急に必要になることの多い葬儀費用ですが、100万円以上の大きな出費になってしまいがちです。故人の最後を見送るためとはいえ、高額なので驚く方も多いでしょう。それでは、高額な葬儀費用を抑えるためにはどうしたら良いのでしょうか。今回は葬儀にかかわる費用を安く抑えるポイントをお伝えしていきます。葬儀費用にお悩みの方は参考にしてください。
(本記事は2023年12月11日時点の情報です)
この記事を読んでわかること
- 最も高額になりやすいのは従来のスタンダードな一般葬で平均144万5,252円
- 一番費用を抑えられるのが直葬・火葬式で平均350,894円
- 費用を抑えるためには葬儀会社を比較検討しプランの内訳を見直すことが大切
- 葬儀費用を格安にして周囲の理解を得られないなど、トラブルになる恐れもあるので注意が必要
葬儀にかかる費用はどれぐらい?
そもそも葬儀にかかる費用の相場はどれくらいなのでしょうか。葬儀社の一括見積もりを行っている「安心葬儀」による調査を見ていきましょう。
調査は2022年9月から10月にかけて、3年以内に葬儀の喪主経験のある方1,983名を対象に、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・愛知の6都府県で実施されました。その結果によると、2020年から2022年における葬儀の平均費用は949,949円でした。
2020年は新型コロナウィルスの影響もあったため、葬儀の規模や費用が少なく済んだのではと思うかもしれません。しかし、密を避けるために大ホールを使うことになったり、衛生管理費がプラスになったりと、葬儀費用はかえって高額になったというケースもあるようです。
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種類ごとにみる葬儀費用の目安
このように、思いがけないことで費用がかさみがちな葬儀ですが、葬儀の種類によっても費用が異なります。
そのため、安く済ませるには葬儀の種類を検討することが費用を抑えるひとつの方法です。ここからは、安心葬儀のアンケート結果と併せて、葬儀の種類ごとに葬儀費用の目安を確認していきましょう。
一般葬
一般葬は従来のスタンダードなお葬式といえます。基本的に通夜と告別式が2日間で執り行われ、告別式の後に火葬場で火葬が行われます。
通夜・告別式は職場関係者や友人など、故人にゆかりのあった方に参列してもらうため、会葬者を身内に限定しません。想定される人数は50名から300名となり、葬儀にかかる費用も他の葬儀方法に比べ高額になる傾向があります。
また、安心葬儀のアンケート結果によると、一般葬の総額平均費用は144万5,252円でした。葬儀の規模が大きくなると、参列者の人数分の香典返しや返礼品費用が必要になります。同時に、通夜振る舞いや精進落としといった会食でもてなす機会もあるため、その分会食接待費も高額になるでしょう。
家族葬
安心葬儀による調査では、一般葬を選択した方が13.8%だったのに対して家族葬は57.6%となり、最も選ばれている葬儀方法は家族葬という結果になりました。
家族葬は文字どおり、家族を中心とした葬儀スタイルですが、親せきや親しい知人・友人なども含む20名から30名の少人数で行う葬儀を指します。安心葬儀のアンケートによると、家族葬の総額平均費用は100万1,801円となっており、参列者が少ない分費用も抑えられていることがわかります。
コロナ禍では、特に葬儀による感染リスクを懸念して葬儀の規模が縮小されることも多くなりました。コロナ禍より前の調査をみても、家族葬を選ぶ方の割合が多くなっています。近年は、故人が高齢で友人知人があまりいないことや、家族の負担軽減を考慮する傾向があることから、家族葬を選ぶ方が増えているのでしょう。
一日葬
一日葬とは、一般葬で執り行われる通夜法要をなくし、告別式の一日だけで行う葬儀です。家族葬のように参列者は制限せず、故人にゆかりのある方が広く参加できますが、葬儀が一日のみとなるため、参列者が一般葬に比べて少なくなります。
安心葬儀によるアンケートでは、一日葬の葬儀平均費用は837,702円という結果でした。2日間行う一般葬や家族葬に比べ、一日のみの葬儀となるため会食費用や参列者の宿泊費用が抑えられるでしょう。
ただし、一日葬は従来の通夜・告別式・火葬式という流れに沿わないため、菩提寺によっては断られる可能性もあります。
直葬・火葬
ご紹介した葬儀のうち、一番安い葬儀方法といえるのが直葬・火葬式です。通夜や告別式を行わず、火葬場へご遺体を直接運び、火葬式のみ執り行います。
僧侶を呼び、火葬炉の前でお経をあげ、故人にお別れします。シンプルな葬儀方法となるため、安心葬儀によるアンケートでも葬儀平均費用は最も少ない350,894円という結果でした。特に近年では、新型コロナウィルスの感染リスクの削減や静かな葬儀が好まれる傾向から、一般葬よりも直葬を選ぶ方も増えています。
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葬儀費用を安く抑えるポイント
葬儀の種類以外にはどのように葬儀費用を抑えられるのでしょうか。ここからは葬儀費用を安く済ませるポイントをお伝えしていきます。
複数の葬儀会社を比較検討する
葬儀費用は葬儀プランや葬儀会社によっても異なります。葬儀を執り行う式場の規模によっても、一般葬向けなのか家族葬向けなのかで差があるため、セレモニーホールや葬儀社など複数の見積もりや資料を取り寄せて比較検討するのがおすすめです。
ただし、見積もりを取り寄せたり比較検討したりするためには時間が必要になります。生前に決定しておくとスムーズですが、故人がお亡くなりになってから決める場合は、親族で手分けすると良いでしょう。
葬儀費用の内訳を見直す
葬儀の費用には供養にかかわる祭壇や棺、遺影写真等以外にも、以下のような費用が含まれます。
【葬儀の費用の内訳】
- ご遺体の搬送費
- ご遺体の安置費用やドライアイス代
- 通夜振る舞いや精進落としなど会食接待費
- 参列者への返礼品や香典返し
- 通夜・告別式を執り行う斎場の使用料
- 寺院へのお布施や僧侶のお車代・お膳料 など
この他にも、遠方の火葬場へ搬送する場合やご遺体を洗い清める湯灌、死化粧などによって追加費用が発生するケースもあります。
葬儀会社から提示される葬儀費用の内訳を確認し、祭壇の種類や料理などのランクを再検討するなどして葬儀の費用を見直しましょう。ただし、お布施や返礼品などは、あまり値切り過ぎるとマナー違反となるおそれもあるので注意してください。
それでも葬儀費用が捻出できない場合は?
葬儀会社を比較検討したり、費用の内訳を見直したりしても葬儀代が支払えない場合はどうしたら良いのでしょうか。ここからは、葬儀費用が捻出できないときの対処方法についてお伝えしていきます。
受け取る香典でまかなう
葬儀の際に受け取る香典は、基本的に葬儀費用の負担を補うためにあてられることが多くあります。規模の小さい家族葬でも、親族など故人に近しい関係の方が多く集まれば香典額が高くなる場合もあるでしょう。
このような場合は、葬儀費用より香典額が多くなる可能性もあります。ただし、参列者の人数や故人との関係性、葬儀の形態などにより金額に変動があるため、必ずしも香典で葬儀費用のすべてをまかなえるわけではありません。
自治体による葬儀を利用する
自治体が提携した葬儀会社が監修している市民葬や区民葬を利用すれば、費用を抑えた葬儀が可能です。葬儀内容は通常の葬儀会社が行う葬儀とあまり変わりませんが、公民館や市営斎場など自治体が所有している場所が会場となります。
また、必要最低限のプラン内容となっているため、基本メニュー以外は追加料金となる場合があり、注意が必要です。
生活保護世帯は福祉葬が利用できる
生活保護を受給している方の場合、葬儀費用を支援するための葬祭扶助制度があります。葬祭扶助制度とは、生活保護を受給している方が亡くなった場合に、故人の搬送・火葬・納骨費用といった最低限の費用が自治体から支給される制度です。
ただし、福祉葬が利用できるのは故人と喪主どちらも生活保護を受けていることが条件になります。喪主となる方が費用を支払える場合は制度の対象外です。
健康保険や組合などの補助金制度を活用する
葬儀後に手続きを行うことで、葬儀にかかった費用の給付金を受け取れる制度もあります。例えば、国民健康保険の加入者であれば、自治体によって50,000円ほどの受け取りが可能です。
また、各共済組合の被保険者であった場合、埋葬料や埋葬費が給付されます。どちらも申請しないと受け取れないため、忘れないように注意しましょう。
相続される財産から支払う
故人の遺産を相続する方が葬儀費用を支払う場合、相続する遺産から支払うことが可能です。葬儀費用は相続財産から控除することができるので、相続税対策にもつながります。
ただし、葬儀にかかる費用がすべて控除の対象となるわけではありません。墓石・墓地の購入や香典返しにかかった費用、初七日など法要にかかった費用は控除の対象外となるため注意してください。
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葬儀費用が安いからこそのトラブルに注意!
葬儀費用を抑えるポイントをお伝えしてきましたが、葬儀費用を安くすることによってトラブルに発展してしまうおそれもあります。事前に確認して注意しておきましょう。
故人の友人や知人から不満が出る
葬儀は故人との最後のお別れの機会となります。直葬や家族葬など限られた参列者で葬儀を執り行うことで、参列できなかった方などからきちんとお別れができなかったことへの不満が出る恐れがあります。
また、従来は一般葬が主流であったため、特に高齢の方からは「ちゃんとお葬式をしてあげないなんて」と理解されづらいかもしれません。周囲に納得してもらうためにも、しっかりと話をしておきましょう。
葬儀会社に適当な対応をされてしまう
特に直葬は葬儀会社にとって利益が少ない葬儀方法といえます。そのため、コストを削減するためにサービスが簡略化されるなど、充分なサービスが受けられない可能性もあるでしょう。
また、葬儀社との事前の打ち合わせが足りず、火葬式当日にトラブルになってしまうなどのケースもあります。簡易的であれ、故人との大事なお別れの場となるため、事前の準備や打ち合わせは抜かりなく進めましょう。
葬儀後の請求が高額になってしまう
葬儀自体を格安に抑えられても、葬儀後に式以外の費用を水増しして高額な請求をする悪質な葬儀会社もいます。また、葬儀費用が大幅に抑えられる直葬ですが、プランの内容や付随するサービスは葬儀会社によって異なります。
特に、急に葬儀を考えなくてはいけない場合は支払う金額だけに目がいきがちですが、内訳をしっかりと確認するようにしましょう。
お寺が直葬を認めていない場合がある
直葬を行う場合、式を行わないために正式な葬儀として菩提寺に認められず、納骨を受け入れられない場合もあります。
直葬を行うのであれば、お墓のある菩提寺に事前に相談しておくのが安心です。読経や戒名だけでもお寺に依頼するというのも良いでしょう。
家族に心配をかけないために葬儀の準備をしておこう
葬儀方法を考えたり安い葬儀会社を比較検討したりと、葬儀費用を抑える準備には時間が必要になります。家族に葬儀の際のお金について心配をかけないためにも、事前に準備しておくのがおすすめです。
「セゾンの相続 お葬式サポート」では、遺族に負担をかけずに自分らしい葬儀をするためのお手伝いをしています。葬儀に強い専門家への無料相談や最適なプランの提案を受けられ、気になる葬儀費用にも毎月の掛け金を積み立てられる互助会が用意されています。
葬儀の場合は格安のパッケージや会員料金が用意されているため、ご遺族の負担をさらに軽減できるでしょう。葬儀費用が気になる方はプロへ相談してみてはいかがでしょうか。
おわりに
葬儀費用は葬儀方法や葬儀会社、プランによって大きく異なります。しかし、葬儀を安く済ませようと複数社から見積もりを取り寄せたり、葬儀方法を家族で相談したりするにはある程度の時間が必要です。いざというときに時間が足りず充分に検討できなかったという事態にならないよう、生前のうちから葬儀について考えておくのが安心でしょう。今回の記事を参考に、葬儀費用を抑えるための方法について考えてみてはいかがでしょうか。