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遺産分割協議に応じない場合その相続人にどのような対処をしたら良い?

遺産分割協議に応じない場合その相続人にどのような対処をしたら良い?
セゾンのくらし大研究 編集部

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相続人間の関係が良好なので遺産分割協議は簡単に成立すると考えていませんか。
遺産分割協議では、話し合いの場になっても相続人の方が応じてくれないと思わぬ争いに発展することがあります。
実際に遺産分割協議を進めている方もそうでない方も、協議成立の必要性やトラブル内容を知っておくと、もしものときに有効な対策ができます。

この記事を読んでわかること

  • 一部の相続人の方が参加していない場合は原則として遺産分割協議が無効となる
  • 遺産分割協議書に応じない相続人がいると協議成立まで相続手続きに入れない場合がある
  • 遺産分割協議を成立させることができなければ裁判所の調停や審判で決着をつけることになる
  • 相続人間で話し合いをするとトラブルになってしまう場合でも事前に専門家に相談して回避することができる場合がある
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相続人が遺産分割協議に応じてくれない!どうなる?

相続人が遺産分割協議に応じてくれない!どうなる?

ここでは、遺産分割協議書について相続人のひとりが遺産分割協議に応じないケースについて説明します。

そもそも遺産分割協議とは?

相続が発生した際、遺言書がない場合は、遺産の分け方を相続人全員の話し合いで決定します。この話し合いのことを遺産分割協議といいます。

相続が発生しても遺産の分け方が決まっていない場合、不動産など遺産の種類によっては全ての相続人の相続分に応じて共有状態となります。そして相続人全員の共有となった財産は、相続人全員の同意がないと売却できないなど不都合が生じる場合があります。

そのため、通常は相続が発生すると相続人全員の遺産分割協議で遺産の分け方を決定し、それぞれの相続人の個別事情に応じて遺産を承継していくことになります。

遺産分割協議に応じない相続人がいるとどうなる?

原則として一部の相続人の方が参加していない遺産分割協議は無効となります。また、遺産分割協議は協議内容について全員の意思が一致しないと協議は成立せず、多数決などは認められません。

そのため、遺産分割協議書に応じない相続人がいる場合は全員の意思が一致しているとは判断できず、協議が成立となるまで相続手続きに入れないといったケースがあります。

遺産分割協議に応じない理由

遺産分割協議には原則として相続人全員で成立させなければなりませんが、中には相続人が相続の協議に応じないケースもあります。

以下では、相続人のひとりが遺産相続に応じない理由として主なものを見ていきます。

相続人の間でもともとトラブルがあったから

相続発生以前から相続人の間でトラブルがあったため、協議に応じたくないといったケースがあります。

例えば、以前の相続で遺産分割協議による遺産の分け方について兄弟間の折り合いがつかず、相続で嫌がらせを受けたと感じた兄弟の一方が、「遺産相続には応じない」「相続争いに疲れた」などと言って相続手続きに協力しないといったケースです。こうした相続人間のトラブルは根深く、遺産相続をきっかけに兄弟が絶縁状態となってしまう場合もあります。

遺言書の内容に納得がいかないから

亡くなった方が遺言書を作成していれば、遺産分割協議をしなくても遺言内容のとおりに相続することができます。

しかし、遺言が特定の人物に都合の良い内容となっていれば、他の相続人が「遺言書は無効だ」などと主張して争いとなり、遺言書が無効になれば遺産分割協議を行うことになりますが、一度争いが発生してしまうと相続の協議にも応じないといったケースが少なくありません。

以前婚姻関係にあった家族とトラブルがあったから

亡くなった方に離婚経験があって前妻との間に子どもがいた場合、前妻の子どもは相続人になります。

しかし、亡くなった時点における家族は「前妻の子どもに遺産を渡したくない」と考え、前妻の子どもに連絡を取らないことがあります。連絡がなければ、前妻の子どもは父親が亡くなったことすら知らず、遺産分割協議書をもらえないといった困った状況も生じます。

このように相続人が相続の発生そのものを知らないため、遺産分割協議に応じないケースもあります。

分割しにくい財産があるから

相続財産が不動産のみで、その不動産に一部の相続人が住んでいる場合、その相続人が遺産分割協議に応じないケースがあります。

例えば、父親の不動産に子どもが暮らしているとします。父親が亡くなり相続が発生すると、子どもは相続人となり、他にも相続人がいた場合、子どもは他の相続人と遺産分割協議をすることになります。

しかし、他の相続人が、「家を売却した代金で公平に遺産を分けよう」などと提案をすると、子どもを家から追い出すことになってしまい、相続人間で公平な遺産分割協議を求めにくいといった状況が生じるのです。

寄与分を主張したいから

亡くなった方の介護で特別な貢献をしていた相続人に、他の相続人よりも相続財産を多く承継できる制度を「寄与分」といいます。

寄与分が認められるためには亡くなった方に「特別の寄与」をする必要があり、単に「介護を続けてきた」というだけでは認められず、扶養義務のある方が介護をするのは特別ではないと判断されてしまうこともあります。

そうすると、「一生懸命に介護をしてきたのに納得できない」との不公平感から、介護をしてきた相続人の方が寄与分を主張して協議による遺産相続に応じないといったケースもあります。

遺産分割協議に応じない…そのまま放置した場合のリスク

遺産分割協議に応じない…そのまま放置した場合のリスク

遺産分割協議に一部の相続人が応じようとしない場合、放置しておくとさまざまなリスクがあります。

ここでは、遺産分割協議が成立しない場合の危険性を解説します。

相続財産の隠ぺいや使い込みが起きる可能性がある

遺産相続を長引かせるうちに、相続財産の隠ぺいや使い込みが起きる可能性があります。

通常であれば相続が発生して遺産分割協議が行われ、協議内容どおりに相続手続きを進めることになりますが、協議が成立しないまま長期間が経過すると、「後でお金を戻せば問題ない」と考えた相続人の使い込みや、「そもそも遺産は少なかったことにしよう」と独り占めを考えた相続人の隠ぺい行為などが起こってしまうケースがあります。

相続放棄ができなくなる

亡くなった方に借金などのマイナス財産があって相続人が相続したくない場合、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出することで相続放棄をすることができます。

この相続放棄は、原則として亡くなった事実を知ってから3ヵ月以内の期間に行う必要があり、この期間を熟慮期間といいます。

何も手続きをしないまま熟慮期間が過ぎた場合、相続人の方が、亡くなった方のプラスとマイナスの財産の全ての財産を承継する単純承認という状態になるので、遺産相続を長引かせると相続放棄ができなくなってしまうケースがあります。

相続税の延滞税がかかることも

遺産分割協議が進まず相続の手続きができないということは、相続税も支払えないといった危険があります。

相続税は亡くなった事実を知った日の翌日から10ヵ月以内に申告と納税をする必要があり、期限までに遺産分割協議が成立しなければ相続財産は未分割となって法定相続分に応じた額を支払う必要があります。

しかし、支払いにあてる資金準備ができず未納になると、無申告加算税といった延滞税がかかるケースもあります。

相続財産の処分ができない

遺産分割協議が進まないと相続財産の処分ができないというリスクがあります。

不動産を所有者が亡くなった場合、遺産分割をするまでは不動産は各相続人の共有状態となります。共有状態の場合は各相続人の持分に応じて登記されることになりますが、各相続人が共有している不動産は、原則として共有者全員の合意がなければ売却や解体などの処分ができなくなってしまいます。

例えば、老朽化で解体が必要な不動産などは倒壊して周辺住民に迷惑をかけてしまうといったリスクもあり、共有している不動産が原因で損害賠償請求を受けてしまうケースがあります。

次の世代に先送りになる

遺産分割協議を放置した結果、次の世代に争いの種を残すケースもあります。

相続財産の名義変更には期限があるものもあり、2024年4月1日からは、不動産の相続登記についても所有権の取得を知った日や協議から3年以内の手続きが相続人の義務となり、義務違反には過料も定められています。

協議が成立せず、こうした相続手続きをしないまま次の相続が発生した場合、次の世代の手続きで難易度が高くなり、次世代のトラブルを発生させてしまうことにもあるのです。

遺産分割協議に応じない場合の対処法

遺産分割協議に応じない場合の対処法

遺産分割協議に相続人が応じてくれない場合はどうすればよいのでしょうか。

ここでは協議に応じない場合の対処法について説明します。

弁護士に相談する

相続人の方と顔を合わせたくない、話し合いをすると感情的になってしまうなど、相続人同士でトラブルになるので遺産分割協議ができない場合は弁護士に依頼して話し合いをすることも可能です。弁護士は相続人の方の代理人として遺産分割協議に参加することができます。

相続人の方に代わって弁護士が対応することで、相続人間で話し合いをするとトラブルになってしまうとい危険を回避することができます。弁護士に相談して話し合いを進めることは、相続人の方が遺産分割協議に応じない場合の対処法になるのです。

遺産分割調停を申し立てる

相続人の方が遺産分割協議に応じない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。

遺産分割調停は、相続人の一部の方が遺産相続について何も言ってこないケースなど、遺産の分割について相続人間で話し合いがつかない場合、調停委員が間に入って相続人の方の事情を聴いたりアドバイスをしたりする手続きになります。

相続人の方のみでは全く意見がまとまらなかったとしても、調停委員が入ることで相続人全員が協議成立に前向きとなり、全員一致まで進むことも少なくありません。

審判手続きを行う

遺産分割調停が不成立となってしまった場合はどうなるのでしょうか。調停不成立となった場合は遺産分割審判をすることになります。

遺産分割審判とは、相続人の間の話し合いではなく、各相続人の方が主張や資料を提出して、裁判所に遺産分割内容を決定してもらう手続です。

遺産分割審判は必ずしも全ての相続人の方の出席が必要ではありませんので、一部の相続人の方が全く話し合いに応じようとしない場合は有効な手段となります。

遺産分割協議について専門家に相談するメリット

遺産分割協議について専門家に相談するメリット

ここでは、遺産分割協議について専門家に相談することのメリットとして、以下の3つを説明します。

  • 冷静な話し合いができる
  • 調停などの手続きに進む場合もスムーズ
  • 法的根拠をもとにしたアドバイスを受けられる

冷静な話し合いができる

相続人同士で遺産の分け方について話し合いをすると、亡くなった方の身近で献身的に尽くしてきた相続人の方や、疎遠となっていた相続人の方など、相続人の方の個別事情によって意見の衝突が発生することが少なくありません。

こうした当事者同士のみでは感情的になりやすい状況であっても、弁護士など第三者が介入することで落ち着いて話し合いができるケースもあります。

調停などの手続きに進む場合もスムーズ

遺産分割調停や審判の手続きに進んだ場合であっても専門家がいればスムーズに進みます。

相続人間で争いとなり、たとえ一部の相続人に調停の呼び出しを無視する可能性があったとしても、弁護士がいれば代わりに出席することができます。また、専門家には守秘義務があるため、他人に口外されることもなく相談がしやすいといったメリットもあります。

法的根拠をもとにしたアドバイスを受けられる

遺産分割協議は、話し合いがまとまれば終わりではなく、複雑な権利関係が交錯するため、遺産を公平に分割するには多角的な検討が必要となります。

この点、専門家であれば正確な財産調査や証拠資料の収集はもちろんのこと、過去の判例なども検討して専門的な判断をしてくれるので、法的根拠にもとづいた最善のアドバイスを受けることができます。

どこに相談したら良いのか迷ったら「セゾンの相続」へ相談を

どこに相談したら良いのか迷ったら「セゾンの相続」へ相談を

遺産分割協議はさまざまな法律関係や事実関係が錯綜し、全ての相続人の方が納得いく形で成立させるのは、かなりの労力が必要となります。また、内容が繊細なため、誰にも相談できずに悩みを抱えてしまうことも少なくありません。

「セゾンの相続 相続手続きサポート」では、相続手続きに強い司法書士と提携しており、安心して手続きを進めることができます。

戸籍の収集、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更や預金の解約など、相続の専門家である司法書士とともに、相続手続きをトータルでサポートしています。ぜひ、「セゾンの相続 相続手続きサポート」に相談してみてはいかがでしょうか。

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おわりに

遺産分割協議の場面では、それぞれの相続人の方の個別事情によって意見の衝突が起こることも少なくありません。

これまで相続財産の内容には触れずに生活してきたご家族やご親族の方であれば、なおさら協議の成立が難しくなります。話がこじれる前に専門家に相談しておくのも、相続手続きの有効な方法です。日頃から、将来の相続や遺産分割についての話し合いをしておくことが、もしものときの相続手続きでは重要となってくるのです。

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