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【医師監修】血圧の測り方を種類ごとに解説!使う前の準備や正常値を保つ方法も紹介

【医師監修】血圧の測り方を種類ごとに解説!使う前の準備や正常値を保つ方法も紹介
工藤 孝文 内科医

監修者

内科医

工藤 孝文

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会・・日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

「血圧計を使ったことがないので、やり方があっているか不安…」「家庭測定の注意点があれば知りたい」「どのタイミングで血圧を測れば良いの?」と悩んでいる方が多いのではないでしょうか。自宅で血圧を測れれば便利ですが、測り方を間違えると正確な数値が出ません。高血圧なのに正常値が出てしまうと、治療を始めるのが遅くなり、大きな病気につながる可能性があります。

このコラムでは、血圧計の種類や正しい使い方を解説します。血圧を測る際の注意点やおすすめの時間帯なども解説するので、ぜひ最後までお読みください。

血圧の測り方を血圧計の種類ごとに解説

家庭用の血圧計は、カフの種類や血圧の測り方で3種類に分けられます。血圧計の種類によって、服を着たまま計測できるもの、できないものなどの特徴があります。正確な結果を出すために、正しい測り方を学んでいきましょう。

上腕式血圧計(カフ式)

OMRON「上腕式血圧計 HCR-7407

参考商品:OMRON「上腕式血圧計 HCR-7407

上腕式血圧計のカフ式は、血圧計のなかでも一般的なタイプです。種類も多く、さまざまな機能がある製品が存在します。

製品によっては、血圧や脈拍などを分析できたり、カフの巻き方や測定中の身体の動きなどを検知して、正しい結果が出るようにサポートしたりできます。カフ式で測る際には、カフを素肌もしくは薄手の肌着の上に、すき間ができないようにぴったりと巻いてください。セーターなど厚手の服を着ている場合は、腕まくりをせずに、脱いでから測定しましょう。

巻く際は、エアチューブを手のひら側にします。その後、位置を腕の中心にくるように調整したら、肘の関節部にカフがかからないように、肘の内側のくぼみから1~2cmほど上に巻いてください。

上腕式血圧計(アームイン式)

OMRON「自動血圧計 HEM-1000 スポットアーム」

参考商品:OMRON「自動血圧計 HEM-1000 スポットアーム

アームイン式の上腕式血圧計は、筒状の穴に腕を通して、肘をつくだけで簡単に測定できます。正しい測定姿勢を教えてくれたり、測定中の身体の動きを知らせてくれたりする機能がある製品も多いです。


腕を通すだけで正しい測定姿勢をとれるので便利です。毎日手軽に測定したい方や、カフを正確に装着する自信がない方に向いています。ただし、アームイン式は本体が大きく、設置スペースを取ることが欠点です。

手首式血圧計

OMRON「手首式血圧計 HEM-6121」

参考商品:OMRON「手首式血圧計 HEM-6164

手首式の血圧計は、カフと本体が一体になっていて、コンパクトで携帯に便利なのが特徴です。血圧計を手軽に使ってみたい方や、初めてご自身で血圧計を使う方におすすめです。出張先、旅行先などでも使えます。

ただし測り方には注意が必要です。血圧計は心臓の高さに近付けて測定するほど正確な結果が出やすいので、手首式の場合は、腕の曲げ方などにより若干測定値がばらつきやすくなってしまいます。

カフは、素肌の上にすき間ができないようにぴったりと巻きます。手首の骨がカフにかからないように、手のひらと手首の境目から1~1.5cm離して巻きましょう。巻きやすい方の手首に巻けば大丈夫です。ただし、左右の手首で測定値が違う場合もあるため、毎回同じ手首で測るようにしましょう。

血圧計を使うときに気を付けるべき5つのこと

血圧機器

血圧計を使用する前に正しい準備をしなければ、測る度に結果に差が出てしまいます。毎回同じ状況で計測することで正しい数値を測ることが可能です。血圧計を使うときに気をつけるべきことについて解説しますので、ご自宅で血圧計をお使いの方は参考にしてみてください。

リラックスした状態で測る

血圧は、測る直前の身体・精神状態の影響を受けやすいです。イライラしていたり緊張していたりすると、交感神経が活発になって血圧が上がり、正確に測ることができなくなってしまいます。血圧を測る前に1~2分だけでも安静にしたり、楽な姿勢で座って5~6回深呼吸したりして落ち着いてから測るようにしましょう。

排尿・排便を済ませておく

血圧を測る際は、排尿・排便を済ませて数分経ってから、もしくは尿意・便意のないときに測定するようにしましょう。排尿、排便を済ませてすぐは血圧が下がり、尿意・便意を我慢していると血圧は上がります。正常値を測るために、計測タイミングに気を付けましょう。

寒すぎない・暑すぎない部屋で測る

血圧を測る際、室温は20℃前後の温度を保ちましょう。皮膚の血管は、気温によって収縮したり拡張したりします。これにより、暖かいときには血圧が下がり、寒いときには血圧が上がってしまいます。同じ気温を保てる部屋で計測を行いましょう。

正しい姿勢を保つ

正しい姿勢を保ち、カフを正しく装着するのは、血圧を測定する前の準備でも特に大切です。座る際には、いすの背もたれに軽くもたれて、足を組まないでリラックスして座りましょう。上腕や手首など測定する部分が心臓の高さになるように、クッションや本を使って調整します。カフは、巻き終わった際にすき間ができないようぴったりと巻きましょう。

毎日同じ時間に測る

日本高血圧学会は、起きてからすぐと寝る前の毎日同じ時間の測定をすすめています。血圧は長期的にデータを取ると変化が見えやすいです。起床して30分後など、毎日できるだけ同じ時刻に測定することでより血圧の変化が分かります。また測った血圧を記録する際に以下のようなアプリを使用すれば、手軽に1日ごとの変化を確認できます。血圧を測れるアプリには、以下のようなものがあります。

  • 血圧ノート-血圧変化を記録!自動でグラフ化-
  • 血圧ナビ
  • 血圧記録計&高血圧管理

「血圧ノート-血圧変化を記録!自動でグラフ化-」では、日々の血圧や服薬状況などを記録して、カレンダーやグラフで確認することが可能です。体重や体脂肪率も確認できます。

ダウンロード:iOS版 Android版

「血圧記録計&高血圧管理」はデータが検索しやすく、起立したとき・着席したときなど、計測状況ごとの記録が可能です。グラフで最大値・最低値・平均値を簡単に確認できます。

ダウンロード:Android版

血圧を正常に保つために取り組みたい生活習慣7選

生活習慣

日本高血圧学会の高血圧診断基準によると、年齢に関係なく最高血圧が120mmHg未満かつ、最低血圧が80mmHg未満の場合が正常値とされています。また、最高血圧が140mmHgを超える、もしくは最小血圧が90mmHgを超えると高血圧といわれています。

参照元:e-ヘルスネット 「高血圧

血圧を定期的に測るなら、生活習慣を改善してみてください。血圧が正常値に戻った際に、血圧が高かった原因を判断することにもつながります。

塩分をあまり摂らないようにする

日本高血圧学会は、1日に推奨される食塩摂取量は6g以下としていますが、厚生労働省が2019年に発表した「国民健康・栄養調査」によると、日本人の平均食塩摂取量は10.1gという数字が出ています塩分を減らすと食事が薄味ばかりになってしまうので、出汁や酢など、別の調味料を使うのがおすすめです。特に、出汁はビタミンやミネラルが豊富なので積極的に使うようにしましょう。

野菜・果物を食べる

野菜・果物に含まれるカリウムとマグネシウムは血圧を下げる効果があります。マグネシウムは血管を広げて血圧を下げ、カリウムは血圧を上げてしまうナトリウムの排泄を促す効果があります。

食べ過ぎない

肥満になると血液量が増えて、血圧が上がりやすくなってしまいます。また、食べる量が増えるとそれだけ塩分も摂取してしまうので、意図的に食べる量を減らすことが大切です。

お酒を飲み過ぎない

日本酒なら1合、焼酎は1/2合弱、ビールは中ビン1本、ワインはグラス2杯弱くらいの量であれば、毎日飲んでいても血圧に大きな影響はないといわれています。ただ、気付かないうちに飲み過ぎてしまうこともあるでしょう。飲み過ぎは高血圧に直結するので、飲む量を把握することが大切です。

毎日30分以上運動する

1日30分以上の有酸素運動を続けることで、運動直後からほぼ丸一日、収縮期血圧を5mmHgほど下げることができます。ただ、いきなり長い時間運動するのは難しいので、ウォーキングなど簡単にできることから始めて、毎日取り組むのが大事です。

睡眠を充分に取る

睡眠時間が少ないと、血圧が上がりやすくなってしまいます。毎日7時間前後の充分な睡眠を取ることで、血圧の改善につながります。寝る時間を確保できていない方は、夜の生活習慣を見直し、睡眠時間を7時間以上確保するようにしましょう。

たばこを吸わない

たばこに含まれているニコチンという成分が交感神経を刺激して、血圧を上げるホルモンを分泌させ、血管を収縮させます。その結果血液の粘度が高くなり、血流の低下が起こります。血流が低下してしまうと、全身の細胞に新鮮な栄養素と酸素が充分に届けられません。酸素不足・栄養不足を改善するために多くのストレスホルモンが分泌され、交感神経の働きが盛んになって、血圧が上昇します。血圧を正常値に保ちたいのであれば、たばこを吸わないことをおすすめします。

血圧計は、種類ごとに測り方が違いますので、必ず正しいやり方で計測するようにしましょう。また、気温や姿勢を毎日同じ環境で行うといった、計測前の準備もとても大切です。血圧が高い場合は、食事や生活習慣を見直しましょう。すぐに効果が出るものではないので、継続して改善し続ける必要があります。定期的に血圧を計測しながら、健康的な生活習慣をとり、高血圧を予防していきましょう。

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