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いっしょに「更年期」を語ろうよ|第1回 私の更年期の始まり
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小島慶子のいっしょに「更年期」を語ろうよ|第1回 私の更年期の始まり(全3回)

更年期の不調って、しんどいし、やるせないけど、周りには話しづらくて――。

でも、更年期は誰もが通る道。恥ずかしいことでもなんでもない!そんな思いを込めた、小島慶子さんのエッセイがはじまります。

第1回は、小島さん自身の更年期について。うんうんと頷いたり、自分はこうだなと考えてみたり、新しい発見をしたりしながら、どうぞ。

小島慶子さんprofile

小島慶子さん

1972年生まれ。TBSアナウンサーとして様々な番組に出演後、2010年に独立。エッセイスト、タレントとして活動の幅を広げる。メディアで自らの更年期を語る姿が話題に。新刊対談集『おっさん社会が生きづらい』(PHP新書)など著書、連載多数。

膣の奥が帯電? 居ても立ってもいられない違和感に困惑

異変に気づいたのは47歳の時でした。膣の奥が、帯電している感じがする。そうとしか表現しようのない不快感で、初めは一体何が起きているのか分かりませんでした。

やがてその電気が溜まったような感覚はどんどん強くなり、居ても立ってもいられないほどに。原稿を書こうとしても手につかず、オンエア中も気になってしまう。

膣の不調で検索すると、膣炎などのムズムズとした痒みについては書いてあるのですが、この痒みとも痛みとも違う強烈な不快感についてはどこにも載っていません。原因を突き止めようと、かかりつけの婦人科で細菌感染や炎症がないかを調べてもらったのですが、異常はありませんでした。

「では先生、このなんとも言い難い不快感は何なのでしょうか」と訴えると、「もしかしたら更年期の不調かもしれませんね。ホルモンの値を測る血液検査をしてみましょう」と先生は穏やかにおっしゃいました。

膣の奥が帯電? 居ても立ってもいられない違和感に困惑

ついにきたか……。そのときの検査結果では、まだ女性ホルモンがわずかに減りはじめている程度でしたが、処方された皮膚に塗るタイプの女性ホルモンジェルを毎日塗ってみると、確かにちょっと調子が良くなりました。同時に、基礎的な免疫力を上げる漢方薬と、肩こりやメンタルの落ち込みを緩和する薬も飲み始めました。

そしてあの不快な帯電の正体は……「膣の灼熱感と乾燥は、更年期のよくある症状」だというではないですか。

おお、灼・熱・感!まさに!

あの不快感をそんなふうに言い表せるとは、知らなかったよ……。

先生によると、保険は効かないけれど膣粘膜にレーザーを当てて症状を改善する施術もあるとのこと。あら、レーザーなら2ヶ月にいっぺん顔にも当てているわ!それなら抵抗なく試せそう、と早速治療を受けに行きました。

膣粘膜はレーザーを当てても顔の皮膚ほどは痛みを感じないそうです。実際、先生と話しているうちに施術は難なく終わり、ダウンタイムで生活に支障が出ることもありませんでした。

膣の健やかさは、心地良く生きることにつながる

それにしても大発見でした。膣の手入れは性的な機能向上のためかと思っていたのですが、粘膜の潤いを保つのは、心地良く生きるのに必要なことだったのですね。不調を感じるまでは意識したこともなかったけれど、改めて膣は大切な自分の身体の一部なんだなと実感しました。

私は子宮を殊更に神聖視したり、女性の象徴とみなしたりはしていません。他の臓器と同じ、内臓のひとつだと思っています。ですから閉経も「女性ではなくなってしまう」という深刻な変化とは捉えていません。生きていれば自然に訪れる変化の一つで、むしろ、厄介な生理から解放されてめでたいではないか!と思っています。

ただ、閉経前後の更年期に起きる不調には不安を感じています。一体いつ更年期が終わるのかも分からない状態で、不安定な身体を生きるのは心身ともにしんどいですよね。私の体質や生活の様子をよく知ってくれている婦人科のかかりつけ医がいてくれて本当に良かったです。

処方された薬が功を奏したのか、最初に違和感を覚えた時から3年ほど経った今では、あの膣の奥の帯電とは上手に付き合えるようになりました。多少の波はあるものの、不快感を忘れている時間が多くなり、仕事に集中できるようになって、ほっと一安心。

膣の健やかさは、心地よく生きることにつながる

一方、女性ホルモンの値は下がり続け、今ではまさに更年期の真っ只中です。今年に入ってからは月に一度、注射で女性ホルモンを補充しています。かかりつけの婦人科医は「ホルモン補充療法や漢方薬などいろいろなものを組み合わせて、軟着陸を目指しましょうね」と言ってくれました。

更年期の症状は人それぞれ。不安はすぐに相談すべし

そんなある日、今度は謎の痺れが出現しました。右足の一部と右腕の一部、そして顔の右側がピリピリと痺れる感じがしたのです。「これは脳梗塞の前兆では?」と怖くなって、かかりつけの内科医を受診したところ「すぐに大学病院のER(救急科)に行ってください」と紹介状を書いてくれました。

その足で病院に向かい、脳の血管を調べるMRA検査などをした結果は「異常なし。ただし痺れが増悪する可能性もあるので念のため3日ほど様子を見ましょう」とのことで、そのまま入院することに。さらに詳しい検査をしたところ、やはり異常は見つからず、退院後に改めて行った末梢神経と血液の検査でも問題ありませんでした。

若い男性の担当医は「結論から言うと、何か大きな病気のせいで痺れが出ているのではないようですね。何が原因かは、よく分からないですが……」。それから言いにくそうに「女性の場合は体調の変化も……」とモゴモゴしています。そこで「ああ先生、私バリバリ更年期ですよ!いま絶賛ホルモン治療中です!」と告げると、ホッとした表情で「確かに更年期に伴う痺れの可能性は考えられるので、婦人科の先生に相談してください」とのことでした。

婦人科の医師は「更年期の不定愁訴は本当に人それぞれ。痺れや部分的な冷感などを訴える人も多い。大学病院で詳しく調べてもらって、大きな病気が原因ではないとはっきりして良かったですね」と言ってくれました。

不調を更年期と決めつけて放置すると大きな病気を見落とすこともあるそうですから、何か異変を感じたらまずは早めに医師に相談することが大事ですね。痺れは、大学病院で処方されたビタミン剤を飲み続けて様子を見ていたら、いつの間にかなくなっていました。

変化に向き合いながら、じょうずに付き合っていきたい!

他にも新たな変化として、以前よりも心なしか眠りが浅くなった気がします。そこで睡眠と運動の質を記録する指輪型のデバイスを使いはじめました。24時間つけっぱなしにしていると、睡眠や運動のデータを毎日スマホに送信してくれます。

結果として以前よりも意識して歩くことが増え、睡眠中の心拍数や体温変化などから、自身の体がどのようなコンディションにあるかを知ることができるようになりました。

変化に向き合いながら、じょうずに付き合っていきたい!

更年期は、いわば生きている証拠です。身体の変化を受け入れながら、その都度知恵を絞ってうまく付き合っていこうと思っています。この長いトンネルの先には、女性ホルモンに振り回されない新たな地平がひらけている……。そう考えるとなんだか楽しみでもあります。

心身がつらく、落ち込むときもあるけれど、大勢の仲間がいると知れば心強い。更年期についてオープンに語り合えるようになってきたのは、本当にありがたいことだなと思っています。

(イラスト=かざまりさ 写真=鈴木愛子 編集=ノオト)