スマホによる首への負担に悩む方は多いものです。「肩こりの悪化はスマホが原因なのだろうか」「つらい首の痛みを何とかしたい」といった悩みを抱える方もいるでしょう。スマートフォンを長時間使用したり、姿勢が悪かったりすると、スマホ首の状態となり身体の不調をきたす原因となります。
このコラムでは、スマホ首によるつらい肩こりや首の痛みを緩和するために以下のことを解説します。今日から始められるスマホ首の緩和方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
- スマホ首とは
- スマホ首の症状や原因
- 症状を緩和する方法
スマホ首について解説
近年、スマートフォンの使用により肩こりや首の痛みなどが生じる「スマホ首」という言葉が注目されています。スマホ首とは、本来なら前方にカーブを描く頸椎(首の骨)が真っすぐになってしまった状態のことを指します。頸椎が真っすぐな状態になると、前に出た頭を首の力だけで支えなければなりません。そのため、頭の重さを分散して支えることができず、首への負担が大きくなり、肩こりや首の痛みの原因となります。
スマートフォンの普及により発症数が増えていることからスマホ首は「現代病」のひとつといわれています。「スマートフォンの使用時間が増えてから肩こりが悪化した」という方は、スマホ首かもしれません。
参照元:整形外科とくはらクリニック:ストレートネック治療
スマホ首の症状【肩こりや首の痛みなど】
頸椎には、手足の動きや感覚をコントロールする神経が通っています。そのため、頸椎に負担がかかってしまうと、肩や首だけではなく全身にさまざまな症状が出る場合があります。スマホ首によって引き起こされる症状は、以下のとおりです。
- 肩こり
- 頭痛
- 首の痛み
- 背中の張り
- 腰痛
- めまい
- 吐き気
- 耳鳴り
- 手や腕のしびれ
- 不眠
- うつ症状や不安感
参照元:整形外科とくはらクリニック:ストレートネック治療
肩こりや首こりを放置してしまうと、自律神経のバランスが乱れる原因にもつながります。自律神経には内臓の機能を調整する役割があるので、乱れてしまうと耳鳴りやめまいなどさまざまな症状が現れます。うつ症状や不安感といった精神的な症状が出るのも、自律神経の乱れが原因です。
東京脳神経センターの研究によると、原因不明の体調不良で入院した方1,863人に首の筋肉への治療を行った結果、50%以上の回復率があったことが分かりました。なぜ首の筋肉が自律神経に影響を与えているかは解明されていませんが、自律神経のバランスを整えるためには首こりの緩和が効果的ということが証明されています。
参照元:東京脳神経センター:自律神経失調症と首こり(首の筋肉)、“首こり”が、どのように自律神経失調症に影響するのか?
スマホ首の原因
「スマホを使用すると心身に不調が出るが、原因がわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。スマートフォンを使用する姿勢が悪かったり、長時間使用したりすると、首に負荷がかかりスマホ首の原因となります。ここでは、スマホ首の原因を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
姿勢が悪い
姿勢が悪いと、スマホ首の原因となります。前かがみや猫背になると、頭の重みを首だけで支えなくてはならなくなり、負担が大きくなるからです。スマートフォンやパソコンを使用する時の姿勢だけではなく、立っている時の姿勢が悪い場合もスマホ首の原因となるので注意しましょう。
スマートフォンやパソコンを使用する時の姿勢
スマートフォンやパソコンを使用する時は、どうしても前かがみになりがちです。前かがみや俯いた姿勢では、首の負担が大きくなりスマホ首の原因となります。特に集中している時は、顔を画面の近くに寄せてしまい、前かがみや猫背になりやすいので注意しましょう。
またスマートフォンやパソコンに集中している時は、胸式呼吸になりやすいものです。胸式呼吸は、横隔膜の運動機能低下につながるため、さらに肩こりを悪化させる原因となります。
参照元:周防大島町病院事業局:健康だより
参照元:あい鍼灸院・接骨院:呼吸を見直すだけで健康に⁉腰痛・肩こりの緩和にも繋がる呼吸とは…
立っている時の姿勢
実は、立っている時の姿勢が悪い方も、スマホ首になることがあるので注意が必要です。立っている時の姿勢が悪く猫背になると、骨盤が後ろに倒れて頸椎のカーブが失われてしまいます。そのため、首への負担が大きくなりスマホ首の原因となります。猫背になる原因には、以下のようなものが挙げられます。
- 姿勢のくせ
- 筋力の低下
- 運動不足
「気がついたら猫背になっている」という方は、くせになっているかもしれません。脇を締めるように意識すると、スマホ首の防止になるのでおすすめです。
参照元:医療法人メディカルフロンティア:簡単にできる猫背改善の方法を専門家がご紹介!原因や注意点をチェック
長時間スマートフォンやパソコンを使用
スマホ首の原因として、長時間のスマートフォンやパソコンの使用が考えられます。総務省のデータによると、インターネットの平均利用時間は「平日で126.2分」「休日で131.5分」ということがわかりました。さらに、新型コロナウイルスによる在宅時間の増加の影響で、インターネットの平均利用時間は増加傾向にあります。
参照元:総務省:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
前かがみや猫背の状態を長時間続けていると、肩や首の筋肉が緊張して血流が悪くなり、痛みの原因となります。スマートフォンやパソコンを使う時は、こまめに休憩を取ったり休憩時に身体を動かしたりして、血流が悪くならないように注意しましょう。
スマホ首による不調の緩和法4選
つらい肩こりや首の痛みが出てしまうと、生活に支障をきたしてしまいます。「何とかしたい」と思っていても、緩和方法がわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ここでは、スマホ首による不調を緩和する方法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ストレッチを行う
スマホ首は、ストレッチを行うことで緩和できます。首が前方に出た状態が長時間続くと、「胸鎖乳突筋」がこり、肩や首の痛みの原因となります。「胸鎖乳突筋」とは、以下の画像のように耳の後ろから鎖骨を結んでいる筋肉です。
ストレッチを行い、胸鎖乳突筋をほぐしましょう。理学療法士がおすすめする「胸鎖乳突筋」をほぐすストレッチは、以下のとおりです。
- 首を右か左どちらか一方に向ける
- 首を向けた側と反対の手を胸に当てる
- そのまま首を後ろに倒す
- 15秒程そのままの姿勢を保持する
- 反対側も同様に行う
ストレッチを行う時は、以下のことに注意しましょう。
- 上を向かない
- ボキボキと骨を鳴らさない
- 勢いをつけて首を動かさない
ストレッチを行うのが困難なほどの痛みを感じる方は、無理に行わず医療機関の受診をおすすめします。
参照元:医療法人社団厚済会「【簡単1分!】ストレートネック・スマホ首緩和!理学療法士推奨ストレッチ」
正しい姿勢を保つ
スマホ首による不調の緩和には、正しい姿勢を保つことが効果的です。正しい姿勢を身につけるとスマホ首の予防になるので、しっかりと確認しておきましょう。
スマートフォンを使用する時の姿勢
スマートフォンを使用する時は、正しい姿勢を保つために以下のことを意識しましょう。
- スマートフォンを目の高さに合わせる
- 両手でスマートフォンを持つ
- 横になってスマートフォンを見ない
「目の高さに合わせるのが難しい」という方は、斜め上を向くようにしてスマートフォンを使うと前かがみになってしまうのを防げます。
パソコンを使用する時の姿勢
パソコンを使用する時の正しい姿勢は、以下のとおりです。
- 椅子に深く腰かける
- 足裏全体が床につくように座る
- ディスプレイは目線もしくはやや下になる高さに設置する
- ディスプレイと目の距離は40センチ以上離す
参照元:厚生労働省「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」
正しい姿勢を保つためには、グッズを取り入れる方法がおすすめです。近年、パソコンの高さを調整するグッズが注目されています。例えば、以下の画像のような目線とパソコンの高さを合わせる「ノートパソコンスタンド」があります。
ご自身の環境に合わせて、グッズを取り入れてみてはいかがでしょうか。
自身に合った枕を使用する
自身に合った枕を使用すると、寝ている時に正しい姿勢が保てたり、寝返りをサポートしてくれたりするので、スマホ首による不調が緩和できます。枕を購入する際は「自身で高さを調整できる枕」を選ぶことをおすすめします。高すぎる枕は、スマホ首を悪化させる原因となるので注意しましょう。
「自分に合った枕が見つからない」という方には「西川」のオーダーメイドピローがおすすめです。「西川」には、オーダーメイドの枕を測定してくれるプロがいます。睡眠科学や快眠の専門知識を持つ睡眠のプロがサポートしてくれるので、自身に合った枕が見つかるでしょう。
参照元:nishikawa:自分にぴったりの枕選び!オーダーメイドピローを体験
運動する
スマホ首の緩和には、運動が効果的です。運動不足により、筋力が低下すると猫背になるので、スマホ首を悪化させます。運動不足の方は、日常的に運動を取り入れてみましょう。スマホ首の不調を緩和する運動は、以下のとおりです。
- 水泳
- ウォーキング
- 軽いジョギング
- エアロビクス
- ヨガ
特に水泳は、首や肩への負担が少なく筋力がつけられるのでおすすめです。さらに、運動は血流を良くするので、新鮮な酸素や栄養が全身に巡り、肩こりや首こりを改善する効果があります。
参照元:上毛新聞社「元気らいふ」:生活見直そう ストレートネック
症状がつらい時は整形外科に受診を
肩こりや首こりで筋肉が緊張すると、痛みの原因となる物質が溜まり、さらに症状を悪化させます。症状がつらい時は、痛み止めや血流をよくする薬の処方が受けられるので、無理せず整形外科へ受診しましょう。
医師の診断のもと、理学療法士による専門的なリハビリやご自身に合ったストレッチ方法の指導が受けられるので、症状改善に期待できます。痛みが強い方は、頚椎椎間板ヘルニアや肩関節周囲炎(五十肩)などを発症している場合があるので、万が一に備え受診しましょう。
参照元:はせがわ整形外科:ストレートネック
おわりに
長時間スマートフォンを使用したり、姿勢が悪かったりすると、スマホ首の原因となります。スマホ首が悪化してしまうと、肩こりや首の痛みだけではなく全身に症状が出る場合があります。そのため日頃から、正しい姿勢やこまめなストレッチを意識することが大切です。症状が慢性化している方や痛みを強く感じる方は、何らかの病気を併発している恐れがあるので、医療機関の受診をおすすめします。