「人間ドック費用の相場は?」「費用を抑えてお得に利用する方法は?」「費用は医療費控除の対象になる?」など、人間ドックの費用が気になる方も多いのではないでしょうか。
人間ドックを受けると、1回当たり数万円かかってしまうので、費用はできるだけ抑えたいですよね。結論からいうと、補助を利用すれば人間ドックを安く受けられます。
このコラムでは、人間ドックにかかる費用の相場やおすすめオプションの料金、補助を利用して安く受ける方法を解説します。また、人間ドックの費用は、医療費控除の対象かどうかも説明するので、ぜひ最後までお読みください。
人間ドックの費用相場を解説
人間ドックの費用は、医療機関によって異なります。まずは、費用相場を下記の表から確認してみてください。
1日 | 2日 | |
男性 | 30,000円〜50,000円 | 60,000円〜80,000円 |
女性 | 45,000円〜70,000円 | 70,000円〜100,000円 |
1日よりも2日の方が検査項目が多いため、費用が高くなります。性別で比較すると、男性よりも女性の方が費用相場が高いです。女性の場合は、乳がんと子宮がんの検査が追加されることがあるため、男性より費用がかかる傾向があります。
乳がんや子宮がんといった女性特有の病気を早期発見するための検査は、下記のとおりです。
対象のがん | 検査項目 |
乳がん | 乳房診察 乳房X線検査(マンモグラフィ) 乳房エコー検査 |
子宮がん | 子宮頸部細胞診検査 内診 経膣エコー検査 |
人間ドックでは自分で選択できる検査が多いので、項目数によって費用が変動します。基本項目ではカバーできない「ご自身が気になっている部位」に対応した検査を追加していくと、数万円単位で料金が高くなります。
費用を紹介!人間ドックでおすすめのオプション7選
人間ドックの基本項目だけでは不安な場合、必要に応じてオプションを追加しましょう。検査によって費用が大きく変動するので、人間ドックに申し込むときに悩まないようあらかじめ確認しておくのがおすすめです。
ここでは、人間ドックでおすすめのオプションを7つ紹介します。それぞれの費用相場だけでなく、検査内容や「どのような方におすすめか」を説明しますので、人間ドックを受ける際の参考にしてください。
人間ドックのオプションについて、詳しくはこちらで解説しています。
胸部CT検査
胸部CT検査の費用相場は、10,000円〜30,000円です。胸部にX線を当て、肺や気管支などに異常がないか確認します。
胸部CT検査は、主に下記の病気を見つけるのに有効です。
- 肺炎
- 肺がん
- 結核
- 肺腫瘍
- 肺線維症
- 気管支ぜんそく
早期の肺がんを発見するなら、レントゲンよりもCT検査の方が見つけやすいといわれています。人間ドックの基本項目に含まれるレントゲンは、正面と側面の2方向から胸部を撮影します。
そのため、心臓や肋骨が肺に重なっている部分だった場合、肺がんを見つけにくくなる可能性があります。一方、胸部CT検査では、正面から胸部を見たときに観察しにくい部位でも、死角なく確認できるのがポイントです。
喫煙される方や家族歴のある方など、肺がんにかかるリスクの高い方は、胸部CT検査を検討しましょう。
喀(かく)たん細胞診検査
喀たん細胞診検査はたんを調べる検査で、1,500円~5,000円で受けられます。比較的お手頃な価格の検査ですが、胸部X線検査では発見しにくい肺の根本にできるがんの発見に有効です。
喫煙者や家族に肺がん歴のある方は、胸部CT検査と一緒に喀たん細胞診検査も受けることをおすすめします。 喀たん細胞診検査は、肺ドックとして胸部CT検査と組み合わせられていることもあります。
検査の組み合わせは医療機関ごとに異なるので、WEBサイトを確認しましょう。
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査の費用は、20,000〜40,000円が相場となっています。カメラで大腸の状態を観察する検査で、下記の病気の発見に役立ちます。
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 感染性腸炎
- クローン病
- 潰瘍性大腸炎
特に、大腸がんは日本人の死因の上位を占める病気です。2020年でがんが死因となった日本人女性のうち、最も多いのが大腸がんです。
また、がんに罹患した日本人男性のなかで、大腸がんの割合は第3位となっています。そのため、性別を問わず気になる症状がない方でも、大腸内視鏡検査の検討をおすすめします。
脳ドック
脳ドックの費用は、30,000円〜50,000円が目安です。脳ドックでは脳内にある分子の状態を撮影するMRAやMRIと、首を通っている大きな血管の様子を調べる頸部超音波検査を受けます。
さまざまな検査を組み合わせて脳に異常がないか確認することで、脳血管疾患の発見が可能です。脳血管疾患は日本人の死因の上位となっているので、充分に対策することをおすすめします。
脳ドックは命に関わる異常を発見できるため、どなたにも受けていただきたい検査です。特に、下記の病気にかかっている方は受診を検討しましょう。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
また、病気ではなくても飲酒や喫煙の習慣がある方は、慢性的に血管に負担がかかっています。脳の血管が詰まったり破れたりすることで、後遺症になってしまうリスクもあるので注意しましょう。
心臓ドック
心臓ドックは、心臓の異常を発見する検査で、30,000円〜50,000円が費用の相場です。心臓が原因の病気は、2000年頃から日本人の死因の第2位となり、現在も増え続けています。そのため、心臓ドックはどの方にもおすすめの検査です。
心臓ドックでは、下記のような検査を行い、心臓の異常や病気を発見します。
- 運動負荷試験
- 冠動脈CT検査
- 心臓MRI検査
- 心臓超音波検査
糖尿病や高血圧といった心臓病のリスクを高める病気にかかっている方は、心臓ドックを検討しましょう。加齢に伴って心臓に異常が見られやすくなるので、早期の受診をおすすめします。
PSA検査
PSA検査は、2,000円~3,000円で受けられる血液検査です。前立腺に異常があると血液中に流れ出るPSAというたんぱく質を測る検査で、がんの発見が主な目的となっています。
人間ドックの基本項目に血液検査が含まれているので、PSA検査のために採血の回数が増えることはありません。通常よりも少し多めに血を採られることはありますが、手軽に受けられる検査です。
前立腺は男性にしかない臓器のため、女性には不要な検査です。男性の中でも、50代以上の方や前立腺がんの家族歴のある方におすすめしたい検査です。
上部消化管内視鏡検査
上部消化管内視鏡検査の費用相場は、15,000円〜20,000円です。一般的に「胃カメラ」として知られている検査のことで、食道から十二指腸までに下記のような異常がないか確認します。
- 炎症
- がん
- 腫瘍
- ポリープ
特に、胃がんは男女共にかかりやすいので、リスクが高まる40歳から受けることをおすすめします。飲酒や喫煙の習慣がある方や家族にピロリ菌に感染した方がいる場合、上部消化管内視鏡検査が有効です。
【ケース別】補助を活用して人間ドックの費用を抑える方法
人間ドックを受けたいと思っていても、費用面の心配をされる方が多いのではないでしょうか。ここでは、補助を活用して人間ドックを安く受ける方法をケース別に解説します。
どのケースに該当するかによって、補助の申請先が異なります。ご自身に合った補助の申請方法を確認し、人間ドックをお得に受けましょう。
社会保険に加入している場合
社会保険に加入している場合は、健康保険組合(組合健保)と健康保険協会(協会けんぽ)のどちらに所属しているかによって、補助の申請方法が異なります。
どの保険制度に加入しているかについては、勤務先に確認したり健康保険証を見たりすることで確認可能です。健康保険証で確認する場合は「〇〇健康保険組合」と記載されていれば組合健保、「全国健康保険協会〇〇」なら協会けんぽと見分けられます。
補助の申請方法が異なるため、企業へ勤めている方は、ご自身がどちらに該当するか確認してから人間ドックを申し込みましょう。
会社が健康保険組合(組合健保)に加入している場合
会社が健康保険組合(組合健保)に加入していると、人間ドックの費用を補助してもらえることがあります。
健康保険組合(組合健保)とは、常時700人以上の社員が働いている企業が設立でき、独自の運営を行える組合のことです。単独で700人に満たなくても、同種同業の企業などが集まり、合計で被保険者が常時3,000人以上となった場合でも設立できます。
そのため、大企業だけでなくその子会社あるいはグループ会社も、健康保険組合(組合健保)に加入している場合が多いです。 健康保険組合(組合健保)の場合は、組合によって受けられるサービスが異なります。
そのため、人間ドックの補助があるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。組合によっては保険加入者だけでなく、配偶者などの扶養家族も費用補助の対象になる場合があります。
夫婦で人間ドックを検討している方は、補助の有無と一緒に配偶者の費用の負担もしてもらえるか確認してみましょう。
会社が健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合
健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、35~74歳の加入者に限り、指定された医療機関でお得に人間ドックを受けられます。健康保険協会(協会けんぽ)の補助を利用する場合は、「差額人間ドック」の料金を見ましょう。差額人間ドックとは、通常費用から助成金を差し引いた金額を支払えば人間ドックを受けられる制度のことです。
人間ドックを受けることを勤務先に伝える必要はないので、ご自身で医療機関に申し込みましょう。その際、差額人間ドックを希望する旨を伝えるようにしてください。申し込みの段階で保険者番号などの情報を求められることがあるので、健康保険証を手元に用意しておくのがおすすめです。
国民健康保険に加入している場合
一部の自治体に限られますが、国民健康保険に加入していると、人間ドックの費用の一部を負担してもらえる場合があります。自治体によって対象者や助成額などが異なるので、お住まいの地域の制度を確認しましょう。
自治体からの助成金は、お住まいの地域の役所で申請できます。申請の際は役所に出向き、必要な書類を提出する必要があるので、何を持っていけば良いか確認しておいてください。
人間ドックの助成制度がある場合、自治体のWEBサイトに詳細が掲載されています。人間ドックを受ける前に申請が必要な自治体もあるので、制度の内容や条件をよく確認しましょう。
民間保険に加入している場合
民間の生命保険などで、人間ドックにかかる費用を一部負担してもらえることがあります。ただし、どこで受けてもお得になるわけではなく、保険会社と提携している医療機関に限られることが多いです。
そのため、提携の医療機関が信頼できるかどうか見極めるようにしましょう。ひとつの目安になるのは、日本人間ドック学会に認められた「機能評価認定施設」です。その施設が保険会社と提携していれば、補助を申請しましょう。人間ドックを受ける前に申請が必要な場合があるので、早めに相談することをおすすめします。
人間ドックの費用は医療費控除の対象外
人間ドックにかかる費用は、基本的に医療費控除の対象外です。医療費控除は病気やケガの治療に伴う医療費が対象となるので、病気の早期発見が目的の人間ドック費用は含められません。
ただし、例外として医療費控除の対象となることもあります。人間ドックによって病気が見つかり、それを治療した場合です。
このように、診断結果に異常がない限り、人間ドックの費用が医療費控除の対象になることはありません。しかし、人間ドックで重大な病気が見つかり治療した場合は、医療費控除の対象になるので忘れずに申告しましょう。
人間ドックの費用を抑えてお得に受けよう
1日かけて人間ドックを受ける場合の費用相場は、男性で30,000〜50,000円、女性で45,000円〜70,000円。基本的な検査のほかにオプションを追加すると、費用はさらに高くなります。
人間ドックの費用負担は、補助を活用すれば抑えられます。人によって補助の申請先が異なるので、まずはご自身にどの申請方法が該当するか確認しましょう。
補助の制度によっては事前に申請が必要だったり、医療機関が指定されたりするので、申し込む前にチェックするのがおすすめです。ご自身に合った補助制度を利用し、お得に人間ドックを受けましょう。
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