持することが可能です。
自覚症状の有無にかかわらず、年1回の健康診断は欠かさず受診することをおすすめします。さらに、年齢や性別に応じた人間ドックの受診も有効な選択肢です。こうした定期的な健康管理への投資が、将来の健康を守る重要な基盤となります。
万が一の事態に備える
50代は生活習慣病をはじめとするさまざまな疾患のリスクが高まる時期であり、健康管理と併せて経済的な備えも重要です。医療保険の補償内容を確認し、必要に応じて見直すことをおすすめします。また、将来必要となる可能性のある医療費を試算し、計画的な資産形成を検討することも大切です。
特に一人暮らしの方は、緊急時の対応について事前に準備しておくことも欠かせません。医療費の確保に加え、入院時の身元保証人の選定など、もしもの場合に備えた具体的な対策を講じておきましょう。
おひとりさまの急な入院に備える「ひとりのミカタ」

健康診断で思わぬ結果が出て、急な入院が必要になった場合、身元保証人の確保は大きな課題となります。特にひとり暮らしの方にとって、この問題は深刻です。そんな不安を解消するサービスとして、セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が提供する「ひとりのミカタ」があります。
「ひとりのミカタ」は、おひとりさまの「いつも」と「もしも」をトータルでサポートする総合支援サービスです。提携する専門士業事務所には、弁護士、司法書士、税理士などの資格保有者が在籍しており、専門的な知識が必要な場面でも万全のサポート体制を整えています。
特に65歳未満の方限定の「エントリープラン」は、入会金や年会費の負担を抑えつつ、1回の入院につき33,000円(税込)を支払うことで入院時の身元保証サービスを受けられるプランです。
さらに、自宅や実家の家財整理の相談や、相続・葬儀・お墓についての無料相談も利用できます。ハウスクリーニングなどの暮らしのサービスも、会員特別優待価格で利用できるため、日常生活のサポートも充実しています。
健康診断の結果に不安を感じている方や、もしもの時の身元保証に備えたい方は、まず「ひとりのミカタ」の無料資料請求から始めてみてはいかがでしょうか。将来への漠然とした不安を解消し、安心して暮らすための強い味方となってくれるはずです。


おわりに
50代はさまざまな病気のリスクが高まる時期であるため、定期的な健康診断はもとより、年齢や性別に応じた各種検査の受診も重要となります。また、検査結果を踏まえた生活習慣の見直しや、将来の医療費に備えた経済的な準備も必要です。
健康管理は一朝一夕にはいきません。しかし、本記事でご紹介した対策を着実に実践することで、より健やかな50代を送ることができるでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。