入院時の連帯保証人。突然の入院で困った経験はありませんか?高齢化が進む現代では、身寄りがない方や、遠方に住む家族しかいない方が増えています。そのため、「代筆で済ませよう」と考える方もいるかもしれません。しかし、それは思わぬトラブルを招く可能性があります。
本記事では、入院時の連帯保証人について正しい知識を解説し、保証人が見つからない場合の対処法や身元保証サービスなど、具体的な解決策をご紹介します。
- 入院時の連帯保証人は、費用の支払い保証や治療説明の理解、緊急時の対応など、重要な役割を担っている
- 保証人の無断代筆は私文書偽造罪に問われる可能性があり、人間関係のトラブルにも発展する危険性がある
- 保証人が見つからない場合は、病院への相談や身元保証サービスの利用など、複数の選択肢から最適な解決策を選択可能
- 身元保証サービスは、サービス内容や料金設定、担当者の対応など、複数の観点から慎重に選択することが大切


入院時・手術時に連帯保証人・身元保証人が必要な理由とは?

入院時には、連帯保証人と身元保証人という2つの重要な役割が必要となります。連帯保証人は主に入院費用の支払いに関する保証を担い、身元保証人は入院中のさまざまな手続きや患者のサポートを行います。
これらの保証人には、成年で独立した生計を営む別世帯の方がなることができます。では、なぜ病院はこれらの保証人を必要としているのでしょうか。具体的な理由を4つご説明します。
入院費用の支払い保証のため
病院が連帯保証人を求める最も大きな理由は、入院費用の支払い保証です。患者本人が入院費用を支払えない事態が発生した場合、連帯保証人がその支払い義務を負うことになります。
病院の経営を安定させ、質の高い医療サービスを継続して提供するためには、確実な費用回収の仕組みが必要不可欠なのです。
治療や経過の説明をするため
身元保証人には、患者とともに治療説明を受け、治療方針への理解を深める役割があります。特に高齢の患者や重篤な状態の患者の場合、医療従事者からの説明を正確に理解し、適切な判断をするためのサポートが必要です。
また、患者本人の不安や心配を軽減する上でも、身元保証人の存在は重要な意味を持ちます。
保険の手続きや日用品を用意するため
入院時には保険手続きや必要な日用品の準備など、さまざまな手続きや準備が必要です。患者が病気やケガにより自分で対応できない場合、身元保証人がこれらを代行します。
入院生活に必要な身の回りの品の準備や、保険関係の事務手続きなど、実務的なサポートを行うことで、患者が安心して治療に専念できる環境を整えます。
緊急連絡先を確保するため
入院中は予期せぬ容態の変化が起こる可能性があります。そのような緊急時に、病院が迅速に連絡を取れる相手として身元保証人の存在が必要です。
特に患者本人と意思疎通が困難な状況になった場合、治療方針の相談や重要な判断を身元保証人と行うことになります。また、万が一の場合には、遺体や遺品の引き取りなども身元保証人の重要な役割となります。
入院時の身元保証人・連帯保証人を代筆したときに考えられるリスク

入院の際に身元保証人や連帯保証人が見つからず、「誰かの名前を書いてしまおう」と考える方もいるかもしれません。しかし、保証人の代筆には重大なリスクが伴います。
特に相手に無断で行う代筆は、法的な問題に発展する可能性もあり、大変危険です。ここでは、保証人の代筆によって生じる具体的なリスクについて解説します。
罪に問われる可能性がある
保証人の署名を本人の同意なく代筆した場合、私文書偽造罪に問われる可能性があります。特に印鑑が押印された文書の偽造は、有印私文書偽造罪として3月以上5年以下の懲役に処せられる重大な犯罪となります。
家族や親族による代筆であっても、本人の同意がない場合は違法行為となり、刑事罰の対象となることがあります。
トラブルから疎遠になる可能性がある
保証人に無断で名前を書いてしまうと、後日発覚した際に重大な人間関係のトラブルに発展する可能性があります。特に入院費用の支払いや緊急時の対応など、保証人には重要な責任が伴います。
相手に相談せずに一方的に保証人として記載してしまうことは、その人との関係性を大きく損なう原因となりかねません。保証人を依頼する際は、必ず事前に役割と責任を説明し、相手の同意を得た上で本人に記載してもらうことが重要です。
入院の身元保証人・連帯保証人がいない場合はどうする?

入院時の連帯保証人は、入院費用の支払いを保証する重要な役割があるため、通常は家族や親族に依頼することが一般的です。
しかし、身寄りがない方や、遠方に住む家族しかいない場合など、さまざまな理由で保証人を頼めないケースもあります。このような状況でも、実は複数の対処方法が存在します。
それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。
友人・知人に依頼する
親族以外でも、信頼できる友人や知人に保証人を依頼することは可能です。身近な人であれば、緊急時に迅速に対応してもらいやすく、コミュニケーションも取りやすいというメリットがあります。
ただし、入院費用の支払いやさまざまな手続きなど、保証人には大きな責任が伴います。友人関係が良好でも、金銭的な問題が発生した際にトラブルになるリスクがあり、長年の友情が壊れる可能性も考えられます。依頼する際は、保証人の役割と責任を明確に説明し、慎重に判断することが重要です。
病院に相談する
医師法第19条により、病院は正当な理由なく患者の受け入れを拒否できません。そのため、保証人が見つからない場合は、まず病院に相談することをおすすめします。
病院によっては、入院保証金を預かる形や、クレジットカードでの支払いに対応するなど、保証人なしでも入院できる代替手段を提案してくれる場合があります。
ただし、必ずしも満足できる解決策が見つかるとは限らず、病院の規定によっては対応が難しい場合もありますので、早めの相談が賢明です。
身元保証サービスを利用する
近年注目を集めているのが、専門の事業者による身元保証サービスです。このサービスを利用すれば、親族や知人に負担をかけることなく、入院時のサポートや専門家による各種手続きの代行など、手厚いサービスを受けることができます。
費用は発生しますが、入院時の身元保証に加えて、日常生活のサポートや万が一の際の死後事務まで、幅広いサービスを提供する事業者も増えています。自分のニーズや予算に合わせて、最適なサービスを選択することが可能です。
身元保証サービスはこんな人におすすめ

身元保証サービスとは、入院や施設入所時に必要となる身元保証人の役割を、専門の事業者が代行してくれるサービスのこと。
ここでは、どのような方に身元保証サービスが適しているのかをご紹介します。
頼れる親族がいない人
配偶者との死別や未婚などの理由で、身近に頼れる親族がいない方にとって、身元保証サービスは心強い味方となります。
特に子どもがおらず配偶者にも先立たれた方の場合、突然の入院時に身元保証人を探すのは大きな不安要素となります。身元保証サービスを利用することで、いざという時の保証人の問題を事前に解決できるため、安心して生活を送ることができます。
親族に迷惑をかけたくない人
遠方に住む親族や、長年会っていない親族に対して、突然の連絡や依頼をすることに抵抗を感じる方も多いものです。「いざという時は私たちが何とかしなければ」と、遠縁の親族に常に気を遣わせてしまうことも心苦しいものです。
身元保証サービスを利用すれば、親族に負担をかけることなく必要なサポートを受けられます。また、自身の終活の準備ができていることを親族に伝えることで、相手の不安も軽減できるでしょう。
ひとりの生活に不安がある人
身元保証サービスの中には、入院時の保証だけでなく、日常生活のサポートも含まれているプランがあります。買い物の手伝いや相談相手、定期的な安否確認など、一人暮らしの不安を解消するためのサービスを提供している事業者も増えています。
また、入院時の各種手続きや、退院後の生活支援まで、きめ細かなサポートを受けることができます。一人暮らしに漠然とした不安を感じている方は、日常生活支援付きの身元保証サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
自分に合った身元保証サービスを選ぶ際のチェックポイント

身元保証サービスは、事業者によってサービス内容や料金体系が大きく異なります。また、一度契約すると長期的な関係となるため、慎重に選ぶ必要があります。
ここでは、自分に最適な身元保証サービスを選ぶための重要なチェックポイントをご紹介します。
サービス内容がニーズと合っているか
身元保証サービスの内容は事業者によってさまざまです。単に入院時の保証人になるだけでなく、緊急時の病院への駆けつけ、入退院の手続き代行、入院中の必要品の購入代行など、サービスの範囲は多岐にわたります。
また、サービスの利用方法も、包括的なプランから必要な時だけ依頼できるタイプまでさまざまです。自分がどのようなサポートを必要としているのか、事前によく考えた上で、ニーズに合ったサービス内容を提供している事業者を選びましょう。
料金設定は適切か
身元保証サービスの料金は、入会金、年会費、月額料金、サービス利用料など、複数の要素で構成されています。特に入会時の初期費用は高額になる場合もあるため、支払い能力を考慮した選択が重要です。
また、同じようなサービス内容でも事業者によって料金設定は大きく異なります。複数の事業者の料金プランを比較検討し、長期的な視点で自分に合った料金設定を選びましょう。
担当者が適切に対応してくれるか
身元保証サービスでは、担当者との信頼関係が非常に重要です。サービスの説明時に、こちらの状況や要望をしっかりと聞いてくれるか、分かりやすい説明ができるか、適切な提案をしてくれるかなどをチェックしましょう。
また、無料の相談サービスがあれば、契約前に担当者の対応を確認することができます。将来的な不安や疑問点についても気軽に相談できる関係性を築けるかどうかは、重要な選択のポイントとなります。
会員限定のサービスがあるか
多くの身元保証サービス事業者では、会員向けの特典やオプションサービスを用意しています。例えば、ハウスクリーニングや家財整理などの生活関連サービスの割引、終活に関する無料相談、定期的な健康相談サービスなどです。
これらの付加的なサービスは必須ではありませんが、日常生活での困りごとを解決する手段として活用できます。自分のライフスタイルに合わせて、会員特典も考慮に入れた選択をすることをお勧めします。
おひとりさまの入院におすすめ!身元保証サービス「ひとりのミカタ」

おひとりさまにとって、入院時や施設入居時の身元保証人の確保は、大きな課題です。
セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が提供する「ひとりのミカタ」は、入院時の身元保証から日常生活のサポートまで、おひとりさまを総合的に支援するサービスです。専門家と連携し、安心のサポート体制を整えています。
65歳未満の方を対象とした「エントリープラン」は、入会金や年会費の負担を抑えつつ、必要な時に必要なサービスを選んで利用できる手軽なプランです。入院時の身元保証や終活の無料相談、くらしのサポートサービスの優待割引など、豊富なサービスが揃っています。
将来の不安を軽減し、より充実した生活を送るために、「ひとりのミカタ」のサポートを活用してみてはいかがでしょうか。


おわりに
入院時に連帯保証人が必要な状況で、頼れる人がいない場合には、専門の身元保証サービスを活用することが有効です。このようなサービスを利用することで、親族や知人への負担を軽減し、自身の安心感を高めることが可能です。
また、サービスを選ぶ際には、自分のニーズに合った内容や信頼できる担当者がいるかを確認することが重要です。適切な選択を行うことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して治療に専念できる環境を整えることができるでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。