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マンションの相続手続きと売却時の流れは?税金についても解説

マンションの相続手続きと売却時の流れは?税金についても解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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マンションを相続する際、どのような手続きを行うのか、どれくらいの相続税がかかるのかなど、さまざまなことを疑問に感じている方は多いと思います。相続した後はどう活用していけばいいのか考えている方もいるでしょう。この記事では、マンションの相続をめぐる手続きや売却方法などについて解説します。相続が発生した場合の税金についても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること

  • 相続税は、基礎控除額(=3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)の範囲内なら申告・納税する必要がない
  • マンションを空き家のまま放置すると、維持・管理費などの負担が続くうえ、劣化して資産価値が低下するリスクがある
  • 相続したマンションを売却するなら、早めに決断するのがおすすめ
  • マンションの処分にお困りなら「セゾンの相続」で専門家に相談を
相続不動産の有効活用
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マンションを相続したときの手続きの進め方は?

マンションを相続したときの手続きの進め方は?

マンションを相続した時の手続きの進め方を解説します。遺言書のチェックに始まり、相続人・遺産の確定、遺産分割協議書の作成、登記、納税まで、5つのステップについて詳しく説明します。

STEP 1.遺言書の有無をチェック

遺言書とは、被相続人の生前の意思を文書にしたためた書類です。相続発生時の財産の分配方法などを明記しています。被相続人が亡くなった場合にまず行うべきことは、遺言書の存在を確認することです。

遺言書がある場合、その内容に従って遺産の分割や手続きが行われます。故人が生前にどのような意向を持っていたのか、その意思を尊重するためです。遺言書がない場合は、法定相続分に従って手続きを進めることになります。

なお、遺言書の開封は、家庭裁判所での手続きが必要となる場合があるので、遺言書を発見しても自己判断で開封しないように注意してください。偽造防止で開封前に「検認」という手続きが必要な遺言書があるためです。

遺言書には、作成方法に応じて以下の3種類あり、検認が必要かどうか分かれます。

  1. 自筆証書遺言:全文を自筆した遺言書
  2. 公正証書遺言:遺言内容を公証人に伝え、公証人が筆記した遺言書
  3. 秘密証書遺言:内容を明かさず公証人に遺言書を提示し、存在を証明してもらう方式の遺言書

自筆証書遺言の内容は原則として遺言者本人しか知り得ず、保管も本人によります。内容が遺言者の真意か確認できないため、検認が必須です。家族でも開封すると効力が無効になってしまいます。ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を活用している場合は検認の必要はありません。

公正証書遺言は公証人が作成し、原本は公証役場で保管されるため、偽造や改ざんの心配はなく、検認は不要です。

一方、秘密証書遺言にも公証人の関与はありますが、保管は遺言者が行います。内容も本人しか知らないことから、検認の手続きが必要です。

STEP 2.相続人や相続遺産を確定する

遺言書の有無を確認した後に行うのは、相続人と相続の対象となる財産の確定です。原則として遺言書があれば、記載されている内容に沿って相続人が確定し、財産の分配が進められますが、遺言書がない場合は法定相続人に民法に定められた割合で遺産が分配されます。

【民法で規定されている法定相続人】

配偶者常に相続人となる
被相続人の子第1順位 ※子が亡くなっていれば孫
被相続人の親第2順位 ※第1順位がいない場合に相続人となる
被相続人の兄弟姉妹第3順位 ※第1順位、第2順位がいない場合に相続人となる

次に、相続財産の確定です。不動産や預金、株式、車、宝石などの財産はもちろん、借金も含まれます。相続人と相続する財産を確定したうえで、遺言書があり、遺産が遺言書どおりであれば、そのまま相続し、遺言書以外の別の分配を指定する場合は、どのように分配するかを決める「遺産分割協議」を行います。

STEP 3.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書は、相続人全員が合意した形で遺産を分割する証として重要な意味を持つ書類です。遺言書がない場合に必要となります。誰がどの財産を受け取るか、具体的な割合や分け方を記載します。特に、不動産など価値が高い財産の取り扱いについては、詳細に記載することが求められるでしょう。マンションのケースでは、次の分け方が想定されます。

【マンションの相続方法】

現物分割ひとりでマンションを相続する
代償分割ひとりでマンションを相続する代わりに、他の相続人に金銭を支払う
換価分割マンションを売却して得た代金を分割する
共有分割複数名義でマンションを相続する

以上の相続方法には、それぞれに利点や注意点があります。現物分割はひとりでマンションを相続するため、将来的な売却やリフォームを自由に行うことが可能です。代償分割はひとりでマンションを相続する代わりに、自分の資産から金銭を捻出して他の相続人に支払う必要があるのがデメリットとなります。

換価分割は、売却代金を相続人に公平に分配できるのが利点です。一方、売却に伴う仲介手数料や税金の支払いが必要になる他、買い手がつきにくい物件の場合、売れ残りや価格引き下げを余儀なくされる可能性もあります。

共有分割は、複数名義で公平に相続できますが、維持するための管理や費用の支払いをめぐってもめる可能性があります。マンションを売却したいと考えても、共有者全員の合意が必要なため、処分に困る懸念もあるでしょう。

分割方法を決めたら、遺産分割協議書を作成し、全員で署名したうえで実印を捺印します。

STEP 4.マンションの相続登記を行う

マンションの相続人が決まったら、法務局で相続登記を行います。相続登記とは、相続した土地・建物について、名義を変更することです。登記を行う際には、相続が開始したことや法定相続人を特定するために戸籍謄本(抄本)や除籍謄本(抄本)を提出します。手続きは司法書士に代行してもらうことも可能です。

相続登記には、登録免許税や戸籍謄本(抄本)などの取得費用、司法書士に依頼する場合はその報酬などがかかります。

STEP 5.相続税申告して納税する

相続税の申告と納付は、相続の事実を知った日の翌日から10ヵ月以内に行います。税額は、相続財産の総額や相続人の数、特例の有無などによって変動します。計算や調整が難しいと感じる場合は税理士など専門家のアドバイスを受けるようにしてください。

期限までに現金で一括納付するのが原則ですが、難しい場合は延納や物納といった救済措置があります。延納は一定期間内で分割して納付する方法です。相続税額が100,000円超であることや、金銭で納付するのが困難な理由があること、担保を提供するなどの条件を満たせば活用できます。物納は金銭以外の相続財産で納めることができる方法です。

マンションの相続税はどれくらい?評価額の計算方法は

マンションの相続税はどれくらい?評価額の計算方法は

マンションの相続税について解説します。相続税の計算方法と、相続税を求める基礎となる評価額の算出方法について詳しく見ていきます。

マンションの相続税の計算方法

相続税を計算するためにはまず、マンションの評価額を含む遺産の総額を求め、基礎控除額を差し引きます。次に、それぞれの相続人が民法で決められた法定相続分どおりに遺産を受け取ると仮定した場合の相続税の合計額を算出します。

  • 1人分の相続税額=(遺産の評価額-基礎控除額)× 法定相続分 × 税率
  • それぞれ求めた相続税額を合計する

相続税の税率は、法定相続分に応じた取得金額ごとに決められており、速算表は以下のとおりです。

相続税の速算表(出典:国税庁)】

法定相続分に応じた取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

例えば、相続人が配偶者と子2人の計3人で、遺産の評価額から基礎控除を引いた額を5,000万円とした場合、配偶者の法定相続分に基づく相続税額は次の計算で求められます。なお、このケースの法定相続分は配偶者2分の1、子どもがそれぞれ4分の1です。

法定相続分の例(出典:国税庁)】

配偶者と子が相続人の場合配偶者2分の1、子2分の1 ※2人以上なら全員で
配偶者と親が相続人の場合配偶者3分の2、親3分の1 ※同上
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1 ※同上

配偶者の法定相続分に応じた相続税額=5,000万円×1/2×税率15%-控除額50万円=325万円

配偶者の法定相続分は2,500万円(=5,000万円×1/2)ですので、速算表に当てはめると税率は15%、控除額は50万円となります。

上記の要領でひとりひとりの法定相続分に応じた相続税額を計算し、それを合計した額が、相続税の総額です。少しややこしいですが、その相続税の総額を、法定相続分ではなく実際に相続した割合で計算した額が、それぞれが納めるべき相続税額となります。

参照元:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」、「No.4152 相続税の計算」、「No.4155 相続税の税率

マンションの評価額の算出方法

相続税の算出の基礎となる評価額の算出方法を解説します。マンションの場合は、土地部分と建物部分に分けて評価したうえで、評価額を合算します。

土地部分の評価額

土地部分の評価額の算出には、国税庁が公表している路線価を用います。路線価にマンション全体の敷地面積をかけて全体の評価額を出したうえで、相続したマンションの持分割合をかけ合わせて個別の評価額を算出します。持分割合は登記事項証明書で確認可能です。

マンションの土地部分の評価額=路線価×マンション全体の敷地面積×持分割合

路線価20万円の道路に面した敷地2,000㎡のマンションで、持分割合が50分の1だった場合、評価額は次のように計算できます。

マンションの土地部分の評価額=20万円×2,000㎡×1/50=800万円

建物部分の評価額

建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額を用います。固定資産税評価額は、固定資産税納税通知書の家屋の部分で確認可能です。なお、固定資産税評価額は、公示価格の80%程度とされています。

マンションを相続しても相続税が発生しないケースもある

マンションを相続しても相続税が発生しないケースもある

マンションを相続したといっても、相続税が必ずかかるということではありません。ここでは、相続税が発生しないケースを解説します。

基礎控除の範囲内なら相続税は発生しない

相続が発生しても、基礎控除額を上回らなければ相続税を納める必要はありません。基礎控除額は以下の計算式で算出します。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、妻と子2人の合計3人が相続する場合、基礎控除額は4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)となります。

相続税評価額が基礎控除額を下回る場合、申告の必要もありません。

参照元:国税庁「相続税のあらまし」1.相続税の申告が必要な人とは

配偶者控除や小規模宅地等の特例による控除もある

相続税を計算する際、基礎控除以外にも、相続税の負担を軽減できる特例があります。主な特例は、配偶者控除と、小規模宅地等の特例です。

配偶者控除は、被相続人の配偶者が取得した遺産額が、1億6,000万円までまたは配偶者の法定相続分相当額までは相続税がかからないという制度です。

小規模宅地等の特例は、被相続人が自宅や事業に使っていた宅地などについて、評価額を下げて相続税の負担を軽減する制度になります。例えば、被相続人が住んでいた宅地等の場合、330㎡部分までは評価額が80%減額されます。

いずれも相続人の負担を大きく減らす仕組みですが、基礎控除と異なり、適用するには相続税の申告が必要です。

参照元:

国税庁No.4158「配偶者の税額の軽減」No.4124「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

相続したマンションの活用方法は3つ!

相続したマンションの活用方法は3つ!

相続したマンションを空き家のまま放置するのはおすすめしません。換気をしないと室内に湿気がこもって劣化が進んだり、水道を使用しないと排水管からの悪臭の原因になったりします。

管理費や修繕積立金、固定資産税といった固定費も家計を圧迫するでしょう。この章では、マンションを有効活用するための「住む」「貸し出す」「売却する」という3つの方法を解説します。

相続したマンションに住む

相続したマンションに以前から住んでいる、あるいは、愛着があって他人に貸したり売ったりできないケースでは、自ら住むことを選ぶ方が多いでしょう。

実際に暮らす場合にはまず、物件の管理状況を点検します。過去の修繕履歴や、現在の管理体制、修繕積立金の残高などを調べ、問題ないか検討してください。次に、資産価値の確認を行います。マンションの立地や近隣施設、現在市場に出ている物件の状況などを基に、相続した物件の資産価値が維持されるかを確認しましょう。

築年数が経過しているマンションの場合、耐震基準を満たしているか、直近で大規模修繕が必要ないかなど、中長期でのライフプランに影響する要素もチェックが必要です。

相続したマンションを貸し出す

相続したマンションを手放す気はないが、住む予定もない場合には、賃貸に出すという選択肢が考えられます。

賃貸することで、空き家となり劣化するリスクを軽減できるうえ、家賃収入で管理費や修繕積立金をカバーできるのが大きなメリットです。近隣の家賃相場や相続した物件の強み、維持費や将来のリフォーム費用などを考えておくことで、計画的な賃貸運営を実現できるでしょう。

相続したマンションを売却する

マンションを相続した場合の3つ目の選択肢が、売却することです。住む予定がなく空き家にしていると劣化が進む可能性があるうえ、管理費や修繕積立金の支出なども負担となります。賃貸に出す場合は、家賃収入を得られますが、入居者からのクレームや、設備の補修や退去時には原状回復などのコストも必要になるでしょう。売却することで、こうした手間と負担を回避できます。

相続したマンションを売却したい!どうする?

相続したマンションを売却したい!どうする?

前章で指摘したとおり、相続したマンションをめぐっては「住む」「貸し出す」「売却する」の3つの選択肢がありますが、ここでは、売却する場合の流れについて詳しく解説します。

売却は相続が完了してから

マンションを売却する場合は、まず、相続を完了させることが大切です。マンションを売ろうとしても、相続で問題が生じている状態では売却できません。注意が必要なのは、マンションを兄弟姉妹など複数名で相続し、共有している場合です。共有名義の不動産を売却する場合は、全員の合意が必要になります。

ひとりでも反対する方がいれば売却できない事態になるため、可能なら不動産は単独名義としておくのがおすすめです。時間が経過すると相続人が代替わりし、コミュニケーションが困難になるケースも少なくありません。重要なのは売却を進める前に、すべての相続問題をクリアにしておくことです。

不動産会社に査定してもらい買取先を探す

相続の手続きが完了したら、マンションを不動産会社に査定してもらい、買取先を探します。査定は、物件の現在の市場価格を正確に把握するために重要です。

物件価格は、部屋の状態、立地、近隣の環境、相場などさまざまな要因によって決まります。適正価格を把握するためにも、査定は1社に絞るのではなく、複数の不動産会社に依頼してください。複数に依頼することで、各社の販売スタンスやサービスの比較も可能となります。

買い手は簡単に見つからない場合もあります。特に、老朽化したマンションや、耐震性などで問題を抱えている物件、利便性の低下したケースなどでは、一般向けの売却が難しいこともあるでしょう。そのような状況では、不動産会社による買い取りも視野に入れることをおすすめします。

買い取りとは、不動産会社に買い主を探してもらうのではなく、そのまま買い取ってもらう方法です。通常より割安になる可能性がある半面、比較的短期間でスムーズに売却できるメリットがあります。

売却するなら早めに手続きしよう

マンションを相続しても住んだり貸したりする予定がないケースでは、日常の多忙さから物件の手続きを後回しにしてしまいがちです。しかし、時間が経過するほど、維持費の負担は増大します。物件は空き家でも、維持管理費や固定資産税・都市計画税の支出を求められる一方、日々の劣化や周辺環境の変化により、資産価値が低下する恐れもあります。このようなデメリットを放置しないためにも、売却を決めたら早めに手続きをするのがベストです。

マンションの売却は数日で終わるものではありません。査定の依頼、適切な不動産会社の選定、契約手続きなどに一定の時間が必要です。早めに手を打つことで、スムーズに手続きを進め、最適なタイミングでの売却を実現できるでしょう。

相続したマンションの対応にお困りなら、専門家に依頼するのがおすすめです。「セゾンの相続 相続不動産の有効活用」なら、老朽化した空き家を相続した場合や、遠方の物件を相続した場合など、個別のお悩みに対応した適切な支援が得られます。ご相談は無料です。不動産に精通したプロフェッショナルをご紹介でき、それぞれの事情や希望に沿った解決策を提案できる「セゾンの相続 相談不動産の有効活用」をぜひご活用ください。

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おわりに

相続によりマンションを取得した際、「住む」「貸し出す」「売却する」といった選択肢があります。住んだり、貸したりする予定がない場合は、維持管理の手間等を踏まえ売却するのが現実的です。複数の不動産会社に査定を依頼して適切な価格を把握したうえで、迅速な売却を実現させてください。

相続したマンションの処分にお困りなら、専門家に相談するのがおすすめです。空き家として放置すると、コストがかかり、資産価値も低下してしまいます。問題を先送りにせず、早めの判断と行動を心がけましょう。

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