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救急車の費用はかかる?請求されるケースや有料化の可能性

救急車の費用はかかる?請求されるケースや有料化の可能性
セゾンのくらし大研究 編集部

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私たちが急な交通事故や病気になったとき、救急車によりいち早く病院へ搬送してもらえることはご存じだと思います。しかし、救急車を呼んだ場合の費用について疑問に思ったことはないですか?本記事では、救急車にかかる費用や正しい利用方法などを紹介しています。

1.救急車を呼んだときにお金はかかる?

救急車を呼んだときにお金はかかる?

まずは救急車についての基本的知識をここで紹介します。救急車はどのようなときに要請できるのか、救急車を利用した場合にかかる費用、利用できる対象者などを詳しく解説します。

1-1.救急車を利用する前に…救急車の基礎知識

突然、身体の異変やケガなどで救急車を呼ぶべきか迷ったことはありませんか?緊急性があるかどうかで救急車の要請を判断しますが、明らかに症状が軽い場合の救急要請は望ましくありません。一方で、交通事故などで人が倒れているときや、近くの人が意識を失っているときなどは、迷わず救急要請する必要があります。

それでは、119番で救急車を実際に要請した場合の流れをご紹介します。電話では慌てて症状などを先に話してしまいがちですが、まずは「救急です」と伝え、救急車が必要であることをしっかり伝えてください。

そのうえで、現場の住所や症状などを話します。救急車は現場が分かった時点で出動するので、まずは「①救急車が必要であること」「②現場の住所」「③症状」の3点を迅速かつ簡潔に伝えましょう。その後は詳しい症状や年齢、性別など、職員からの質問に答えますが、気が動転していると知っているのに電話口で説明できなくなることもあります。難しいとは思いますが落ち着いて回答できるよう努めましょう。

また、通報内容によっては救急車の到着を待っている間、応急手当をするよう指導される場合もあります。司令員の指示にしたがって、可能な限り応急手当を実施してください。

1-2.日本は救急車の費用が無料!

日本では無料で救急車を呼べますが、これは税金で賄われているためで、世界的に見ると珍しいことです。日本の法律では救急車の要請を完全無料で行えると定められています。日本以外で無料で救急車を呼べる国はイタリアやイギリスなどもありますが、ごく少数であり、他国では救急車の手配に約数万円かかるのが一般的なようです。

1-3.救急車を利用できる対象者は?

日本で救急車を要請できるのは、日本人だけでなく観光などで訪日している外国人も対象です。もちろん在日外国人も対象で、人種や国籍および納税の有無も関係なく誰でも無料で呼ぶことができます。

1-4.救急車を呼んだあとのキャンセルも可能

救急車が到着する前ならキャンセルできます。病状が回復したり、意識が戻ったりして救急車の必要がなくなった場合は、もう一度119番へ連絡してください。この場合もキャンセル費用などはかかりません。

2.救急車を呼んだときにかかる費用

救急車を呼んで病院へ搬送された場合、本当に何の費用も払わず帰宅できるのでしょうか?実は救急車の要請は無料でも、その他に必要となる費用があります。「救急車は無料だから」と考えず、お財布の準備もしておきましょう。

2-1.治療や処置には当然医療費が発生する

治療や処置には当然医療費が発生する

先にも述べたように、救急車を呼ぶだけなら費用はいっさいかかりません。それは税金で賄えているためです。しかし、いざ病院へ搬送され、医療機関で処置してもらうと治療費や医療費、薬代などが請求されます。また、休日や深夜診療だった場合には時間外医療費もプラスされます。

救急車で搬送してもらった費用がかからないだけで、治療費は通常通り請求されるということを忘れてはいけません。

2-2.帰りは自分で帰宅するため交通費がかかる

また、当然ですが、帰りはご自身で帰宅しなければなりません。入院の必要がないと判断されると、そのまま帰宅します。公共交通機関が利用できれば少額で済みそうですが、体調によりタクシーの利用となると高額になる場合もあるので注意しましょう。

3.救急車の費用を請求されるケースもある!

想定外かもしれませんが、実は上記以外にも救急車を要請した場合に費用を請求されるケースがあります。本来は無料のはずの救急車要請ですが、どのような場合に特別な費用が発生してしまうのでしょうか?

3-1.救急車の費用が請求されるケース①ドクターカーでの治療

まず根本的に、救急車に乗車しているのは「救急隊員」や資格を持った「救急救命士」であり、医師ではありません。つまり、病院に到着するまでは原則として治療を行えず、応急措置しかできないのです。そのため、一刻を争う重大な状況の場合は医師や看護師が乗った「ドクターカー」が出動し、車中で治療が行われます。

よって、搬送時に治療を受けたということで費用が発生します。病院での治療と同じように、保険適用の費用がかかりますが「ドクターカーによる搬送費」は救急車と同じ考え方で無料です。

3-2. 救急車の費用が請求されるケース②緊急でないと判断された

原則として、救急車は緊急を要する状態のときのみ手配するものです。重体患者を高度治療が行える大きな病院へ搬送する目的があるため、緊急性がないと判断された場合は「特定療養費」が請求されます。

日本では、200床以上ある大きな病院へ搬送された場合の初診に対し、他院の医師による紹介状がない限り医療費とは別に「特定療養費」という負担金が請求されます。大病院に救急患者として軽症者が来てしまうと、優先的に治療を受けなければならなかった患者の治療を遅らせてしまうため「紹介状制度」がつくられました。

この特定療養費は具体的な金額が定められておらず、病院によって違いがあります。この点についても覚えておくと良いでしょう。

4.税金で賄われる救急車の費用…近い将来有料化される可能性がある

日本の救急システムは誰にでも平等で心強い制度ですが、今後、救急車を呼ぶ費用の有料化が検討されているようです。ここでは、有料化される理由や有料化された場合のメリット・デメリット、いつから施行される?などの疑問点について解説します。

4-1.救急車の有料化が検討されている背景

救急車の有料化が検討されている背景

まずは救急車の有料化が検討されている背景について。総務省が2022年3月に公表した「令和3年中の救急出動件数等(速報値)」によると、2021年に救急車が出動した件数は619万3,663件、搬送人数は549万1,469件で、前年よりそれぞれ4.4%・3.7%増という結果でした。そして実は、救急車を利用する約半数の44.8%方が軽症者であることが分かっています。

傷病者の軽重は見た目で判断することがむずかしく、搬送時は緊急性を感じていなくても、よくよく検査をしたら重大な病気だったと分かるケースがあります。その逆もしかり、見た目は重症でも搬送先で検査してみたら入院するほどではなく帰宅される方もいるのです。

このように、見た目だけで症状を判断するのは危険でもあり、知識のない私たちにとって非常にむずかしいことなのです。

しかしその一方で、明らかに軽症であったり緊急性がないのに頻回利用したりと、悪用されるケースも増えています。本来、救急車で緊急搬送されるべき人が利用できなくなる深刻な問題が生じています。では、救急車の出動に実際どれくらいお金がかかっているのでしょうか。

救急車は、一度の出動に約4万5,000円の費用がかかります。その内訳は以下のとおりです。

  • 救急救命士の人件費
  • 救急車のメンテナンスやガソリン補給にかかる費用
  • 救命器具にかかる費用 など

年間619万回の出動であれば2,800億円弱もかかっていることになります。これらの費用が全て税金から捻出されているのです。

参照元:総務省「令和3年中の救急出動件数等(速報値)」の公表
日本でも「救急車」が有料に!? 出動にかかる費用は? 有料になったケースを紹介 | ファイナンシャルフィールド

4-2.世界的に見ると救急車が有料というケースが多い

日本以外に救急車の費用がかからない国は、イギリス・スウェーデン・イタリア・ブラジル・シンガポールが挙げられます。しかし世界的には救急車が有料であることは一般的であり、救急車が無料なのは当たり前ではなく少数派なのです。

世界各国の救急車要請費を見てみましょう。

  • アメリカ・・・ニューヨーク州 搬送のみ約84,000円、救命士同乗約143,000円~(1kmあたり約1,000円追加)
  • ドイツ・・・ミュンヘン 医師の処方がある場合、5ユーロ~10ユーロ(約700円~1,500円)

※処方がない場合は100~600ユーロ(約14,000円~90,000円)

  • フランス・・・パリ SMUR(救急機動組織)による搬送 335ユーロ(約50,000円)

※65%は社会保険、35%は任意保険から支払われる、BSPP(パリ市消防)による搬送は無料

  • カナダ・・・救急車呼び出し約4,000円、搬送約40,000円

このように、海外の救急車事情を見てみると、一度の利用に高額な費用を請求されることが分かります。

参照元:総務省消防庁
バンクーバー(カナダ):海外旅行 都市別安全情報|OTOA [ 一般社団法人 日本海外ツアーオペレーター協会 ]

4-3.救急車の費用が有料化するメリット

それでは救急車が実際に有料化された場合、どのようなメリットやデメリットが想定できるでしょうか。まずはメリットから見ていきましょう。

・メリット1.医療従事者の負担軽減

救急車が有料化し、安易に要請する方が減少すれば、救急医療に関わる医療従事者の負担は抑えられます。実際に救急医療の現場はパンク寸前ともいわれており、中でも軽症者の利用が負担の原因とされるなら救急車の有料化は大きなメリットとなるでしょう。

・メリット2.助かる命が増える

救急車は本来、重症患者をスピーディーに病院へ搬送させることが目的です。有料化し、救急車を呼ぶことにより慎重になれば、軽症者や安易に利用する方たちが減って重傷者の搬送が目的どおり迅速に済ませられます。つまり、助かる命も増えるということです。

・メリット3.消防運用費を抑えられる

例えば軽症者が救急車を利用した場合のみ費用負担とした場合、国の税収が増えるだけでなく救急車にかかる費用抑制にもつながります。その分、救急システムのさらなる充実へ投資でき、より多くの人命救助に貢献できるはずです。

4-4.救急車の費用が有料化するデメリット

救急車の費用が有料化するデメリット

メリットは「医療従事者の負担軽減」と「人命救助の質が上がる」という二つのポイントでした。それではデメリットはどのようなことがあるでしょうか。

・デメリット1.救急車利用にためらう方が増える

救急車が有料化された場合、経済的弱者は重症であっても救急車を呼ぶことをためらってしまうかもしれません。これにより病院への到着が遅れ、救えたはずの命を落としたり、重症化でより医療費の負担額が増えるといったケースが考えられます。

・デメリット2.逆に救急車利用が増える可能性も

救急車が有料になることで「お金を払っているのだから」と救急車を気軽に呼ぶ方が出てくることも危惧されます。これまで「救急車は緊急性が高いから無料なのだ」との認識から、有料化になることで救急車を呼ぶハードルが下がるという考え方も。逆に救急車の出動回数が増えてしまうかもしれません。

5.救急車以外に知っておきたいサービス

救急車の問題点を少しでも軽減すべく、日本では救急車以外の医療サービスを設けています。知っておくと大変便利なので覚えておきましょう。

5-1.救急車を呼ぶ基準に迷ったら#7119

救急車を呼んでも良い…?そんなふうに迷ったら「#7119」に電話をして相談してください。ここは「救急安心センター事業」といわれる機関で医師や看護師などが対応してくれます。通話料はかかりますが、相談料はいっさいかからない無料サービスです。

#7119に電話すると、オペレーターにより「救急電話相談」もしくは「医療機関案内」を問われます。救急車を呼ぶべきか迷っている場合は「救急電話相談」を選択しましょう。症状を伝えて緊急性が高いと判断されればそのまま救急出動につながり、緊急性が低いと判断されれば受診可能な病院や受診のタイミングなどのアドバイスを行います。

#7119の実施エリアや対応時間などは各自治体によって異なります。詳しくは総務省消防庁のWEBサイトで確認してみてください。

5-2.全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」

全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」

緊急度を判定してくれる全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」もおすすめです。画面に表示される質問に沿って症状などを答えていくと、緊急度に応じて必要な対応が案内されます。

(表示例)

  • 今すぐ救急車を呼びましょう
  • できるだけ早めに医療機関を受診しましょう
  • 緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう など

その後、医療機関の検索ができる「医療情報ネット」や移動手段が検索可能な「全国タクシーガイド」などが表示され、必要な情報サイトへ飛べます。

5-3.民間救急サービスもある

緊急性は高くないものの、入退院や通院時に移動手段がなくて困っている…という方もいるでしょう。そのようなときは「民間救急サービス」が便利です。公的サービスではないので利用料金はかかりますが、救急車並みの器具を備えた車で目的地まで搬送してもらえます。

介助員も同乗するので、一人暮らしで寝たきりの方でも不安なく利用できるでしょう。消防局認定業者という点も安心です。なお、利用できるのは一定の条件を満たした方に限ります。

おわりに 

日本では、今のところ救急車を呼ぶだけなら費用はかかりません。とても心強くありがたいシステムですが、無料であることに乗じて安易に呼んでしまう方も一定数いるようです。有料化になって困るのは私たち自身なので、まずは「#7119」などに相談し専門家の判断を仰ぐなど、冷静に対応するようにしましょう。

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