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葉酸が身体にもたらす効果は?相性抜群の栄養素や摂取時の注意点も解説

葉酸が身体にもたらす効果は?相性抜群の栄養素や摂取時の注意点も解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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妊娠や出産経験のある女性になじみ深い「葉酸」。普段はあまり意識することがないかもしれませんが、実は性別や年齢を問わず美容や健康に欠かせない栄養素のひとつです。今回は、葉酸とはいったいどのような働きをもつ栄養素なのか、また、どのように摂取すると良いのか、葉酸の基本からおすすめの摂取方法までをお届けします。葉酸を上手に摂取して、美しく健康的な生活を目指しましょう。

葉酸とはそもそもどのような栄養素?

1.葉酸とはそもそもどのような栄養素?

まずは栄養素としての葉酸について見ていきましょう。

葉酸とは?

葉酸はビタミンB群の1種で、プテロイルモノグルタミン酸とその派生物の総称です。ビタミンB12と一緒に赤血球をつくる役割をもつため、別名「造血のビタミン」とも呼ばれています。ちなみに、ほうれん草の抽出物から発見されたことが「葉酸」という名前の由来です。

食品の中では、葉酸は大半がポリグルタミン酸型として存在しています。体内で消化酵素によりモノグルタミン酸型に変換され、小腸から吸収されます。

葉酸が多く含まれている代表的な商品

葉酸が多く含まれている食品には、次のようなものがあります。主に藻類・肉類・野菜類・卵類・乳類・豆類・嗜好飲料類に多く含まれています。

藻類肉類野菜類卵類乳類豆類嗜好飲料類
焼きのり
乾燥わかめ
あおのり
真昆布
あおさ
干しひじき
鶏レバー
牛レバー
豚レバー
枝豆
モロヘイヤ
パセリ
ブロッコリー
アスパラガス
ほうれん草
切り干し大根
鶏卵
うずら卵
ブルーチーズ
カマンベールチーズ
チェダーチーズ
プロセスチーズ
ヨーグルト
きな粉
納豆
豆乳
玉露茶
煎茶
紅茶

葉酸に期待できる効果は?

2.葉酸に期待できる効果は?

葉酸は造血のビタミンとお伝えしましたが、実は他にも多くの働きをもっています。ここでは、葉酸の働きについて詳しくご紹介します。

葉酸は身体作りに欠かせない成分!

葉酸には、DNAやたんぱく質の生合成を促進する働きがあります。この働きは細胞の生産や再生に役立ちます。また、葉酸は代謝にも深い関わりがあり、身体づくりに欠かせない大切な栄養素です。

美肌ケアにもぴったり

肌荒れにはビタミンといわれるように、ビタミンB群である葉酸も肌をケアするさまざまな働きがあります。

葉酸は細胞の再生や代謝などに関わりがあることから、美肌ケアにぴったり。例えば肌のターンオーバーを促す働きにより、肌荒れなどからの早い回復が見込めるでしょう。また、肌のくすみにも効果が期待できます。何だか顔全体がくすんで暗く見える、目元のくすみがメイクではカバーできない、といったときは葉酸の出番。葉酸を積極的に取り入れることで、明るくハリのある健康的な肌を取り戻すことができるでしょう。

白髪対策にもおすすめ

葉酸はヘアケアにも使える優れもので、特に白髪予防の効果が期待できます。これには、葉酸のもつ造血作用が深く関わっています。造血=白髪対策?と思う方も多いかもしれませんが、実は髪の毛の着色には血液が欠かせません。

髪の毛はメラニン色素によって着色されており、このメラニン色素はメラノサイトという細胞の中で生成されます。メラニン色素の材料はチロシンというアミノ酸で、メラノサイトにはこのチロシンが必要です。血液は、このチロシンを運ぶ役割を担っているのです。

葉酸が不足すると血液量が減ってしまうため、メラノサイトのチロシン不足に繋がります。そうなるとチロシンを材料として作られるメラニン色素が減ってしまい、着色されない髪の毛=白髪になってしまうのです。

認知症予防にも活用

あまり知られていない葉酸の活用法のひとつに、認知症予防があります。

認知症には、アミノ酸の一種であるホモシステインが関わっているといわれています。ホモシステインが増えると、脳の萎縮・骨粗鬆症・動脈硬化に繋がり、これらが認知症を招く原因になるのです。このホモシステインの分解には、葉酸が欠かせません。

特に葉酸の不足と動脈硬化の関係は深く、葉酸が不足すると分解されないホモシステインが蓄積されて血液をドロドロにしてしまい、動脈硬化に繋がります。動脈硬化は脳梗塞や脳出血の原因となり脳の血液の流れを悪くしてしまうため、若年性認知症やアルツハイマー病の発症に関係していると考えられています。

もちろん妊娠中にも重宝する!

葉酸といえば、妊婦をイメージする方が最も多いのではないでしょうか。これは、葉酸が赤ちゃんの成長に大きく役立つ栄養素であることに由来します。葉酸摂取をすすめる病院や産院もあるほどで、妊婦の間では大変ポピュラーな栄養素です。

葉酸は赤血球の生成や細胞分裂、DNAの合成に必要とされます。貧血になりやすい妊婦や、赤ちゃんの成長に欠かせません。また、葉酸には赤ちゃんの先天性異常である神経管閉鎖障害など、先天異常の発症リスクを軽減させる効果も期待できるそう。そのため、妊娠中はもちろん、妊娠を希望する女性は妊娠前から意識して葉酸を摂取することが好ましいといわれています。

葉酸は1日にどのくらい摂取すれば良いの?

3.葉酸は1日にどのくらい摂取すれば良いの?

葉酸は男女問わず大切な栄養素ですが、1日摂取推奨量というものが定められています。一般的な摂取推奨量と妊娠中推奨量では大きく量が異なるため、順番に見ていきましょう。

一般的に目安にしたい摂取量

一般的な葉酸摂取推奨量は、年代によって異なります。各年代による摂取量の目安は次のとおりです。12歳まで徐々に増加し、12歳以上は240μgとなっています。

葉酸の摂取推奨量(日/μg)

1~2歳3~5歳6~7歳8~9歳10~11歳12歳以上
90110140160190240

(参照元:「日本人の食事摂取基準」策定検討会 日本人の食事摂取基準(2020 年版)

妊娠中の場合の摂取量 

妊娠中はお腹の中の赤ちゃんの成長にともない多くの葉酸が必要です。

そのため、先程ご紹介した葉酸の摂取推奨量+240μg摂ることが好ましいといわれています。12歳以上の場合の摂取推奨量は240μgのため、合計480μgでちょうど2倍量となります。

葉酸の効果をより効率的に引き出す栄養素

葉酸は、別の栄養素と一緒に摂取することでより効率的に効果が得られると考えられています。具体的にはどのような栄養素がどのような働きを持ち、サポートをしてくれるのでしょうか。ここでは5つの栄養素をチェックしていきましょう。

ビタミンC 

肌のケアなど、美容に欠かせないビタミンCは皮膚や血管といった身体の主要なたんぱく質、コラーゲンをつくるのに必要不可欠な栄養素です。肌の健康を助けるとともに抗酸化作用があるため、細胞や組織を守る働きもあります。

葉酸と一緒にビタミンCを摂取すると、体内で活性化された葉酸を維持することができます。葉酸と同じく妊娠中や授乳中は多く摂取することがすすめられており、一般的なビタミンC推奨摂取量が1日当たり100mgに対し、妊娠中は110mg、授乳中には145mg摂取することが好ましいようです。

ビタミンCを含む食べ物には、ブロッコリー・菜の花・赤パプリカといった野菜や、いちご・柿・レモンなどの果物が挙げられます。

ビタミンB2

ビタミンB2は、たんぱく質や炭水化物、脂肪といったほとんどの栄養素の代謝をサポートし、エネルギーを生み出すために欠かせない栄養素です。皮膚や粘膜の健康維持にも役立つため、一定量以上含む食品では栄養機能表示されている場合もあります。

もちろん葉酸の代謝にも必要な存在で、一般的な1日のビタミンB2推奨摂取量は成人女性で1.2mgですが、妊娠中は1.5mg、授乳中には1.8mg摂取するのが好ましいようです。また、成人男性の場合は1.5~1.6mgの摂取が推奨されています。

ビタミンB2を含む食べ物には、とうもろこし・アスパラガスといった野菜や、うなぎ・サンマ・真ガレイなどの魚が挙げられます。牛乳や卵、レバーもおすすめです。

ビタミンB6

ビタミンB6は、たんぱく質を合成し血液や筋肉を作るのに欠かせない存在で、たんぱく質の代謝をサポートする働きもあります。また、体内で活性化された葉酸の代謝にも関係している栄養素です。

ビタミンB6が不足すると口内炎や皮膚炎が起こってしまうこともあるため、成人男性で1.4mg、成人女性で1.1mgの摂取が推奨されています。また、妊娠中は1.3mg、授乳中には1.4mg摂取するのが好ましいようです。

ビタミンB6を含む食べ物には、大豆・ひよこ豆といった豆類、鶏肉・牛レバーなどの肉類、マグロやカツオなどの赤身の魚などが挙げられます。

ビタミンB12

葉酸と協力して造血作用をサポートするビタミンB12。ヘモグロビンの生成に大きく関わっているため、不足すると貧血などを招いてしまいます。葉酸の代謝サイクルの最終段階において葉酸の再生成に関係する酵素の働きもサポート。神経機能を維持する役割もあります。

ビタミンB12は成人男性・女性ともに1日当たり2.4μgの摂取が推奨されています。妊娠中はこれに+0.4μg、授乳中には+0.8μg摂るのがおすすめです。

ビタミンB12を含む食べ物には、サンマ・アサリといった魚介類やレバーなどの肉類、卵も挙げられます。

亜鉛

ミネラルのひとつである亜鉛は、味覚の維持に大切です。この他、たんぱく質の合成や免疫機能・糖の代謝にも関係しています。葉酸と一緒に摂取することで、食べ物に含まれている葉酸を体内に取り込む酵素の働きをサポートします。

亜鉛は体内にも存在しますが、食事などからの摂取も必要な栄養素です。1日の推奨摂取量は成人男性で10~11mg、成人女性で8mgとされています。妊娠中は少し増やして10mg、授乳中には12mg摂ることがおすすめです。

亜鉛を含む食べ物には、牡蠣やタラバガニといった魚介類や牛肉、レバーなどの肉類が挙げられます。ごまやアーモンドといったトッピングにも使える食材であれば手軽に摂取できるでしょう。

葉酸を摂取する際の注意点

5.葉酸を摂取する際の注意点

ここでは、実際に葉酸を摂取する際に注意しておきたいポイントをご紹介します。

摂取不足、過剰摂取に気をつける

通常の食生活で葉酸が欠乏してしまうことはほとんどありません。しかし、欠乏状態が続くと造血機能が異常をきたしてしまい、この影響で巨赤芽球性貧血(悪性貧血)となってしまうことも。妊婦の場合はお腹の中の赤ちゃんの神経管閉鎖障害や無脳症のリスクが高まります。

また、積極的な摂取が好ましい葉酸でも過剰摂取には注意が必要です。通常の食生活においては過剰摂取の心配はありませんが、サプリメントで摂取する際は摂取量をよく確認しましょう。摂り過ぎてしまうと亜鉛の吸収を妨げる可能性がある他、ビタミンB12欠乏を引き起こし、神経障害の発見が遅れてしまう危険性があります。

葉酸を含む食材はできるだけ加熱せずに食べる

葉酸は熱に弱く、葉酸を含む食べ物を長時間加熱すると、葉酸の50~95%は破壊されてしまいます。そのため、食べる際にはできるだけ加熱しないほうが効率的に摂取できます。どうしても加熱する場合は、加熱時間をできるだけ短くしましょう。また、スープや汁物で食べるようにすると、栄養分を丸ごと摂れるためおすすめです。

食品と一緒にサプリメントで補うのもおすすめ

葉酸を摂取するには、食べ物から摂る方法とサプリメントで摂る方法の2つがあります。食べ物だけでは十分な量を摂れない場合、サプリメントを上手に使って不足量を補うと良いでしょう。

サプリメントで摂る場合は、できれば1日の中で複数回に分けて飲むことをおすすめします。葉酸は水溶性ビタミンのひとつであるため、体内に長く留まることができません。そのため、1日の中で複数回に分けて飲むと効果が期待できるといわれています。

また、飲むタイミングは食事と2時間は間隔を空けるのがおすすめです。食事によって葉酸の吸収が妨げられてしまう可能性があるのに加え、葉酸自体が吸収されるのに2時間程度必要とするためです。

葉酸のサプリメントを飲む際は、他の薬やサプリメントとの飲み合わせに注意しましょう。治療などで服薬中の方は、葉酸に限らず飲み合わせによってはトラブルに繋がってしまうこともあります。事前に主治医や薬剤師に相談してから飲むことをおすすめします。

また、葉酸のサプリメントの中には葉酸以外の成分を含む商品も少なくありません。他のサプリメントとの組み合わせ次第では特定の成分の過剰摂取に繋がったり、相性の悪い成分によって十分な効果が得られなかったりという場合も。摂取するサプリメントの成分をよく確認してから飲むようにしましょう。

おわりに

葉酸は妊娠中の女性だけでなく、すべての方にとって大切で必要な栄養素です。身近な食べ物でも摂取しやすく、サプリメントでも手軽に補えます。最近ちょっと不調だな、と思ったときに葉酸がサポートしてくれるシーンも多くあるでしょう。食生活に取り入れて健康的な毎日に役立てたい栄養素です。

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