こんにちは。イラストレーターのカワグチマサミです。
好きなものはゲーム、苦手なものは家事。9歳の息子と、夫と三人で暮らしています。
【カワグチ家親子三代物語】では、長い間、すれ違っていた親と向き合う話や、義理親との関係、私の息子と親とのエピソードなどを連載しています。
母が久しぶりに家を訪れました。
実は母は冬に脳梗塞になり、奇跡的に回復をしました。
しかし、コロナ禍もあり、他にもいろいろな事情が重なり、なかなか会うことができませんでした。
9歳になる息子のソウも、おばあちゃんが来てくれて嬉しそう。
だけど、母は会話をすることなく息子をただ見ているだけ…。
いつものことながら。
母は、なかなか人を褒めることができません。
こんなふうに…!
ちょっと大袈裟だったかもしれないけど、
これくらいしないと母には伝わらないと思って。
ほらお母さん!こんな感じでもう一度!
そんな想いを込めて母の方を見ると、、
くうぅ。
私は息子のソウを褒めて育てたいと思っています。
なぜなら、
私は親に褒められたことがほとんどなかったから。
母とは仲が悪かったわけではありません。
だけど…
頑張ったことを認めてもらえない。
それは小さい頃の私にとってはとても悲しいことでした。
だから、結婚して息子のソウが生まれたとき、
親に言われて嫌だったことは、絶対に言わないと強く決めました。
息子が夢中になることを一緒に喜んで、褒めてあげたい。
そして自信を持って、好きなことをして生きていける人生を歩んでほしい。
だから私は小さい頃、親にされて嫌だったことを、子どもには絶対に繰り返さない。
そう強く、強く、決意したというのに…
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息子を通して気づく。
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気まずい雰囲気になる中、母がボソリと答えました。
それはひとり言だったのかもしれません。
昔、母から昔、聞いたことがありました。
母の家族のこと。
祖母は優しい人だけど、朝から晩まで働いていたそう。
妹はのんびりやの母と違って、なんでもできる優秀な性格。
祖父はそんな母を許せない、厳しい人だったそう。
母方の祖母も、祖父も、叔母も、
私にとってはみんな優しくて、私を褒めてくれる人たち。
だけど、時代の価値観の影響もあって、母は褒められることが少なかったのかもしれない。
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私が親に褒められてないのに、人を褒めることができるのは、
「自分で自分を認めることができるようになったこと」だと思います。
小さい頃からのイラストレーターになることは、母は反対したし、父は興味がありませんでした。
だから私は両親がいる家を出て、壁にぶつかりながらも、たくさんの仲間に出会い、夢を叶えることができました。
今もイラストレーターとしての自信はないし、落ち込むこともあるけど、
これまで頑張ってきた自分を認めることができました。
自分を褒めることができたから、人を褒めることができるのだと思います。
私自身が、変わったから。
だけど、お母さんは?
ほんとに何も変わってない?
私が私の道を進んでいる間に、母も母の道を進んでいるはず。
そのスピードが早くなくても。
母も私が知らない、大変なこと、悲しいこと、嬉しいこと、いろんな経験と、それだけの時間が流れている。
私が小さいときの母のままではないはず。
それなら…
母の目を見て、はっきり伝えよう。
母には珍しく、張り上げた声でした。
その声の大きさに、母の覚悟を感じました。
あの頃のひねくれ者の私が報われました。
母は息子を褒めると決めても、そう簡単に人は変わりません。
最初はサポートしてあげないと…!
何度も息子を褒めるコールをしていると、母がまたボソリとつぶやきました。
ああ、それは……
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あ、なんか、小さい頃から言いたかったことを少し言えてスッキリしたかも。
それに…
この言葉は、母なりの私への褒め言葉なのかもしれない。
不器用だからわかりにくいけど。
小さい頃のいじけていた私も、少し満足したかな?
だいぶ遅くなったけど、一番褒めてほしかった人に褒めてもらえたよ。
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ー以前こんなことがありましたー
まだ母とぶつかりあっていた頃…
私は、母と話すたびにぶつかっていました。
息子は、私の感情を読み取るのがうまい。
嘘をついたら、バレてしまう。
正直に話そうと思いました。
息子のソウに言われて気づきました。
確かに…。昔と比べたら、まだお母さんもお父さんも少し変わったかも。
仲直りなんてまだ考えられないけど、息子の笑顔を見ていたら、いつか「普通に」話せる日くらいは、信じてもいいかもしれない。