近年、ダイエットの定番となっている糖質制限ダイエット。糖質制限ダイエットは手軽に始められるメリットがある一方、誤った方法で行うとリバウンドを引き起こしたり、健康に影響を及ぼしたりする可能性もあります。今回は糖質制限ダイエットに興味がある方に向けて、ダイエットを正しく実践できるよう、糖質制限ダイエット中に食べても良いものや正しい方法、注意点などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
そもそも糖質とはどのようなもの?
糖質とは、人間が活動するために欠かせない栄養素のひとつで、身体や脳を働かせるためのエネルギー源となる他、身体の修復にも使われる物質です。
エネルギー産生栄養素を構成する「たんぱく質・脂質・炭水化物」のうち、炭水化物は身体に吸収されてエネルギー源となる糖質と、吸収されない食物繊維で構成されています。つまり、炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質なのです。
糖質と混同しやすいもののひとつに「糖類」があります。糖質は細かく4つに分類することができますが、そのうちのひとつが糖類です。
糖類はさらに単糖類と二糖類に分けることができ、単糖類のひとつに「ブドウ糖」というものがあります。ブドウ糖は正式にはグルコースといい、脳のエネルギー源となりますが、摂取し過ぎると血糖値が高くなり、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病を引き起こす可能性があります。
一方で、先述したとおりブドウ糖は脳のエネルギー源となるため、不足すると注意力が散漫になったり判断力が鈍ったりする原因になります。
そのため、糖質制限ダイエットを行う際は、摂取する糖質の適量を知ることが大切です。
糖質制限ダイエットで食べて良いものは?
ご飯などの主食や、炭水化物などの摂取量を減らす糖質制限ダイエット。代わりに低糖質な肉類・魚介類・野菜などで栄養を補うことが大切ですが、ヘルシーで健康的に見える食品でも実は糖質が多く含まれていることがあります。ここからは糖質制限ダイエットで食べて良いものと、食べない方が良いものをそれぞれご紹介します。
糖質制限ダイエットで食べて良いもの
糖質が少ない食品としては、肉類・魚介類・卵・油脂類・きのこ類・海藻類・大豆などが挙げられます。肉類は牛サーロインや牛モモ肉、豚ロースや豚バラ肉、鶏ムネ肉、鶏モモ肉など、魚介類はあさりやイワシ、かつお、アジなどが低糖質な食材です。
えのきだけやしいたけ、ぶなしめじなどのきのこ類は低糖質に加え食物繊維も豊富なため、ダイエット中には積極的に摂りたい食材。また、大豆を原材料とする豆腐や納豆、おからなどもおすすめです。
糖質制限ダイエットで食べない方が良いもの
糖質が多く含まれている食品には、穀類・いも類・糖蜜類・一部の野菜や果物などが挙げられます。日本人の主食とも言える白米は、お茶碗1杯(150g)当たり約57gの糖質が含まれており、糖質ダイエットで推奨される1食当たりの糖質量(25~40g)を超えてしまいます。また、玄米やあわ、キビなどは身体に良いイメージですが、糖質量は白米と大差ないため注意が必要です。
野菜や果物は穀類より糖質が低いですが、食べる量には気をつけましょう。特に、さつまいもやじゃがいも、レンコン、ニンジンなどの根菜類、バナナやマンゴー、ブドウなどは糖質が多く含まれています。
糖質制限ダイエットで食べて良いものに肉類・魚介類を挙げましたが、ウィンナーやハム、ベーコン、さつま揚げ、ちくわなどの加工品は糖質が高いため避けた方が良いでしょう。
砂糖、白みそ、みりんなどの調味料、市販のドレッシングなどにも糖質が多く含まれているものがあるので、使い過ぎには注意が必要です。
糖質制限ダイエットのメリットとデメリット
近年定番となっている糖質制限ダイエットには、さまざまなメリットがあります。一方で、正しい糖質制限ダイエットの方法を知らなければ、体調不良などのデメリットが出てくることも。ここでは糖質制限ダイエットのメリットとデメリットをご紹介します。
メリットはこれ!
糖質制限ダイエットには以下のようなメリットがあります。
実践しやすく、栄養バランスも取りやすい
糖質制限ダイエットは、極端に食事制限をするのではなく糖質量のみを減らすダイエット方法であるため、手軽に実践しやすいでしょう。ご飯やパン、麺類などを控える代わりに肉類や野菜などを食べて栄養を摂るので、栄養不足や基礎代謝の低下なども防ぐことができます。
結果に出やすく、再挑戦しやすい
糖質制限を行うと、身体に今まで蓄積されてきた体脂肪や中性脂肪を分解してエネルギーを補うため、脂肪を燃焼しやすくなります。また、途中で挫折してしまっても糖質を制限するだけで良いので、再挑戦しやすいのもこのダイエット法の特徴です。
ダイエットなのに満腹感が得られ、ストレスが少ない
ただ食事を制限するダイエットと異なり、糖質制限ダイエットは食べても良い食品が多い点が特徴。満腹感を得ることができ、かつ、肉類などの食品は脂肪を含んでいることからゆっくりと消化され、満腹感が長く続きます。空腹感からくるストレスが少ないため、無理なく続けることができます。
デメリットはこれ!
糖質制限ダイエットは、方法を誤ると以下のようなデメリットが生じることもあります。
栄養が偏り、体調不良に陥る
肉類ばかり食べて野菜はあまり食べないなど、食事内容に偏りがあると栄養バランスが崩れてしまいます。また、糖質を完全にカットするような食事を続けると、脳に必要な栄養まで不足してしまい、頭痛やイライラ、倦怠感などのトラブルが起きやすくなります。
向き不向きがある
糖質制限ダイエットには向き不向きがあります。普段から糖質を多く摂り過ぎている方や、血糖値が高い方などは糖質を制限することで痩せやすくなりますが、もともとご飯や麺類、甘いお菓子などをあまり食べない方には向いていません。
糖質制限ダイエットの正しい方法をチェック!
ここからは、糖質制限ダイエットでより効果を出すための正しいダイエット方法や、ポイントをお伝えします。
主食の量を減らす
糖質制限ダイエットでは1日の糖質量を70~130g、1食当たり20~40gに抑えることが推奨されています。これを簡単に実践できるのが、毎食の炭水化物を減らすという方法です。
例えば、お茶碗1杯のご飯(150g)に含まれる糖質量は約57g、乾燥パスタ(100g)であれば約73.4g、うどん1玉(100g)であれば約63gです。1食で食べる量を半分に減らすことで、ご飯は約28.5g、パスタは約36.7g、うどんであれば約31.5gの糖質量の摂取で済みます。糖質制限ダイエットを始めるのであれば、まずは普段食べている主食の量を見直すことから始めてみましょう。
副菜をしっかり食べる
糖質制限ダイエットで主食の量を減らす際には、その分しっかりと副菜を食べるようにしましょう。
主食を半分にすることで、摂取カロリーも減ります。摂取するカロリーが大幅に減った状態が続いてしまうと、身体は普段の生活エネルギーを確保できなくなり、筋肉を分解してエネルギーを生産するようになるため、基礎代謝も低下してしまうのです。
このことから、糖質制限ダイエットで主食を減らした場合は、その分副菜をしっかりと食べて栄養バランスに配慮することをおすすめします。
たんぱく質をしっかり摂取する
筋肉量を増やし、基礎代謝を向上させるためにも副菜などでたんぱく質をしっかり摂取しましょう。
たんぱく質は、筋肉量の増加に必要なだけでなく、臓器、髪の毛、肌、爪などを作る材料になります。筋肉量を増やして基礎代謝を上げることで脂肪が燃焼しやすくなり、そこに運動を加えることで引き締まった美ボディが目指せます。
適度な運動を取り入れる
糖質制限ダイエット中は、1日当たりの摂取カロリーを落とさずに、栄養バランスの良い食事をしっかり食べることが大切です。ただし、食事制限だけでは効果が出づらい場合があるため、適度な運動を取り入れることでより効率的にダイエットをすることができます。
糖質は体内でエネルギーとして消費されますが、すべてエネルギーとして使われるのではなく、余った糖質は身体の中に蓄積されていきます。筋肉はこの余った糖質を消費してくれるため、筋トレや軽い運動で筋肉量を増やすことは、糖質の消費を促すうえで重要です。
糖質制限ダイエットを行う際に注意したいこと
糖質制限ダイエットを行う際にはさまざまな注意点があります。ここでは、糖質制限ダイエットを行う際に注意したいことについてご紹介します。
過剰な糖質制限は避ける
糖質制限ダイエットをしているからといって、ご飯を一切食べないなどの過剰な糖質制限は危険です。糖質は身体や脳のエネルギーになる栄養素で、脳が低血糖になることで頭痛やイライラなどのトラブルを起こす可能性があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、基礎代謝量を1日当たり1,500kcalとした場合、糖質の最低必要量は1日当たり約100gと推定されます。低血糖にならないためにも、極端な糖質制限は避け、最低限の糖質を摂取することが重要です。
また、無理な糖質制限はストレスの元にもなり、ダイエットを継続することが難しくなります。無理をして続けられなくなるのではダイエットの意味がないため、推奨される糖質の摂取量を参考にご自身のペースで行うことが大切です。
糖質以外の栄養を過剰摂取しない
糖質制限ダイエットの注意点として、糖質以外の栄養を過剰摂取することで、逆に太ってしまうということが考えられます。
これは「糖質以外であれば何をどれだけ食べても良い」「炭水化物でなければ食べ放題」と勘違いしてしまい、1日に摂取するカロリーが増えることが原因です。
糖質制限ダイエット中に食べても良いとされる食品には脂質が多い食品も多くあります。実は、これらは炭水化物よりも高カロリーなものも多いのです。1日の摂取カロリーを大幅にオーバーしてしまわないよう、食事量には気を付けましょう。
中~長期的に継続して行うこと
短期間で糖質制限ダイエットで結果を出そうとすると、どうしても栄養バランスが崩れやすくなります。また、突然糖質制限を行うと、突然変わった食生活に身体が順応しきれず、下痢や吐き気に見舞われることも。糖質制限は徐々に行い、1~2週間かけて1日当たりの糖質量をクリアできるよう食事内容を調整することがおすすめです。
短期的に行うことで食事が制限され、ダイエットがストレスになることもあります。最近ではコンビニなどでも低糖質なスイーツが販売されているため、たまには甘いものを食べてリフレッシュし、中~長期的にストレスをためないように継続すると良いでしょう。
また、目標を達成したからといって突然糖質制限を止めると、ご飯や甘いものへのセーブが効かなくなり、リバウンドを引き起こす可能性もあります。普通食に戻すときも徐々に糖質を身体に慣れさせるようにしましょう。
糖質制限ダイエットをしても痩せないときの対処法
糖質制限ダイエットを継続していると、「以前ほど体重が落ちなくなった」「痩せなくなった」ということがあります。これではダイエットのモチベーションが落ちてしまいますよね。ここからは、再び痩せるようになるポイントや対処法についてご紹介します。
カロリー計算を見直す
糖質を制限しているからといって、うっかり副菜やおやつなどを食べ過ぎていないでしょうか。上記でもご紹介したように、いくら糖質を制限していても、他の食品を食べ過ぎてしまうとダイエットには逆効果です。その場合はご自身にとっての適切なカロリーを計算し、食事の内容を見直してみると良いでしょう。
また、糖質制限ダイエットは、摂取するカロリーを減らし過ぎることもNGです。糖質を抑えつつ、ご自身にとっての適正カロリーは摂取できるよう、バランスの取れた食生活を心掛けましょう。
調味料を見直す
低糖質な食品を食べて糖質を制限しているつもりでも、調味料で糖質を摂取してしまっているケースもあります。例えば、みりんや白みそ、胡椒、料理酒、ウスターソース、ケチャップなどは糖質を多く含むため、使いすぎには注意が必要です。
とはいえ、調味料を使わないというのは難しいため、甘さを控えた和食中心の味付けや、砂糖の代わりに人工甘味料を使う、白みその代わりに赤みそや八丁みそを使うなどの工夫をすることで糖質をコントロールすると良いでしょう。
飲み物に気をつける
自動販売機やコンビニなどで気軽に買えるペットボトル飲料やジュース、アルコール類には多くの糖質が含まれているため、注意が必要です。
なかでも砂糖や異性化糖が多く入ったペットボトル飲料は、大量の糖質を摂取しやすく、血糖値の急上昇につながりやすいです。ペットボトルの飲料を買うときは、お茶や無糖の紅茶、コーヒーなどを選ぶと良いでしょう。
アルコール類では、梅酒や紹興酒などに糖質が多く含まれています。ビールや発泡酒、缶チューハイにも糖質が含まれており、少量であれば問題ありませんが、量が多くなると糖質量もその分増えてしまいます。アルコール類を飲むのであれば、ジンやウォッカ、ウイスキー、ブランデーなどを中心に、水やお湯、お茶、無糖のソーダなどで割って飲むのがおすすめです。
お休みの日を作る
糖質制限ダイエットを続けていくうちに、身体が糖質制限に慣れてしまい痩せにくくなることがあります。そんなときには、カロリーや糖質を気にせず、好きなものを食べる「チートデイ」を作ってみましょう。
「ダイエット中なのに本当に大丈夫?」と不安に感じるかもしれませんが、急にたくさんの糖質を摂取することにより、身体が「飢餓状態を抜け出した」と勘違いし、停滞期を抜けて再び痩せやすい体質に戻る場合もあります。
また、チートデイを作ることでストレス緩和や、不足していた栄養素を補うことができるといったメリットも。
ただし、頻繁にチートデイを作るとリバウンドを引き起こし、かえって太ってしまう可能性があるため、回数には注意をしましょう。
おわりに
私たちの身体にとって、重要な栄養素のひとつである糖質。摂取し過ぎると太ってしまいますが、反対に不足し過ぎても身体に悪影響を及ぼします。
糖質制限ダイエットは極度に糖質を制限してしまうことで、健康的に痩せるどころか、体調不良やストレスの原因となることもあります。正しい方法やメリット・デメリットをしっかり知り、適切な糖質量を摂取しながら無理なく継続していきましょう。