大勢の人でにぎわう観光地を避けて、人の少ない場所でゆったり楽しむ「はずし旅」。新型コロナウィルス感染症の流行が始まって以来、できるだけ密を避けようと、このような旅のスタイルがじわじわと増えてきています。
一年中人があふれ、一見「はずし旅」とは無縁に思える東京にも、実は「はずせる」スポットがあちらこちらに存在します。人混みから遠ざかった場所で、自分だけの楽しみ方にじっくり時間をかける。そんな「東京はずし旅」を始めてみませんか?
今回は、昨年閉幕した「東京2020オリンピック・パラリンピック」のメイン舞台となった「国立競技場」と、そんな競技場を眺めながら静かな一時を過ごせる「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」に足を運んでみました。
(アイキャッチ画像:三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア)
1.オリンピック・パラリンピックのメイン舞台「国立競技場」
都営大江戸線「国立競技場」駅から徒歩1分、JR総武線「千駄ヶ谷」「信濃町」駅からそれぞれ5分ほど歩くと見えてくる「国立競技場」。昨年8月〜9月にかけて開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開会式・閉会式が行われたメイン会場として、テレビでご覧になった方も多いのではないでしょうか?
遠くからでもよく目立つ、この特徴的な円形の競技場は、日本を代表する建築家・隈研吾(くまけんご)さんがデザインを手掛けたものです。どことなく懐かしさと「和」を感じさせる建物ですが、そのもっとも大きな理由の1つは、木をふんだんに使っていることでしょう。
ぐるりと競技場を取り囲む屋根と3層の軒庇(のきびさし)には、日本全国から取り寄せたスギ(沖縄県はスギが少ないためリュウキュウマツ)が使われています。それぞれ産地の方向に向けて(北側の庇には北海道や東北地方、南側の庇には沖縄・九州地方などの木材を使用)、運んできた木材を配置している点が、とてもユニークです。ぜひ現地でチェックしたいポイントです。
「神宮の杜と調和する」というコンセプト通り、木材を多く使った「国立競技場」は、スタジアムというよりは森の中の美術館のよう。ひたひたと全身に押し寄せてくるリラックス感に、きっと試合前の選手たちも大いに癒されたに違いありません。
2.オリンピック選手になった気分を体験できる「国立競技場スタジアムツアー」
そんなオリンピック・パラリンピックの現場を、実際に見学できる臨場感たっぷりのツアーが開催されています。その名も「国立競技場スタジアムツアー」です。
ツアーは、内容に合わせて次のような3種類に分かれます。(2022年8月時点)
- 国立競技場の様々な場所を巡る「国立競技場スタジアムツアー」
- 通常のツアーでは見学不可能な、VIP用の客席エリアやラウンジに入れる「VIPエリア&展望デッキツアー」
- 期間限定の「ナイトツアー」
今回は「国立競技場スタジアムツアー」で、選手のインタビューゾーンや、選手送迎のバスが乗り入れる駐車場、実際の試合が行われたトラックまで、約1時間かけて見学してみます。
ツアーは予約制のため、大勢の人で混雑する心配がないのもうれしいポイントです。実際現地を訪れた当日午前中の時間帯も、小学生たちの夏休みが始まっていた時期にもかかわらず、数組の親子連れや友人同士、1組の団体を見かけただけで、ゆったり回ることができました。
予約状況は日にもよりますが、少なくとも他の都心の観光スポットに比べると、密を回避できる穴場スポットではないでしょうか。それではさっそく、気になる場内を一緒に巡ってみましょう!
※ツアーの開催状況は、公式サイトにて詳細をご確認ください。
ツアー詳細
【国立競技場スタジアムツアー参加費】
- 大人 1,400円(税込)
- 高校生以下 800円(税込)
- ※未就学児は2名まで無料で同伴可。
【VIPエリア&展望デッキツアー参加費(オリジナルエコバッグの特典付き)】
- 大人 3,000円(税込)
- 高校生以下 1,500円(税込)
- ※未就学児もチケットの購入が必要。
すべてのツアーはこちらからお申込みできます。事前予約も可能です。ご希望の日時を選択し、購入します。当日空き枠がある場合は、国立競技場の外苑門側Eゲート前チケットカウンターにて当日券の発売もあります。
チケットには入場時間が書かれていますが、入場時間を守りさえすれば出場時間はいつ退室してもOKです。お子さま連れ、ご友人同士などゆっくり見学したい方にはうれしいですね。
2-1.オリンピック選手の意気込みが刻まれた「サインウォール」
まずは、エレベーターで地下2階の「サインウォール」へ。ここは、選手たちを乗せた大型バスが出入りした駐車場の一角にあります。コンクリートの壁を張り巡らせた、一見普通の駐車場に見えますが、よく見ると壁の一部に色とりどりのサインが見えます。
サインは、オリンピック・パラリンピックの陸上競技で戦った選手たちのもので、その数なんと約300もあります!名前や日付、大会への意気込み、感想などが個性豊かな文字になり散らばっています。
この一角は、競技出場前の選手が脱いだジャージや荷物などを運ぶエリアだったそうです。試合が終わり、安堵した選手たちが戻ってきたときに、思い思いの場所にサインを残しました。もちろん日本選手のサインもいくつかあり、知っている選手のサインを探すのが楽しくなります。
2-2.試合前の緊張感を体感!「フラッシュインタビューゾーン」
次に訪れたのが、1Fの「フラッシュインタビューゾーン」です。ここは、選手や監督にインタビューする際に使われた場所だけあって、テレビでよく見かけるような背景セットが置かれています。
セットの前には、スマートフォンを置いて撮影できる「撮影スタンド」が付いているので、セットが綺麗に入った状態での自撮りもバッチリ!インタビューを受けている選手のような気持ちが味わえます。
実際の表彰式で使われた「表彰台」です。土足でそのまま上ることができるので、ぜひ立ってみましょう。表彰台に立った選手たちの達成感や感動が、直接心に伝わってくるかのようです。
この「表彰台」で特筆すべきは、プラスチックを再利用して作っている点です。日本全国から収集した廃棄プラスチックと海洋性プラスチックを原料にして、この表彰台を含む98台を製作したとのこと。近年ますます意識が高まっているSDGsの実践は、2020大会でも見ることができます。
「フラッシュインタビューゾーン」は、取材を受けるスペースだけでなく、出場選手たちの待機場所でもありました。張りつめた空気の中で、選手たちはどのような思いで、出番を待っていたのでしょうか。
その内面をちょっとでも想像できるヒントが、この出口を抜けたところにありそうです。
2-3.いざ試合へ「トラック&フィールド」
ついに実際の競技が行われた、「トラック&フィールド」に到着です。「東京2020オリンピック・パラリンピック」では、この場所で陸上競技、サッカー(オリンピックのみ)の試合が開催されました。
綺麗に整備された競技用トラックが広々と続き、スタジアムの中央には緑の芝生が眩しくそよいでいます。
ツアーではこの「トラック&フィールド」を実際に歩くことも可能です。
一年前、この場所で世界トップレベルの選手たちがしのぎを削ったかと思うと、気持ちが引き締まりますね。目の前にまっすぐ続くトラックを、ひたすらベストを尽くして走り抜けた選手たち。テレビだけでは分からない、当日の緊張感が肌で感じられると同時に、不思議な爽快感が伝わってくるようです。
2-4.圧巻!展望エリアから一望する競技場
ツアー終盤は4階の「展望エリア」へ。
階上へのエレベーターに向かう途中も、富士山が支えるガードフェンスなどを見かけ、思わぬ「JAPAN」アピールにほっこり。
そしてついに、「展望エリア」に到着です。
5層から成る、国立競技場スタジアムの4階「展望エリア」がこちら。最上階は「空の杜」と呼ばれる外周エリアで、自由に散策できます。
ここからは、国内最大規模を誇るスタジアムの全体像が一望できます!中央の芝生を取り囲むように並んでいる、約68,000の観客席は、白や黄緑、グレー、深緑、濃茶などそれぞれ異なる5色で配置され、オープン当時はちょっとした話題にもなりましたね。
地面に近い側から濃い色を多く並べ、2階、3階と上がるにつれ黄緑、グレー、白など淡い色が増えてきています。これは、空から木漏れ日が注いでいるイメージを表現したとのことです。
こうして上から競技場を眺めると、自然との調和に挑んだ工夫があちこちに見えて、改めてこのスタジアムが持つ魅力を再発見したような気分になれます。
3.隣のお庭で絶品ランチをいただく!「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミアム」
約1時間の「国立競技場スタジアムツアー」を終えたら、そろそろおなかが空く時間。そこでぜひ訪れたいのが、国立競技場から徒歩1分の好立地に建つ、「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」内のイタリアンレストラン「RISTORANTE&BAR EVOLTA (リストランテ&バー エボルタ)」です。
2019年冬、国立競技場の竣工とほぼ同時にオープンしたこちらのホテルです。国立競技場に寄り添うかのような、「木」の素材をふんだんに使った外観がひときわ目を引きます。
そんなホテルの1階にある「RISTORANTE&BAR EVOLTA (リストランテ&バー エボルタ)」では、「和」を取り入れた、和洋折衷の斬新なメニューが味わえます。
さっそくホテルへ向かってみましょう!
※レストランは事前予約をしておくと、スムーズに入れておすすめです。
3-1.深くリラックス!緑の中のテラス席
窓からの明るい光が印象的なレストランの入り口です。テイクアウト専門のベーカリーを併設しており、ランチコースにもこちらのパンが登場します。もちもちふかふかで、自宅用におみやげとして買っていくのも楽しみです。
レストランの窓側には、緑豊かな庭が一面に広がります。テラス席も設けてあるので、季節によっては外でお食事をいただくのも気持ちがいいでしょう。
都心にいながら、まるで高原のペンションに来たかのようなリラックスした気分になれます。
3-2.食材の新鮮コラボにワクワク
ランチメニューは、いくつかのコースから選べますが、この日は「選べるメイン&パスタやデザート盛合せ&カフェ 全6品」(税込3,630円)を頂いてみることに。
前菜、パスタ、メイン料理、デザート、ドリンク。一体どんな食材との出合いが待っているのか、ワクワクします。
まず前菜で目を見張ったのは、「クインシーメロンのズッパ ポルト酒のゼリー」。メロンの果汁たっぷりの甘い冷静スープに、ポルト酒(甘いワイン)をゼリー状に固めたものを添えています。「甘い×甘い」になるかと覚悟したところ、ポルト酒が意外にも苦みのあることを発見!メロンの甘さと相性ピッタリでびっくりです。
他にも印象的だったのは、メインディッシュ「千葉県産かじきとパンチェッタのロースト 赤ワインソースオレンジの香り」です。かじきに巻いたベーコンがさっぱり塩味なのに対し、深い甘みのある赤ワインと玉ねぎのソースが塩味に絡み合って、なんとも絶妙な一品。いくらでも食べられそうです。
これ以外にも、椎茸の旨みとイチジクの甘みがほどよく溶け合ったラグーや、柔らかく煮込まれた豚のすね肉×白いんげん豆のさわやかな酸味の前菜など、旬な素材のコラボが次々登場します。その斬新な味わいはもちろん、繊細に盛り付けられた料理と、個性ある食器の美しさに、思わずうならずにはいられない時間でした。
ちなみに食後のデザートは、おかわり自由です。同店を訪れた際は、ぜひ忘れずに堪能してみてくださいね!
4.都内で唯一!「競技場ビュー」が叶う客室で過ごす
ちなみにこちらのホテルは、都内で唯一、客室の窓から国立競技場が見える部屋を備えています。「はずし旅」の最後は、国立競技場を真横に眺めながら、ゆったりくつろぐ宿泊がおすすめです。
同ホテルでは、全9タイプ362室のキャパシティがありますが、そのうち「競技場ビュー」が叶う客室タイプは、次の3種類です。
・ジュニアスイートツイン
・ジュニアスイートキング
・デラックスツイン
(三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア公式サイトより引用)
どのタイプの客室からも、国立競技場を眺めることができますので、ぜひ広さや向きを比較して、お好きな部屋に宿泊してみるのも楽しいですよ。
また、ホテルの屋上には、宿泊者のみが利用できる「屋上テラス」があります。緑や赤、青、黄、黒のカラーでそろえた快適なソファは、まさに宿泊した方だけが独占できる特等席です。
(三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア公式サイトより引用)
国立競技場を真下に眺めながら、のんびり暮れていく東京の街を見つめる。外苑の杜に抱かれた緑豊かなこのエリアなら、心身ともに思う存分リラックスできること間違いなしです。
おわりに
今回は「東京はずし旅」をテーマに、「国立競技場」と「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」についてご紹介しました。
2022年7月には、「東京2020オリンピック・パラリンピック1周年記念セレモニー」も行われ、ますます日本随一のスタジアムとして存在感を増している「国立競技場」。大会が閉幕して1年経った今も、選手たちが見せてくれた数々の名シーンを、忘れることができない方も多くいらっしゃるでしょう。オリンピック・パラリンピックの熱気を肌で感じたい方にぴったりの今回のプラン。ぜひ足を運んでみてくださいね。