家族が亡くなったときに葬儀を取り仕切る喪主。喪主はやるべきことが多い反面、何をすればいいのかわかりづらいものです。「家族を失った悲しみに浸る時間もない」と話す方もいます。いざというとき困らないように、いつ何をすべきか整理しておくのがおすすめです。ここでは、喪主の役割や喪主としてのやることリスト、喪主挨拶のマナー、喪主の負担を軽くするサービスを紹介します。
(本記事は2023年12月11日時点の情報です)
この記事を読んでわかること
- 喪主は葬儀の最終決定権を持つ方で、故人の配偶者や子どもが務めるのが一般的
- 喪主は故人の死後、葬儀社の決定、通夜、葬儀、葬儀後を取り仕切る
- 喪主挨拶は簡潔に、参列者へのお礼と今後のお力添えを交えて故人のエピソードなどを話す
- お布施の相場、香典返し、お骨上げなど地域によって慣習が大きく異なる場合がある
喪主ってどんな役割?
喪主は葬儀を取り仕切る方のことです。葬儀社を決め、いつどこで葬儀を行うのか、また葬儀の細かい取り決めなどについて決定権を持ちます。
かつては家長が務めるのが一般的だった喪主ですが、昨今では故人の配偶者や子どもなど、関係性の深い方から選出する場合が多いようです。
一般的には故人の配偶者、長男、次男以下の直系の息子、故人の長女、次女以降の娘、故人の両親、故人の兄弟姉妹という順位で決めます。また、喪主を誰がやるかについて故人の遺言がある場合は遺言が優先されます。
喪主の「やることリスト」
ここからは実際に喪主の「やることリスト」を紹介します。
1日目〜ご臨終から納棺まで〜
ご臨終から納棺までを説明します。
葬儀社の決定
家族が亡くなると、悲しみの中、まず葬儀社を決定しなければなりません。病院や介護施設で亡くなった場合、遺体安置所に置いておけるのはわずか数時間です。早急に家族の誰が喪主を務めるか決め、葬儀社を選定し遺体の搬送をお願いしましょう。
また、死亡届の提出に必要な死亡診断書を医師に書いてもらう必要があります。
遺体の安置
遺体は自宅や葬儀場に安置します。遺体をどこに安置するか決め、搬入経路を確保しましょう。遺体の搬送や安置、枕飾りの準備など、必要なものは葬儀社ですべて行ってもらえます。
葬儀社との打ち合わせ
葬儀社とプランや内容、費用を打ち合わせ、参列者の規模や葬儀について詳しく決めます。一般葬として多くの参列者を募るのか、家族葬にするか、また、祭壇、棺桶、骨壺、戒名、遺影、返礼品やお供えの花、霊柩車、通夜ぶるまいや精進落としの内容も決めなければなりません。
家族や予算と相談し、故人の意向があれば沿うようにして葬儀の形をまとめましょう。
また、葬儀社は家族に代わって死亡届や火葬許可証の手続きを行ってくれます。葬儀社が用意した書類に記入し、提出をお願いしましょう。
訃報の連絡
葬儀の詳細が決まったら、故人の知人や関係者に知らせます。電話やメールで連絡を入れ、葬儀の案内を文書やメールで送るのが一般的です。この際、故人の名前、享年、亡くなった日、通夜や葬儀の場所と日時、葬儀の形式、喪主の名前、間柄、連絡先を伝えましょう。
遺影や供物の準備
次に遺影や供物を準備します。供物は葬儀社に注文する方法と、供物の専門店などに頼む方法があります。
遺影は故人が準備したものがあればそれを使います。ない場合は使えそうな写真を探し、葬儀社に渡します。遺影は故人の人柄がうかがえ、できるだけカメラ目線のものを選びましょう。なるべく最新の写真が望ましいです。
服装や背景は葬儀社で加工してくれる場合もあるため、背景などが気になる場合は葬儀社に相談してみましょう。
2日目〜通夜〜
ここからは通夜で喪主がやるべきことを紹介します。
会場や当日の流れの確認
通夜当日、会場設営や準備は葬儀社に任せ、喪主は葬儀社のスタッフや遺族と共に司会者との打ち合わせや細かい参列者の席順、供花を並べる順番、弔電を読む順番を確認します。また、遺族の誰かに受付を頼むなど役割分担を済ませ、通夜の流れと会場の様子を確認しておきましょう。
僧侶に挨拶
喪主は通夜の前に到着した僧侶を出迎え、挨拶をします。このとき読経や戒名をお願いしたお礼として、お布施をお渡ししましょう。お布施の金額の相場は、戒名の位や宗派、地域によって異なるため、葬儀社や年配の親族に相談して決めるのがおすすめです。
弔問者の対応
喪主は弔問に来た方へ、故人に代わって参列のお礼を伝えます。また、通夜でも弔問客に対して挨拶をする場合があります。
その際は告別式同様、カンペを見ても良いとされ、同じ内容でも問題ありません。ただしお通夜の場合は告別式の時間や場所を案内し、故人の具体的なエピソードなどは告別式にとっておいて短めに済ませるのがおすすめです。
通夜ぶるまいの開催
通夜が済んだら「通夜ぶるまい」として、故人と親しかった弔問客や僧侶にお酒や食事をふるまいます。通夜ぶるまいは故人とこの世で最後の食事を共にするという意味を持ち、僧侶や参列者への感謝を表す儀式です。
通夜ぶるまいの最後は、喪主がお礼の挨拶を行って締めくくります。喪主や遺族は見送りに出ず、座ったまま挨拶をするか目礼をして見送りします。
近年では通夜ぶるまいを簡略化する傾向も多くなってきました。折詰や酒を差し上げて、通夜ぶるまいの代用にするケースも増えています。
3日目〜告別式から火葬まで〜
ここからは、告別式から火葬まで喪主のやるべきことを紹介します。
弔問者の対応
告別式では、喪主は弔問客と話し参列してくれたことへのお礼を伝えます。弔問客への対応は、喪主が何よりも優先して行うべきことです。受付や式の準備は葬儀社や親族に任せ、弔問客に丁寧に対応しましょう。
喪主挨拶
葬儀の結びに喪主挨拶を行います。1~3分程度が目安の短い挨拶ですが、生前の故人の様子と共に参列者へのお礼を伝えましょう。
お骨上げ
葬儀の後は火葬場へ移動し、火葬をしてもらいます。火葬が済むと故人の遺骨を骨上げ箸で拾い上げ、骨壺に収める儀式「お骨上げ」を行います。
お骨上げを行うのは一般的に喪主→遺族→親族の順です。どの骨をどういった順番でどの程度拾うかは、地域の風習によって異なります。お骨を収めた骨壺は喪主が持ち帰ります。
お布施を渡す
僧侶など宗教者へのお出迎え、お布施や御車代、御膳料のお渡しは喪主の仕事です。お布施は奉書紙に包むか、市販の白封筒やお布施と書かれた封筒に入れてお渡しします。封筒を選ぶ場合は2重になっているものや郵便番号付きのものは避けましょう。
封筒の表にはお布施、下段には喪主のフルネームか苗字を書きます。お布施の文字には黒墨の筆や筆ペンを利用しましょう。
奉書紙で包む場合は中に包んだ紙の表側に、封筒の場合は裏面にお布施の金額を書き入れます。金額は「金三萬円也」のように旧字で記載します。
お布施の相場は一般的に100,000円~500,000円といわれ、いただいた戒名のランクによって100,000円~100万円前後上乗せする場合があります。
ただし、地域の慣習や宗派、寺院などによって異なるため、不安な場合は事前に年配の親族や葬儀社のスタッフに相談してみましょう。
葬儀後
ここからは葬儀後に喪主がすべきことをまとめました。
葬儀費用の清算
葬儀を終えると、後日葬儀社から費用について明細書が送られてきます。あらかじめ決めておいた支払い方法で速やかに対応しましょう。
死亡したことの通知
葬儀後なるべく早いタイミングで故人と親交のあった方へ、故人が亡くなったことを知らせるハガキや封書を出します。故人の氏名と年齢、死亡した理由と日時、故人との続柄、葬儀を執り行った日と葬儀を無事に終えたことを記載しましょう。
近年は家族葬や近親葬が選ばれることも増え、生前お世話になった方へのお礼などもこの手紙で伝えることが多くなっています。
香典返しの手配
香典返しは、葬儀に参列した方や香典をいただいた方へお返しをすることです。四十九日法要を終えて1ヵ月前後に郵送で送るのが一般的とされています。いただいた金額の半分をお返しする半返しを目安に、香典返しの品を選びます。
最近では即日返しと呼ばれ、葬式当日に香典返しをお渡しすることも増えてきました。即日返しの場合は2,000円~5,000円の品を送ることが多いようです。
香典返しは地域の風習によるところが大きく、北海道では昔から地域の風習として即日返しが一般的です。香典返しを受け取らない風習のある地域や、忌明けの時期を繰り上げる地域もあります。お住まいの地域ではどういった香典返しが一般的なのか、葬儀社のスタッフに確認してみましょう。
初七日法要の執り行い
初七日(しょなのか)法要は故人が亡くなって7日目に行う法要です。法要は四十九日まで初七日、二七日(ふたなのか)、三七日(みなのか)…と四十九日まで7日ごとに7回行われます。
しかし、近年は住まいが遠方であったり、仕事の都合があったりと集まるのが難しいケースが多く、初七日を葬儀と同じ日に繰り上げて済ませる場合も増えています。
葬儀の喪主は初七日法要でも引き続き喪主を務めることが一般的ですが、難しい場合などは法要ごとに喪主を立てることも問題ありません。
お墓の手配
骨壺をどこに収めるか、お墓をどうするか考えるのも、喪主の仕事のひとつです。故人の意向があれば沿うような形で納骨します。納骨の時期に決まりはありません。一般的には四十九日の法要後や一周忌明けに納骨することが多いようです。
喪主挨拶に関するマナー
ここでは告別式の喪主挨拶のマナーを紹介します。
挨拶文作成時のポイント
喪主は、告別式で参列者への感謝を伝えるための喪主挨拶を行います。喪主挨拶を考えるうえで大切なポイントは簡潔に伝えることです。葬儀は出棺の時間が決まっており、挨拶が長くならないように注意します。
内容は、故人との関係を含めた簡単な自己紹介、参列者へのお礼、生前故人へ賜った厚意への感謝、故人の生前エピソード、遺族への今後の力添えのお願いの5点を含めるようにするといいでしょう。
使用禁止の忌み言葉
喪主挨拶では不幸が重なるとされる忌み言葉や重ね言葉などを避けます。代表的な重ね言葉はたびたび、重々、いよいよ、ますます、もう一度、再びなどです。
忌み言葉は追って、続いて、消える、浮かばれない、忙しい、生きていたころなどです。忌み言葉は宗教によって異なるため、葬儀社にチェックしてもらうといいでしょう。
挨拶する際のポイント
喪主挨拶は大勢の前で行うため、緊張するかもしれません。あらかじめ原稿を準備し、頭が真っ白になっても困らないように対策するのがおすすめです。
早口になったり、涙が出たりすることもありますが、参列いただいている高齢の方も聞きやすいように声のトーンを少し下げ、ゆっくりはっきりと話すことを意識しましょう。
喪主に関するQ&A
最後に、喪主に関してよく検索されている疑問を解説します。
喪主はひとりでするもの?
喪主はひとりで行うイメージがあるかもしれませんが、2人以上の複数人で行ってもよいとされています。弔問客対応や葬儀の手配など役割を分担し、協力して葬儀を執り行えるメリットがあります。
喪主は挨拶時にカンペを持っていても良いの?
喪主挨拶は出棺やお通夜、通夜ぶるまい、告別式など多くのタイミングで挨拶をしなくてはなりません。
そのためカンペを見ても失礼に当たらないとされています。大切なのは挨拶文を覚えて話すことではなく、参列者に故人の代わりとして生前の感謝を伝えることです。緊張してしまいそうな方は、簡単なカンペを用意しておきましょう。
喪主なし葬儀でも良いの?
近年では身寄りがなくひっそりと亡くなった方の葬儀など、喪主のいない葬儀も増えています。また、家族葬など小規模な葬儀で参列者がほとんどいないような場合は喪主がいなくても構いません。
しかし葬儀社との打ち合わせなどでは、遺族の代表者として喪主を立てた方がやりとりをスムーズに進められるでしょう。
喪主や遺族の負担を軽減するには?
家族が亡くなって喪主になれば、悲しみの中、あらゆる葬儀の段取りをこなさなければなりません。呆然とした状態で、葬儀にかかる費用までしっかりと考慮できる方は多くないでしょう。
喪主や遺族の負担を軽減するため、生前から葬儀にかかる費用を積み立てたり、葬儀社をあらかじめ決めたりしていざというときに備えておくのがおすすめです。
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おわりに
喪主はやるべきことが多く、責任重大です。何をすればいいのかわかりにくく、疲れてしまう方も多いでしょう。喪主を務めることになった場合はいつ何をやればいいのか整理し、家族や親族の力も借りながら遂行するのがおすすめです。また、いざというときに喪主や遺族の負担を軽減するサービスもあります。心配な方はこうしたサービスも検討してみましょう。