公開日:2022.06.10 最終更新日:2022.06.27

「グレイヘア」始めました~ムリせず自然で美しい歳の重ね方って?|第1回「グレイヘア」と共に生まれた「染めない」選択肢

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初めまして、編集者の依田です。「冷やし中華じゃないんだから~!」なんて、自身にツッコミながらつけたタイトル‟「グレイヘア」始めました“ですが、私が2018年に作った本『グレイヘアという選択』から「グレイヘア」という言葉が使われ始め、また私自身、その前年に白髪染めを卒業して「グレイヘア」を始めました。二重の意味で「グレイヘア」を始めた「言い出しっぺ」の私は、目下、グレイヘアを通じて「幸せな歳の重ね方」を模索中です。齢を重ねることを否定したくない。ムリに若作りしたり、若さに固執することなく、その年齢なりの美しさを目指したい。そのためにはどうしたら良いか?試行錯誤する中から、発見したこと、感じたことなどをお伝えしていきたいと思います。

1.白髪がイヤ?それとも老けるのがイヤ?

「グレイヘア」って聞いたことありますか? 2018年の「新語・流行語大賞」にノミネートされ、近藤サトさんや結城アンナさんなど白髪を染めない有名人も登場し、ちょっとしたブームが起きました。実はこの言葉、同年に私が作った本のタイトル『グレイヘアという選択』が発祥です。

『グレイヘアという選択』書影
2018年発売の『グレイヘアという選択』(主婦の友社)

その当時、私自身、「白髪染めをやめたいけど、老けて見えるのはイヤ」というジレンマに悩む50代後半でした。10年以上続けた白髪染めのせいで、頭皮は悲鳴を上げていました。染める間は薬剤がしみてピリピリ痛く、その後はかぶれて猛烈なかゆみが。髪はコシもツヤもなくなり……、時間やお金をかけて、身体にも負担をかけて、なぜ染め続けるの?と悶々としていたのです。

OVER60 Street Snap
2016年発売の『OVER60 Street Snap』(主婦の友社)

実はその少し前に60歳オーバーの女性たちのファッションスナップ本を作りました。年齢にとらわれず、個性的なおしゃれを楽しむ女性たちを取材した本です。本ができ上がり、改めてページをめくっていたときにハッとしました。お気に入りの服に身を包み、カメラに向かってほほ笑む女性たちの多くが白髪を染めていなかったのです。それに気付いた瞬間、心に灯がともったようでした。いずれおばあさんになるにしても、「もう歳だから」とあきらめるのではなく、年齢を受け入れて、それを活かすことで素敵になれる道があるのでは?と思えたからです。

「そうか!私は白髪になるがイヤなんじゃなくて、老けるのがイヤなんだ」と気付いた瞬間でした。

2.流行だけど、「自分はまだちょっと…」が多数

そして作った『グレイヘアという選択』。白髪に悩む女性たちに「染めなくても、こんなに素敵になれるんですよ!」と伝えたかった。そのメッセージは幸いなことに多くの人の共感を得て支持され、話題となり、ついには「流行語大賞」にノミネートされたというワケです。白髪問題に悩んでいるのは自分だけではなかった、と大きな手ごたえを感じました。

言葉の流行後は、白髪をカミングアウトする有名人やSNSで公表する人も増えました。「これで白髪染めをやめる女性は爆発的に増えるに違いない」と私は考えていました。誰だって、したくもない白髪染めを「やめて良い」世の中になったら、一斉に「やーめた」と言うに決まってる、と思っていたからです。

ところが…、現実はそうでもありませんでした。もちろん、「ずっとやめたかった」「グレイヘアって流行りだし、おしゃれ!」、「自然で良いよね」「年齢に抗わないってカッコ良い」などと賛同し、ありのままの髪色を楽しむ人は増えました。でも、染め続ける人も依然として多いのが現実。それには理由がありました。

一番多いのは「老けて見える」というもの。それは確かにイヤですね。私自身、白髪染めをやめたいと思っていたものの「おばあさんに見られたらどうしよう」と内心おそれていました。誰だって、若く見られたいものです。

また、「夫がまだ染めて欲しいと言う」「子どもが『白髪で学校に来ないで』と言う」、「接客の仕事なので、会社から許可されない」など、周りに反対された人も。伸びかけの白髪は「冠婚葬祭のとき失礼ではないか」と心配する人もいました。

さまざまな理由で、「今は、まだ染める」という人が多いのが現状です。それはそれで当然だと思います。私はグレイヘアの提唱者ではありますが、グレイヘア至上主義者ではありません。染めたい人は染め、染めたくない人は染めないという「選択の自由」が認められる世の中になればいい、と考えるだけです。

3.染める自由、染めない自由どちらも欲しい

グレイヘアの流行によって「白髪を染めない」という選択肢ができました。それまでは、「白髪は染めるのが当たり前」でした。染めていないと「だらしない」とか「マナー違反」「身だしなみがなっていない」と非難されたり、「どうしたの?」「忙しいの?」と心配されたり、ときには現役を降りた「終わった人」というレッテルを貼られたり…。

でも、「グレイヘア」という言葉が浸透し、「あえて白髪にする」ことが認知されたおかげで、染めていなくても「あぁ、グレイヘアね」と思ってもらえるようになりました。今まで、がまんして染めていた人にとっては、余分なストレスが減ったことでしょう。言葉が市民権を得て、徐々にグレイヘア人口も増え、確実に定着しつつあります。決して一過性の「流行」では終わらなかったのです。

私も『グレイヘアという選択』の発売に合わせ、58歳で「グレイヘア」スタートを決意。ところがいざ始めると、直後からさまざまな壁にぶつかり……。グレイヘアへの道は、いばらの道でもありました。泣いたり笑ったりの私の「グレイヘアストーリー」、次回は「グレイヘア」誕生の裏話をお届けします。

依田 邦代(よだ くによ) 編集者

1958年生まれ。大学卒業後、出版社に入社。雑誌編集長などを経て、2012年より書籍編集に携わる。シニア女性のライフスタイルにフォーカスした『OVER60 Street Snap』、『Madame Chic Paris Snap』、『グレイヘアという選択』、『古布を着る。』、『80代の今が最高と言える』(すべて主婦の友社)ほか、数々のヒット作を生む。『OVER60 Street Snap』、『グレイヘアという選択』シリーズはメディアで注目され、「グレイヘア」は2018年新語・流行語大賞にノミネートされた。グレイヘアブームの火付け役と呼ばれ、2018年11月に定年退職後はフリーランス編集者として執筆・講演等でも活躍。

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