同窓会の通知に心が揺れる白髪問題
グレイヘアへの決意を鈍らせるもののひとつに「同窓会」があります。
中学や高校、大学時代の友達と会うとき、ふつうはがんばって若作りして「変わらないね」と言われることを目指すでしょう(元カレや元カノが来る場合はなおさら)。特に女性は髪をきれいに染め、ダイエットをし、スキンケアもがんばって、当日は髪型もメイクも念入りに…という方が多いのではないでしょうか。
それがグレイヘアだと、「変わらないね」と言われることはまずないので、久しぶりに会った相手は一瞬、あなたのグレイヘアに視線を向けてハッとしたあと、何も見なかったかのように、「元気だった?」と、あたりさわりのない挨拶、という展開になることがほとんど。
「ああ、やっぱり老けたと思われたんだ…」と内心、傷つきます。でも別に自分だけが老けたわけではなく、染めていなければ周りもほとんどグレイヘアのはず。そうとわかっていても、やはり心はザワつくわけです。
グレイヘアが完成していれば、「グレイヘアにしてるんだ~。私はまだ染めていて…。いつかやめたいと思ってるんだけど、なかなか思い切れないんだよね~」と、ホンネで語りかけてくれる友達もいるはず。相手が好意的なので、「やめるとラクだよ~」などと前向きな会話も成り立ちます。
ですが、グレイヘアに移行中で、中途半端に白髪が伸びているときは、相手も目のやり場に困り、あえてスルーされることも。それを想像すると、「染めていこうかな」と心が大きく揺らぎます。相手の視線を察知して、「あ、今、グレイヘアにしている途中なの」といちいち言い訳をするわけにもいきませんし…。
フォーマルシーンでグレイヘアはアリ?
移行期の髪色はやっかいです。同窓会もそうですが、一番困るのが冠婚葬祭などフォーマルなシーン。きちんとしていることが求められる場で、伸びかけの白髪はやはり見映えが良ろしくないのです。だらしない、というネガティブな印象を持たれることもあります。
そういうときのために、ウィッグがあると便利です。頭頂部だけのトップピースは、髪の分け目の伸びかけ白髪を隠してくれます。ウィッグで隠し切れない生え際などには、マスカラタイプやファンデーションタイプの白髪隠しを使うといいでしょう。
ただ、ご不幸の知らせは突然なので、そのためにウィッグを用意しておくことはできません。私はいざというときのためにスプレータイプの白髪隠しを備えていました。これは比較的広い範囲の白髪を隠すためのもの。手を汚さずにシューッとひとふきで色がつくので手軽です。
葬送儀礼用の「トーク帽」という、つばがなく頭部にフィットさせる女性用の小ぶりな帽子があります。海外の映画などで見たことがあると思いますし、日本では皇室の方々が喪の場面で被られていますね。式中も取る必要がないとのことで、興味をひかれましたが、基本的に遺族・親族の装いで、参列の立場では着用しないそうです。覚えておきたいですね。
ウィッグという選択肢も加えたい
最近のウィッグは、色も長さもバリエーションが豊富です。つけ方も簡単で、軽く、通気性も良く、自然な見た目で、その進化は驚くほど。
先日、銀座4丁目交差点そばに9月にオープンしたばかりの「銀座プラチナガーデン」に行ってきました。レディースアートネイチャーの既製品をはじめオーダーメイドウィッグやヘアケア商品が揃っているショップです。カウンセラーの方にいろいろ相談できる上、試着・体験コーナーもあるので、お買い物ついでに寄ってみると新しい発見があります。
グレイヘアのウィッグも、白髪率の異なるものがいろいろあって感心してしまいました。移行期のウィッグは白にすべきか黒にすべきか悩んだりしますが、黒白ミックスのウィッグなら、グレイヘアが完成してウィッグを外した後もギャップが少なく、周りに驚かれることもないのです。
ウィッグを使うとボリュームも出るので、「最近、髪の毛のコシがなくなった」とか「量が減ってきた」という悩みも解決されます。とにかく、昔のイメージの「かつら」とは相当違うので、ものは試しで一度、お近くのお店に足を運んでみることをおすすめします。
グレイヘアと着物はベストマッチ
ところで、グレイヘアは実は着物とかなり相性がいいことをご存知ですか?近藤サトさんといえば着物、というくらいグレイヘアと着物の組み合わせでしばしばメディアに登場し、その美しさでまわりを魅了しています。
また、今年11月に十三代目市川團十郎白猿を襲名する市川海老蔵さんのお母さまである堀越希実子さんもグレイヘアと着物の相性の良さを体現してくださっています。
私事ですが、今年10月に娘の結婚式があり、黒留袖にグレイヘアという出で立ちで出席しました。グレイヘアは黒髪と白髪が入り混じっているので、アップにしたとき毛流れがよく見えて、黒髪より立体感が出るのです。
6年前、上の子の結婚式のときはガッツリ黒く染めて黒留袖を着ましたが、グレイヘアの方が雰囲気がやわらかく、上品にすら見えると感じました。これがもし明るいブラウンに染めていたら、この上品さは出せないかも…とも思いました。
同窓会の話に戻りますが、グレイヘアになったら、同窓会に着物で出席するのもいいのではないでしょうか? 「おおっ!」と注目されること間違いなしです。老けてるとか老けてないという次元ではなく、その存在感にまわりが圧倒されるでしょう。
「素敵に歳を重ねてるね!」と感嘆されるはずです。年齢相応の落ち着いた姿を見て、「若作りしてきた自分が何だか恥ずかしい」と感じる人もいるかもしれません。