葬儀、火葬、埋葬を行うときには、数多くの書類や手続きが必要になります。「火葬許可証」もその書類のうちのひとつです。
ここでは、以下について解説していきます。
- 火葬許可証とは何か
- 火葬許可証を申請する時の流れ
- 火葬場での動きについて
- 火葬許可証と関係する費用
- もし誤ってなくしてしまったら
この記事のまとめ
火葬をする際に、必要なのが「火葬許可証」です。火葬許可証がないと火葬を行うことができません。この火葬許可証は役所で発行してもらうことができますが、多くの場合、葬儀会社がこれを代行します。
一般的に火葬許可証は葬儀のときすぐに使うものですから紛失することはほぼありませんが、その後に手に入れる「埋葬許可証」は紛失してしまう可能性もあります。万が一なくしてしまった場合は、役所で再発行してもらえます。
火葬許可証とは一体何なのか
日本では、人が亡くなった際、火葬で見送ります。このときに必要となるのが、「火葬許可証」です。
この火葬許可証は、火葬を行うために絶対に必要になるものであり、これがないと火葬を行うことができません。また火葬を行わなくては埋葬することもできませんから、火葬許可証は葬儀、火葬、埋葬の過程の中で最も重要な書類だといえます。
なお、この火葬許可証は、埋葬を行うことを許可する「埋葬許可証」と一体です。火葬許可証を得る、火葬場で火葬をする、火葬場の職員によって火葬が終わったことを証明する押印が行われる、埋葬許可証として使えるようになる、という流れです。
発行場所
火葬許可証は、故人が亡くなったときに住んでいた市区町村の役所で発行してもらえます。このとき、故人の本籍地や現在の住所(※正確なもの)、火葬場の記入が必要です。
必要な書類がそろってさえいれば、発行は即時行われるでしょう。必要な書類について後ほどご説明します。
発行申請するタイミング
火葬許可証を発行するために必要な書類として、「死亡診断書(あるいは死体検案書)」があります。この死亡診断書(死体検案書)を受け取ったのち、「死亡届」に必要な項目を記載し、押印します。
そして役所に足を運び、「火葬(埋葬)許可申請書」を作りましょう。死亡診断書(死体検案書)と死体火葬(埋葬)許可申請書と死亡届を役所に提出すると、「火葬許可証」が発行されます。
この手続きを行うタイミングは、多くの場合、亡くなられた当日から遅くても2日以内には行われます。なお法律で、「死亡届は亡くなったことを知ってから7日以内に提出せよ」とされているため、遅くてもこのときまでには役所に提出する必要があるのです。
なお、「迅速に」としていても、日本では死後24時間を経過しない段階での火葬は認められていません。これは死亡の診断が難しかった時代の名残ともいわれていますが、このルールがあるため、実際に火葬を行えるのは死後翌日になってからです。
火葬許可証を申請する流れと必要となる書類
火葬許可証を申請するときに必要になる書類とタイミングについて述べてきましたが、ここからはより細かくこの書類の内容を見ていきましょう。
死亡診断書と死亡届
火葬許可証を発行してもらう際に必要になる書類として、死亡診断書(死体検案書)と死亡届があります。この2つは、似てはいますが違うものです。
死亡診断書(死体検案書)とは医師が発行するものであり、その方が確かに亡くなったことを証明するものです。なお死亡診断書の場合は病死などを対象としたもので、死体検案書は事故死や自殺、殺人など警察の調査が必要なものに出され、警察医が発行します。
対して死亡届とは医師が作成するものではなく、ご家族が記入する書類のことです。個人の名前や住所を記入し、押印も必要です。
ちなみに、死亡診断書(死体検案書)と死亡届は2つで1枚の書類にまとめられています。そのため、別々の書類で受け取ることはありません。
役所に死亡届を提出(7日以内)
死亡診断書(死体検案書)・死亡届は、できる限り速やかに行いましょう。提出期限は「該当者の死亡を知ってから7日以内」と決められています。この期限を過ぎてしまうと、罰則が与えられる可能性があるため注意しましょう。
平日の夜間や土日に提出する場合
なお、死亡診断書(死体検案書)・死亡届の提出は、24時間365日いつでも可能です。夜間や土日祝などで窓口が閉まっている場合は、提出のみで受付はしていない自治体もある点には注意しましょう。
ご自身で提出する場合は、事前に自治体に確認しておくと安心です。
「死体火葬・埋葬許可交付申請書」を記入し、申請する
死亡診断書(死体検案書)・死亡届と合わせて、火葬・埋葬許可の申請書(自治体によって「火葬許可申請書」「埋火葬許可申請書」など)の提出が求められることもあります。これは亡くなった方の本籍や住所氏名、性別などを記した書類です。
窓口で死亡診断書(死体検案書)・死亡届、そして死体火葬・埋葬許可交付申請書を提出し、問題がないと認められれば、火葬許可証が発行されます。
火葬許可証の申請は一般的に葬儀会社が代行してくれる
ここまで火葬許可証の申請の流れについて紹介してきましたが、これら手続きは、葬儀会社が代行してくれることが多いようです。特段の事情がある場合を除き、葬儀会社にお願いしても良いでしょう。
火葬許可証の提出先と火葬当日の流れ
ここまで、火葬許可証を手に入れるための手順を紹介してきました。それでは手に入れた火葬許可証はどのように使えば良いのでしょうか。解説します。
火葬当日に火葬場に提出
火葬許可証は、火葬を行う当日に火葬場に提出することになります。これがないと火葬を行うことができません。
ただ、葬儀会社に依頼している場合は、葬儀会社がこの火葬許可証を管理し火葬場に提出してくれます。そのため、紛失したり、持っていくことを忘れたり、提出し忘れたりということはまずないでしょう。
もしご自身で管理する場合は、ご自身で火葬場に提出する必要があります。
斎場での当日の流れについて
ここからは、実際に火葬を行う時の流れについて解説していきます。
火葬の前に納めの式を行う
火葬場に着いたら、火葬炉の前で最後のお別れを行います。この儀式は、納めの式(おさめのしき)と呼ばれることも。
故人の棺を前に、読経(仏教の場合。神道やキリスト教の場合は、それぞれの宗教に応じた対応が取られる)を行ったり、焼香を行ったり、故人と最後の言葉を交わしたりします。
これが、肉体を持っている故人との最後のお別れの場面です。ある程度時間が取られているので、悔いの残らないようにしっかりとお別れをしましょう。
炉に棺を入れて火葬する
納めの儀式が終わったら、棺を火葬炉に入れてスイッチを点火します。一部の地域・火葬場では喪主がスイッチを入れるとしていますが、現在は火葬場のスタッフが担当するのが一般的なやり方です。
火葬にかかる時間は、45分~3時間ほど。1~2時間ほどで終わるケースが多いといわれていますが、かかる時間は、故人の体格や棺に入れた副葬品で変わってきます。
火葬中は控え室で過ごし、一般葬の場合は、控え室には葬儀会社が用意したお菓子や飲み物が用意されていることが多いです。一部の地域では、一般的には収骨後に行われることの多い精進落としの食事が火葬中に行われることもあります。
火葬後にお骨拾いが行われる
火葬が終わったら、火葬場あるいは葬儀会社の職員が控え室にやってきて、火葬が終了した旨が案内されます。その後全員で収骨室に移動し収骨を行います。
収骨は、まずは火葬場の職員がご遺骨の説明を行うところから始まります。そして、故人と関係の深かった方から順番にご遺骨を骨壺に。一般的には「足元から入れていき、頭蓋骨で蓋をし、余ったご遺骨は火葬場で処分する」という方法が取られますが、このあたりは地域差があります。
火葬後は返却され埋葬許可証として利用する
遺骨を骨壺に納める収骨(骨上げ)が終わったら、火葬許可証には火葬執行済の印が押され遺骨を納めた骨壺と一緒に遺族に返されます。返却された書類は、埋葬許可証として使います。納骨のときに必要なので、大切に保管しておきましょう。
火葬許可証や火葬に関する費用は?
ここからは、火葬許可証に関する書類の費用について見ていきましょう。
死亡診断書
死亡診断書の発行手数料は、おおよそ3,000〜10,000円が目安だと考えられています。死亡診断書の交付に関しては病院ごとで値段はさまざまです。なお、死因の究明などが必要な死体検案書の場合は、30,000〜100,000円程度かかる場合もあるようです。
火葬場の費用
火葬場の費用は、葬儀費用に含まれているのが一般的ですが、解説します。
火葬場を利用する時にも費用が発生します。公営火葬場を使う場合の費用は、自治体によって異なりますが、20,000円を超えることはないでしょう。なお東京23区は例外的に民営火葬場が選択肢に入ってくるエリアで、この場合は50,000円程度がかかります。
埋葬許可証(押印済みの火葬許可証)再発行の場合
埋葬許可証は骨壺と一緒に保管すると、無くす可能性は低いでしょう。ただ、うっかりこれを無くしてしまった場合は、300~400円程度の再発行手数料がかかりますが、役所に行けば手続きをしてもらえます。詳細は後ほどご説明しましょう。
誤って火葬許可証を紛失した場合と再発行の手続き方法
火葬許可証は火葬を許可された証であるとともに、埋葬を許可された証でもあります。少し詳しく見ていきましょう。
火葬許可証と埋葬許可証の違いとは
死亡診断書(死亡検案書)と死亡届が一体になっているように、火葬許可証も埋葬許可証と一緒になっています。ただ、火葬許可証と埋葬許可証は、その性質が異なるものです。
火葬許可証は、あくまで火葬を許可された証です。そのため、火葬をする「前に」必要になります。対して埋葬許可証は、火葬が終わった「後の」ご遺骨を埋葬するために必要になるものです。
- 火葬許可証を火葬場に提出する
- 火葬を行う
- 火葬場の職員による押印が行われる
- 火葬許可証が、埋葬許可証として使えるようになる
こうした流れとなります。埋葬許可証がなければ、ご遺骨を納骨することはできません。ちなみに埋葬許可証は、埋葬場所が決まり埋葬をすることになったら、埋葬場所の運営者に出す必要があります。
再発行の手続きは役所で行う
押印前の火葬許可証は葬儀会社が管理しているものですから、これを無くす可能性は低いでしょう。火葬場の職員による押印を受けた埋葬許可証もまた、骨壺と一緒に骨壺袋の中に入れますから、紛失する可能性は極めて低いでしょう。
ただそれでもうっかり無くしてしまった場合は、役所で再発行してもらえます。
再発行の申請は、直系親族か祭祀継承者のみ可能
火葬許可証および埋葬許可証は、最初の発行の段階なら葬儀会社が代行可能ですが、再発行の申請を行う場合は、直系親族もしくは祭祀継承者でなければならないという決まりがあります。
再発行に必要なもの
再発行に必要なものは、以下のとおりです。ただ必要とされる書類は自治体ごとで異なるので、まずは自治体に確認してみましょう。
- 身分証明書(申請者のもの)
- 印鑑
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火葬率がほぼ100%の日本において、火葬許可証は最終的に多くの方が必要とする書類ですから、非常に身近なものです。
ただそれでも、ほとんどの方にとって、葬儀は非日常的なものであり、当然、火葬許可証もまたほとんど目にすることのないものでしょう。大切な方が亡くなって動揺しているときに、「火葬許可証を自分で取り寄せなければ」「死亡届を自分で出しに行かなければ」と動くことは、非常に大変です。
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おわりに
死亡診断書(死体検案書)と死亡届を出して手に入れる火葬許可証・埋葬許可証は、故人に安らかに眠ってもらうために必要不可欠なものです。
ただその申請作業の多くは葬儀会社に代行してもらえるため、不安に思いすぎる必要はないでしょう。