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斎場とはどのような場所?火葬場との違いや特徴についてご紹介

斎場とはどのような場所?火葬場との違いや特徴についてご紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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このコラムをお読みの方のなかには、ご自分やご家族の葬儀の際には寺院や教会といった宗教施設でなく、斎場を会場として選ぶことを考えていても「火葬場」とはどのような関係なのかよくわからないという方もいるでしょう。

このコラムでは、斎場の火葬場との関係やさまざまなサービス、そして斎場を選ぶ際に注意したいこと、主催あるいは参列者として斎場を利用する際の服装マナーなどについてご紹介します。

この記事を読んでわかること

「斎場」とは、お通夜及び葬儀・告別式を行う専用の施設です。斎場には公営と民営があり、日本にある多くの公営斎場は火葬場を併設しています。民営斎場は公営に比べ料金は高いですが、葬儀での多様なイベントにも対応できることが多いです。斎場は仏式その他の特定の宗教宗派での葬儀だけでなく、無宗教式にも対応できます。また、多くの斎場は遠方からの参列者が宿泊できる設備を備えていることも多いです。斎場選びでは、必要な設備・広さ・料金・アクセスなどに注意しましょう。斎場での主催者・参列者の服装マナーは、一般的な葬儀での服装マナーに準じます。

お葬式サポート
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斎場とは

斎場とは

斎場とは、通夜や葬儀式、告別式などの儀式を専門的に行うホールなどの場所です。

往時の日本では自宅や寺院を葬式会場として利用するのが一般的でしたが、1990年頃から葬儀専門斎場での葬儀が増え始め、今や専門の斎場といえば日本の葬儀で一般的な会場となった感があります。

なお、現在の日本で特定の宗教宗派に基づく葬儀を行う場合、仏式は寺院、キリスト教式は教会で行うことも多いです。

しかし、神式では死を穢れ(けがれ)として忌避する信仰のため神社では葬儀を行いません。そうした神式葬儀の場合も、この斎場が活躍します。

斎場の由来

斎場という呼び名の由来は諸説ありますが、それらの説のひとつには、「斎」は神道に由来する言葉で「いつき」とも読み(動詞化すると「斎く(いつく)」)、心身を清めて神に仕えることを意味するというものがあります。

西郷信綱によれば、この「いつく」は「まつる」と異なり「神と系譜的な関係にある者」が神に奉仕することを意味するとのことですが、葬儀では故人と系譜的な関係にある方が喪主になることが多いため、その意味でもこの語がふさわしいと考えられた可能性は無視できません。

火葬場との違い

日本語の検索サイトで「火葬場」という語で検索すると「○○斎場」「○○葬祭会館」やその他の名前を持つ葬儀専門会場についての情報が多く出てきます。

そのことから、斎場と火葬場は同じ意味なのかと思ってしまう方も多いでしょう。海外、特に必ずしも火葬が一般的ではない国の出身の方はなおさらです。

厳密には「斎場」と「火葬場」は別の施設。ではなぜ先述のような検索結果になってしまうかというと「火葬をする設備が整った場所」のことを火葬場といいますが、現在の日本では火葬率が100パーセントに近いため、ほとんどの公営斎場は火葬場を併設しているからというのが大きな理由です。

公営斎場と民営斎場はどう違う?

公営斎場と民営斎場はどう違う?

公営斎場の多くには火葬場が併設されているということに触れましたが、日本の斎場には公営・民営の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴や料金相場についてご紹介しましょう。

公営斎場

公営斎場は自治体が運営する斎場で「市営斎場」「町営斎場」などの名前からわかるとおり、市区町村が運営している斎場です。

なお、複数の市区町村が組合となって一軒の斎場を運営しているケースもあります。

 公営斎場の仕組みや注意点

公営斎場は、民営斎場に比べて料金は割安ですが、故人か喪主のどちらかがその自治体に住んでいないと利用できない場合があるので、その点に注意しましょう。

また、公営斎場を運営する自治体はあくまで葬儀を行う場所を提供するのみであり、葬儀自体の運営まではしてくれません。そのため、葬儀運営の実務のためには葬儀社に依頼する必要があることにも注意が必要です。

特に、ある程度古くから運営されている公営斎場では、残念ながらバリアフリー面の対策が充分に進んでいないケースもあります。気がかりな方は事前に見学しておくのがベターです。

 葬儀の流れ

公営斎場では葬儀、告別式、会食(いわゆる精進落とし。宗教宗派によっては、違う呼び名もあります)という一連の儀式が可能です。多くの公営斎場は火葬場併設タイプが多いですが、そうした火葬場が併設されている施設では火葬まで行うことができます。

近年では仏式葬儀を行う場合、葬儀の終わりあるいは火葬、お骨拾いのあとに初七日法要を行うのが一般的ですが、公営斎場で行う場合は別の会場を選ぶことが多いです。そのため、初七日は葬儀や火葬の直後に行わず、後日故人の家族や特に親密な方のみが参列して寺院や自宅で行うケースもあります。

 料金の相場目安

民営よりは割安ですが、公営斎場の使用料の相場目安も気になるところ。具体的に説明すると、故人か喪主の少なくともどちらかが当該斎場を運営する自治体住民で、かつ火葬炉のみの使用(いわゆる直葬)であれば無料~30,000円程度です。

葬祭ホールで小規模な葬儀(無宗教式を含む宗教宗派不問)をする場合は、これに30,000~50,000円前後をプラスした価格がおおよその目安となります。

民営斎場

民営斎場は葬儀社などの民間企業・団体が運営する斎場です。寺院などの宗教施設が運営する斎場もあります。

 民営斎場の仕組みや注意点

民営斎場は営利団体が運営する斎場のため公営斎場より料金が高いですが、公営よりも数が多いため予約がしやすく、設備が充実してバリアフリー対策などもよりきちんと行われています。交通面のアクセスが良い場所に立地していることが多いです。

 葬儀の流れ

民営斎場で葬儀を行う場合、一般的に故人の遺体が斎場に運ばれて安置されたあとに通夜を行います。

翌日に葬儀・告別式を行い、そのあと故人の遺体が火葬されている間に会食を行いますが、火葬場が併設されていない施設は火葬場へ移動して会食を行う流れです。

なお、地方によっては通夜の後に火葬を行い、祭壇に故人の遺骨を安置して葬儀・告別式、仏式の場合は初七日を行い、最後に会食をするのが一般的な葬儀の流れになる場合もあります。

 料金の相場目安

シンプルなプランで20〜40万円程度かかるのが一般的です。ただし、オリジナルの花祭壇などの特別なイベントを行う場合は100~150万円程度とプランによって大きく異なるので、よく考えて決めましょう。

斎場のサービス内容

斎場のサービス内容

公営あるいは民営の斎場のサービス内容も気になるところです。

もちろん斎場により違いがあるので詳しくは各斎場へのお問い合わせをおすすめしますが、一般的にこういうサービスがありますということをご紹介します。

無宗教の葬儀、神式の葬儀

近年では、故人や遺族の信条により特定の宗教宗派によらない無宗教式の葬儀も少なくありません。特に民営にはこうした希望に応えるために無宗教式の葬儀に対応している斎場も多いです。

また、神式葬儀は神社では葬儀を行いません。そのため、民営には神式葬儀に対応してくれる斎場もかなりあります。

小規模の家族葬

従来はより大勢の方が参列する盛大な葬儀こそがステイタスとされてきました。ただし、近年はいわゆる家族葬などの少人数の身内のみが参列する葬儀スタイルの需要が高まっています。そうした小規模な葬儀を行う場合も、斎場は対応してくれることが多いです。

法要など

これは公営ではなく民営斎場についての説明になりますが、斎場で通夜ぶるまいや仏式での初七日法要もしくは神式やキリスト教式でのそれに該当する儀式、精進落としなどの宴席を催すことができます。

参列者などの宿泊

遠方からの参列者の宿泊先手配も、遺族にとっては大変な仕事です。

特に斎場の近隣に宿泊施設がない地域の場合など、宿泊先手配はより困難になります。そのようなときでも、多くの斎場は遠方の参列者のための宿泊施設を備えているので便利です。

斎場を選ぶ際にチェックするポイント

斎場を選ぶ際にチェックするポイント

斎場を選ぶ際にチェックするポイントとして、以下があります。

  • 必要な設備があるか
  • 会場の広さ
  • 料金
  • アクセス

それぞれについてご紹介しましょう。

必要な設備があるか

必要な設備があるかどうかのチェックは必須です。例えば、火葬場が併設されているのか、会食に対応しているか、バリアフリー対策はどうか、遠方の参列者のための宿泊施設などの設備やサービスがあるかは必ずチェックしましょう。

会場の広さ

葬儀会場の広さも重要です。葬儀などの会場には少し余裕がある方がおすすめなので、参列する人数に合わせた広さの斎場を選びましょう。

料金

公営か民間かで斎場の料金は大きく異なります。

また、プランによっても料金は大きく左右されるので、事前にプランについて詳しく調べておくと良いでしょう。

アクセス

アクセス面も無視してはいけない重要なポイントです。

交通の利便性や駐車場の有無はもちろんですが、火葬場併設でないため斎場から火葬場に移動しなければならない場合は、移動時間と移動方法についても考慮する必要があります。

特に参列者に高齢の方や障がいのある方が参列する場合は注意しましょう。

斎場に迷ったら「セゾンの相続 お葬式サポート」がおすすめ

仏式葬儀を行いたい場合、無宗教式を含む仏式以外の葬儀を行いたい場合、家族葬や火葬のみの密葬を行いたい場合など、今は葬儀のあり方や催しもさまざまです。

希望の葬儀が行える斎場選びに迷っている方には、「セゾンの相続 お葬式サポート」をおすすめします。こちらは予算やプランに沿った葬儀の相談ができる専門家のご紹介が可能なので、是非一度チェックすると良いでしょう。

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斎場を利用する際の服装について

斎場を利用する際の服装について

斎場での葬儀に臨む際の服装マナーについて、それぞれのケースでご紹介します。

主催の場合

喪主や親族など葬儀の主催側は、男性も女性も正喪服、もしくは準喪服を着用するのが一般的です。

近年では男女とも喪服の和装離れが進みました。そのため、ブラックスーツやブラックフォーマルなどの洋装の準喪服を着用するケースも多いです。ただし、男性喪主や葬儀委員長は葬儀当日にはモーニングコートを着用するケースもあります。

参列者の場合

主催者にも当てはまりますが、葬儀に参列する際の服装を選ぶ際に最も大切なのは「故人への哀悼の意を表す」という点を優先することです。

そのため、喪服の指定がない場合には平服でも問題ないとされていますが、黒や紺・グレーなどの地味な色合いのそれなりに「きちんとした」印象の服装にするに越したことはないでしょう。

また、こうした冠婚葬祭の服装マナーに関しては地域によって比較的おおらかであったり、逆に厳格であったり、さらにはその地方独自の不文律としてのマナーがあるケースもあるので、事前に確認すると安心です。

 男性

男性の参列者の服装は、光沢のない地味なスーツと黒のネクタイが基本で、タイピンなどは付けません。ダブル・シングルのどちらでもかまわないとされていますが、ズボンの裾はシングルがベターです。靴は光沢のないシンプルな黒の革靴とします。

 女性

女性の参列者の服装は、光沢のない地味なスーツかワンピースに、金具のないシンプルなデザインで黒や紺・濃いグレーなどの地味な色合いのフォーマルなバッグなどを合わせましょう。ドレスコードに合っていれば、パンツスタイル・スカートスタイルのどちらでもかまいません。基本的にスーツのインナーは黒か濃紺のシャツやブラウスです。靴は地味な色の靴でフォーマルなものにします。ボトムがスカートの場合、ストッキングは光沢や模様のない黒を選びましょう。

髪の長い方は、華美にならないようシンプルなまとめ髪にします。結婚指輪以外のアクセサリーは着けないのが正式なマナーです。ただし、真珠かブラックオニキスの一連のネックレス、あるいは一粒ダイヤのイヤリングなどのシンプルでモノトーンの色味のもののうちからひとつだけ着けるのはかまわないとされています。

 子どもや青少年、トランスジェンダーやXジェンダーの方など

子どもや青少年の参列者の服装は、幼稚園も含む学校の制服がある場合はそれが正装となるので制服を着用します。制服がない場合には、年齢に合わせたフォーマルな服装で地味な色のものを着用しましょう。

また、誕生時に割り当てられた性別と性自認及び普段の生活での性別が異なるトランスジェンダーの参列者や、性自認が男性か女性のどちらかにはっきりとは当てはまらないXジェンダー(ノンバイナリー)の参列者の方については、そうした人権としてのジェンダーの多様性を尊重した喪服マナーは、現時点では残念ながらまだ確立されていません。

そのため、トランスジェンダーやXジェンダーなどであることをカミングアウトしているかしていないか、あるいは誕生時に割り当てられた性別や故人との関係性、地域性などによってドレスコードが異なり、現時点では「これが正しいマナー」と断言できるものはない状況です。

ただ、例えばカミングアウトしていない、あるいは性別移行途上にあるトランスジェンダー男性(誕生時女児とされ、性自認及び普段の生活での性別が男性である方)の場合は、黒か濃紺のパンツスーツに黒か白のブラウスまたは白いワイシャツをインナーとし、靴は黒など地味な色の光沢のない革靴とすれば全く問題はないとする意見もあります。

 仏式の場合、数珠は必要か

仏式葬儀に参列する場合、数珠は必要かというのも気になるところです。ご自身は仏教信者であるという意識がわずかでもあり、既に数珠をお持ちの方は数珠を持参しましょう。

一方、特定の宗教を意識して信仰していない方や仏教以外の宗教を信仰している方もいるでしょう。

葬儀への参列は故人への哀悼の意が第一なので、そうした方は必ずしも数珠を購入、持参しなければいけないわけではありません。

特定の宗教を信仰しているわけではないが、それは特定の信条によるものではないという方は、成人を迎えたり、職に就いたり、結婚したりなどの人生の節目か、あるいは仏式葬儀に参列することになったことをきっかけにご自分の数珠を用意すると良いでしょう。ご実家やご婚家が寺院の檀家の場合は、その寺院の宗派の数珠を持つのがベストです。

檀家でなかったり、あるいはさまざまな事情でよくわからなかったりという場合は宗派不問の数珠をおすすめします。

数珠の貸し借りは、例え親子や夫婦、兄弟姉妹であってもタブーとされているため避けましょう。ちなみに、キリスト教や神道の信者の方でも、仏式葬儀に参列する際には数珠を用意する方がいます。

なお、仏式以外の葬儀では基本的に数珠は持参しません。

おわりに 

おわりに

斎場を選ぶ際には気を配るべきポイントがたくさんあります。葬儀は急に発生することが多いため、落ち着いて対応し、適切な斎場選びをするためにも、普段から家族や親族の間で、死や葬儀、宗教についてある程度オープンに話し合える雰囲気を作っておくことが大切です。

<参考文献>

加藤長『令和の葬送 戒名はいらない!』同時代社、2019

勝田至編『日本葬制史』吉川弘文館、2012

白川静『字訓』平凡社、1987

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