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端午の節句とは?端午の節句の由来や食べるものなどについて紹介

こどもの日
セゾンのくらし大研究 編集部

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毎年5月5日は端午の節句ですが、どのような意味があるのか、なぜ男の子の節句なのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。よく知らなければ初節句のお祝いや親族が集まって食事をするとなった場合、どうしていいか迷ってしまうかもしれません。

端午の節句について詳しく知ることで、日本の伝統行事を子どもたちに正しく伝えられ、家族みんなにとって、より楽しい思い出となるイベントになるはずでしょう。このコラムでは端午の節句の意味ややること、どんな食べ物を食べるのかなど詳しく解説します。

1.端午の節句とは

端午の節句にはどのような意味があるのか、なぜ端午の節句と言われているのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。端午と節句のそれぞれの意味についてや、なぜ菖蒲が有名なのかなど、詳しく解説します。

1-1.端午の意味

端午の節句とは五節句のうちの1つです。端午の端という字には「はじめ・最初」という意味があり、旧暦で午の月は5月のことで、5月最初の午の日が端午の節句です。

本来であれば5月最初の午の日が端午の節句ですが、端午の午(ご)が五(ご)の音と同じであるため、奈良時代以降に5月5日が端午の節句といわれるようになりました。

1-2.節句の意味

端午の節句の「節句」とは季節の節目となる日のことをいいます。奈良時代に中国から伝わってきた「陰陽五行説」が由来になり、日本に定着したといわれています。

中国から伝わってきた当初は多くの行事がありましたが、徐々に減少し、江戸時代に特に重要な「五節句」が制定され、現代にも残っています。制定された当初は全てが祝日でしたが、現在祝日となっているのは5月5日の端午の節句である「こどもの日」のみです。

日にち

漢名

和名

節句料理

17

人日

七草の節句

七草粥

33

上巳

桃の節句・雛祭り

菱餅、白酒

55

端午

菖蒲の節句

菖蒲酒、菖蒲湯、柏餅、ちまき

77

七夕

笹の節句・七夕

素麺

99

重陽

菊の節句

菊を浮かべた酒

1-3.なぜ菖蒲(しょうぶ)が有名?

端午の節句は、菖蒲をさまざまな形で用いるため「菖蒲の節句」とも呼ばれるほどです。旧暦の5月は、春から夏への季節の変わり目で雨季に当たります。この時期になると病気や厄災が増えることから、邪気を払うために菖蒲を使用したといわれています。

強い香りを持つ菖蒲は邪気払いに最適と考えられ、菖蒲湯に入るだけでなく、以前はお酒に浸して飲む習慣もありました。

端午の節句に菖蒲を使うことが日本に伝わって以降、平安時代には菖蒲を身に付けたり、丸くしたものを飾ったりしていました。武家社会である鎌倉時代から江戸時代になると菖蒲が刀の形に似ていることから飾ったり、「勝負」や「尚武」とかけられ、男の子の厄除けや立身出世を願う習慣ができました。

現在では端午の節句には菖蒲湯に入る習慣が残り、厄除けやリラックス効果が期待されています。

2.端午の節句が男の子の節句とされる理由

こいのぼり

端午の節句が男の子の節句とされるようになったのは、江戸時代ごろからです。5月5日は徳川幕府にとって重要な日と定められ、大名や旗本が江戸城へ行き、将軍にお祝いを奉じていました。また、将軍に男の子が産まれると、玄関前に馬印や旗を立ててお祝いしていました。

そして、武家社会を重んじるようになり、菖蒲という言葉が「勝負」や「尚武」とかけられることから、徐々に男の子の節句として祝う日に変わっていったようです。

始めは武士たちが玄関先に旗や吹き流しを立て、次第に紙で作った兜や人形、武者絵を飾るようになりました。やがてこれが町民にも浸透して、鯉のぼりが飾られるようになりました。

3.端午の節句にすること

端午の節句には鯉のぼりや五月人形を飾ったり、初節句を祝ったり、菖蒲湯に入ったりと、様々な行事が行われます。それぞれの由来や端午の節句に行う理由、どのような効果があるのか、詳しく解説します。子どもたちにも端午の節句について正しく知ってもらい、伝統行事を楽しくお祝いしましょう。

3-1.鯉のぼりをあげる

端午の節句に鯉のぼりをあげるようになったのは、中国の故事に由来しているといわれています。流れの激しい竜門の滝を登った鯉はやがて竜になり、天に登った伝説があるためです。

また、鯉は綺麗な川だけでなく沼や池でも生きていける強い生命力を持っているため、子どもにも強く逞しく生きて欲しいとの願いも込められています。

日本では江戸時代、武家社会の中で男の子が産まれると、家紋の入った旗を立てる習慣がありました。やがて、江戸時代の中期になると町人も経済力をつけてきて、武家に対抗して鯉のぼりを立てるようになりました。

鯉のぼりが立てられるようになった頃は黒色の真鯉1匹でしたが、昭和頃から青や緑などの子鯉も飾るようになってきました。家庭によっては子どもが増えるたびに鯉を足していく方もいます。

最近は住宅事情から屋根より高い鯉のぼりを見ることは少なくなってきましたが、ベランダに飾ったり、室内にもマッチするコンパクトな物を飾ったりする家庭が増えてきています。

3-2.五月人形を飾る

端午の節句には五月人形を飾りますが、子どもを病気や事故から守ってくれるように、力強く成長してくれるようになどといった願いが込められています。

端午の節句は旧暦であれば梅雨前の5月中旬に当たり、武家では梅雨の前に兜や鎧を飾り、風通しを良くして手入れをする習慣がありました。このような武家の習慣が五月人形を飾るきっかけとなったともいわれています。

五月人形を購入する時期は、3月3日のひな祭りが終わった頃がおすすめです。雛人形から五月人形に入れ替わり、種類や商品数が最も多くなるためです。以前は母方の祖父母が購入する習慣がありましたが、最近は両家の祖父母が折半したり、両親が購入したりする方が増えています。

五月人形を飾る時期は、3月20日の春分の日を過ぎたあたりから5月中旬ごろまでが目安です。湿気やサビに弱いため、飾る日や収納する日は天気の良い日が良いでしょう。

五月人形は、厄を身代わり願いを叶えてくれると言われているので、男の子の兄弟が2人以上いる場合はそれぞれに用意するのがベストです。しかし、スペースや費用の問題もあるため、2人目以降は共有しても良いですし、追加で購入する場合はコンパクトなものやリーズナブルな五月人形で充分でしょう。

3-3.初節句を祝う

初節句とは赤ちゃんが誕生して初めて迎える節句のことで、誕生を喜ぶと共に健やかな成長を願いお祝いする行事です。女の子は桃の節句の3月3日に、男の子は端午の節句の5月5日に行います。しかし、産まれて間もない場合は母子共に大変な時期のため、無理せず翌年の5月にお祝いしても特に問題ありません。

両家の家族を自宅に招いて食事会を開催してお祝いしたり、五月人形や鯉のぼりを飾ったりします。写真館へ行き、記念に残る1枚を撮影しても良いでしょう。

3-4.菖蒲湯(しょうぶゆ)に入る

端午の節句は別名「菖蒲の節句」といわれるほど菖蒲とは深い関係性があります。古代中国では端午の節句の時期は雨季を迎え、病気や厄災が増えるため、「忌み月」とされていました。菖蒲には強い香りがあり、邪気を払う効果があるとされていたため、菖蒲湯としてだけでなくお酒に浸して飲んだり、飾る習慣もありました。

菖蒲湯にはリラックス効果や血行促進効果もあります。端午の節句には家族で菖蒲湯に入って、子どもの健やかな成長と家族の健康を願いましょう。

4.端午の節句に食べる物

たけのこ

端午の節句にはちまきやタケノコ、柏餅など伝統的に食べられている料理や食材があります。それぞれなぜ食べられるようになってきたのか、どのような食べ方があるのか詳しく解説します。端午の節句ならではの料理を食べることで、さらに思い出に残る1日となるでしょう。

4-1.ちまき

ちまきを端午の節句に食べる習慣は中国の故事に由来します。中国の有名な詩人である屈原は、国王の側近として仕えていました。しかし、陰謀により国を追われてしまいます。その後悲観した屈原は、5月5日に川へ身を投じ命を絶ちました。

人々は屈原の死を悲しみ、供養のために5月5日に御供物を川に投じていましたが、屈原に届く前に悪い龍によって食べられてしまいます。そこで餅米を龍の嫌いな葉に包み、邪気を払う五色の糸で縛ることで無事屈原の元に届くようになりました。

このことから忠誠心の高い立派な大人になって欲しいとの願いを込めて、端午の節句にちまきが食べられるようになりました。また、ちまきを巻いている葉には邪気払いの意味があり、五色の糸は縁起の良い色とされています。

端午の節句にちまきを食べる風習は関西方面が中心ですが、これは奈良時代に中国から奈良に伝わり、関西や西日本一帯に広まった歴史があるためです。

4-2.タケノコ

端午の節句に食べられる食材にタケノコがあります。タケノコは竹のようにまっすぐすくすく大きくなって欲しいとの願いが込められています。また、端午の節句の時期に旬を迎えるため、より一層美味しく食べられるでしょう。

端午の節句におすすめの食べ方は、タケノコご飯やお吸い物、煮物などがあります。子どもが食べやすいようにタケノコ入り肉団子や春巻きもおすすめです。

4-3.柏餅

端午の節句に柏餅が食べられるようになったのは、江戸時代中期頃からです。柏の葉は冬になり枯れ葉となっても木から落ちず、新芽が芽吹く頃まで木に残ることから、神様に守られていると考えられてきました。このことから子孫繁栄や男の子が元気に育つことを願って食べられるようになりました。

また、端午の節句に柏餅を食べる習慣は関東が中心です。柏の木は西日本にはあまり生育していないことや、江戸の武家社会では後継を大事にする考えがあったためといわれています。

5.端午の節句以外の節句

桃の節句

節句といえば、端午の節句以外にも桃の節句がよく知られているのではないでしょうか。端午の節句以外にも現代の日本に伝わる節句には、人日の節句、上巳の節句、七夕の節句、重陽の節句の五節句があります。

それぞれの節句の意味やどのような行事をするのかなど詳しく解説します。

5-1.人日の節句

人日の節句とは1月7日の別名七草の節句ともいわれ、1年で最初に訪れる節句です。前年の厄を払い、新年の無病息災を願います。

当日の朝に春の七草であるナズナ、セリ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロを入れた七草粥を食べる習慣があり、お正月の祝い酒やご馳走で弱った胃を回復させるためともいわれています。

5-2.上巳の節句

上巳の節句とは3月3日のひな祭りのことです。旧暦の3月3日は桃の花が咲く時期であったことから、別名桃の節句ともいわれています。源氏物語の時代頃からすでに人々に浸透していたとも言われ、古くからの歴史がある行事です。

女の子がいる家庭では雛人形を飾り、節句料理にはひな餅、雛あられ、白酒(甘酒)などが用意されます。他にもちらし寿司やお吸い物を食べ、女の子の健やかな成長を願って盛大にお祝いされます。

5-3.七夕の節句

七夕の節句は7月7日で別名笹竹の節句、七夕祭りとも呼ばれる行事です。中国古来から伝わった牽牛星と織女星の伝説と日本古来の棚機女の伝説が合わさって七夕の日として定着しました。

天の神が笹竹を目印に降り立ったことから、短冊に願いを込めて、竹や笹の葉に結びつける習慣が広まっています。節句料理はそうめんで、平安時代にそうめんの原形とされている索餅を七夕の儀式でお供えしたことが始まりといわれています。

5-4.重陽の節句

重陽の節句は9月9日で別名菊の節句、栗の節句とも呼ばれている行事です。最も大きい陽の数字である「9」が重なることから重陽と呼ばれています。中国では菊の花には邪気払いや長寿の効能があることから、菊の被綿で体を清めたりお酒に菊の花を浮かべて飲んだりする風習があります。このことから日本でも不老長寿を願う日となっています。

節句料理は菊酒、ナス料理、栗ご飯です。最近はあまり馴染みのない節句ですが、以前は五節句を締めくくる大事な行事として大切に扱われていました。

おわりに

端午の節句は、5月5日に男の子の健やかな成長と幸福を願ってお祝いする行事です。男の子の節句とされるようになったのは、武家社会を重んじる江戸時代頃からです。

端午の節句には菖蒲湯に浸かり、鯉のぼりや五月人形を飾り、赤ちゃんが誕生してから初めて迎える節句には初節句のお祝いをする習慣があります。節句料理はちまきや柏餅、タケノコなどがあり、それぞれ古くからの由来や意味があります。どの習慣も男の子の幸せと健康を願うものばかりです。

端午の節句には昔からの伝統行事を大切にしながら、家族みんなで楽しくお祝いしましょう。

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