歯がしみるのはどうして?原因や対策、歯医者での治療法を知りたい

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歯がしみるのはどうして?原因や対策、歯医者での治療法を知りたい

食事や歯磨きなどの際に、歯がしみるのを経験したことはありませんか?毎回のように歯がしみて、楽しいはずの食事が楽しくないという方もいるかもしれません。歯がしみるのは、知覚過敏のほかにもさまざまなものが原因として考えられます。 

ここでは、考えられる原因やそれぞれに対する治療法、日頃からできる予防法などについて分かりやすくご紹介していきます。歯がしみる症状のある方は参考にしてください。 

1.歯がしみる原因は? 

歯がしみる原因には、さまざまなものがあります。ここでは考えられる4つの原因についてご紹介します。 

1-1.知覚過 

まず考えられるのは、知覚過敏です。知覚過敏とは、温度や浸透圧の変化などの刺激によって誘発される、痛みを症状とする疾患です。冷たいものを食べたり飲んだりするときやブラッシング(歯磨き)をするときなどに、ピリッとしみて痛い感覚があります。持続性がなく、一過性であることが特徴です。 

知覚過敏は、犬歯・第一小臼歯・切歯・第二小臼歯の頬側に多く、30代の方に好発し、生涯罹患率は80%ともいわれています。虫歯や歯周病になっていないのに歯がしみるのは、知覚過敏の可能性があります。 

1-2.虫歯 

冷たいものだけでなく、甘いものや温かいものでも歯がしみる場合は、虫歯の可能性があります。このときのしみる感覚は、刺激を受けた瞬間だけでなく10秒以上持続するのが特徴です。 

虫歯とは、虫歯菌がつくる酸により歯のカルシウム・リンが溶け、歯に穴が空く疾患のことをいいます。虫歯菌は、口内の糖分をエサにして歯垢(プラーク)を形成し、酸を作り出します。一方、溶けたカルシウム・リンを歯の表面に戻そうとする働きもあります。戻そうとする働きは、唾液によるものです。 

カルシウム・リンが溶けることを脱灰(だっかい)、それらを歯の表面に戻す働きを再石灰化といいます。口内で行われているこれらのうち、再石灰化を上回って脱灰が進み、歯に穴が空いてしまった状態が虫歯です。しみるほどの症状が出る虫歯は、進行していて穴が深く、神経付近にまで達していると考えられます。進行した虫歯は、黒くなったり穴が空いたりしているのが肉眼でも見えるでしょう。 

1-3.歯周病 

歯周病により歯肉の位置が下がって、冷たいもので歯がしみてしまうこともあります。初期の歯周病は歯肉炎と呼ばれ、しみたり痛んだりといった症状が見られることはほとんどありません。しかし、進行すると歯周炎と呼ばれる状態になり、歯槽骨(歯の根元部分を支える骨)が溶けてしまうのです。歯の揺れが見られることもあります。 

現在、日本では成人の80%が歯周病であるといわれています。割合だけ見るとごく普通の疾患のように感じますが、放置してしまうと歯を失うという悲しい結果につながる可能性も否めません。しみる、痛みがあるなどのほかに、歯肉からの出血や歯の揺れがないかチェックしてみましょう。 

1-4.歯髄炎 

歯髄炎とは、歯髄の炎症のことを指します。聞き慣れない方もいるかもしれませんが、歯髄とは歯の神経のことです。歯髄炎を発症する原因として多いものは、外傷や虫歯の進行が挙げられます。歯髄炎になると、激痛といえるほどの痛みを感じます。 

しかし、初期の段階では、冷たいものや甘いものを食べたり飲んだりしたときに、一過性にしみるような痛みを感じるのが特徴です。歯髄炎は、進行すると治らないこともあります。そのため、初期の段階で気付くことが重要なのです。 

2.虫歯じゃないのに歯がしみるのはなぜ? 

虫歯じゃないのに歯がしみるのはなぜ?

虫歯が神経に達している、歯肉や神経で炎症が起きているなどの場合は、しみる理由が分かりやすいと思います。しかし、歯に穴が空いているわけでも炎症が起きているわけでもない知覚過敏が、なぜしみるのか疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。知覚過敏で歯にしみる症状が出るのは、歯の構造が深く関係しています。 

図のように、歯には歯肉から見えている部分(歯冠部)と見えていない部分(歯根部)があります。歯冠部は、表面がエナメル質で覆われており、その内側に象牙質があるのが特徴です。一方、歯根部の象牙質の周りを覆うのは、エナメル質ではなくセメント質です。エナメル質は身体のなかで最も硬い組織であるといわれており、それ自体では知覚がありません。それに対して、セメント質は比較的柔らかく傷つきやすいという特徴があります。つまり歯根部が歯肉から露出した場合、しっかりとした保護がない状態なのです。 

象牙質は刺激を受け取って神経に伝えるしくみがあり、刺激を受けると、しみる、痛いなどの症状が出ます。そのため、虫歯のように影響が神経まで達していなくても、象牙質がむき出しになることにより歯がしみると感じることがあるのです。 

3.歯がしみる原因「知覚過敏」はなぜ起こる? 

知覚過敏が起こる原因を解説します。 

3-1.歯がすり減ったため 

食べたり飲んだり、磨いたりと、わたしたちは毎日歯を使っています。そのため、年齢を重ねるにつれて、歯は気付かないうちに少しずつ擦り減っているのです。歯を強く噛み合わせる癖や歯ぎしりする癖がある場合は、さらに擦り減ってしまうでしょう。歯ぎしりする癖がないと思っていても、実際には眠っている間に無意識にやっていることもあります。 

歯を強く噛み合わせる癖や歯ぎしりなどが習慣化することで起こるのが、歯の表面を覆うエナメル質の損傷です。象牙質が露出してしまうことで、刺激を受けたときにしみるようになってしまうのです。 

3-2.虫歯治療 

虫歯治療が原因で、歯がしみる症状が出ることもあります。これは、歯を削るという処置により、歯の神経が痛みの刺激を受け取りやすくなってしまうことによるものです。また、虫歯の治療法によっても、噛み合わせた際にしみる場合もあります。 

後者の場合は、治療から時間がたてば症状が落ち着くことがほとんどです。しかし、時間が経っても症状が落ち着かない場合には、再治療や神経を取り除く治療などが必要になることもあります。 

3-3.歯肉が下がったため 

歯肉の位置は、年を重ねるにつれて少しずつ下がります。それに伴って歯根部が歯肉から露出することにより、象牙質はむき出しの状態となります。刺激を神経に伝える象牙質がむき出しになってしまうことで、痛みやしみる症状が出てしまうのです。 

これとよく似た状況で歯がしみる原因としては、歯石の除去が挙げられます。歯石を除去する際には、象牙質に器具が触れたり水がかかったりするため、歯がしみることがあります。 

3-4.歯が欠けたり折れたりしたため 

歯は転倒や打撲などにより、欠けたり折れたりする場合があります。すでに神経がない歯であれば、しみると感じることはほとんどありません。しかし、神経がある歯の場合は、象牙質がむき出しになることで歯がしみる、噛むことで痛みを感じるなどの症状が出ます。 

欠けたり折れたりしたときに、残った側の歯に亀裂が入る場合もあります。程度にもよりますが、その亀裂から細菌が侵入し、歯の神経にまで及ぶような炎症を起こすこともあるので注意が必要です。 

3-5.歯が溶けてしまったため 

前述のように、酸は歯を覆っているエナメル質を溶かします。これは、虫歯菌がつくる酸だけでなく、食べものや飲みものなどの酸にも同様のことがいえます。一般的に歯が溶け始めるといわれているのは、pH5.5程度からです。これより酸性度の高い(数字が小さい)食べものや飲みものを摂取し続けることで、歯は容易に溶けて象牙質が露出してしまうのです。 

飲みものを例に、pH値を見てみましょう。それぞれのpHは、ミネラルウォーター7.0、緑茶6.2、ビール4.3、オレンジジュース4.0、赤ワイン3.4となっています。そして一部の炭酸飲料では、pHが2.2のものもあります。ミネラルウォーターや緑茶は酸性度が低いため、エナメル質が溶けることはありません。しかし、ビール以降の飲みものは、どれもエナメル質を溶かすほど酸性度の高さとなっています。 

酸により象牙質がむき出しになった歯のことを、酸蝕歯(さんしょくし)といいます。放置してしまうと、歯がしみる症状が悪化する可能性もあるので注意が必要です。 

4.歯がしみるときの応急処置 

歯がしみるときの応急処置

歯がしみてつらいときは、歯科医院を受診して原因を探り、治療をするのが理想です。しかし、すぐに受診できない場合もあると思いますので、ここでは応急処置の方法をご紹介します。冷たいもので歯がしみたときは、冷水やお湯を避け、常温もしくはぬるま湯で口をすすぎましょう。強く歯磨きしてしまうと、それが刺激となって症状が悪化する可能性があります。 

知覚過敏が原因で歯がしみる場合には、知覚過敏専用の歯磨き粉を使ってブラッシングするのもおすすめです。知覚過敏専用の歯磨き粉は、硝酸カリウムが含まれており、神経細胞の興奮が起きにくくなるためしみたり痛くなったりするのを抑えてくれます。 

虫歯や歯周病の場合には、ブラッシングを正しい方法で実施して口腔内を清潔に保つことが大切です。歯周病の場合、ブラッシングの刺激により歯肉から出血することがありますが、気にする必要はありません。 

強くしみて痛むときには、鎮痛剤を服用するという選択肢もあります。鎮痛剤は、歯がしみる原因となるさまざまな疾患に対して使用可能です。効果は一時的ですが、鎮痛剤が効いている間は楽になるでしょう。 

5.歯医者ではどんな治療をするの? 

歯がしみるときの治療法をご紹介します。 

5-1.虫歯の場合 

虫歯は、進行具合によって治療法が異なります。それぞれの段階における治療法を見ていきましょう。 

・ごく初期の虫歯の場合 

虫歯の段階がごく初期であれば、歯を削る必要がありません。適切な方法によるブラッシングやフッ素塗布などが、主な治療法となります。 

・エナメル質が虫歯になっている場合 

歯を削ってそこに歯科用のプラスチックを詰める必要があります。削る範囲が少ないため、型を取らずに穴を埋めます。エナメル質の虫歯は比較的浅いため、治療による痛みもほとんど感じないことが多いでしょう。 

・象牙質まで虫歯になっている場合 

象牙質の虫歯の場合も、エナメル質の虫歯のように削って詰めものをします。エナメル質の虫歯の治療と違うのは、詰めものの型を取る必要があることです。型を取って詰めものをする関係で、虫歯でない健康な部分も大きく削る必要があります。 

・虫歯が神経まで達している場合 

根管治療が必要です。根管治療とは、歯の神経を根っこの部分から除去し、神経が入っていた管(根管)内部を消毒して薬剤を詰める治療のことを指します。治療した部位はかぶせもので覆います。 

・虫歯が根っこまで達している場合 

ほとんどの場合、抜歯が必要です。抜歯したあとは、歯の機能の回復を図ります。その方法としては、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどがあります。 

5-2.知覚過敏の場合 

知覚過敏は、露出している象牙質を覆って外からの刺激を遮断するなど以下のような治療が基本となっています。 

・薬を塗布する 

知覚過敏になったときにまず行われるのが、薬の塗布です。象牙質に薬を塗ることで、刺激を遮断します。このときに使用する薬剤として代表的なのがフッ素化合物配合のものです。複数回の塗布が必要となる場合にはコーティングという方法を取ることがあります。 

・コーティングする 

歯科用のプラスチックやセメントなどを使用して、象牙質を物理的にカバーする治療法です。コーティングは、1回の処置で終わりというわけではありません。日々のブラッシングにより擦り減ってしまうため、数ヵ月ごとのコーティングが必要となります。 

・レーザー治療する 

レーザー治療は、薬の塗布やコーティングのような象牙質を覆う治療ではありません。レーザーの照射により、外からの刺激が神経に伝わらないようにします。歯がしみる症状を軽減したり、完全になくしたりする効果が期待できます。レーザー治療は、比較的初期の知覚過敏に効果があるとされる治療法です。 

5-3.歯周病の場合 

最後に、歯周病の場合の治療についてご紹介します。 

・歯周基本治療 

歯周基本治療は、歯周病の程度に関係なく必要となります。内容は、歯垢や歯石の除去などです。歯垢の除去はご自宅でのケアがメインですが、歯石の除去は歯科医院で器材を用いて行う必要があります。 

歯周病は、進行するごとに歯の揺れが大きくなります。歯がぐらぐらしていると、噛んだときに痛みが出たり、歯がさらに大きく揺れたりすることもあるでしょう。そのため、歯垢や歯石の除去のほかに、噛み合わせの調整が必要になる場合もあります。 

・外科的治療 

外科的治療は、歯周基本治療で歯周ポケットの深さが改善できなかった場合や、歯周病がさらに進行してしまった場合などに行われます。内容としては、ポケットの深さを減少させたり、失われた骨を再生させたりする手術が含まれます。 

・ブラッシング 

歯垢を除去するためには、正しいブラッシングの実施が重要です。毛先を磨きたい場所に確実に当てて、毛先が広がらないくらいの軽い力で細かく動かしましょう。それぞれの場所を、10回~20回程度を目安にブラッシングします。 

6.日頃からできる予防法は 

口内の健康を保つためには、丁寧な歯磨きを心掛けることが大切です。歯磨きは、歯ブラシの毛先が硬ければしっかり磨けているというわけではありません。柔らかめのブラシを用いて、歯だけでなく歯間や歯と歯肉の間まで、優しく磨きましょう。 

歯がしみるからといって歯磨きがおろそかになってしまうと、ほかの問題が出てきてしまう場合もあります。毛先が触れるだけで痛いという場合には、知覚過敏専用の歯磨き粉の使用も検討してみてください。そして、少しでも気になる症状があれば、早めに歯科医院を受診しましょう。 

おわりに 

食事や歯磨きのたびに歯がしみると、何をするのも怖くなって憂鬱な気持ちになるでしょう。歯がしみる原因は、知覚過敏のほかにも、虫歯や歯周病などさまざまなものが考えられます。これらを予防するためには、日頃から歯磨きを正しく実施し、少しでも気になる症状があったら早めに歯科医院を受診することが重要です。症状があるのにすぐに受診できないという方は、応急処置の方法も試してみてください。