レントゲンの検査は頻繁に受けるわけではないため、「レントゲン検査では、どのような服装をすれば良いか分からない」など、疑問をお持ちの方も多く、初めての受診の際は、特に服装に迷ってしまうのではないでしょうか。
レントゲン検査は、病気を早期発見するために重要なものです。服装やアクセサリーによっては、正確にレントゲン画像を作成できなくなる可能性があるため注意が必要です。特に女性は下着に使われている金属やアクセサリーが影響するため、普段の服装では検査を受けられないことも考えられます。
このコラムでは、レントゲン検査に適している服装や、身に付けられないものについて解説していきます。検査前にこのコラムをご覧になり、服装面での失敗を避けるための対策をしましょう。
レントゲン検査で最適な服装とは?
レントゲン検査で理想的な服装として、多くの病院が「ゆったりとした無地のTシャツ」を推奨しています。「無地」であれば良く、Tシャツのカラーは何色でもOKで、白色でなくても、茶色や紺色などでも、無地であれば問題ないとされています。レントゲン検査は、X線を透過するもの・しにくいものの差を利用して画像を作成しています。下着に使われている金属や、シャツにプリントされている柄は、レントゲン画像に白く写る可能性が高いので、検査時に着用できません。
また、窮屈な衣類は、内臓が普段の様子と異なって写る恐れがあります。そのため「ゆったりとした」という服装が推奨されています。しっかりと検査を行うためにも、当日は服装に気をつけましょう。
レントゲン検査で身に付けられないものの特徴
レントゲン検査を受けるには、X線の透過が可能な服でなければなりません。検査に適さない服を着ていると、病院側から着替えを依頼される場合があります。
具体的にどのような格好でのぞむべきなのか理解を深めるため、この章では検査に悪影響を及ぼす服装の特徴について解説します。検査をスムーズに進めるためにも、当日の服装を事前に考えておきましょう。
服装や下着
レントゲン検査では、次のような服装がX線の透過を妨げる恐れがあります。
- 顔料を含むプリントや刺繍の入っている服
- 厚手生地の服
- ボタン・チャックつきの服
- 金具が使われているブラジャー
- 肩紐を調節できるキャミソール
- ワンピース
- レース生地
女性が注意したいのが下着に使われている素材です。ブラジャーには肩紐の長さを調節するための金具や、カップを支えるためのワイヤーが使用されています。
それらを避けるために、ブラトップなどのカップ付きインナーを着用する方もいるかもしれません。しかしカップ部分の生地が厚手であることが理由でレントゲン検査に影響する可能性があります。検査時はノーブラジャーに切り替えるか、スポーツタイプのブラジャーを着用することをおすすめします。
身に付けているアクセサリー類など
レントゲン検査で注意したいのは、衣類だけではありません。検査をする部位によっては、アクセサリーなどが写りこみ、影になってしまうことが考えられます。レントゲン検査時に外したほうが良いアクセサリー類は、以下のとおりです。
- 金属製のネックレス、指輪、イヤリングなど
- ベルト
- 金属製の時計
- 補聴器
- 眼鏡
- 腹巻き、コルセット
- カイロ
- 湿布などの貼薬
女性の場合、ヘアゴムのワンポイントやピン留めなどにも金属が含まれている可能性があります。当日はシンプルなゴムで髪を束ね、アクセサリー類などは外しておくと安心です。
さらに、直接身に付けているわけでなくても、ポケットに入れているだけでレントゲン画像に写りこんでしまうものがあります。ポケットに小銭入れやライターなどを入れたままにしないよう、気をつけましょう。
レントゲン検査時に透過しにくい服装・装飾がNGな理由
レントゲンに適さない服装がある理由は、X線が透過しにくい素材があるためです。骨のように硬いものはX線が透過しにくく、白い影として写ることが懸念されています。
癌などの腫瘍は、レントゲンで白く写し出されることで明らかになります。しかし、X線が透過しない服装・装飾が病変と重なると、致命的な見落としにつながるのです。病気を初期発見できる機会を逃し、治療が遅れてしまう恐れがあります。
ご自身の健康のためにも、レントゲンでの検査が項目として含まれている時は、ルールに従って服装や身に付けるものを変えるようにしましょう。
レントゲン検査で服装以外に注意する3つのポイント
レントゲン検査を行う際は服装と同様に注意しなければならないことがほかにもあります。それは、服装以外にX線の透過を妨げる恐れのあるものです。ひとつずつ解説します。
髪が長い場合はまとめる
髪が長い方は、スッキリとまとめた状態でレントゲン検査を受けましょう。髪が長いとレントゲンに写りこむことがあるためです。
理想的なのは、肩よりも下の部位に髪が重ならない状態です。女性の場合、髪が長いと束ねた毛先が肩よりも下に届く場合があります。当日はお団子のヘアスタイルにするなどして、毛先までまとめるようにしましょう。
髪をまとめる道具の持ち合わせがない方に向けて、病院側がヘアゴムを貸し出しているケースがあります。すべての病院が対応しているとは限らないので、どうしても困った時は検査前にスタッフや受付へ確認してみましょう。
身に付けている金属類は外す
レントゲン検査の対象外の場所でも、金属類は外した方が良い場合があります。レントゲンに写らない部位の金属類は、画像と重なることはありません。
しかし、検査部位の近くにX線を透過しない金属があると、レントゲンの画像にノイズが入ってしまうリスクがあるともいわれています。ノイズが増えると、骨のヒビなど細かな診断に影響が出ることが心配されます。
画像に写りこまない場所に身に付けることが多い金属の例は、指輪やイヤリングなどです。撮影部位以外の金属もチェックし、検査前に取り外しておきましょう。ただし、体内に入っているボルトなどは、取り出すことができないので対応する必要はありません。事前の問診などで体内にある金属について伝えておくと、診察がスムーズに進みます。
妊娠中だと受けられないケースもある
妊娠中は胎児への影響を考えてレントゲン検査を控えることがあります。通常のレントゲン検査であれば、妊婦と胎児の身体に影響はないといわれておりますが、病院によっては、妊娠中のレントゲン検査などを実施していない病院もあります。
もし、ご自身が妊娠している場合には、レントゲン検査を受ける前にその旨をしっかりと病院や担当医に伝えて、どうすべきか確認するようにしましょう。
診断や治療が遅れるデメリットを考えると、レントゲン検査を受けて早期発見につなげた方が、将来の健康のためには効果的です。妊娠中または、妊娠の可能性がある方は自己判断せずに、医師の判断に基づいて検査を受けることをおすすめします。
妊娠中のレントゲン検査の実施状況については、病院の考え方で方針が変わるので、気になることがあればセカンドオピニオンを受けることも検討しましょう。
レントゲン検査時の服装に不安がある時の対処法2選
初めてレントゲンを受ける場合、当日予定している服装が検査に適しているか、不安になるのではないでしょうか。この章では、服装の疑問に対処する方法を解説します。
公式サイトや病院に直接確認する
規模の大きな病院では、公式サイトでレントゲン検査の注意点を公開しています。まずは受診を予定している病院について調べ、情報を確認してみましょう。
公式サイトが見つからなかったり、説明に疑問点があったりしたら、電話で病院に確認することがおすすめです。ご自身で判断して検査に適さない服を着用してしまうより、事前に確認しておいた方が当日のトラブルを最小限に抑えられるでしょう。
病院で検査着の貸し出しを行っているか確認する
レントゲン検査に適した服がなかったり、検査後に予定を控えていたりする場合は、病院から検査着を借りられないか確認してましょう。病院によっては、検査着の貸し出しを人間ドックや生活習慣病検診のときなどに限定しているので、注意が必要です。また、すべての病院で検査着を貸してもらえるわけではありません。検査着を借りて対応する場合は、スムーズに着替えられる服装を意識しましょう。
関連記事:健康診断の服装の注意点とポイントとは?男性・女性別に解説
レントゲン検査に付き添う家族は服装を気にする必要はない
介助が必要なご年配の方や子どもがレントゲン検査をするとき、病院側から付き添いをお願いされることがあります。ただ、付き添う方が検査画像に写りこむことはないため、レントゲン検査に付き添う方は、服装を気にする必要はないでしょう。
付き添いで検査室に入る場合、照射されるX線を気にすることがあるかもしれません。しかし、付き添いの方に直接X線が当たることはなく、身体への影響を低減するために防護着を貸し出してくれる病院もあります。
不明点があれば、服装への対処法と同様に、公式サイトや電話で確認を取っておくと安心です。
おわりに
正確なレントゲン検査を行うためには、服装に気をつける必要があります。撮影画像に写りこみが発生し、本来検査で明らかになるはずだった病気が隠れてしまったり、病気であると誤診されてしまうためです。金属でできたパーツや、厚手の生地が使われている服装は避けるようにしましょう。
女性が着用するブラジャーには、金属が使われていることがよくあります。検査では一時的にブラジャーを外すか、スポーツタイプのブラジャーなどで代用するようにしましょう。
健康診断は、健康であることを考える良いきっかけにもなります。最近では、脳の異常を早期発見できる検査も進んでいます。脳の病気(脳血管疾患)は、日本人の死因として多い危険な病気といわれています。
罹患し死に至らないケースでも、その後、介護が必要になるケースが多いです。自覚症状がない場合でも、定期的な脳のチェックで早期発見し対策することの重要性が増しています。