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【医師監修】コレステロール値を下げる飲み物とは?選び方や効果的な食事習慣について紹介!

【医師監修】コレステロール値を下げる飲み物とは?選び方や効果的な食事習慣について紹介!
工藤 孝文 内科医

監修者
工藤 孝文 内科医

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会・・日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

健康診断の結果で目にする機会がある「コレステロール値」は、日本人の死因の上位である心疾患・脳血管疾患に関わっているものです。また40~50代になると、コレステロール値が健康診断で引っかかる方が増えてくる傾向にあり、話題になる機会も多いことでしょう。

一方で、コレステロール値が高いことは身体に良くないことだとは知っていても、具体的にどのような働きをしているのか知らないという人が多いと思います。

このコラムでは、コレステロールの概要・コレステロール値が上がると身体にどのような症状が出るのかを解説します。また、日々の生活のなかでコレステロール値が上がらないように、コレステロール値を下げる飲み物や効果的な食事習慣についても紹介していきます。

コレステロールとは?

コレステロールとは、脂質の一種で細胞膜、各種ホルモン、胆汁酸等の原料となる生命維持に重要な栄養素です。食事で摂取したり、体内で合成されます。

コレステロールと聞くと、良いイメージがないという方が多いと思いますが、コレステロールは、身体を健康に保つために必要な機能を担っている必要不可欠なものです。

コレステロールには、細胞膜の形成・ホルモン・胆汁酸を作る原料としての働きがあります。

総コレステロール

総コレステロールとは、血液のなかに含まれているLDLコレステロール・HDLコレステロールの総量のことです。総コレステロールに関しては、増えても問題がないとされているHDLコレステロールが増えた場合であっても、総コレステロール値が高くなってしまいます。

そのため、総コレステロール値については、参考値として確認する程度で良いといえるでしょう。日本人間ドック協会の基準範囲では、130〜219(mg/dl)が正常とされています。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

LDLコレステロールは、肝臓で合成されたコレステロールを全身の各組織に運ぶ運搬役を担っています。LDLコレステロールは、数値が正常範囲内であれば問題ありませんが、血液中のLDLコレステロールの数値が増加すると、血管壁に付着し溜まっていきます。そうなると、血管壁は硬くて分厚い状態になり、動脈硬化の原因になってしまいます。

日本人間ドック協会の基準範囲では、60〜119(mg/dl)が正常とされています。

HDLコレステロール(善玉コレステロール)

HDLコレステロールは、余分なコレステロールや、血管壁に溜まってしまったコレステロールを受け取り肝臓へ戻す役割を担っています。HDLコレステロールが少ないと、余分なコレステロールを回収することができなくなり、血管壁にコレステロールが蓄積されてしまい、動脈硬化が進む原因になります。

日本人間ドック協会の基準範囲では、男性40〜99(mg/dl)、女性50〜109(mg/d)が正常とされています。

中性脂肪

中性脂肪は、身体のエネルギーであるブドウ糖が不足したときに、代わりに補う役割や身体の体温調節を行う役割などを担っています。身体を動かすエネルギー源は糖質ですが、糖質が余ってしまったときには、肝臓で中性脂肪に変化します。中性脂肪が増えすぎると、皮下脂肪・内臓脂肪として体内に蓄積されるので、肥満の原因となっています。

日本人間ドック協会の基準範囲では30〜149(mg/dl)が正常とされています。

コレステロール値が上がるとどうなる?

血液中のLDLコレステロールや中性脂肪の数値が上がってしまうと、動脈硬化のリスクが高くなります。また、LDLコレステロールが増えて動脈硬化が進行した場合、どのような疾患になる危険性があるのか気になるという方も多いでしょう。

次では、コレステロール値が上がってしまうことにより起こる疾患について解説していきます。

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症は「血液中のLDLコレステロール値や中性脂肪値が高い」または「HDLコレステロール値が低い」状態を示します。両者とも、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪の割合が多くなり、血管壁に余分なLDLコレステロールが積み重なることで、血管が細く硬くなる動脈硬化の原因になります。

また、脂質異常症の方は高血圧になりやすいといった特徴があります。糖尿病を患っている方の場合は、糖尿病の悪化につながってしまう可能性も考えられます。脂質異常症は、乱れた食生活・運動不足が深く関係していると考えられています。生活習慣の見直しで改善につなげられるでしょう。

高血圧

高血圧とは、生活習慣病のひとつで、血圧が高い症状が続いていることをいいます。高血圧は無症状のケースが多いので、血圧を測って初めて知るということも珍しくありません。

血中のLDLコレステロールは、増加すると血管壁に積み重なって溜まり、血管が細くて硬い状態(動脈硬化)になります。血液の通り道である血管が細くて硬い状態になることで、血管の柔軟性が失われて、結果的に血圧が高くなってしまいます。

日本人間ドック協会の基準範囲では収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上のどちらか又は双方を満たす場合、高血圧とされています。

糖尿病

糖尿病は、インスリンと呼ばれるホルモンがうまく働かずに血液中のブドウ糖が増えてしまう病気です。脂質異常症の方は、インスリンの働きが悪くなるのが特徴のひとつです。

そうなると血糖値が上昇してしまい、糖尿病が悪化する可能性があります。また、糖尿病の方は、血液中のブドウ糖が多いので、肝臓が余分な糖分で中性脂肪を作ってしまいます。

インスリンには、血糖を一定に保つ作用・脂肪を合成する作用があります。インスリンがうまく作用できずに血糖の濃度(血糖値)が高いままで放置してしまうと、血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、糖尿病の慢性合併症につながってしまう可能性があります。

心筋梗塞、狭心症などの心疾患

心臓に血液を送る冠動脈が動脈硬化などによって細くなることで、心臓への血液の流れが悪くなるのが狭心症です。心筋梗塞は、動脈硬化で積み重なって血管を細くしている沈着物がはがれ、血栓となり冠動脈を閉鎖してしまう病気です。

狭心症・心筋梗塞などの心疾患の原因は動脈硬化といわれています。動脈硬化はLDLコレステロールが血管壁に溜まってしまうことで発生するものです。そのため、心疾患を防ぐためには、LDLコレステロールの増加を防ぐことが重要です。

脳梗塞、脳出血などの脳血管疾患

脳の血管の動脈硬化が進行すると、積み重なって血管を細くしている沈着物がはがれ血栓となり、脳の血管を閉鎖します。この状態を脳梗塞といいます。

脳出血は、脳の血管が破れ出血している状態です。どちらも、早く適切な処置をしないと、後遺症や死亡するリスクがあります。脳血管疾患は、動脈硬化や高血圧が原因とされているので、動脈硬化・高血圧を予防することが重要といえるでしょう。

動脈硬化・高血圧は、血中のLDLコレステロールが増えすぎることが原因なので、日頃からコレステロール値を上げないような生活を送ることが大切です。

コレステロール値が気になる方への飲み物の選び方

3.コレステロール値が気になる方への飲み物の選び方

コレステロール値が気になる方は、炭酸ジュースや果汁ジュース・果実酒・ビールなど、多くの糖質を含む飲み物には注意が必要です。血中の中性脂肪を増加させる原因となります。

コレステロール値が気になる方は、水やお茶を飲むと良いでしょう。お酒の場合は、赤ワインがおすすめです。お茶のなかでも、茶カテキンが含まれる緑茶にはLDLコレステロールの吸収を抑える効果があります。

また、赤ワインに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、LDLコレステロールの酸化を防ぐことが可能です。他にも、最近ではトクホ(特定保健用食品)の飲料も豊富な種類が揃っています。中性脂肪が気になる方は手軽に始められるため、おすすめの方法といえるでしょう。

コレステロール値を下げるおすすめの飲み物

コレステロール値を下げるためには、生活習慣を1から見直す必要があります。特に、食事・運動の見直しがコレステロールを下げる効果的な方法です。一方で、食事内容の改善や運動を始めるのは大変なことだといえるでしょう。

普段飲んでいる飲み物を、コレステロール値を下げる効果がある飲み物に代えるだけなら手軽に始められるでしょう。生活習慣の見直しに取り入れやすい方法だといえます。

以下では、コレステロール値を下げるおすすめの飲み物を紹介します。

緑茶・抹茶・青汁

「緑茶」「抹茶」「青汁」には、茶カテキンが含まれています。茶カテキンは、緑茶葉に含まれるポリフェノールの一種で、お茶独特の苦みや渋みの成分です。

茶カテキンには、LDLコレステロールをはじめとした血中のコレステロールや中性脂肪の吸収を抑え込む作用があります。茶カテキンのなかでも、ガレート型カテキンは特に効果が高く、コレステロール値が下がりにくいとされる女性にも効果があるとされています。また、ガレート型の茶カテキンは、緑茶に多く含まれています。

豆乳

「豆乳」には、大豆たんぱく質が多く含まれています。大豆たんぱく質には、コレステロール値を低下させる作用があるといわれています。大豆たんぱく質は消化管のなかで胆汁酸と結びつき体外に排出されるという働きがあります。

身体は足りなくなった胆汁酸を作るために、血液にあるコレステロールを取り込みます。そのため、血液中のコレステロール値を低下させることができるのです。

アーモンドミルク

「アーモンドミルク」は、アーモンドと水から作られる植物性の飲料です。アーモンドミルクには、不和脂肪酸の一種であるオレイン酸が多く含まれています。オレイン酸は体内で合成できないため、食品から摂る必要がある栄養素です。

オレイン酸の働きにより、血中のLDLコレステロールを抑制する効果が期待できます。ただし老化を引き起こす「過酸化脂質」となる恐れがあるため加熱せずにそのまま飲むようにしましょう。

トマトジュース

「トマトジュース」は、リコピンを多く含んでいます。リコピンには、血液中のHDLコレステロールを増やす作用があるとされています。生のトマトより気軽にリコピンを摂取できるトマトジュースであれば、継続して飲み続けられるでしょう。

ココア・チョコレートドリンク

「ココア」「チョコレートドリンク」には、カカオポリフェノールが含まれています。カカオポリフェノールにはLDLコレステロールの酸化を防ぐ、抗酸化作用があるため、動脈硬化の予防が期待できます。活性酸素と結びつくのを防いでくれることで、抗酸化作用が期待できます。また、カカオポリフェノールには、血管内部の炎症を緩和させ血管をしなやかにする作用があるともいわれています。

コーヒー

「コーヒー」に、カフェインが含まれていることはよく知られていますが、ポリフェノールも含まれています。コーヒーに含まれるポリフェノールもカカオポリフェノール同様に、抗酸化作用があります。

コーヒーを飲むことで、LDLコレステロールが活性酸素と結合するのを防ぐことができます。なお、コーヒーの成分にあるカフェストールは、LDLコレステロールの上昇作用があるといわれていますが、ペーパーでろ過をすることでほとんど取り除くことができます。

コレステロール値を下げるための食事習慣

コレステロール値に関しては、生活習慣が大きく関わっています。その原因のひとつとされているのが普段の食事です。LDLコレステロール値の数値を増加させないためには、食事から摂取して体内で作られるコレステロールの数を減らすことが重要といえます。

以下では、コレステロール値を下げるための食事習慣について紹介していきます。

1日3食をバランス良く食べる

1日3食バランス良く食べることを心掛けましょう。食事の回数が少ないと、身体は次の栄養がいつ入ってくるか分からない状態になります。そうなると、エネルギーの消費を抑え、コレステロールや中性脂肪を体に蓄えようとします。

また、偏った食事習慣は、体内のLDLコレステロールや中性脂肪を増やしてしまう可能性もあります。バランスの取れた食事を意識するようにしましょう。

食事のバランスに不安がある方は、厚生労働省と農林水産省によって定められた「食事バランスガイド」を活用するのがおすすめです。食事バランスガイドでは、何をどれだけ食べるべきなのかが分かりやすくイラストで示されています。

厚生労働省と農林水産省によって定められた「食事バランスガイド」

コマのイラストでは、上から主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物と分かれています。コマの軸は、お茶や水、コマを回すヒモは、お菓子などの嗜好品となっています。イラストを見ながら5つの分類の食品をバランス良く食べるように心掛けることで、偏りのない食事を実現できるでしょう。

出典元:農林水産省

エネルギー摂取量を考える

エネルギーは、生命の機能維持や身体活動で利用されており、熱として身体から排出されます。エネルギーの摂取量がエネルギーの消費量より多くなると、体重が増加して肥満へとつながります。そのため、ご自身のエネルギー摂取量とエネルギー消費量を考えた上で、食事習慣を整える必要があるでしょう。

なお、厚生労働省は、1日当たり約300kcal以上のエネルギー消費量に相当する身体活動を推奨しています。歩数に換算すると、1日10,000歩程度です。コレステロール値を下げるためには、食事習慣と運動習慣をバランス良く取り入れるようにしましょう。

【性別年代別】カロリー摂取量の目安

1日に必要な推定エネルギー必要量は、以下の通り身体活動レベル別に分類されています。

低い(I)

生活のほとんどを座位で過ごし、静的な活動が中心の場合

ふつう(II)

座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合。

高い(Ⅲ)

移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合。

自身の身体活動と年齢から推定エネルギー必要量を以下の表から確認してみましょう。

推定エネルギー必要量( kcal/日)

性別 男性
女性
身体活動レベル I II
18~29歳 2300 2650 3050 1700 2000 2300
30~49歳 2300 2700 3050 1750 2050 2350
50~64歳 2200 2600 2950 1650 1950 2250
65~74歳 2050 2400 2750 1550 1850 2100
75歳以上 1800 2100 1400 1650

参照元:「日本人の食事摂取基準」厚生労働省

コレステロール値を下げるものを食べる

​​コレステロール値を下げるには、バランスの取れた食事習慣が大切です。その際に、コレステロール値を下げる作用のある食品を積極的に食べることで、コレステロール値の低下が期待できます。コレステロール値を下げる食品の例は、以下の通りです。

食物繊維が豊富なもの

食物繊維は腸内を移動しながら、コレステロール・中性脂肪を包み込み、体外へ排出する効果があります。昆布・わかめ・きのこ類に多く含まれます。

大豆製品

植物性のたんぱく質には、緩やかな反応ですがLDLコレステロール・中性脂肪を低下させる働きがあります。納豆・豆腐などに多く含まれています。

魚類

魚に含まれるEPA・DHAは、血液中のLDLコレステロール・中性脂肪を低下させる効果があります。EPA・DHAは青魚に多く含まれています。

飲酒と喫煙を控える

喫煙すると、糖質・脂質の代謝に悪い影響を与えるといわれています。タバコの成分であるニコチンがホルモンの分泌を促進させることで、LDLコレステロールと中性脂肪が増加し、HDLコレステロールが減少することが分かっています。

飲酒については、適量のアルコールの場合、HDLコレステロールが増加するため、動脈硬化の予防につながります。一方で、過度のアルコール摂取は高血圧や肥満の原因になりますので、ほどほどにすることが大切です。1日のアルコール摂取量の目安は、25g以下といわれています。

下記の表に目安量をまとめていますので、参考にしてみてください。

お酒の種類 目安量
ビール 中ビン1本(500ml)
日本酒 1合(180ml)
ワイン 2杯(200ml)
焼酎 グラス1/2杯(90ml)
ウイスキー ダブル1杯(60ml)
チューハイ 7%のもの1缶(350ml)

参照元:全国健康保険協会

おわりに

このコラムでは、コレステロールの概要やコレステロール値が上がることが身体にもたらす症状、また日常生活で取り入れたいコレステロール値を下げる飲み物や効果的な食事習慣について紹介しました。コレステロールは、細胞膜・ホルモン・胆汁酸の生成など、体を作るために必要不可欠な存在です。一方で、増えすぎると動脈硬化のリスクが高まり身体に悪影響をおよぼしてしまいます。生活習慣を見直して、コレステロールとうまく付き合っていくことが重要であるといえるでしょう。

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