葬儀に関係する言葉のなかには、日常的にはあまり使わない言葉もあります。そのうちのひとつが「斎場」という言葉です。ここではこの言葉を取り上げて、「そもそも斎場とは何か、その意味について」「斎場でできること」「斎場の種類とそれ以外の選択肢」「公営斎場と民営斎場の違いと特徴」などについて解説していきます。
この記事を読んでわかること
- 「斎場」とは、一般的に「葬儀を挙げる会場」であり、葬儀だけでなく法要なども行え、宿泊設備を伴う場所もある
- 葬儀を行う場所には、斎場以外にも「教会」「自宅」などがある
- 斎場には、公営のものと民営のものがあり、それぞれ異なった性質を持つ
- どちらがより優れている・どちらかが劣っているということはないが、行いたい葬儀のかたちによって選び分ける必要がある
- 斎場について迷っている場合は、「セゾンの相続 お葬式サポート」がおすすめ
斎場とはどのような場所?
「斎場(さいじょう)とは、一般的に、葬儀を行う葬儀場を指します。まれに、「ゆにわ」「いみば」と呼ばれることもあります。
ただし、この言葉の使い方は葬儀会社によって多少異なります。
ここでは「斎場とは何か」「斎場でできること」「斎場での葬儀の流れ」について解説していきます。
斎場とは
斎場とは、一般的に、通夜や葬儀・告別式などの葬送儀礼を行う場所を指します。また、法要や追悼ミサなど、(以降は「法要」の表記で統一)追善行事を行うためにも用いられます。
なお斎場は、葬儀式場・葬儀場・葬儀会場・葬祭場・セレモニーホールと呼ばれることもあります。
斎場と祭場、葬儀場の違い
斎場は、「祭場」と呼ばれることもあります。もともとの意味は「(神道における)神を祀る場所」という意味で使われていました。しかし現在は、宗教を問わずに使える「葬儀式場」の意味で使われることが一般的です。
なお、「斎場」と「葬儀場」には大きな違いはありません。
斎場と火葬場の違い
斎場は「通夜・告別式などの葬儀を行う場所」を指す言葉ですが、火葬場は「火葬をする設備が整った場所」を指します。なお火葬場は、都道府県知事の許可を得て運営されています。ちなみに現在は、「火葬場に、斎場を併設している施設」も多く見られます。
なお一部の葬儀会社では、「斎場とは火葬場のことを指し、葬儀会場はセレモニーホールと呼ぶ」などのようなスタイルをとっていることもあります。打ち合わせのときに違和感を覚えることがあれば確認をするのが確実ですが、ここでは「斎場=葬儀式場」という前提でお話していきます。
斎場でできること
斎場でできることは、主に以下のとおりです。
- 一般的な葬儀
- 少人数での葬儀
- 法要
- 参列者の宿泊など
それぞれ見ていきましょう。
一般的な葬儀
斎場では当然、「一般的な葬儀」を行うことができます。多くの方を招き、多くの方にお別れをしてもらう「一般葬」は、斎場で非常によく行われています。
なお、斎場は、亡くなった方やご家族の信仰している宗教に関わらず、誰でも使うことができます。もちろん無宗教の葬儀でも利用することができます。
ただし、葬儀の規模によっては使える斎場が制限される可能性があります。特に1,000人を超えるような大規模な葬儀(社葬など)では、一部の斎場では対応できず、大人数を収容できる斎場を案内される可能性が高いでしょう。
少人数での家族葬
上記では「大規模な葬儀の場合は、斎場の選択肢が限られることもある」としました。それでは、小規模な葬儀の場合はどうでしょうか。
家族葬に代表される小規模な葬儀の場合は、すべての斎場がこれを催行できるとしていると考えて良いでしょう。近年は特に「小さな葬儀」を行うことに特化した斎場などもできています。
法要
斎場のほとんどは葬儀だけでなく、その後に行われる法要にも対応しています。ただし、「料理の手配はどうするか」「どこまでの設備が用意されているか」などは、斎場や法要を執り行う葬儀会社によって異なります。
参列者の宿泊
一部の斎場は、宿泊施設を併設しています。しかしこの宿泊施設はそれほど大規模なものではなく、ご家族が泊まれる程度(控え室程度)の大きさであることが普通です。
また宿泊施設がない斎場もあるため、宿泊施設が必要な場合は、事前に有無を確認しておかなければなりません。
一般的な葬儀の流れ
斎場で行われる葬儀の流れは、一般的には以下のとおりです。
- 【初日】通夜
- 【2日目】葬儀・告別式
- 【2日目】火葬
- 【2日目】繰り上げ初七日法要
- 【2日目】精進落とし
ただしこれは一般葬の流れです。一日葬であれば通夜は行いませんし、宗教や地域、ご家族の意向によって流れが変わることもあります。
斎場の種類と斎場以外の選択肢
上記では「斎場で行えること」について触れてきましたが、その「斎場」には公営と民間の2種類があります。また、葬儀の場所として斎場以外の選択肢もあります。
それについて解説していきます。
斎場の種類は大きく2種類
斎場は、運営団体によって「公営斎場」と「民間斎場」に分けられます。それぞれのメリットとデメリットは後述するとして、ここではその性質についてのみ解説します。
公営斎場
公営斎場とは、その名前の通り、市町村などの公営団体が運営する斎場のことをいいます。火葬場を併設していることが多いのが特徴です。
民間斎場
民間斎場とは、民間団体が運営する斎場のことを指します。葬儀会社のなかには、セレモニーホールなど自社の斎場を持っているところもあります。
斎場以外の選択肢
現在は葬儀を行う場所といえば斎場が選ばれるケースが多くなっていますが、実際には斎場以外の場所も葬儀会場として選ぶことができます。
教会や寺院
教会や寺院などの宗教施設も、葬儀会場として選ぶことができます。信仰心が篤い方にとっては、このような宗教施設は第一の選択肢となりうるでしょう。
なお、同じように「宗教施設」に分類されるものとして「神社」がありますが、神社では葬儀を行うことはできません。神道では死を穢れとして扱うため、神域である神社では葬儀は行えないのです。
自宅
自宅で葬儀を行うことも可能です。自宅で行う葬儀は特に「自宅葬」と呼ばれます。かつてはこの形式が主流でした。
しかし昨今の住宅事情の変化によって、自宅で葬儀を行うケースは減ってきています。葬儀を行えるほどの広いスペースを確保することが難しくなっているからです。
ただし小規模な葬儀は可能ですから、「故人を自宅から見送りたい」「親しくて気の置けない人たちだけで、故人と自宅で最期のお別れをしたい」ということであれば、この形式をとることをおすすめします。
公営斎場の特徴やメリットと注意点
上記では、「斎場には公営のものと民間のものがある」としました。同じ斎場であっても、公営斎場と民間斎場では、費用の目安も異なれば、葬儀の流れも異なります。また、それぞれの利用方法も異なります。
まずは公営斎場について取り上げて、その費用の目安や葬儀の流れについて解説していきます。
公営斎場とは
公営斎場とは、行政が営んでいる斎場です。費用や葬儀の流れについて見ていきましょう。
費用の目安
公営斎場は、行政が住民サービスの一環として提供しているものです。そのため、そこに住民票を置いている喪主など葬儀を主宰する方もしくは故人が利用する場合、葬儀会場使用料が非常に安く設定されます。
個々のケースによって費用は異なりますが、最低限の葬儀で良いということであれば、100,000円を切る価格で利用できることもあります。例として、東京豊島区の南池袋斎場では、斎場の使用料のみであれば、通夜・告別式の使用料は57,600円となっています。
葬儀の流れ
公営斎場の場合は、火葬場を併設していることが多いといえます。そのため、通夜や葬儀・告別式、そしてその後に行われる火葬~収骨までは、同一会場で行えます。
ただし公営斎場の場合、基本的には収骨後に行われることが多い、繰り上げ初七日法要や会食には対応していないと考えてください。
公営斎場を選択するメリット
公営斎場のメリットについて解説していきます。
費用が安い
斎場を選択する最大のメリットは、「費用が安い点」が挙げられます。葬儀費用を抑えたいのであれば、公営斎場を選ぶのが良いでしょう。
葬儀の形式によっては、移動の手間が省ける
また、公営斎場は火葬場を併設していることが多いため、斎場→火葬場の移動が必要ありません。
繰り上げ初七日法要や会食を希望する場合は、火葬場→別会場への移動が必要となりますが、直葬なので繰り上げ初七日法要や会食はしないというケースでは非常に選びやすい選択肢だといえるでしょう。移動にかかる時間も体力的な負担も削減できるからです。
公営斎場を選択するときの注意点
公営斎場はメリットもありますが、デメリットもあります。
使える方が限られる
故人もしくは喪主や葬儀の主宰者がその自治体の住民ではないと使用不可(あるいは非常に高額)としているところが多いのがデメリットです。
不便な場所にある
また火葬場を併設しているため不便な場所にあることが多く、アクセスが悪いのも注意点です。ただしほとんどの公営斎場は、駐車場を併設しています。
予約が埋まりやすい
安さゆえに予約が埋まりやすいのもデメリットです。特に東京23区で火葬場併設の斎場は、スケジュールを押さえることが極めて難しいとされています。
民間斎場の概要の特徴やメリットと注意点
上では公営斎場のことを取り上げてきました。
ここからは、民間斎場の特徴について取り上げていきます。
民間斎場とは
民間斎場の運営団体は、文字通り、民間企業です。
民間斎場は、「葬儀会社が独自で取り扱っている、葬儀会社所有の斎場」と、「葬儀会社以外が運営する斎場」の2つに大別されます。
前者の場合は、原則としてその斎場を所有する葬儀会社はこれを利用することはできませんが、後者の場合はさまざまな葬儀会社を自由に選べます。
費用の目安
民間斎場を使う場合は、公営斎場を使う場合に比べて費用が高くなります。だいたい2倍~3倍程度はかかると考えて良いでしょう。最低でも200,000円程度の出費は覚悟しなければなりませんし、葬儀の規模が大きくなれば費用ももちろんかさみます。
葬儀の流れ
民間斎場を利用して葬儀を行う場合、以下の流れを取ります。
通夜、葬儀・告別式を民間斎場で取り行った後、火葬については火葬場への移動が必要となります。火葬が終わると葬儀を行った民間斎場へ戻り、繰り上げ初七日法要、および精進落としの会食を行います。なお、宿泊施設が併設されている場合は通夜当日の宿泊も可能です。
民間斎場の場合、通夜や繰り上げ初七日法要、精進落としまでをひとつの会場で行うことができるのが特徴です。
民間斎場を選択するメリット
民間斎場のメリットを紹介していきます。
施設数が多いため希望日に予約しやすい
公営斎場と異なり、民間斎場は非常に数が多いため、希望日に予約しやすいという特徴があります。ただし火葬場の空き状況によっては、「斎場は空いているが、火葬場が取れない」といった事態になることはありえます。
施設が充実している
民間斎場は宿泊施設を併設していたり、バリアフリー化が進んでいたりするケースが多く、利用しやすいのがメリットです。
また、立地の良いところに建てられていることも多いといえます。
個人やご家族の意向に沿った演出の葬儀がしやすい
民営団体が運営する民間斎場は、利用者である故人やご家族の意向を最大限に反映した葬儀を行うことを目的とします。そのため、公営斎場に比べて、葬儀の形式の自由度が高いのも大きな利点です。
民間斎場を選択するときの注意点
上記でも述べてきましたが、民間斎場にも注意点はあります。
料金が高い
民間斎場は公営斎場とは異なり、公的な性格および住民サービスとしての性質は持ちえません。そのため、費用が高くなりがちです。
原則として火葬場を併設していない
民間斎場の場合、東京23区のような特殊な事例を除き、原則として火葬場は併設していません。そのため、葬儀後に火葬場に移動する手間や時間が必要となります。
斎場探しは「セゾンの相続 お葬式サポート」がおすすめ
葬儀を行う場所として、宗教施設や自宅、斎場があります。斎場は公営斎場と民間斎場に分けられていて、それぞれ特徴が異なります。
「どの会場を選んだらいいか分からない」という方は、ぜひクレディセゾングループの「セゾンの相続 お葬式サポート」にご相談ください。お葬式に強い専門家と連携しており、無料相談や最適なプランの提案を受けることができます。
おわりに
葬儀をあげる場所が多様化していくなかで、斎場という選択肢もよく選ばれるようになりました。宗教施設や自宅とは異なり、葬儀に特化した会場であることが多く、利便性が高いのが斎場の魅力です。民間斎場ならば、よりその傾向が顕著です。
ただし、葬儀のかたちに正解がないように、葬儀を行う場所にも正解はありません。大切なのは「自分や家族が満足できる場所」を選ぶことです。セゾンの相続では、最適な葬儀会場選びのお手伝いをします。