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本当は誰だってきれいな色が着たい!
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「グレイヘア」始めました~ムリせず自然で美しい歳の重ね方って?|第6回髪色インパクトが弱まったら似合う色が増えた、という事実。この歳で服選びが楽しくなるなんて!

歳を重ねたら地味にしなければいけないの?

「いい歳して…」「これから嫁に行くわけでもないのに…」「今さら、おしゃれしてどうするの」などなど、歳を重ねた女性がちょっと派手な格好をしていると、世間から非難めいた視線を向けられる風潮がありました。「できるだけ地味にするのが正しい高齢者のありかたである」というような。

だから、アメリカのおばあさん達がピンクの服を着たり、真っ赤なマニキュアを塗ったりしているのを知って、私達日本人は目を丸くしたものです。「おばあさんなのに、あんな派手な格好をしていいんだ!」と。

今は日本でも、そのようなことを言う方はほぼいないと思うのですが、新しい服を買おうとしているときなど、鏡の前で「この歳で、ちょっと派手すぎるかな?」と躊躇する瞬間は誰にでもあるはず。

それは誰に対する「派手」なのか?というと、何となく自分の中にある一般常識的な基準に照らし合わせて「派手」とか「地味」と判断している。いってみれば「他人軸」で判断しているわけです。

そういう他人の目を一度とっぱらって、できるだけ客観的にその服を着ている自分を眺めて、「いい感じ」「似合っている」と感じ、身に着けることで心がときめくのなら、その服は間違いなく「買い」です!

本当は誰だってきれいな色が着たい!

本当は誰だってきれいな色が着たい!

何かしらおけいこに通う女性は多いですが、中でもダンス系は人気ですね。フラダンスやフラメンコ、タンゴやルンバなどの社交ダンス……。音楽に乗って身体を動かす楽しさもさることながら、実は衣装の魅力も見逃せないと思うのです。

深紅やローズピンク、ターコイズブルーなどなど、きれいだなぁと憧れつつも、身に着けるのはためらわれるような鮮やかな色も、ダンスのときなら堂々と着られます。そして、そのドレスを身に着けたときのドキドキ、ウキウキする高揚感といったら!

元来、そういったきれいな色を身に着けたいという願望は多くの人が持っているのです。でも、日常的には目立ちすぎて「ムリ」。だから、無難なベージュや黒、紺、グレー、茶といった色を、安全パイとして身に着けることに。

おけいこの、中でも発表会などの非日常に着る「舞台衣装」は思いっきり派手にしてOKなので、衣装選びの楽しさも格別ですね。

シャンソンを習っている知り合いは、「発表会のときにきれいなドレスを着られるのがうれしくて、それもおけいこを続ける大きな理由」と言っていました。本当はきれいな色、着たいんだよなぁ、みんな。

グレイヘアになったら似合う色探しの冒険へ

グレイヘアになったら似合う色探しの冒険へ

あるとき気づきました。「私、赤がなぜだか似合うようになっている」。

自分で気づいたわけではなく、人に言われて気づいたのですが。母のいる老人ホームを訪ねるとき、少しでも明るい雰囲気になるようにと赤いセーターを選びました。入り口で職員さんに挨拶したとき、「赤がお似合いですね」とにっこり微笑んでもらえたのでした。

そのとき、ふと思いました。髪を染めているときに赤を着たら、もう少し押しの強い印象になっていたかもしれないけれど、グレイヘアだからこそ、いい感じのバランスになっているのかも?と。

黒という色は地味なようでいて、実はとても主張の強い色。色の組み合わせを想像してみるとわかりますが、「赤と黒」は強烈です。でも、「赤とグレー」はその強烈さが薄まって、いい感じに落ち着きます。「ピンクと黒」も個性的ですが、「ピンクとグレー」は何とも上品。

黒がどんな色とも合うのと同様、グレーも組み合わせ万能カラーです。しかも、黒のように相手の色とタイマン張らずに、相手を受け入れて品よくまとめ上げてくれる。だから、グレイヘアになると今まで敬遠していた色が、意外にも似合うようになっていたりするのです。

自分の似合う色に関して、思い込みが強くなっているのはよくあること。例えば「私にはベージュ系の口紅は似合わない」とか「暖色系は合わないから着ない」などなど。もちろんその方の肌色によって似合う色の傾向というのはありますが、グレイヘアになると顔周りの色の印象は大きく変化しますから、似合う色も変化している可能性が大きいのです。

人は自分の顔にばかり注意が向きがちですが、実は髪の毛に覆われている面積の方が顔面よりも広いのです。だから、髪の印象というのは思っている以上に大きいもの。

グレイヘアになったら「もう歳だから地味にしなくちゃ」なんて思う必要はありません。グレイヘアになったからこそ、新たな似合う色探しの冒険に出ることができるのです。新しい服を購入するときは、鏡の前であれこれ試着してみましょう。今まで「派手」と拒絶していた色も、見た瞬間、「きれい」と感じたらためらわずに試着するべし。思いがけず似合うかもしれませんよ。どうしてもバイアスがかかりがちな人は、お店の人にもアドバイスを求めてください。「食わず嫌い」ならぬ「着ず嫌い」は禁物です。

ここで冒険できるかどうかが、後々「おしゃれマダム」になれるか「地味なおばあさん」になってしまうかの大きな差となります。

グレイヘアは「自分ファッション史」において、重要なターニングポイント。髪の色が変わったら、頭の中身もチェンジ。今までの思い込みを捨てて、フレッシュな目で自分を再発見してみましょう。