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【美容師が教える】白髪を染めない人向けにケア方法や手軽に隠せるアイテムを紹介

【美容師が教える】白髪を染めない人向けにケア方法や手軽に隠せるアイテムを紹介
栗栖 啓仁

監修者

栗栖 啓仁

銀座でスタイリストとして活動した後、テレビ・雑誌・広告などでのヘアメイクを担当する。国内外のショーを担当する傍ら、美容セミナーやメイクレッスンなども開催。化粧水の開発にも携わった経験があり、販売までのマーケティング業務も担当。現在は撮影関係のヘアメイクをしながら、広告・芸術・マーケティング分野で活動中。

白髪を染めることに、負担を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、白髪を染めない選択について​の​メリットやケア方法などを紹介します。​     ​白髪と上手く付き合い、白髪染めの手間から解放されたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

白髪に関する予備知識

白髪に関する予備知識

「白髪を染める」以外の選択肢について考えるうえで、白髪とは髪のどのような状態を指すのかを理解しておくことが大切です。以下では、白髪の原因と考えられる要素について解説します。

白髪が生える原因

そもそも髪本来の色は、白であることをご存じでしょうか。髪が生成される過程では、毛の根本に存在する色素細胞からメラニン色素という黒や茶色の色素が生成されます。この色素細胞で生成されたメラニン色素を髪が取り込むことで、黒や茶色に発色しているのです。

白髪は、色素細胞が消失したり働きが弱まったりすることで、メラニン色素が減少し、色素を持たないまま生えている状態です 。

白髪が生える要因

なお、色素細胞の消失や働きが弱まる理由については、未だ解明されていません。しかし、以下の要因が有力であると考えられています。

  • 遺伝
  • 加齢
  • ストレス

遺伝的に色素細胞がない場合や働きが弱い場合は、年齢にかかわらず白髪が出やすい傾向にあり、10~20代でも白髪が生える可能性があります。また、加齢やストレスによってメラニン色素の原料となるチロシナーゼ酵素の分泌が低下し、白髪になっているケースもあります。

40~50代が抱える白髪に対するお悩み

一般的に、30代後半から白髪が気になり始め、40代になって初めて白髪染めをする方が多い傾向にあります。40代になったからといって、ある日突然白髪が増えることはありませんが、年齢の節目に立った際、身だしなみを整えることを重視する気持ちから白髪染めを始めたという方は多いように思います。     

40~50代では男女を問わず「白髪が目立つと老けてみえる」「頻繁な白髪染めにはお金がかかる」「白髪染めの手間が面倒」など、白髪に関する様々な悩みを抱えている方が少なくありません。

一方で、「白髪染めをやめたいけれど、髪の根本部分の白髪が伸び放題で人に会うのは恥ずかしい」など、白髪染めをやめられない悩みも多く存在します。

白髪染めをしないメリット

白髪染めをしないメリット

白髪に関する悩みを抱える方に近年注目されているのが、白髪を染めない「グレイヘア」という選択肢です。白髪染めの手間や金銭的な負担が減るという側面もありますが、自然な白髪をヘアデザインの一部として受け入れ、魅力的な個性とするスタイルのことを指します。

白髪を染めないメリットとして、自然な髪色を楽しめる点が挙げられます。髪質によりますが、一般的には白髪染めをしないことで、髪は本来の健康的な艶やハリを保つため、洗練された印象を与えられます。

特に、全体的に白髪の多い人や部分的に白髪が集中して生えている方の場合、カラーデザインとして白髪を活かしたおしゃれなヘアスタイルを楽しめます。

芸能人でいうと、自然なグレイヘアで素敵なヘアスタイルの吉川晃司さんや近藤サトさんなど、真似をしたいという声も多く聞かれます。     

白髪染めをするデメリット

白髪をカバーする際、選択肢として白髪染めを選ぶ人が多い傾向にあります。しかし、白髪染めにはさまざまなデメリットもあります。

頭皮や毛髪にダメージを与えるリスク

アルカリカラーを利用した白髪染めには、アレルギー性皮膚炎のリスクがあるパラフェニレンジアミンやトルエン-2.5-ジアミンなどのジアミン系染料が用いられています。このジアミン系染料の成分に対してアレルギー性皮膚炎を起こすと、湿疹などの深刻な頭皮ダメージにつながるリスクがあります。

また、アルカリカラーを利用する際、高濃度の過酸化水素水を用いるのも髪がダメージを受ける要因のひとつです。強いアルカリ性の過酸化水素水は、髪へのダメージの要因となり、以下のような髪のトラブルを招く可能性があります。

  • 広がり
  • ぱさつき
  • 絡まり
  • 断毛

このように、頭皮や髪が薬剤によるダメージを受けてしまうことは、白髪染めの大きなデメリットといえます。

時間と費用がかかる

一般的に、髪の毛は1ヶ月で約1cm伸びるといわれています。つまり、白髪染めをしても1ヶ月後には根本だけが白くなったり、 新しい白髪が生えてくるため、再度白髪を染める必要が出てきます。

また、白髪の割合が多いほど、生え際の白髪は目立ちやすく、なかには2~3週間に1度の頻度で白髪染めが必要になる方もいます。

美容院で白髪染めだけを行った場合、施術時間はおおよそ1時間半ほどです。なお、ヘアカラー代として1回につき数千円の費用が発生します。「1度だけ」と考えれば小さな負担であっても、長く続くことを考えると大きな負担となります。

白髪を染める以外の選択肢

以下では、白髪を染める以外の選択肢について解説します。

白髪と共存する

本来のグレイヘアを楽しみ、白髪と共存しながら過ごす選択肢もあります。美しく育てたグレイヘアは成熟した魅力を感じさせます。

白髪があると老けて見えるのではないかと思われるかもしれません。ですが、無理をして若く見せようとするよりも、自然な状態を受け入れ、その状態をいかに美しく見せるかを工夫したほうが、ずっと魅力的かもしれません 。

例えば、白髪が一本もない黒々とした髪なのに手入れを怠って艶やハリのない髪の方と、白髪があっても髪の手入れを欠かさず美しいヘアスタイルを楽しんでいる方ではどちらのほうが魅力的に見えるでしょうか?

上品で清潔感のある印象は、髪の色よりも身だしなみやお手入れの影響のほうが案外大きかったりします。

ありのままの髪色で、今の自分ならではのヘアスタイルを楽しんでみるのもよいでしょう。

白髪を隠す

白髪は染めずに隠すという選択肢もあります。特に、白髪を一時的に隠せるヘアマスカラやヘアスプレーは、白髪の割合が多く目立ちやすい方におすすめです。

また、分け目や生え際などの白髪が目立ってしまう方は、「ポイントウィッグ」をかぶるのも良いでしょう。グレイヘアを育てている途中の方も、上手に白髪を隠すことでヘアスタイルを綺麗な状態で保てます。

白髪を活かしたヘアカラーリング

年代を問わず人気のアッシュ系カラーやベージュ系カラーは、赤みの強い日本人の髪色では発色しにくい色です。しかし、白髪のようにもともとの色素が少ない状態の髪であれば、透明感のあるアッシュ系・ベージュ系カラーを表現できます。

白髪だからといって、必ずしも白髪染めで色濃く染める必要はありません。また、近年では白髪の持つ色素の薄さを活かしてハイトーンカラーを楽しむ人が増えてきました。

また、全体的にハイライトのメッシュを入れることで白髪を目立たなくし、馴染ませるテクニックもあります。

個性的なヘアスタイルが好みの方は、白髪部分にヘアマニキュアを使って鮮やかなカラーリングのポイントメッシュを入れることもできます。ヘアマニキュアは、黒髪に塗布しても発色しにくいため、鮮やかなかカラーのポイントメッシュは、白髪だからこそ楽しめるカラーリング方法です。

以上のように白髪を活かす方法はさまざまにあります。美容師と相談しながら好みのヘアスタイルを模索していきましょう。

頭皮・髪へのダメージを少なく染めるには?

頭皮・髪へのダメージを少なく染めるには?

仕事の関係で明るい髪色にできなかったり、どうしても白髪を染めて過ごしたいと考えたりする方もいるでしょう。白髪を染める場合、なるべく頭皮や髪へのダメージを抑えるさまざまな工夫も大切です。

次に、頭皮や髪へのダメージを抑えながら白髪染めをするコツを紹介します。

ヘアマニキュア

白髪染めには、アルカリカラーを使用する白髪染めやおしゃれ染めの他に、酸性カラーを使用する「ヘアマニキュア」があります。

ヘアマニキュアとは、髪内部へ働きかけず表面にだけ色素を付着させて髪を染める薬剤です。そのため、ダメージやアレルギーの心配をすることなく白髪を染められます。

しかし、髪表面にしか染料が作用しないため、黒い髪を明るくすることはできません。基本は地毛の色に合わせた色味を白髪に着色するため、黒や濃い茶色がベースになります。

また、皮膚に付着すると肌が染まってしまいます。そのため、頭皮から少し離れた位置に薬剤を塗布します。白髪染めのように根本までしっかり染められないため、カラーの間隔として2~3週間に1度の染め直しが必要となります。

部分染め

白髪をしっかりと染めたい場合は、白髪染めを選択する必要があります。しかし、毎回髪全体を染めてしまうと、頭皮や髪にダメージが蓄積してしまいます。

白髪染めを継続する場合は、全体染めの後は部分染めをするなど、リタッチカラーを挟むことでダメージを抑えられます。毛先の染料の残り具合に合わせて、全体染めもしくは部分染めを選択すると良いでしょう。

白髪の進行を抑える頭皮ケア

老化に伴う白髪の進行を完全に停止させることは難しいものの、適切な頭皮ケアを継続することで「白髪が増えなくなった」「少なくなった気がする」といった効果が期待できます。

以下では、白髪の進行を抑える頭皮ケアについて紹介します。

頭皮の血流を改善する

色素細胞を活性化させるには、頭皮の血流改善が必要です。なお、頭皮は筋肉がほとんどないため、血流が停滞しやすい部位でもあります。

頭皮マッサージを行い血流が改善されることで、色素細胞を活性化させるための栄養を送り届ける効果が期待できます。

近年では、ヘッドマッサージ用の美容家電が販売されています。また、炭酸成分の入ったヘッドスパ専用フォームを使ってヘッドマッサージを行う炭酸スパや、インド式のヘッドスパ「アーユルヴェーダ」のメニューを取り扱う美容室やヘッドスパサロン、エステなども増えているため、頭皮の血流が気になる方は利用してみてください。

お店に通う時間がない方は、指の腹を使い、頭皮を動かすようにやさしくマッサージを行えば、自宅で頭皮の血流改善が期待できます。

メラニン色素を活性化させる食品を摂る

色素細胞は、チロシナーゼ酵素を原料にメラニン色素を生成します。チロシナーゼ酵素はチロシンという栄養から抽出されるため、チロシンを豊富に含むナッツ類や乳製品を食べることで、白髪の進行を抑えられるかもしれません。

また、髪の生成にかかわる毛母細胞を正常に働かせるために、亜鉛やたんぱく質を多く含む食材を食べることも大切です。ミネラルの一種である亜鉛は、髪の主成分であるたんぱく質の合成や細胞を正常に働かせる働きがあります。若々しく健康な髪が生えてくるように意識して摂取しましょう。

白髪を染めないという選択をした方の体験談

白髪を染めないという選択をした方の体験談

女性のお客様から「白髪染めが面倒なんだけど、良い方法はない?」と相談されたため、白髪を染めないグレイヘアへの移行をご提案しました。

白髪を染めない提案を受け入れてくださったものの、これまで白髪染めをしていた髪をそのまま伸ばすと、伸びてきた白髪が目立ってしまうことに抵抗があるようで、随分悩んでいらっしゃいました。

そこで、まずは3ヶ月間ヘアマスカラを使って、白髪を隠しながら髪を伸ばすことをご提案しました。生え際とつむじ部分にヘアマスカラを使って自身で着色する必要があるため、少し心配しておりましたが、それほど負担にはならなかったようです。

その後、ある程度髪が伸びたところで、ベリーショートにカットし全体に細かいメッシュを入れ、オシャレ染めを使って淡いベージュカラーにカラーリングしました。

これまで白髪染めをした髪が毛先に残っていたものの、細かくメッシュを入れることで、それほど大きく目立ちません。洗練されたベリーショートのスタイルながらも、ベージュカラーで優しいイメージを持たせ、お客様も大変喜んでいただけました。     

その後、徐々に白髪染めが残った髪を切り落としていき、約1年をかけて完全なグレイヘア―になり、白髪を染める手間から開放されたことに大変満足されていました。

白髪に関するよくある質問

白髪に関するよくある質問

白髪については、科学的に解明されていない部分が多くあります。白髪に悩んでいる方のなかには、「こういう噂を聞いたけど本当かな」と思った経験があるでしょう。

最後に、白髪に関する疑問や質問について解説します。

白髪は抜いたら増えますか?

昔から「白髪は抜くと増える」という噂があります。しかし、1本の白髪を抜いたからといって2本の白髪が生えてくることはありません。

このような噂が立つのは、白髪を抜くことで、新たに生えてきた短い白髪が立って目立ちやすくなってしまうことが原因と考えられます。

なお、髪を無理に抜いてしまうと毛母細胞や周辺の皮膚が傷付いてしまう可能性があります。毛母細胞が傷付くと新しい毛が生えなくなるケースもあるため、髪は抜かないようにしましょう。

白髪が黒髪に戻ることはありますか?

色素細胞がメラニン色素を生成する働きが止まっている場合、再びメラニン色素が生成されるようになると、白髪が徐々に黒髪へと戻る可能性があります。

特に、生活習慣の乱れやストレスなどが原因で色素細胞の働きが弱まったケースでは、問題が改善されると白髪が黒髪に戻る可能性があります。

白髪を染めない選択について悩んでいる場合は美容師に相談しよう

多くの人は「白髪は隠すもの」と考えていますが、白髪を活かすといった新しい価値観も増えつつあります。当然ながら、白髪を染めることは悪いことではありません。しかし、月に1回白髪染めをすると考えると、面倒に感じてしまう方も多いでしょう。そういった場合 、自分の状況や手間、かけられる費用を検討し、専門家である美容師と話し合って方向性を選ぶことをおすすめします。

美容師の多くは「白髪を染めたい」と注文を受ければ、丁寧に白髪を染めます。一方で、「白髪を活かしたい」とご相談いただければ、お客様の好み、髪質、骨格、ライフスタイルなどさまざまな点を考慮し最善のご提案をいたします。

ご自身で「自分にはグレイヘアは似合わない」と思っている方も多く、相談することさえ躊躇している方も少なくありません。

しかし、グレイヘアはありのままの姿であり、似合わないなんて事はありません。ご相談さえいただければ、プロとしてご自身に一番に合うグレイヘアを提供します。

「白髪染めをやめたい」とお悩みの方は、今回紹介した白髪を活かしたり共存したりする方法を参考に、ぜひ美容師に相談してみてください。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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