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いっしょに「更年期」を語ろうよ|第1回 私の更年期の始まり
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小島慶子のいっしょに「更年期」を語ろうよ|第2回 男女の壁を越えて「更年期」について話してみよう(全3回)

更年期の不調って、しんどいし、やるせないけど、周りには話しづらくて――。

でも、更年期は誰もが通る道。恥ずかしいことでもなんでもない!そんな思いを込めた、小島慶子さんのエッセイ第2回。

異なる身体の機能を持つ性別の方に、自分の更年期について知ってもらうのは少しハードルが高いですよね。お互いに歩み寄るために身に付けたい考え方を、小島さんが教えてくれました。

小島慶子さんprofile

小島慶子さん

1972年生まれ。TBSアナウンサーとしてさまざまな番組に出演後、2010年に独立。エッセイスト、タレントとして活動の幅を広げる。メディアで自らの更年期を語る姿が話題に。新刊対談集『おっさん社会が生きづらい』(PHP新書)など著書、連載多数。

更年期について異性と話すことで、視野が広がる

更年期について異性と話すことで、視野が広がる

身近な男性と、更年期について話すことはありますか?家族や親しい間柄の男性とはぜひ、話してみましょう。「なんか最近、昔に比べると疲れやすいんだよねえ」「更年期のせいかな。お年頃だね」なんて。

私も40代半ば以降の知人男性とは気軽にそんな話をしています。すると、「へえ、僕もそろそろかな」「妻が今、更年期で悩んでて」など、意外といろんな話をしてくれます。身体の変化について真面目に、気兼ねなく話せる空気が広がるといいですね。

男性にも更年期があることを意識してみよう

男性にも更年期があることを意識してみよう

更年期は生きていれば誰しもが迎える、ホルモンの変調期。女性だけが経験するものではありません。男性も、中年以降、加齢とともにテストステロンなどの性ホルモンが減少します。

でも男性には、女性の閉経のような大きな節目があるわけではありません。そのため、女性よりも更年期を自覚しにくいのだそうです。なんだか疲れやすい、性的な衰えを感じる、気分が塞ぎ込む……と一人で悩むことも。個別の症状に注目しても、背景にある更年期を知らなければ適切な対応ができません。

男女ともに、異性の更年期について正しく知ると同時に、自分にも更年期があることを受け入れ、身体の声をきちんと聞くことが大切です。

身体の変化を前向きに受け入れて、互いに歩み寄る

身体の変化を前向きに受け入れて、互いに歩み寄る

更年期が話題になりにくい理由の一つに、スティグマ(負の烙印)があります。これまで中年女性は、娯楽番組などの中で「もう若くない、女として終わっている」などとバカにされたり、からかいの対象にされてきたりしました。その際に、侮蔑的な意味を込めて「更年期」という言葉が使われてきたのです。

もしかしたら、これを読んでいるあなたもそうした刷り込みのせいで、「更年期は滑稽でみっともないもの、他人に笑われる無様なもの」という印象を持っているかもしれませんね。だから、人にいうのが怖い、恥ずかしいと感じてしまう。

男性にも、そうした不安があると思います。なかには性的な能力を男らしさの象徴のように考えている人もいるでしょう。不調を感じても、仲間にも医師にも恥ずかしくて話せない、更年期だと認めたくない・・・辛いですよね。

性ホルモンの減少は年齢に伴う自然な変化で、誰でも経験すること。もし心身に辛い症状があるなら、減少したホルモンを補充するなど、専門家の指導のもとで受けられる治療があります。

身体の変化を前向きに受け入れて、互いに歩み寄る

若い頃のような身体に戻す必要はありません。あるがままの自分を受け入れて、人生の新しいフェーズへの軟着陸を目指しましょう。私も婦人科の先生にそういってもらって、とても気持ちが楽になりました。

女性の更年期を正しく理解し、支え合う時代へ

女性の更年期を正しく理解し、支え合う時代へ

現在は女性の更年期に注目が集まり、メディアでも活発に語られるようになりました。閉経前後のおよそ10年ほどは、性ホルモンの減少に伴って、心身にさまざまな不調(更年期症状)が現れます。時には生活の質が大きく低下する症状(更年期障害)が出ることも。

症状は個人差が大きいため、特に困ることなくやり過ごせる人もいる一方で、つらくて日常生活がままならない人や、周囲の理解が得られず仕事を辞めざるを得なくなる人もいます。働き続ける女性が増えた現在では、企業が更年期の女性が働きやすい環境づくりを進めないと、日本経済にとって大きな損失になると指摘されています。

閉経に伴う不調の問題は、女性だけが語り合うべきものではありません。男性も、自分が生活を共にしている女性や、一緒に働いている女性に「更年期特有の困りごとがあるかもしれない」という視点を持つことが重要です。

更年期に関する知識は、夫婦関係にもプラスに働くでしょう。妻が不調に悩んでいたら「更年期症状かもしれないね。一度専門家に相談してみると良いかも」と気付いてあげることができます。性生活で妻の身体の反応に変化が生じた時にも、男として否定されたと動揺せず、妻の気持ちを聞いて、一緒に対策を講じることができるかもしれません。

先述のように、職場でも知識は必要です。更年期障害の治療のために休みをとりたいとか、働き方を変えたいという女性に対して、つい「甘えている」「だから女は」などと思っていないでしょうか。

正しい知識があれば、女性の悩みを軽視せず、適切に対応することができます。安心して更年期の話ができる職場は、きっと誰にとっても相談事がしやすい、居心地の良い職場になるでしょう。男性も、親の介護や自身の病気、それこそ更年期に伴う不調などで、今までと同じようには働けなくなることがあります。そんな時でも、周囲に相談すればきっと何かやりようがあると思えたら、心強いですよね。

女性の更年期を正しく理解し、支え合う時代へ

自分の身体の変化を受け入れると、他人の身体に対する見方も変わります。共に更年期を生きる者同士として、男女で労わり合うこともできるはず。身体の変化に対するネガティブなイメージが薄まれば、安心して年齢を重ねることができるでしょう。更年期は、誰もが通る道。それは、新たな仲間に通じる道でもあるのです。

あなたも身近な人と、ちょっとした会話から始めてみませんか。

(アイキャッチ画像=かざまりさ 宣材写真=鈴木愛子 編集=ノオト)