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二世帯住宅の相続はトラブルがつきもの?もめずに遺産分割するポイントをご紹介

二世帯住宅の相続はトラブルがつきもの?
セゾンのくらし大研究 編集部

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相続トラブルの多くは不動産関連といわれています。資産として複数の相続人に分割承継することができず、また売却のタイミングも難しいためです。特に二世帯住宅が関係する相続を円滑に終わらせるためには、相続人が協力して取り組むことが大前提です。

二世帯住宅をトラブルなく円滑に相続するためのポイントをお伝えします。また不動産の相続においては小規模宅地の特例など活用できる仕組みがありますが、二世帯住宅に関しては細かい適用条件があります。節税面の注意点も合わせて解説していきます。

この記事を読んでわかること

  • 二世帯住宅が相続財産になったときはどのように分けるべきか
  • 二世帯住宅を相続する際の相続前と相続開始後のポイント
  • 二世帯住宅を相続することで生じる節税効果について
  • 二世帯住宅を相続する際の注意点
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不動産の相続はただでさえ不公平になりやすい

不動産の相続はただでさえ不公平になりやすい

相続時の不動産の評価額は、土地と建物で評価の仕方が異なります。土地は、路線価方式と倍率方式で算出します。路線価方式は路線価によって、倍率方式は固定資産税評価額と定められた倍率によって算出しますが、物件の建つ土地の広さによって、評価額が決まります。つまり、必然的に土地面積の広い二世帯住宅は、評価額が大きくなりがちといえます。建物は、固定資産税評価額で決まります。

また複数の世帯が住んでいるため、不動産の名義人も複数になります。名義人が多くなれば、その分意見が分かれ収拾がつきにくくなります。二世帯住宅の相続は、この不公平感やトラブルとなる可能性とどのように向き合うかがとても大切です。

二世帯住宅の相続について考えるときは、いま現在の所有者(主に親世代)と、その所有者が亡くなったときに承継する名義人の二段階で考えることが大切です。

二世帯住宅の相続でもめやすい遺産分割方法

二世帯住宅の相続でもめやすい遺産分割方法

相続にはいくつかの分割方法がありますが、二世帯住宅の場合は何がおすすめなのでしょうか。

二世帯住宅の土地と建物の名義が親であった場合で考えてみましょう。

二世帯住宅をそのまま相続する現物分割

まずは二世帯住宅をそのまま相続する現物分割です。不動産を相続割合にて分筆することも可能ですが、土地の形状等によっては、分筆できなかったり、不公平となるケースもあります。また、複数の相続人が承継する共有名義となると、次の相続時を考えるとあまりお勧めできません。共有名義にすると、不動産の売買や権利按分などでトラブルになりがちです。

したがって、親と同居していた子どもが二世帯住宅を相続して、残りの財産を他の相続人で分ける方法が考えられます。ただ現物分割の場合、不動産以外の財産が少ないと、家族間で不公平となりトラブルが発生しやすいというリスクがあります。

二世帯住宅の売却代金を分ける換価分割

平等を期するのであれば、換価分割となります。換価分割とは、不動産を売却して換金した上でその金銭を分割する方法です。二世帯住宅を売却し、その売却益を分けるのです。現金にすることで資産分割はしやくなります。ただし、相続人がその住宅に住んでいる場合は、引越し費用や新たに住宅を購入するお金も必要になるため、負担が大きいものでもあります。

また想定する不動産の売却価格と実際の売却価格に差が生じた場合、その差額をどのように処理するのかが課題となります。簡単に売却して換価分割、という相続人もいますが、愛着のある実家だった場合などはなおさら、スムーズに売却が進まずトラブルの温床となる危険性もあります。

不動産を相続する人が差額を支払う代償分割

代償分割とは、法定相続分を超えた財産を特定の人が相続し、他の相続人に対してはその人が超えた部分について支払うことで、相続額を均等にする方法です。平等感の高い方法ですが、不動産を相続した人が代償分を支払う余裕が無ければ難しい手段でもあります。

二世帯住宅をトラブルなく相続するためには

二世帯住宅をトラブルなく相続するためには

トラブルなく二世帯住宅を相続するには、どのような対策が効果的なのでしょうか。

【相続前】名義の確認と変更

二世帯住宅の名義が親と子で共有となっている場合、相続によって親の所有部分が他人に移るリスクがあります。居住している人の都合にかかわらず、売却ができるようになるのはとても危険です。そのため、事前に共有の持ち分を子世帯に売却または贈与しておくと安心です。

ただ持ち分を子世帯に渡す場合は、譲渡所得税や贈与税のかかる可能性があります。また、他の子どもが不公平と感じるかもしれません。メリット・デメリットを可視化したうえで、検討することが大切です。税金について考察すると、その不動産を相続した方が良いのか否か、相続人の意見が変わる可能性すら考えられます。

【相続前】遺言書の作成

被相続人が健在なうちに、遺言書を作成しておくことも有効です。遺言書がないと相続人同士で分割方法を決めることになり、利害や言い分が衝突しがちです。

遺言書があると、まずは遺言書の内容が尊重されるため、トラブル回避につながりやすい面があります。エンディングノートでも良いですが、法的拘束力を持つ遺言書を活用することをおすすめします。

ただし、法定相続人には遺留分の権利があるため、遺留分を侵害しないよう注意しましょう。あらかじめ遺言を家族で公開して作成する場合は、遺留分を侵害しない遺言書を作成するようにしましょう。

【相続開始後】遺産分割協議

前項で代償分割についてお伝えしましたが、代償分割は不動産以外に資産があってこそ採用できる手段です。 不動産以外に分割できる遺産がない場合、遺産分割協議による話し合いが必要になります。

遺産分割協議を円滑に進めるためにも、親が元気なうちにご家族で相続について話し合うことが大切です。

【相続開始後】不動産売却

子世帯が代償分割に対応できない場合や、遺産分割協議がまとまらない場合などは、二世帯住宅を売ったお金を分割することになります。不動産は売却意思を固めてすぐに売れるものではないため、早めに取り掛かりましょう。

不動産の売買は、専門家の助言を仰ぎながら進めていきましょう。

二世帯住宅の相続は節税効果が大きい

二世帯住宅の相続は節税効果が大きい

二世帯住宅を相続するにあたって、理解しておきたいのが小規模宅地の特例です。親と同居している場合は80%減の相続評価額が適用されます。配偶者以外の親族が相続後に居住する場合、特例が使用できない恐れもあります。

2014年の相続税法改正前は、行き来できる二世帯住宅以外は小規模宅地の特例が適用されませんでした。法改正以後は、玄関が別に設けられている完全分離型の二世帯住宅でも、特例を適用できるようになりました。

相続税の負担を軽減する観点から、小規模宅地の特例は活用性の高いものです。ただ、居住条件など非常に細かい点が問われるため、必ず税理士などのプロフェッショナルを介して検討するようにしましょう。

二世帯住宅を相続する時の注意点

二世帯住宅を相続する時の注意点

とても活用性の高い小規模宅地の特例ですが、いくつか注意点があります。

小規模宅地等の特例は区分所有建物に適用されない

1階部分は父名義、2階部分は長男名義などのように、区分所有登記が設定されている場合は、いくら同じ建物内であっても小規模宅地等の特例対象外になるので注意が必要です。

現在区分所有登記がされていて、小規模宅地の特例を使う場合は相続開始前までに区分所有登記を解消する必要があります。

生前贈与する場合は贈与税が多額になる可能性もある

相続税の課税を避けるため、 生前に名義変更すると贈与とみなされるため、贈与税が発生します。生前贈与をした場合は 贈与税が高額になってしまうため、住宅資金の特例や相続時精算課税制度などの利用を検討するようにしましょう。

相続をスムーズにするならプロへの相談がおすすめ

相続をスムーズにするならプロへの相談がおすすめ

二世帯住宅の相続はとても複雑です。「セゾンの相続 相続手続きサポート」では、経験豊富な提携専門家のご紹介も可能ですので、スムーズな相続手続きをサポートします。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

セゾンの相続 相続手続きサポートについての詳細はこちら

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おわりに

二世帯住宅の相続について解説しました。二世帯住宅の相続において、早い段階から準備をすることは相続トラブルを発生させないために最も推奨される方法です。専門知識が必要な局面も多く、専門家にアドバイスを仰ぐことが、相続トラブルのリスクを回避するために必要です。

セゾンの相続を利用して、一歩ずつ準備を進めていきましょう。

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