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遺言信託とは?メリット・デメリットを知ってトラブルを防ごう

遺言信託とは?メリット・デメリットを知ってトラブルを防ごう
セゾンのくらし大研究 編集部

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相続対策をする場合、「遺言信託」に関心がある方もいるのではないでしょうか。遺言信託は、金融機関で申し込みできるサービスで、遺言書の作成から遺言執行まで、金融機関がトータルにサポートを行います。

本記事では、遺言信託を検討中の方のために、遺言信託のメリットやデメリットについて解説します。相続で後悔しないために、遺言信託の注意しておくべき点を知っておきましょう。

この記事でわかること

遺言信託とは、信託銀行などの金融機関が遺言書作成の相談、遺言書の保管、遺言執行などをトータルにサポートしてくれるサービスです。相続トラブルを予防し、相続手続きを円滑に進められるメリットがあります。ただし、費用が高額になることや、相続手続きのすべてをカバーできないことなどは遺言信託のデメリットといえます。
遺言信託を依頼するときには、費用に対してメリットの方が大きいかを判断する必要があるでしょう。金融機関に勧誘されるまま安易に契約するのではなく、専門家などにも相談しながら検討するのがおすすめです。

相続対策サポート
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遺言信託とは

遺言信託とは

「遺言信託」とは、金融機関で提供されている相続に関するサービスのひとつです。遺言信託では、遺言書作成の相談、作成した遺言書の保管、相続開始後の遺言執行などをサポートしてもらえます。

遺言信託を利用すれば、普段取引している銀行に相続手続きについて相談できるので、安心感があります。遺言書を作成することによって相続人同士のトラブルも予防できるでしょう。専門的知識が必要な相続手続きも、円滑に進む効果が期待できます。

遺言信託を取り扱っているのは、主に信託銀行になります。信託銀行は、預金や貸付などの「銀行業務」、お金以外の財産の管理・運用などを行う「信託業務」、不動産の売買仲介や相続関連の手続きを支援する「併営業務」の3種類の業務を取り扱う銀行です。

家族信託との違い

遺言信託と混同されやすいものに、家族信託があります。

家族信託とは、財産の所有者としての実質的な権限は維持しながら、信頼できる家族に財産の管理・処分権限を与える手法です。相続対策にも利用できるため、近年注目されています。

家族信託は家族間で信託契約を結んで行うものです。家族信託を利用すれば、生前から預貯金や不動産の管理を家族に任せることもできます。

遺言信託は家族間の契約ではなく、金融機関と契約して行うものです。遺言信託は相続に備えて契約するもので、生前から財産の管理・処分を任せることはできません。

遺言信託の流れ

遺言信託の流れ

遺言信託は、遺言書を作成したうえで、金融機関と契約する必要があります。信託銀行に遺言信託を依頼する場合の流れをみてみましょう。

遺言作成時

①遺言者が事前に相談

遺言書を作成する前に、信託銀行に事前相談を行い、遺言書の内容を決めていきます。必要に応じて、信託銀行が提携する弁護士や税理士のアドバイスを受けることも可能です。

②遺言者が遺言公正証書を作成

遺言書は公証役場で「公正証書遺言」という形式にします。なお、遺言書では遺言執行者を指定でき、遺言信託では、信託銀行を遺言執行者に指定する必要があります。

なお、公正証書遺言作成の際には証人2名の立ち会いが必要ですが、希望により信託銀行で証人を用意してもらうことも可能です。

③遺言信託の申し込み

遺言書が完成したら、信託銀行に遺言信託を申し込み、契約を結びます。公正証書遺言の正本は信託銀行が預かり、相続開始時まで保管するのです。契約を結ぶ際には、遺言者が亡くなったときに信託銀行に連絡する「死亡通知人」も指定しておきます。

遺言執行時

①死亡通知人に指定された方が信託銀行に連絡

遺言者が亡くなったら、死亡通知人から信託銀行に連絡します。

②遺言書の披露・遺言執行者の就任

遺言書の内容を相続人・受遺者の前で公表し、遺言書で指定されたとおり、信託銀行が遺言執行者に就任します。

③遺産を調査して財産目録の作成

信託銀行が遺産の調査を行います。資産のほか負債についても調べ、財産目録を作成します。

④相続を受ける方が所得税・相続税を申告・納付手続き

亡くなった遺言者の所得税の申告(準確定申告)が必要な場合には相続開始から4ヵ月以内に、相続税の申告は相続開始から10ヵ月以内に行います。

⑤遺産分割

遺言書で指定されたとおり遺産を分け、預貯金の解約や不動産の名義変更を行います。

遺言信託にかかる費用

遺言信託にかかる費用

遺言信託でかかる費用の種類や金額は、金融機関によって異なります。一般には、以下のような名目の費用がかかります。

基本手数料

遺言信託を申し込んだ段階でかかる費用です。金額はプランによって異なり、300,000円~100万円程度になります。

遺言保管手数料

遺言を預かってもらう手数料で、年単位で払うのが一般的です。5,000円~10,000円程度になりますが、プランによっては無料になることもあります。

遺言執行報酬

遺言執行者に対する報酬で、遺言執行が完了した段階で支払います。金額の相場は遺産額の0.2%~2.0%です。

遺言変更手数料

遺言書の内容を変更することも可能ですが、変更手数料がかかります。変更手数料の相場は5万円~10万円程度です。

その他諸費用(司法書士手数料や証明書の取り寄せ費用など)

不動産の名義変更を行う場合には、登録免許税や司法書士手数料がかかります。戸籍謄本や固定資産評価証明書等の取り寄せ費用がかかることもあります。

遺言信託のメリット

遺言信託をするには、お金を払って信託銀行に依頼する必要があります。費用をかけて遺言信託を依頼するメリットとはいったいどんなことでしょうか?遺言信託のメリットをまとめてみます。

専門家に任せられて将来的な安心感がある

相続対策に遺言書が有効とはいえ、いざ遺言書を作ろうとしても、何をどのように書いて良いかわからないことは多いでしょう。遺言信託を依頼する場合、遺言書作成の事前相談ができます。経験豊富な専門家の力を借りながら、遺言書の内容を吟味できるのは大きなメリットです。

また、遺言信託を利用した場合、信託銀行に遺言書を預かってもらえます。相続開始までどれくらいの期間がかかるかはわからないので、個人の弁護士や税理士に預けるのは不安なこともあるでしょう。遺言書を法人である金融機関に預かってもらえる点も安心材料になります。

事前に備えておくことで「争族」が避けられる

遺言信託を利用すれば、信託銀行が遺言執行の手続きをしてくれます。相続人だけで手続きを進めようとすると、争いになってしまいがちです。第三者である信託銀行が関与することで、相続人同士のトラブルを予防しやすくなります。

遺言信託のデメリット

遺言信託のデメリット

遺言信託にはデメリットもないわけではありません。遺言信託で注意しておくべき点を説明します。

遺言執行報酬が高額になってしまう恐れがある

遺言信託のいちばんのデメリットは、かかる費用が高い点です。遺言信託の手数料に統一された基準はなく、金融機関によって費用体系は異なります。申し込み時や遺言執行時などそれぞれの段階で手数料がかかるため、トータルの費用が高くなってしまいがちです。

別途弁護士や税理士への依頼が必要になる場合も

信託銀行だけで手続きできず、別途専門家の関与が必要になることがあります。たとえば、すでに相続人同士で争いが起きている場合や紛争になるリスクが高い場合には、信託銀行では遺言執行をしてもらえません。紛争解決は弁護士に依頼する必要があります。

また、遺言書では身分に関する事柄も指定できますが、信託銀行で遺言執行を進められるのは財産に関することだけです。遺言書で子どもの認知や相続人の廃除をしたい場合にも、弁護士に相談しなければなりません。

相続では弁護士以外の専門家の関与が必要なケースも多くなっています。相続税申告は税理士の独占業務になるため、税理士へ依頼しなければなりません。遺言書にもとづいて不動産の名義変更を行う場合にも、ご自身でも手続きは可能ですが、司法書士に手続きしてもらうほうが安心です。。

信託銀行では、提携している専門家を紹介してもらえます。ただし、遺言信託の手数料には、専門家への依頼費用は含まれていません。別途専門家の関与が必要な場合には、費用負担が大きくなってしまいます。

遺言信託が必要な方

遺言信託が必要な方

遺言信託には、相続トラブルを防止し、相続手続きをスムーズに進められるという効果があります。一般社団法人信託協会の調査によると、国内の信託業務を営む金融機関で保管されている遺言書の件数は2022年9月時点で177,372件です。2012年には81,457件だったため、10年で約2倍に増えていることになります。

近年注目されている遺言信託ですが、誰でも利用がおすすめというものではありません。ここからは、遺言信託の必要性が高い方とはどんな方かを説明します。

お金だけではなく家や土地など分けにくい資産がある

遺言書がない相続では、相続人全員で遺産分割協議を行って遺産の分け方を決める必要があります。現金や預貯金などの金融資産は分けやすいですが、家や土地などの不動産は分けにくいでしょう。相続財産が不動産に偏っている場合には、遺産分割がスムーズに進まないことがあります。

遺言書を作成して遺言信託しておけば、遺言書に従って相続手続きが行われるため、遺産分割協議は必要ありません。分けにくい資産がある場合には、相続人の負担を減らせる効果が大きくなります。

家族関係は悪くないが関係性に距離がある

親族とはいえ、相続人間で物理的に距離があって会う頻度が少ないケースもあります。このような場合、相続を開始しても、手続きのために連絡を取りにくいでしょう。

遺言信託を利用すれば、相続人同士で連絡を取り合う機会を減らせるため、手続きがスムーズに進みます。なお、すでに相続人間でトラブルが起きている場合、遺言信託は依頼できないので注意しましょう。

遺言書の作成や手続きを専門家に任せたい

相続対策のために有効な遺言書を作成するには、専門的な知識が必要です。遺言信託を利用すれば、専門家に相談しながら遺言書を準備できます。

さらに、遺言信託では相続開始後の遺言執行も任せられるので、相続手続きの負担を軽減できます。遺言書作成や相続手続きを専門家に任せて安心したいという方には、遺言信託はおすすめです。

トラブルで注意喚起も?納得できる遺言信託をするには

トラブルで注意喚起も?納得できる遺言信託をするには

遺言信託には将来的な安心感を得られ相続トラブルを予防できるメリットがあります。利用者も増えていて注目度の高いサービスですが、遺言信託によるトラブルもないわけではありません。たとえば、遺言信託を利用した方からは、「費用が予想以上に高額になってしまった」「期待していたサービスが得られなかった」などの声もあがっています。

遺言信託を申し込んだら、解約するにも手数料がかかってしまいます。内容をよく確認し、納得してから契約するようにしましょう。ここからは、遺言信託を依頼するときの注意点を説明します。

サービス内容をしっかり理解してから契約しよう

遺言信託を申し込む前に、以下のような点を確認しておきましょう。

必要なサービスを得られるか

遺言信託では、相続に関する手続きをすべて任せられるわけではありません。信託銀行にはできない相続手続きもあります。相続の際にどんな手続きが必要になるかを調べ、遺言信託でカバーできるかを確認しましょう。

自分や家族にとってメリットがある提案なのか

信託銀行では遺言書の内容の事前相談に応じてくれます。しかし、信託銀行から提案された内容が必ずしも自分や家族にとってメリットがある内容とは限りません。「普段から取引している銀行だから」とよくわからないまま任せるのではなく、疑問に思った点は別途専門家に相談するなどして考えた方が良いでしょう。

サポートに費用が見合っているか

遺言信託では、トータルで100万円を超える費用がかかるのが一般的です。専門家に直接依頼した方が、低価格で充実したサポートが受けられる可能性もあります。払う金額に見合ったサポートが受けられるのかを判断しましょう。

トータルでかかる費用はどれくらいか

専門家の関与が必要なケースでは、信託銀行に払う費用以外に専門家の費用もかかります。かかる金額を計算するときには、専門家の費用も含めて考えましょう。

遺言信託をお考えの方は「セゾンの相続 相続対策サポート」へ

相続に備えて遺言信託を検討している方も多いのではないでしょうか?金融機関の遺言信託は費用も高額なため、契約して良いものか迷ってしまうことが多いでしょう。

相続手続きは、ただでさえ複雑で理解しにくいところもあるため、内容を十分に理解しないまま遺言信託を契約すると、後悔することになってしまいます。

遺言信託をお考えの方は、専門知識が豊富なプロに相談してみることをおすすめします。「セゾンの相続 相続対策サポート」は、相続に関するお悩みに幅広く対応するサービスです。相続対策に強いファイナンシャル・プランナーや司法書士と提携し、それぞれのご家庭に合ったプランをご提案します。無料相談も可能ですので、遺言信託に不安が残る方は、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

セゾンの相続 相続対策サポートの詳細はこちら

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おわりに 

遺言信託とは信託銀行などの金融機関に相談しながら、遺言書の作成や相続手続きを任せられるサービスです。遺言信託を利用すれば、相続についても、なじみのある金融機関に相談できるため、安心感は大きいでしょう。

ただし、遺言信託では相続手続きを何もかも任せられるわけではありません。遺言信託を依頼した場合でも、相続手続きの際に別途専門家の関与が必要になるケースも多くなっています。遺言信託は費用も高額になってしまうため、よく考えて納得してから契約するようにしましょう。

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