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生前戒名を授かる金額は?相場やメリットから注意点まで徹底解説

生前戒名を授かる金額は?相場やメリットから注意点まで徹底解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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菩提寺がある方や仏式葬儀を希望している方は、生前戒名を検討してはいかがでしょうか。生きているうちから戒名を授かっておけば、葬儀や位牌の準備を早くから進められます。また、戒名に関わる部分のお布施を本人が納めておくことになるため、残る家族の金銭的負担が軽減されます。

生前戒名を検討している方、葬儀にかかる費用を押さえたいと考えている方のために、生前戒名の費用相場、メリット、デメリットについて解説します。

この記事を読んでわかること

  • 生前戒名は珍しいことではない
  • 生前戒名は死後戒名より費用相場が若干割安になる
  • 本人が戒名にかかるお布施を負担するため、葬儀のときの遺族負担が減る
  • 菩提寺以外に生前戒名を依頼するとトラブルに発展する可能性がある
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そもそも生前戒名とは?

そもそも生前戒名とは?

そもそも戒名は、仏弟子になった証として僧侶からもらうものです。よって、受戒して仏門に入った方は、みな戒名を持っています。菩提寺のご住職も、もちろん戒名を持っています。

戒名に「亡くなってからつけられる名前」というイメージがあるのは、多くの方が戒名を授かるタイミングが葬儀のときだからでしょう。多くの仏式葬儀では、生きている間に出家しなかった方も浄土へ旅立てるよう、受戒の儀式を行ったうえで戒名を授けます。葬儀のタイミングで戒名を授けることによって、仏弟子として成仏できるのです。

ただ、戒名は必ずしも葬儀のときつけられる名前ではなく、生きている間に授けてもらってよいものです。生きているうちに授けてもらう戒名を「生前戒名」といいます。最近では熱心な仏教徒ばかりでなく、葬儀や供養の準備をする終活の一環として生前戒名を検討する方も多くなりました。

生前戒名を授かるメリット

生前戒名を授かるメリット

生前戒名を授かるメリットは、以下の5つです。亡くなってから授かるよりも、費用などの面で家族を助けることが可能になります。

希望する戒名を授かれる可能性が高い

戒名を自分でつける方もいます。戒名そのものは作れないとしても、自分が気に入っている文字を入れてほしいと考える方もいるでしょう。生前戒名であれば、自分の希望を申し出ることが可能です。結果、希望に沿った戒名が手に入る可能性があります。

ただ、戒名には使えない文字も存在します。またお寺によっては、戒名はあくまでご住職が決めるものと方針づけているところもあります。まずは、お寺への相談が必要です。

亡くなった後よりもお布施が安く済む

これはお寺の考え方にもよりますが、死後戒名よりも生前戒名の方が、比較的お布施の負担が少ない傾向にあります。死後戒名では亡くなってから葬儀までの時間が限られ、お寺の負担が大きいのに比べ、生前戒名なら時間に余裕を持って考えられるためです。

また、菩提寺がまだ決まっていない段階で戒名を依頼する場合、お寺の側としては「檀家になってくれるかもしれない」という心理が働きます。これを機に檀家になってくれるならばと考えられるご住職であれば、死後戒名の半額程度のお布施で済むケースもあります。

さらに、戒名にはランクがあります。生前戒名であればどのランクの戒名にするか本人が決められるため、予算に合った戒名を選ぶことができます。

遺族の負担を減らせる

生前に戒名を授かりお布施を納めておけば、遺族の金銭的な負担が軽減されます。葬儀のときお寺に納めるお布施の大部分を、戒名のためのお布施が占めているためです。

また、故人の戒名ランクを決めるのは遺族にとって大きな負担です。「なるべく安く済ませたい」と考える傍ら、「とはいえあまりに安くては亡くなった方に申し訳ない」と迷う気持ちが出てしまいがちだからです。戒名がすでに本人の希望によって決まっていれば、遺族はそのぶん安心できます。

亡くなる前から葬儀や位牌などの準備ができる

生前戒名を授かったなら、亡くなったとき仏式で葬儀をすることになります。葬儀の宗派が決まっていれば、葬儀社に生前見積もりを依頼することが可能です。葬儀の宗派が決まっていない場合よりも実際に近い金額の見積もりをもらうことができるでしょう。

また、戒名が決まれば位牌の発注もできます。生前に作る位牌は「逆修牌(ぎゃくしゅはい、ぎゃくしゅうはい)」と呼ばれ、彫刻する戒名部分には一部に朱色を入れておくのが特徴的です。亡くなったら朱色の部分を金または白など他の部分と同じ色に塗り直し、没年月日や享年を彫り込みます。

葬儀や位牌の準備ができると、実際に亡くなったとき家族の金銭的負担、心理的負担が軽減されます。

生前の葬儀準備は7倍の功徳があると考えられている

仏教では、生きているうちから自分の死後のために仏事を修める「預修(よしゅ)」や逆修をすると、死後に家族から追善供養を行ってもらうよりも7倍の功徳があると考えられています。

生前から仏式葬儀の準備をすると、仏教について学ぶ機会がぐっと増えます。釈迦の考え方に触れ、死後どのように浄土へ導かれるのかを知っておくことは、きっとこれから人生を生ききるうえでもプラスとなることでしょう。今後より良く生きるため、生前戒名を授かるのだと考えましょう。

生前戒名の相場

生前戒名の相場

生前戒名の相場は、宗派や戒名のランクによって違います。どのように違うのか、詳しく解説します。

戒名のランクによって30~100万円の幅がある

大人の戒名には、大きく4つのランクがあります。ランクによって、それぞれ以下のように相場が違います。

  • 「~信士」(男性)「~信女」(女性)
    30万~50万円
  • 「~居士」(男性)「~大姉」(女性)
    50万~70万円
  • 「●●院~信士」(男性)「●●院~信女」(女性)
    70万円~
  • 「●●院~居士」(男性)「●●院~大姉」(女性)
    100万円~

生前戒名の場合は、この相場よりも若干安くなる傾向があります。3/4ほどの金額を目安にするといいでしょう。

宗派によっても相場は異なる

戒名は、宗派によっても相場が違います。一般的には、以下のような相場となります。

宗派信士、信女居士、大姉院信士、院信女院居士、院大姉
曹洞宗30~50万円50~70万円80万円~100万円~
臨済宗30~50万円50~70万円100万円~
天台宗30~50万円50~70万円80万円~100万円~
真言宗30~50万円50~70万円80万円~100万円~
浄土宗30~40万円50~60万円70万円~
浄土真宗20万円~(釋・釋尼)50万円~(院釋・院釋尼)
日蓮宗30万~50万円100万円~

※生前戒名はこの相場より若干安くなり、3/4程度の金額となる

浄土真宗には「戒」がないため、戒名は存在しません。代わりに「法名」と呼ばれる、「釋」を冠した名前が授けられます。また、日蓮宗には院号しかありません。

生前戒名を授かる方法

生前戒名を授かる方法

生前戒名は、どうやって授かれば良いのでしょうか。いくつかの選択肢について解説します。

菩提寺に相談する

菩提寺がある場合は、必ず菩提寺に相談しましょう。他のお寺に生前戒名を依頼すると、後に菩提寺が葬儀を行ってくれない、お墓への納骨を許してくれないなどのトラブルになる可能性があります。

菩提寺からみれば、檀家はお寺を信仰し、供養に関して一切を依頼される存在です。他のお寺が関与することは想定していません。もしかしたら戒名のつけ直しが必要になってしまう可能性すらあります。

生前戒名に対応している寺院の檀家になる

戒名は、死後にしろ生前にしろ、そのお寺の檀家になっていなければ授けないケースがほとんどです。菩提寺がない方は、生前戒名を受け付けているお寺の檀家になりましょう。

お寺の檀家になると、そのお寺に葬儀や法要を依頼できるようになります。寺院墓地にお墓を建てることも可能です。ただ、檀家は管理費を納めたり寄付をしたりすることでお寺の経営を支えなければなりません。檀家になるためにかかる費用をしっかり把握したうえで、戒名をつけてもらいましょう。

戒名授与サービスを使う

お寺との関係性にこだわらなければ、戒名授与サービスを使うという手もあります。戒名授与サービスとは、檀家になることなく戒名だけを僧侶からつけてもらえるサービスです。インターネットから依頼ができるので、調べてみてはいかがでしょうか。

戒名授与サービスは、戒名をつけるときだけ僧侶に依頼できる手軽なサービスです。しかし、戒名をつけた以上は、死後に生じる葬儀や法要を仏式で行うことになり、その都度僧侶に依頼しなければならなくなります。残された遺族がいちいち依頼を掛けなければならず、大変です。

戒名授与サービスを利用するなら、今後の葬儀や法要についても同じ僧侶に依頼できるかどうか確認しておくのがおすすめです。

自分でつけることも可能

戒名は、自分でつけることもできます。菩提寺がなく、また費用に余裕がない場合は、自分で戒名をつけることも検討しましょう。

ただ、戒名には一定のルールがあります。文字の一部を経典から取らなければならない部分があったり、特定の宗派で好んで使われる文字があったりと、ルールに沿って戒名を作成するのはなかなか大変です。また、いざ葬儀となったとき、寺院の方針により自作の戒名が使えない可能性もあります。

自分で戒名を付けることに不安がある場合は、戒名授与サービスなどを使い、まずは希望する宗派の僧侶に相談してみるのがおすすめです。どんな文字を使いたいのか希望を尋ねてくれたうえで、希望に沿った戒名をつけてくれるお寺を探すのが近道です。

お葬式のプロに相談する

お寺と檀家関係を結びたくない方が増えています。ただ戒名や葬儀、お墓のこととなると、やはり供養のプロであるお寺に頼りたくなることでしょう。

しかし、供養のプロはお寺だけではありません。「セゾンの相続 お葬式サポート」は、お葬式や供養に関わる悩みにお葬式のプロが答えてくれるサービスです。

「菩提寺がないけれど生前戒名をつけたい」といったご要望の他、「家族にお葬式のことで負担をかけたくない」「お葬式にかかる費用を自分で用意しておきたい」などの悩みや希望にも寄り添います。

お葬式のみならず、お墓や生前の相続対策など、終活に関するあらゆる悩みをフォローしてくれる専門家揃いです。ぜひ、気軽にお電話やWEBで相談してみてください。

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生前戒名を授かるときの注意点

生前戒名を授かるときの注意点

生前戒名を授かるときには、後にトラブルへ発展しないよう気をつけたいことがあります。注意点を事前に把握し、回避できるようにしておきましょう。

戒名料の平均金額や内訳を把握しておく

珍しいことではありますが、なかには相場以上の高額なお布施を要求するお寺やご住職もいます。相場を把握していなければ、「よくわからないけれど、そんなものなのだろう」と払ってしまいかねません。

なかには檀家になることがステータスになるような寺格の高いお寺があり、寺格の高いお寺に戒名を依頼すると多額になる可能性もあります。相場をしっかり把握した上で、納得のいく金額を納められるようにしましょう。

菩提寺以外で戒名を授かると受け入れてもらえなくなる可能性も

菩提寺がある人は、必ず菩提寺から戒名を授かるようにしましょう。何らかの事情がありそれができないなら、必ず事前に菩提寺へ相談するのが大事です。菩提寺が事情を理解してくれたなら、戒名を授かるお寺の宗派などに指示があるはずです。指示に従い、一致する宗派のお寺を探す必要があります。

菩提寺に相談しないまま他のお寺に生前戒名を依頼してしまうと、いざというとき葬儀ができなくなったり、先祖代々のお墓に納骨できなくなったりします。戒名のつけ直しが必要になったら、費用がかさんでしまいます。供養のいっさいを担ってくれる菩提寺に、敬意を表しましょう。

家族に伝えていないと二重に戒名を授かることになりうる

もし家族に相談せず生前戒名を授かり、授かった後も家族に伝えなかった場合、葬儀が生じたときに家族がまた戒名を依頼する可能性があります。菩提寺に生前戒名を依頼するのであればこの心配はあまりいりませんが、生前戒名を授かったら、必ず家族に報告しておきましょう。

エンディングノートを入手している場合は、葬儀についての希望を記すページに戒名と授かったお寺の名称、連絡先を書いておくのがおすすめです。エンディングノートをそのまま家族に託せば、他の希望とともに戒名のことも伝えられます。

おわりに 

終活のためだけでなく自分の信仰を示すために受戒し、生前戒名を授かる人も多くいます。今後よりよく生きていくため、受戒という形で仏教の教えに触れ、生き方について深く考えてみてはいかがでしょうか。

また、戒名に選ばれる漢字のなかには、自分の性格や功績を表すものもあります。授かった一文字一文字をよく確認し、自身の来し方に思いを馳せ、また戒名にふさわしい自分であれるよう、心新たに人生を踏み出しましょう。

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