登山は1年を通じてさまざまな体験ができるアウトドアです。登山をしてみようと思う方で、どのようなものを揃える必要があるのかわからなくて困っている方もいるのではないでしょうか。山は天気、気温の変化が激しい場所のため、季節や標高に合わせた持ち物が必要になるでしょう。
このコラムでは、登山で用意する基本的なアイテムをご紹介します。登山を計画する際に参考にしてみてください。
登山初心者の方はこちらの記事も参考にしてみてください。
参考記事:登山初心者向けの基礎知識!服装・道具・山の選び方や上達のコツをご紹介
登山に適した装備とは
登山に必要な装備には、天候や温度の変化に合わせられる服装や、体調維持に必要な持ち物があります。ここでは、登山用の装備を3つに分けて紹介します。
登山用の服装
登山中は、山の天候と温度の変化に合わせて、体温調整できる服装が適しています。服の素材には、化学繊維と天然繊維がありますが、ポリエステルなどの化学繊維の服の方が蒸れにくく、価格が安い傾向があります。ウールを使った天然素材の服は、保温性は高いですが、高価格になりやすいため、化学繊維の服の方がおすすめです。
服だけでなく靴や帽子も登山用に用意が必要です。普段着ている服を使い回すのではなく、登山専用の服を用意しましょう。また、天気が良くても山の天候は変わりやすいため、レインウェアの用意が必要です。
登山で持っていくべき持ち物
登山で必要なアイテムには、体調維持に役立つアイテムや困った時に使う携行品などが該当します。いくつか例を挙げると以下のとおりです。
- 水分補給のための飲料水を入れた水筒
- 手軽に栄養の摂取ができる食品
- 困った際に必要な地図やヘッドライト
- 山の環境に悪影響を与えないゴミ袋
登山の際には足りない物を現地で調達することは非常に困難ですので、しっかり準備しておきましょう。
持っていくと助かる便利グッズ
緊急時に備えて必要なアイテムを登山時に持っていきましょう。以下のようなものが例に挙げられます。
- もしもの時のための携帯トイレやトイレットペーパー
- 体調の急変に対応できる常備薬
- 強い紫外線から身を守るサングラスや日焼け止め
山の気候、温度変化で体調も変わります。対応できるように便利グッズを持っていくと、登山をより快適に楽しめるでしょう。
【登山用の装備】服装
登山では服装選びが大切です。山の天候や気温の変化に合わせて、服を着たり脱いだりして体温調整ができるウェアを選びましょう。靴は、山道を歩くのに適した頑丈なモデルが必要です。帽子や手袋などの小物も、防寒具や日焼け対策になるため、登山用のものを用意します。それぞれ解説しますので、参考にしてみてください。
登山ウェア
日常的に着る服ではなく、登山用のウェアを用意しましょう。登山中は、汗を大量にかくため、ウェアは吸収性、速乾性の高いものが適しています。速乾性のあるシャツやフリースのウェアなどがおすすめです。
コットン製の服は、汗などを吸うと水分が乾きにくく、湿った服で身体が冷えやすいため登山には不向きです。天気予報が1日中晴れであっても、必ずレインウェアは用意しましょう。登山中に体温が下がって、寒くなった時に防寒具の代わりに使えるためです。
登山中の急な天候の変化に対応できるように、手軽に重ね着できる作りで、着やすいサイズのレインウェアを選びましょう。
登山靴
長時間の山道を歩けるように、履き心地とソールがしっかりした登山靴を選びましょう。ご自身の足に合った靴を履かないと、登山時の疲労増加につながります。靴を選ぶ基準として以下の点が挙げられます。
- かかとが硬く、足に靴がしっかりとフィットするもの
- 靴底が山道を歩いても大丈夫な頑丈なもの
- 水が浸入しない防水性が高いもの
くるぶしが隠れるくらいのミドルカットの登山靴がおすすめです。足首まで保護されているため、寒い季節は防寒にもなります。
帽子や手袋などの小物
登山用に帽子と手袋も用意しましょう。登山中は、手と頭がむき出しになりやすいため、日焼けや怪我予防のために身に着けることをおすすめします。登山に適している帽子と手袋について解説します。
帽子
帽子は、暖かい季節は熱中症対策、寒い季節は頭の防寒具になります。登山用の帽子には、UVカットが付いているモデルがあるため、頭部を紫外線から守るのに役立つでしょう。
標高が1,000m高くなると紫外線の量も1割増えるといわれています。むき出し部分が多い頭部の保護のため、サングラスや日焼け止めと併用すると効果的です。
手袋
手袋は防水性と防寒性を備えたものが登山に適しています。時間帯によっては、気温が真冬と同じくらいに下がる場合もあります。手を寒さから守るために持っていきましょう。また、手袋は手の保温だけでなく、指先の怪我予防にもなります。
暖かい季節は、フィンガーレスの手袋があると、着けたままスマートフォンやカメラの操作ができて便利です。
【登山用の装備】持ち物
登山中の疲労軽減になるものや困った際に使うグッズを9つ紹介します。何を持っていくか迷った際に参考にしてみてください。それぞれ詳しく見ていきましょう。
ハイキングに行かれる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:ハイキングの持ち物リスト21選!必需品やあると便利なものまでご紹介
リュック
リュックは、容量と背中が接する背面部を基準にして、ご自身に合うものを選びましょう。リュックの形が背中に合わなければ、肩や腰に負担が掛かり、登山中に体力の消耗が激しくなります。実際に店舗でリュックを背負ってみて、肩や腰に負担が少ないかを入念に確認しましょう。
容量は25〜30Lぐらいのリュックがおすすめです。ただし、山によっては、持ち物の量が変わるため、容量が違うものをいくつか揃えておくと便利です。雨も想定して防水性の高いモデル、またはリュックカバーがあるリュックを選ぶようにしましょう。
ヘッドライト
天候や日没時間の関係で山道が薄暗くなる時があるため、ヘッドライトは用意しておきましょう。暗くなり、明かりのない山道を歩くのは大変危険です。
おすすめは、従来のライトより照度が高いLEDランプ搭載のモデル、または充電方法がUSB式のヘッドライト。USBコードで充電できるタイプは、スマートフォン用のモバイルバッテリーから充電ができるため便利です。電池式であれば、予備電池を忘れずに用意しましょう。
タオル
タオルは汗を拭いたり、手を拭いたりする際に必要です。加えて、タオルはマフラーの代わりに首に巻いたり、水に濡らして体温を下げたりなど、工夫次第で大変役立つアイテムです。
大きさの違うタオルがあると、用途も広がるためおすすめです。数枚持っていくようにしましょう。
トレッキングポール
長時間の山歩きで足の負担を軽減してくれるのがトレッキングポールです。トレッキングポールは、登りでは身体を引き上げる支えとなり、足腰の負荷を軽減。下りでは歩く際に足が地面に接地する時の衝撃を和らげて、負担を少なくしてくれます。また、山道歩きで安定感を高めて転倒の予防にもなる便利なアイテムです。
体力がなくなるとフラフラしてしまう方は、用意しておくと重宝するでしょう。折り畳めて、軽量なモデルであれば持ち運びしやすいです。
水筒
登山中は、こまめに水分補給が必要なため水筒を持参しましょう。例えば、登山を5時間すると、約1.5Lの飲料水が必要とされています。現地で飲料水を調達できない場合が多いため、1.0Lのボトル2本持参するなど、必要な量は用意しましょう。
季節に関係なく、こまめに水分補給をしないと脱水症状を起こしたり、熱中症になったりする可能性が高まります。のどが渇いていなくても、水分補給を定期的にするようにしましょう。
軽食
登山中は体力消耗が激しいため、体力回復に適した食品を用意しましょう。同じ距離でも平地と山道では、体力の消耗具合が違います。体力が消耗すると、体温維持が難しくなり、体調も崩れやすくなります。手軽に食べられる食品として、以下のようなものがおすすめです。
- 羊かん
- チョコ
- エナジーバー
- 飴
高カロリーで簡単に摂取できるため、登山中にも食べられ、行動食とも呼ばれます。季節を問わず用意しましょう。
ゴミ袋
登山中に出るゴミを山に放置しないため、ゴミ袋は必ず持参しましょう。富士山では、登山者が出すゴミが問題視されています。出したゴミは持ち帰るようにします。
小さなゴミ袋とは別に45Lの大きな袋を用意しておくと、大雨が降った際にシートの代わりにもなるため便利です。
登山地図とコンパス
スマートフォンのMap機能が使えない際に地図とコンパスが大変重宝します。特に道に迷った際に役立つでしょう。
普段使う機会は少ないですが、いざというときにトラブル回避になるため、リュックの中に入れておけば安心です。
健康保険証
登山中は何があるか分かりません。健康保険証は持っていきましょう。登山中に転んで怪我をしたり、体調を崩したりして病院に行く可能性があります。その際に健康保険証がないと10割負担となり、その後に返金手続きする手間も増えてしまいます。財布の中などに健康保険証を入れておきましょう。
【登山用の装備】あると便利なグッズ
登山の際に持っていくと便利なグッズを8つ紹介します。季節によっては使わない場合もありますが、携行品として常に持っておくと忘れずにすみます。1つずつ見ていきましょう。
虫除けスプレー
暖かい季節の登山では虫よけスプレーが重宝されるでしょう。山には平地にいないヒルやブヨなどがいます。刺される前に吹きかけるだけで虫刺され予防ができるため効果的です。
携帯性を重視したポケットサイズのものや、大容量の虫よけスプレーもあり、行先に合わせて選べます。昔から虫よけとして使われているハッカ油を使用した虫よけスプレーもあるため、好みに合わせて用意しましょう。
携帯トイレ
トイレの数が少ない山に登る場合に携帯トイレは必要です。もしものために用意しましょう。
登山だけでなく、災害でトイレが使えなくなるような時に防災グッズとしても役立ちます。携帯性が優れているものをひとつ用意しておくだけで、トイレに行きたくてもない場所で助かるアイテムです。
トイレットペーパー
山に用意されているトイレでは、ときどきトイレットペーパーがない場合があるため、1ロール持参していきましょう。厚手のダブルロールのトイレットペーパーなら、使用した食器を拭いたり、ティッシュの代わりにしたりと使い勝手が良いため、登山中に重宝します。
アウトドアメーカーからは、水に溶けるタイプのポケットティッシュも販売されています。季節、山の標高に関わらず持っていきましょう。
日焼け止め
山は紫外線が強く、晴れていなくても短時間で日焼けをするため、日焼け止めを用意しましょう。山の日焼けは、普段よりもひどくなりやすいため、登山前から日焼け止めを塗っておきましょう。
手がべたつかずに塗れるスティックタイプや、吹きかけるだけの便利なスプレーの日焼け止めもあります。使いやすいものを季節関係なく1本用意しておきましょう。
サングラス
日焼け止めと同様に、山の強い日差しで目を日焼けしてしまうため、サングラスを用意しましょう。特に景色の良い場所では、直に強い直射日光を浴びるため、しっかりとUVカットされたサングラスで目の保護が必要です。
目の周り全体を覆うような形のレンズで、長時間かけていても耳が痛くならないサングラスがおすすめです。
常備薬
頭痛薬などの普段起こりやすい体調不良に合わせた薬や、持病用の常用薬を用意しましょう。気温や天候の変化で体調が悪くなっても、山にはすぐに行ける病院や療養所のような場所は少ないです。
ご自身でいつでもすぐに出せる所に入れておきましょう。すぐに飲めるように水なしタイプの薬が便利です。
AppleWatch
AppleWatchを持っていれば、身に着けていきましょう。AppleWatchには、着用者が何らかの理由で転倒するとお知らせする転倒検出機能が付いています。
着用者が転倒すると、AppleWatchに通知が表示されます。1分間何もしないと着用者の位置情報が緊急連絡先に送信されるというものです。また、登山に行くことを事前に家族や身内に伝えておきましょう。緊急時に事情を知っている方が連絡する必要があるためです。
ライター
登山中に火を使って食事を作る場合にライターがあると便利です。チャッカマンなどのワンプッシュで火をつけるタイプは、山の標高によって着火が不安定になるため、着火石を使うフリント式のライターがおすすめ。以前は100円ライターと呼ばれていたタイプのものです。
かさばらないため、リュックのポケットにいつもライターを入れておくと、いざというときに役立ちます。
おわりに
山は、季節ごとに違うイベントが楽しめる場所です。しかし、天候や気温が変わりやすいため、対応できる備えが必要になるでしょう。このコラムで紹介した登山の装備は、必要最低限のアイテムです。登る山や宿泊の有無、季節で必要な道具が変わります。現地で体調管理や疲労回復ができるように、当日登るコースや天気をチェックして必要な装備を持っていきましょう。
装備を整えていけば、山の変化に対応でき、季節ごとのイベントを満喫できるでしょう。