「コロナで家にいる時間が増えて運動不足が気になる」という方で「家事が運動になるって本当?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。仕事と家事が忙しくて、なかなか運動する時間が取れないと悩んでいる方は多いでしょう。
運動不足は肉体と精神の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。また、運動不足による生活習慣病は増加傾向にあります。
このコラムでは、忙しい方でも毎日の家事を有効活用して運動不足を解消する方法を紹介しています。
具体的には、以下の内容を紹介しています。
- 普段の家事を運動している時間へ変える効果
- 家事で運動不足を解決するために意識すること
- 家事毎に消費カロリーや身体のどの部分を鍛えられるのか
ぜひ最後までお読みください。
家事で運動を意識する4つのメリット
糖尿病や高血圧といった「生活習慣病」の原因として運動不足が考えられています。厚生労働省が発表した国民健康・栄養調査において運動の習慣がある方は「1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者」と定義付けがされています。
実際に、運動の習慣がある方は男性で37.8%、女性で27.3%となっており、運動習慣が定着していない方が多いことが分かります。
参考元:厚生労働省
「適度な運動は健康にも良いので始めたい」「でも仕事や家事が忙しくて時間が取れない」という方に、普段の家事を利用した適度な運動がおすすめです。ここでは、毎日の家事時間を運動へ変えていくことで得られるメリットを4つ紹介します。
運動時間を新たに捻出しなくて良い
家事をしているときの意識を変えるだけなので、新たに捻出しなくても運動時間の確保が可能です。例えば、食材の買い出しをするときに、いつもより少し姿勢を意識して早歩きするだけでも、運動効果が出てくるでしょう。
運動する時間を作りたくても、家事をしなければ生活は成り立ちません。家事をしている時間に意識を変えるだけで良いので、仕事や育児などで忙しい方にはおすすめです。
心がすっきりする
運動をすることで、ストレスに対して効能のある脳内物質のセロトニンが分泌されます。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれていて、心が落ち着いたりポジティブな気持ちになったりする働きがあります。
毎日忙しくてストレスが溜まっている方こそ、家事に運動を取り入れることがおすすめです。家事で運動を意識することで、心がすっきりする効果が期待できます。
脳に良い効果がある
脳を活性化させるために、運動は欠かせません。家事の中の運動で脳を活性化させるコツは、一つひとつの動作に集中し五感を刺激しながら行うことです。
例えば、お風呂掃除をしているときには、スポンジを持っている手の動きに意識を集中させてみてください。一つひとつの動作を丁寧にするだけで脳により多くの感覚データが届けられます。体を動かすのが苦手な方でも、家事を集中して行うことで五感が刺激され脳に良い効果をもたらすでしょう。
ダイエット効果がある
家事に追われてダイエットする時間がない方でも、家事を運動にすればダイエット効果を期待できます。いつもの家事に少し負荷をかけるだけでも運動強度を上げられます。
「最近太ってしまったな」と思ったら、家事時間を有効に使いましょう。いつもの家事が運動になれば、継続するうちに効果が現れてくるでしょう。
家事をする時間を作り出す3ステップ
仕事や育児が忙しくても、家事の時間を削るのは難しいでしょう。少しでも運動をする時間を作り出すためにはどうすれば良いのか、お悩みの方もいるのではないでしょうか。ここでは、具体的に家事をする時間を捻出する方法と心構えを紹介します。
家事を「見える化」する
普段どの家事にどれくらい時間を費やしているのか、紙に書き出して「見える化」しましょう。例えば、以下のように書き出します。
- 朝ごはんを作る:20分
- 洗濯物を干す:10分
- 風呂掃除:20分
書き出してみると「この家事は朝やらなくてもいいな」「毎日やっていたけど週末にまとめてやればいいな」など時間配分を再設定することができます。紙に書くことで頭のなかを整理できるので、まずは家事の「見える化」をしてみましょう。「見える化」することで自身の家事がどれくらい時間を費やしているのかわかります。
家事をルーティン化する
「見える化」した家事を1週間のうち、「何曜日の何時から何時までの間に行うのか」を決めてしまいましょう。日々の家事をルーティン化することで、時間に追われることもなくやり残しも減っていきます。
例えば、「日曜日の19時から20時の間で風呂掃除をする」「ゴミ出しの前日はゴミをまとめる」などです。家事をするかどうかで悩むことがなくなるので、時間を有効活用できるようになります。
完璧主義を捨てる
家事を完璧に行いたいと思っていても、こだわりだすとキリがありません。例えば、掃除でもやり始めたら「もっとキレイにしたい」と、つい必要以上に時間を掛けてしまったことはありませんか。
掃除は気になるところや目立つところを手早く拭くだけにして、週末などの余裕があるときに集中して作業した方が効率が良くなります。家事に完璧を求めると時間がいくらあっても足りないので、サクッと終わらせてしまいましょう。
家事で運動不足を解消するポイント5選
毎日の家事を意識して身体を動かすだけでも、立派な運動です。ここでは、どのように意識すれば、より運動としての効果を高められるのかについて解説します。
姿勢を意識する
姿勢が悪いと、胸が閉じるため呼吸が浅くなります。その結果、血流の流れが悪くなり、基礎代謝が下がってしまう恐れがあります。
また姿勢が悪いと筋肉量も低下して、少し運動をしただけでしんどいと感じるようになってしまうでしょう。運動効果を最大限高められるように、正しい姿勢を意識することが重要です。正しい姿勢は、耳の穴と肩と足のくるぶしが、まっすぐ揃うように意識をすることで改善が見込めます。
腹筋に力を入れる
立って行う家事の場合に、軽く腹筋に力を入れることを意識してみましょう。腹筋に力を入れることで姿勢が良くなったり、基礎代謝が上がる効果があります。猫背にならないように意識して、腹筋に力を入れながら作業してみましょう。
足腰を動かす
立ち仕事や窓拭きのときに、意識して足腰を動かしてみましょう。足腰を意識することで、下半身が鍛えられます。下半身を鍛えると疲れにくくなったり、運動自体のパフォーマンス向上につながったりするなどの効果が期待できます。
腰や膝が悪い方は足腰を動かしすぎると負担が掛かるので、無理のない範囲で動かしましょう。
ひとつの家事に集中する
運動効果を高めるために、複数の家事を同時にやらないようにしましょう。家事の一つひとつの動作をしっかり意識することで、脳が活性化され運動効果も上がります。
例えば、掃除と料理を同時並行で行っているときに、体のどこを動かしているのかというところまで意識できません。マルチタスクをこなすのではなく、家事の一つひとつの動作を感じ取るくらい集中して行いましょう。
ケガに注意する
ケガをすると家事自体に支障をきたして、運動どころではありません。転倒や周囲の家具に気を配りながら、ケガには充分注意して家事をしましょう。安全を確保したうえで、家事と運動を行うようにしてください。
鍛えられる運動効果と消費カロリーを家事毎に紹介
健康のためにウォーキングや筋トレをしなくても、意識を変えれば家事も立派な運動になります。普段行っている家事が身体のどこを鍛えられて、どのくらいカロリーを消費するのか実例を見ていきましょう。
参考までに体重50kgの方が1時間ウォーキング(運動強度4.3メッツ)をすると、消費カロリーは約226kcalとなります。ぜひ普段の家事と比べてみてください。
窓ふき
運動強度:3.3メッツ
1時間の消費カロリー:173kcal
窓ふきは身体を大きく動かすので、全身の運動不足を解消できます。また高いところや低いところを掃除するので、立ったりしゃがんだりを繰り返すことで足腰を同時に鍛えられるのが特徴です。
掃除機、モップかけ
運動強度:3.5メッツ
1時間の消費カロリー:184kcal
掃除機やモップ掛けは目線が下に向くので、猫背にならないように姿勢に気を付けましょう。作業をしているときに足を少し伸ばしてみてストレッチをしたり、移動せずに腰だけをひねらせて掃除してみるなど工夫してみれば、足腰だけではなく全身が鍛えられます。
炊事
運動強度:2メッツ
1時間の消費カロリー:105kcal
炊事は立って行うことが多いので、脚の筋肉を鍛えられます。より効果を高めるために、ただ立っているだけではなく、かかとの上げ下げをして足腰を鍛えるのもおすすめです。
しかし、運動に気を取られすぎると、料理を焦がしてしまったりケガをしたりすることもあるので、充分注意しながら行いましょう。
皿洗い
運動強度:3メッツ
1時間の消費カロリー:158kcal
皿洗いは手を動かすのがメインなので、腕の筋肉を鍛えられます。二の腕が気になっているなら、進んでやってみると良いでしょう。炊事同様にここでも手を動かすだけではなく、かかとの上げ下げで足腰を動かして運動量を上げていきましょう。
洗濯物干し
運動強度:2メッツ
1時間の消費カロリー:105kcal
洗濯物を干すときに1枚づつしゃがんで取れば、スクワットと同じ効果が期待できます。一度に大量の衣類を洗濯する家庭であれば、毎回行えば良い運動効果が見込めます。
また洗濯物を高い位置に干すときに腕をしっかり上げ下げできれば、背中周りの筋肉にも効果的です。
買い出し
運動強度:3メッツ
1時間の消費カロリー:110kcal
買い出しのために歩くことも立派な運動になります。さらに、ただ歩くだけではなく正しい姿勢を意識するとより効果的です。またカートを使わずに買い物かごを手で持てば、より消費カロリーを上げられます。
おわりに
普段の家事も一つひとつの動作を意識することで、立派な運動となります。生活習慣病という言葉があるとおりに、運動不足は病気にもなりやすく、心身ともに良い影響がありません。
仕事が忙しい、育児が大変、そんなときでも家事を行う必要があります。そこで普段の家事に運動の要素を加えれば、時間を有効活用できるでしょう。運動不足だけど時間があまり取れないのであれば、まずは家事時間を有効に使ってみるのがおすすめです。