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不動産の登記は自分でできる?必要書類や費用をチェック

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セゾンのくらし大研究 編集部

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不動産登記という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。手続きには費用がかかるため、可能であれば自分で行いたいと考えている方もいるでしょう。そこでこの記事では、そもそも不動産登記とは何か、種類や必要となるケース、自分でできる不動産登記についての必要書類や費用、流れについて紹介します。自分で手続きしようと検討中の方は参考にしてください。

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不動産の登記の基礎知識

不動産

土地や戸建、マンションなどの不動産を売買するときに、必ず必要となるのが登記です。一言で「登記」といってもさまざまな種類があります。ここでは不動産登記の基礎知識について紹介していくので、参考にしてください。

不動産の登記とは

不動産登記とは、対象の土地や建物が誰のものなのかをはっきりさせるために行われるもので、その不動産がどのようなものか、誰が所有しているのか、その不動産で誰が何をしていたのかなどが記録されたものです。法務局を通じて登録し、対象となる不動産の権利や義務等を誰もが閲覧できる制度になっています。

不動産登記は主に、「建物の新築・増築・取り壊し」「住宅ローンの利用・完済・借換え」「不動産の購入・相続・売却・贈与」のタイミングで必要になります。もし、不動産登記の制度がなければ、対象となる土地の所有権を誰もが主張できるようになり、真の所有者が不明の状況で不動産取引が行われる恐れがあります。

こういった事態を防ぎ、不動産取引を円滑に行うためにも、不動産登記は重要な役割を担っているのです。

不動産の登記の種類

不動産登記にはさまざま種類がありますが、大きく分けると主に4つの登記があります。それぞれ簡単な例とともに見ていきましょう。

建物表題登記

「建物表題登記」は「表示登記」とも呼び、一般的に新築の建物が完成した際に、建物登記記録の「表題部」を新たにつくる登記です。不動産登記は大きく分けると「表題部」と「権利部」があり、表題部には不動産の現状について記録されています。

土地の場合は、所在・地目・土地面積について、建物の場合は、家屋番号・建物の種類や構造・床面積などについて記載されています。表題部の登記は、建物の完成から1ヵ月以内の登記申請が必要です。

所有権移転登記

「所有権移転登記」は、不動産を売買・相続・贈与したときなど、不動産の持ち主が新所有者に変わるときに行われる登記です。

所有権移転登記を行うことで、対象の不動産の所有権が新所有者に移転し、新所有者は第三者に対して、不動産の所有権を主張することが可能となる対抗力を持ちます。不動産の所有権の移動をしっかりと記録することで、不動産の権利は今誰が持っているのかが明確になるのです。

所有権保存登記

「所有権保存登記」は、建物を新築した場合など、まだ登記がされていない不動産に対して、初めて所有者として設定する登記です。そのため最初の所有者しか行わない登記になります。所有権保存登記を行う場合は、不動産登記上の「権利部」の甲区(所有権に関する登記)の一番上に、所有者の住所や氏名、新築日付などを記載します。

この登記を行うことで、対象となる不動産の所有権を、第三者に対して対抗することができるのです。

抵当権設定登記・抵当権抹消登記

抵当権とは、不動産を住宅ローンなど借金の担保とし、もし借金が返せなかった場合に担保としていた不動産を売却して、その売却利益から借金が回収できる権利です。「抵当権設定登記」は、不動産に抵当権を設定する登記になります。

「抵当権抹消登記」は、借金を完済したときに設定済みの抵当権を抹消する手続きです。抵当権は自動的に抹消されるものではないので、借入金の全額返済、住宅ローンの完済が済んだら、必ず抵当権抹消登記を行いましょう。

不動産登記は自分でもできる?

登記申請書

不動産登記の手続きは地味に費用がかかりますよね。登記の種類によっては、自分でできるケースと自分でやるのは難しいケースがあります。それぞれのケースを見ていきましょう。

自分でできる不動産登記

自分でできる不動産登記としては、「所有権移転登記」が挙げられます。ただし、所有権の移転理由によっては、新所有者との間で利害関係が生じる可能性や、自分で手続きを行うことに同意を得られない可能性もあるでしょう。

関係者間で信頼関係を築けている場合に、自分で手続きができると思っていたほうが良いです。

自分では難しい不動産登記

住宅ローンを組む場合の「抵当権設定登記」は、自分で行うには難しい不動産登記になります。抵当権設定登記を自分で行う場合、金融機関との共同申請となり同意が必要になりますが、金融機関側のリスクが高いため許可が下りないのです。

住宅ローンとしてお金を貸しつけて、さらに担保として不動産に抵当権を設定する重大な手続きを、お金を借りる側に任せることは、リスク管理上難しいというのが理由になります。万が一、手続きの不備や悪意ある手続きによって、担保設定ができなかった場合、多大な損害を被るのは金融機関です。

そのため、「抵当権設定登記」については、特に第三者に依頼することをおすすめします。

所有権移転登記が必要なシーンを解説

書類

自分でもできる「所有者移転登記」ですが、登記を先延ばしにするとトラブルにつながるケースもあるのです。ここでは、所有者移転登記が必要なシーンを紹介しつつ、考えられるトラブルの例についても触れていきます。

不動産の売買をしたとき

不動産の売買が行われたときは、売主と買主の双方で所有権移転登記を行います。実際には、不動産会社が司法書士に依頼して、売主と買主の双方の代理人として行うケースが多いです。また、所有権移転登記の手続きは所有権を得た後1ヵ月以内に行わなければならないと定められています。

悪質な売主で、買主からお金を受け取っているのにもかかわらず、移転登記を行わないで別の買主に売却され登録されると、自身の所有権を主張できなくなるからです。トラブル防止のためにも、司法書士を通して正しく所有権の移転登記を行うのが安心でしょう。

不動産の贈与を受けたとき

親や親族が存命の間に、不動産を譲り受けた場合も所有権移転登記が必要です。生前に贈与を受けた場合、移転登記を行わないケースが見受けられます。しかしこのままにしておくと、贈与した親や親族が亡くなったときにトラブルが発生するのです。

例えば、贈与を受けた方に兄弟姉妹がいると、自分以外に兄弟姉妹の相続の権利が発生します。自身が譲り受けた不動産だから売却しようと思っても、親の名義のままではすぐに売却できません。贈与した方が亡くなってからの名義変更には、すべての相続人の同意が必要になります。

さらに「所有権は自分にもある」と主張する方が出てきてしまうと、話が複雑になる可能性もあるのです。親族間の贈与は口約束になることがよくありますが、トラブルを防ぐためにも書面で贈与契約を結び、所有権移転登記を済ませると良いでしょう。

不動産の相続をしたとき

親や親族が死亡した後に不動産を相続する場合、不動産の所有者が相続人に変わるため、所有権移転登記が必要になります。

売買や贈与では移転登記を行っていないと、所有権の争いになったときに不利になりますが、相続の場合は移転登記をしていなくても、法律で定められた相続分に関しては、所有権を主張できるのです。ただし相続人が死亡してしまうと、その子どもに相続が発生し複雑になるため、先延ばしにしないほうが良いでしょう。

近年では、移転登記を済ませていないことで、所有者不明の不動産が増えて問題となっており、2024年4月1日からは相続登記が義務化されます。

不動産の所有者が被相続人となり相続が発生したときには、不動産の所有権を取得した子どもは「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内」に不動産の所有権移転登記の手続きをしなければなりません。

相続に関する所有権移転登記は、「遺言書」「遺産分割協議」「法定相続」などによって対処法が変わるので確認しましょう。

不動産の財産分与をしたとき

離婚時は2人で築いた資産を平等に分け合うことが基本的ですが、建物は分割できません。そのため、共同持分になっていた自宅をどちらかの単独名義にするケースがあります。この場合、不動産の名義人が変わるので、所有権移転登記が必要です。

例えば、夫の所有権になっている自宅を妻がもらい、移転登記を行わないままでいると、妻が自宅を売却したくても取り引きできません。さらに夫が第三者に不動産を売却し、その購入者が先に所有者移転登記をしてしまうと、妻自身の所有権が失われてしまいます。

離婚から時間が経ってからでは、相手が名義変更に応じてくれない可能性もあるため、離婚が成立したら早めに所有者移転登記を行いましょう。

所有権移転登記の方法を解説

ポイント

自分で所有権移転登記を行う場合、どのように進めたら良いのでしょうか。ここでは、必要な書類や手続きの流れ、移転登記にかかるおおまかな費用について解説していきます。

所有権移転登記に必要な書類

所有権移転登記は、売買や贈与など状況によって必要な書類が変わります。一覧にしたので、ぜひ参考にしてください。

【所有権移転登記に必要な書類】

所有権移転登記に必要な書類

所有権移転登記の流れ

自分で所有権移転登記を行う場合は下記の手順で行います。

  1. 法務局のWEBサイトから「所有権移転登記」の申請書をダウンロードしましょう。
  2. 申請書を作成し、必要書類を用意します。
  3. 書類の準備が整ったら、法務局に提出。法務局では、申請書類を受理したあと、内容の審査を行います。修正箇所や書類の不備があった場合は、申請者に連絡がくるので、指示に従って不備を解消しましょう。
  4. 登記が完了すると、「登記完了証」と所有権移転後の「登記識別情報通知書」を受け取ります。窓口で受け取る場合は、身分証明書を持参しましょう。郵送で受け取りたい場合は、申請書類を送るときに、返信料金分の切手を貼った返信用封筒を同封すると、登記完了後に郵送してもらえます。

所有権移転登記にかかる費用

所有権移転登記にかかる費用には、「登録免許税」という国に支払う税金や、必要書類である戸籍謄本の取得などの費用があります。

登録免許税は、登記の種類や対象となる不動産がもつ固定資産税評価額によって変わります。売買による所有権移転登記の場合は、土地と建物それぞれの固定資産税評価額の2.0%です。相続の場合は、固定資産税評価額の0.4%、贈与・財産分与の場合は、固定資産税評価額の2.0%になります。

戸籍謄本や印鑑証明書、住民票の写しなどの取得にかかる費用は、自治体によって金額が異なりますが、1通当たり300~750円です。戸籍謄本は1通450円程度で必要な部数によって金額が変わりますが、全部でおおよそ5,000円と見ておくと良いでしょう。

登記手続きを司法書士に依頼する場合は、別途報酬が必要になります。司法書士によって報酬額は変わりますが、所有権移転登記の場合は50,000~100,000円が相場です。

所有権移転登記を自分で行う際の注意点

専門家

所有権移転登記を自分で行う際は、なるべく早く申請しましょう。所有権移転登記には、法的な義務はなく、期限も決まっていません。申請をしなかったからといってペナルティもないです。そのため、不動産の売買から数年後に手続きすることも可能ですし、相続した不動産を亡くなった方の名義のまま何十年も過ぎているケースもあります。

しかし、所有権移転登記をいつまでも先延ばしにしていると、売却したいタイミングに売却できなかったり、不動産売買で売主名義が変わっていなければ、別の方に売却されたり、と思わぬトラブルに遭う可能性もあるのです。

また、都市計画税や固定資産税の請求は、登記上の所有者のもとにいくので、不動産の持ち主はすでに別の方になっているものでも、移転登記が行われていないと不動産の税金を支払わなくてはいけないという不都合が生じます。こうした事態を避けるために、不動産の所有権が変わった場合は、早急に所有権移転登記を行いましょう。

また、前述したとおり、2024年4月1日から相続登記が義務化される点についても認識しておくことが重要です。不動産の所有者に相続があったときは、相続により不動産の所有権を取得した相続人は「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内」に不動産の所有権移転登記をしなければなりません。

難しい登記は専門家に依頼を

相続

所有権移転登記の手続きのように、自分でできる不動産登記手続きもあります。自分で行うと司法書士へ支払う費用が必要ないというのがメリットといえるでしょう。

しかし、不動産登記手続きには不動産登記法といった法令に基づいて行う必要があるため、専門知識が必要になります。また自分で手続きを行う場合は、必要書類を作成したり、各所から取り寄せたりと手間が掛かる部分もあるでしょう。難しい登記については、専門家に依頼することをおすすめします。

セゾンの相続 相続手続きサポート」では、不動産登記の経験豊富な提携専門家のご紹介が可能です。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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おわりに

不動産登記には種類があります。今回は、自分で手続きができる登記として「所有権移転登記」について詳しく紹介しました。不動産売買や贈与、相続、財産分与など、さまざまなシーンで必要になる所有権移転登記ですが、速やかに手続きすることが重要です。原則、自分で書類を作成し、書類を取り寄せて送るだけの簡単な流れになっていますが、難しい登記の場合は専門家に依頼することを心に留めておきましょう。

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