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住宅取得資金の非課税贈与とは?特例をうけるための要件と注意について

セゾンのくらし大研究 編集部

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住宅購入を考える子世代にとって、親からのサポートが得られれば、物件選びや住宅ローン負担に余裕ができるかもしれません。親世代にとっても、必要なときに必要なサポートをしてあげたいと思うものです。要件を満たせば贈与税がかからない「住宅取得資金の非課税特例」は、2023年末をもって終了の見通しです。

この記事では、住宅取得資金の非課税特例について、制度の概要とともに、活用するためのポイントをお伝えします。

この記事のまとめ

経済の活性化を目的とした「住宅取得資金の非課税特例」は、要件をみたせば、通常、資金の贈与において発生する贈与税が、省エネ住宅等の場合は1,000万円、それ以外の住宅の場合は500万円まで非課税になる特例です。必要なときに必要なサポートをしてあげたい親世代にとっても、住宅購入を考える子世代にとっても嬉しい制度なのですが、2023年末日をもって終了する見通しです。「住宅取得資金の非課税特例」を利用するためには、制度の概要、対象者や住宅要件、居住要件、申告期限の他、注意すべきポイントをきちんと把握する必要があります。そのうえで、計画的に住宅購入プランを実践していきましょう。

住宅取得資金の非課税贈与とは?

2009年に創設された「住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置」は、度々の改正を経て、2023年12月31日をもって終了の見込みです。

創設当初は、金融資産の多くを保有している高齢世代から、子育て世代への資産を移転により経済を活性化させることをめざした制度でしたが、現在では、「住宅取得者の初期負担の軽減を通じて、良質な住宅ストックの形成と居住水準の向上を図るため」と、環境に配慮した目的へと変遷しています。

同時に、制度利用者について言えば、相当に資産をもつ親世代から子世代への資産移転は、保有する財産の分割贈与を通じて税の負担なく相続対策をすることができ、結果として、相続税回避の手段として使われていること、また資産格差にも繋がることから、国として危機感があり、見直しの必要性の議論が続いていました。特例制度の終了には、こうした経緯があります。

参照:国土交通省|住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置 – 国土交通省

住宅取得資金の非課税贈与とは

住宅取得等資金の非課税贈与特例とは、父母や祖父母など直系尊属から、自宅の新築・取得・増改築のための資金の贈与を受けた場合に、要件を満たせば、その資金のうち一定の金額について贈与税が非課税となる制度です。

通常、贈与として受け取った金額が、1月1日から12月31日までの1年間で、基礎控除の110万円を超えた分に対しては、10~55%の税率で贈与税が課税されます。住宅取得等資金の非課税贈与の特例が適用されれば、最大1,000万円までが非課税となります。

非課税限度額

住宅取得等資金の非課税贈与特例は、2022年1月1日から2023年12月31日までに贈与が行われた場合、「質の高い住宅(省エネ住宅等)」の場合は1,000万円、それ以外の住宅の場合は500万円まで非課税となります。

ただし、すでに特例の適用を受けて非課税となった金額がある場合は、その金額を控除した残額が対象となります。

質の高い住宅(省エネ住宅棟)とは、以下のいずれかの基準に適合する住宅であり、住宅性能証明書などの書類により証明されるものをいいます。

  1. 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
  2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物の住宅
  3. 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上の住宅

主な要件

住宅取得等資金の非課税贈与の特例が適用されるための要件をそれぞれ確認してみましょう。

受贈者の要件

住宅取得等資金の非課税贈与特例の対象となる受贈者(贈与を受ける方)は、以下の要件をいずれも満たす必要があります。

  1. 贈与時に贈与者の直系卑属(子や孫)であること
  2. 贈与を受けた年の1月1日時点において、18歳以上(令和4年3月31以前の贈与は20歳以上)であること
  3. 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること(床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅取得の場合は、1,000万円以下)
  1. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて、住宅の新築・取得または増改築等をすること
  2. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、居住すること、または、遅滞なく(遅くとも翌年12月31日)、居住することが確実であると見込まれること
  3. 贈与税の申告で非課税の特例を受けていない など

住宅の要件

住宅取得等資金の非課税贈与特例の対象となる住宅の要件は、以下のとおりです。いずれも日本国内にある住宅が対象です。

新築または取得の場合

  1. 居住用であること
  2. 床面積が50㎡以上240㎡以下であること(合計所得金額が1,000万円以下の場合40㎡以上。東日本大震災の被災者には所得要件なし)
  3. 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  4. 取得した住宅が既存住宅の場合、以下のいずれかを満たすもの
    1)1982年1月1日以後に建築されたもの
    2)建築後使用されたことのあるもので、地震に対する安全性にかかる基準に適合するものととして
    ・耐震基準適合証明書
    ・建設住宅性能評価書の写し
    ・既存住宅売買瑕疵保険付保証明書 のいずれかにより証明されたもの

増改築等の場合

  1. 居住用であること
  2. 床面積が50㎡以上240㎡以下であること(合計所得金額が1,000万円以下の場合40㎡以上。東日本大震災の被災者には所得要件なし)
  3. 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  4. 一定の工事に該当していることが、書類(増改築登校時証明書など)により証明されること
  5. 工事費用が100万円以上であること など

参照:国土交通省|住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について

贈与の時期や申告の要件

住宅取得等資金の非課税贈与特例は、あくまでも特例です。本来であれば、贈与により受け取った金額に対して贈与税が発生するものが、要件を満たすことで特例が適用され、非課税になるというものです。つまり、贈与税の申告をしたうえで、特例対象であることを証明しなければなりません。

贈与から申告までの流れとしては、以下のとおりです。

  1. 贈与を受ける(居住開始前であること)
  2. 居住を開始する(贈与を受けた年の翌年3月15日まで、もしくは遅滞なく、入居の見込みがあること)
  3. 贈与税の確定申告をする(贈与を受けた日の翌年2月16日から3月15日の間まで)

住宅資金贈与の非課税制度を利用するときの注意

贈与を受けるタイミングに注意する

特例が2023年12月31日で終わることを踏まえると、早めに渡したい、受け取りたいという感覚になりますが、住宅の取得資金のための贈与という要件であるため、贈与された資金をいったん手元資金として保有し、あとから住宅ローンの返済に充てることはできません。

また、2023年中の資金贈与、2024年3月15日までに居住開始していることが要件であることから、土地購入後に自宅を新築する場合には、建物が完成して居住を開始するまでの期間を逆算で考える必要があります。

なお、国土交通省の情報では、「ただし書き」として、「遅滞なく、入居の見込みがあること」との記載がありますが、別途提出する書類が確実に認められるだけの効力が求められます。手間も不安材料にもなりますので、可能な限り、原則論で準備をすすめましょう。

贈与を受けるときは年末を避ける

贈与税が非課税となるため、ぜひ活用したい特例ですが、住宅購入は人生における大きなイベントです。

特例ありきでの「駆け込み贈与」は避けたいものです。物件購入から引き渡しまでの期間はある程度余裕をもって考えておく必要があります。2024年3月15日までに物件の引き渡しを受け、居住できるよう余裕ある住宅購入計画をおすすめします。

必要書類に漏れや不備がないよう注意する

特例を受けるための要件として、人や物件に注目しがちですが、2024年3月15日までに贈与税の確定申告をしなければならないことに注意が必要です。非課税になるとはいえ、国への税申告ですので1日でも遅れると、特例の適用はできません。

申告に当たっては、戸籍謄本、源泉徴収票、売買契約書の写し、登記事項証明書など必要書類を揃える必要があります。

特例を受けるには確定申告が必要

親からの住宅資金贈与を受けた場合でも、残額は住宅ローンの借入れにより住宅を取得するケースは多いでしょう。要件を満たした場合には、住宅ローン控除により所得税の負担が軽減されます。

住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度は確定申告をしなければなりません(会社員であれば、2年目以降はお勤め先での年末調整で可能)。住宅資金贈与の申告とともに、所得税の確定申告も忘れずに行いましょう。

住宅ローン控除の申告の際、住宅の取得価額は、物件の購入価額から住宅資金贈与額を差し引いた金額となりますので、注意が必要です。

その他に気をつけること

住宅取得資金贈与の特例は、2009年(平成21年)以降、非課税となる金額や適用要件を改正しつつ、延長されてきた制度です。そのため、WEB上では古い情報も混在し、いったいどの時点の情報なのか把握しづらくなっているのが現状です。

思い込みや思い違い、誤解のないよう、思わぬことで適用対象外とならぬよう気をつけたいものです。

土地だけを購入した場合

土地の購入だけでは、特例の対象外です。あくまでも、住宅取得資金の贈与ですので、贈与を受けた方は、贈与された資金で住宅を取得する必要があります。

夫の親から贈与により夫名義で土地を購入し、妻名義で建物を建てた場合、夫は特例を受けることはできず、贈与税を支払う必要があります。

贈与は合計額で算出される

贈与税は、「個人が贈与により財産を取得した時にかかる税金」であることから、複数の贈与者からの贈与であっても、あくまでも受贈者(受け取る方)が受け取った金額に対して贈与税が発生します。

父から1,000万円、母から1,000万円を住宅取得資金として受け取った方が、要件を満たした住宅を取得した場合、それぞれに1,000万円控除が適用され、計2,000万円が非課税になるわけではありません。

贈与を受けた2,000万円のうち、特例により1,000万円は非課税になりますが、超えた1,000万円に対しては、110万円の基礎控除を差し引いて、890万円に対して贈与税が発生します。

参考までに、贈与税額の計算は、890万円×30%-90万円=177万円(贈与税額)となります。

直系尊属からの贈与であるため、特例税率で計算

諸費用などは対象外

あくまでも、適用要件を満たした住宅を取得した場合の特例ですので、取得に伴う諸費用は含まれません。諸費用として親から贈与を受けた場合には、贈与をうけた金額から110万円の基礎控除を差し引いて金額に対して贈与税が発生します。

贈与契約書を作成しておく

基本的には、贈与はお互いの意思表示により成立する契約ですので、「あげるよ」「もらうよ」といった口頭でも有効です。ただし、当事者間だけでなく、他に兄弟がいる場合には、揉める火種になることもあり得ますので、後になってトラブルにならぬよう書面で残しておくことをおすすめします。

贈与契約書には、決まった形式はありませんが、作成する場合には、贈与日、金額、贈与者名、受贈者名を記載するようにしましょう。また、現金での手渡しでなく銀行振込を利用して受け渡しの記録を残しておくことも大切です。

おわりに

経済の活性化を目的に、これまで内容の改正や期限の延長を繰り返しながら継続してきた住宅取得資金贈与の非課税制度は、2023年をもって終了する見通しです。

税率が高いといわれる贈与税ですので、可能であるならば、利用したい住宅取得資金贈与の特例です。特例の適用をうけるためには、住宅の要件を確認した上で、贈与のタイミング、引き渡しのタイミングなどスケジュールを把握しておきたいものです。翌年の申告も忘れないようにしましょう。

特例を受けるための要件や申告などサポートが必要な場合は、専門家に相談してみることをおすすめします。「セゾンの相続 相続対策サポート」までお問い合わせください。

セゾンの相続 相続対策サポートの詳細はこちら

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