口腔ケアの方法と手順!メリットと口腔ケアのコツも解説!

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口腔ケアの方法と手順!メリットと口腔ケアのコツも解説!

口腔ケアは、要介護者の心身の健康を保つことに大きな影響を与えます。介護現場に携わるなかで「口腔ケアを正確な手順で行いたい」と感じた経験のある方も多いでしょう。

介護が必要な方それぞれに合った口腔ケアを行うことで、介護が必要な方の口腔機能や生活の質の向上が期待されます。一方、不適切な口腔ケアが原因でトラブルにつながる可能性も考えられます。

このコラムでは、口腔ケアの手順と具体的な方法についてご紹介します。おさえておきたい注意点や、あると役立つグッズなどについても詳しく見ていきます。

口腔ケアの手順と注意点を知って、介護が必要な方に安全安心なケアを提供しましょう。

1.口腔ケアとは?

口腔ケアとは、口腔内を清潔に保つケアのことです。口内環境を清潔に保つことで、虫歯や歯周病といった口腔に関するトラブルを予防できます。

口腔内のトラブルを未然に防ぐことは、全身の状態を良好に保ち、健康状態の向上にもつながるとされています。そのうえ口腔ケアは、気道感染や誤嚥性肺炎の予防にも効果的です。

安全かつ効果的な口腔ケアの手順を知ることで、介護が必要な方の生活の質を向上させることができるでしょう。

2.口腔ケアの目的

口腔ケアを行う目的は、主に2つ挙げられます。それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

  1. ・清潔な口腔内を保持する
  2. ・口腔機能を維持する

2-1.口腔内を清潔に保つ

口腔ケアを行う目的として「口腔内を清潔に保つこと」が挙げられます。口の中をきれいに保つ目的で行われる口腔ケアを「器質的口腔ケア」と呼ぶこともあります。

不衛生な状態の口腔内には、口腔内の細菌が増殖する可能性が考えられます。細菌が繁殖すると、結果的に虫歯だけでなく、誤嚥性肺炎といった問題につながることもあります。さらに口の中で細菌が増殖していることが、口臭の原因となっているケースも存在します。

加えて、口腔内の清潔さは食事の意欲にも関連しているといわれています。歯や入れ歯が不衛生な状態だと、食事の意欲は低下してしまうでしょう。舌に厚い汚れが付着していれば、味を感じにくくなる場合もあります。口の中をきれいに保つことによって、こうした食欲の低下にアプローチすることも可能です。

2-2.口腔機能の維持

「口腔機能の維持」も、口腔ケアの目的のひとつです。口腔機能の維持や回復を目的とした口腔ケアを「機能的口腔ケア」と呼ぶことがあります。

口内や口まわりの筋肉を動かして、口腔機能の保持を図る場合もあります。口の中をマッサージしたり口周りの筋肉を動かしたり、飲み込む力や嚙む力を向上させるリハビリを行ったりします。

口腔機能が低下することは食欲低下の原因になってしまう場合があります。口腔機能の低下は低栄養状態をもたらし、生活の質を低下させてしまうとも考えられています。結果として、口腔機能の低下は他の方との食事や会話を楽しむことへの支障が出てしまうかもしれません。

このような観点からも、口腔ケアによる「口腔機能の維持」は、要介護者ご本人の生活の質を向上するうえで重要なポイントだといえるでしょう。

3.口腔ケアのメリット

口腔ケアを行うことで得られるメリットは4つあります。本項では、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

  1. ・口腔内のトラブルの予防
  2. ・誤嚥性肺炎(ごいんせいはいえん)などの病気の予防
  3. ・食欲を増進させる
  4. ・認知症予防

3-1.口腔内トラブルの予防

口腔ケアによって口の中を清潔に保つことができれば、口腔内で起こりがちな問題を予防することが可能です。虫歯や歯周病といったトラブルは、口腔内の環境が汚染されていることが原因で引き起こされているケースがあります。普段から口の状態をきれいに保っておくことで、虫歯や歯周病などを防ぐことができるでしょう。

また、歯周病を持つ方は「入れ歯がきちんと固定されない」「入れ歯と歯茎の隙間に食べ物が挟まる」といった症状を感じやすい傾向にあります。こういった諸症状を防ぐことができる点も、口腔ケアの良いところといえます。

3-2.肺炎や感染症の予防

口の中で増殖した細菌は、誤嚥性肺炎の原因になるリスクがあります。誤嚥性肺炎は、飲み込む力の低下によって、細菌や唾液が食物と一緒に気管に入ることで引き起こされます。肺で炎症を起こし誤嚥性肺炎を発症すると、死に至る可能性もゼロではありません。

また口腔内の細菌が増殖することで、誤嚥性肺炎以外にも感染性心内膜炎といった病気を発症するリスクがあるとも考えられています。こうした病気のリスクを軽減するために、普段から口の中をクリーンに保っておくことが効果的でしょう。

3-3.食欲の増進

舌に食べ残しや汚れが付着していると、味を感じずらくなる場合があります。これは「味覚は水分に溶けたときにしか感知されない」という特徴があるためです。

舌についている汚れを落としたり、唾液の分泌を促したりすることで、味覚の改善が期待できます。また、食欲が増進すれば、食事そのものだけでなく他者とのコミュニケーションをいっそう楽しく感じられるでしょう。一人ひとりに合った口腔ケアは、生活の質の向上にも多大な影響を与えるといえるでしょう。

3-4.認知症を予防する

口を開け閉めしたり、食べ物を噛む動作をしたりすると、脳が活性化されるといわれています。具体的には、食べものを噛むことによる刺激によって、脳内にある「海馬」という部分が活性化するとされているからです。

海馬(かいば)は記憶をつかさどる働きを持っています。噛む動作によって海馬の神経細胞が増えると、認知症を防ぐのにもよい影響があると考えられています。

「高齢になっても健康な歯が多い方や、歯が少なくても入れ歯を使用している方のほうが、認知症の発症リスクが低い」といった発表もされています。この結果から、口の中の状態は認知症にも関連していることが読み取れます。

口腔ケアでは、口の開け閉めや咀嚼の動作を行う場面も多いです。日常生活で気軽に認知症予防を取り入ることができる点も、口腔ケアによってもたらされるメリットのひとつではないでしょうか。

参照元:公益社団法人日本歯科医師会

4.口腔ケアの方法と手順

ここからは、口腔ケアの具体的な方法と手順について見ていきましょう。口腔ケアで正しい手順を踏むことは、より安全かつ効果の高い支援を行うことにつながります。

4-1.歯磨き

ご本人自身で歯磨きできる場合は、最初はご自身で磨いてもらいましょう。介護者は仕上げの役割を担い、最後に磨いていきます。

歯ブラシを歯と歯茎の境目に当て、斜め45度程度の角度で優しく磨きましょう。汚れが多い場合はこまめにブラシを洗い流します。また、唾液が溜まってくることが多いので、その都度吐き出してもらいましょう。ガーゼで拭き取ったり、吸引機で吸い取ったりするのも良いでしょう。

歯垢が多い場合は口腔ケアに時間がかかる可能性があります。普段からしっかりと口腔ケアを行っていれば、所要時間は徐々に短くなっていくでしょう。

歯茎が弱くなっている高齢者には、ヘッドが小さめでブラシ部分が柔らかいナイロン製の歯ブラシを使用することがおすすめです。また、歯ブラシの選び方に迷った場合は、歯科医師や歯科衛生士に相談すると良いでしょう。

4-2.うがい

入れ歯を使用している方は、うがいをする前に入れ歯を外します。問題なくできそうであれば、ご本人に行ってもらいましょう。その際に誤って水を飲まないように注意してください。

うがいは口内に残った食べ物の残りかすを出す目的で行います。口腔内に汚れを残したままにしないように、うがいをすることを忘れないようにしましょう。

4-3.口腔清拭

口の中を拭き取る口腔清拭では、ガーゼやスポンジなどを使うことが多いでしょう。

はじめにスポンジや指に、ガーゼやウェットティッシュなどを巻きつけましょう。お湯で湿らせてから、口をゆっくりと優しく拭いていきます。このとき、口の中の奥から前に向かって拭き取るようにしましょう。歯以外の歯茎や頬の内側まで、すみまできれいにすることを心掛けます。

口腔清拭は、ご自身の力で体を動かせない方や口の中に水を含めない方に適している口腔ケアの方法といえます。ブラシや指は、奥に入れすぎると吐き気を促す原因になってしまう場合があります。無理に口の奥に入れないように注意しましょう。

4-4.入れ歯の清掃方法

口腔ケアの前には入れ歯を外してもらいますが、洗浄も忘れずに行います。普段の生活で歯が汚れるのと同じように、入れ歯も歯垢で汚れているからです。

最初に入れ歯を流水で洗い流したら、専用のブラシを使って磨いていきましょう。洗浄剤を使用する場合は、ブラシできちんと汚れを落とした後のタイミングが適しています。洗浄剤の使用方法は事前にしっかりと確認しましょう。また、口腔内に入れる前には入れ歯をしっかり水洗いします。

汚れた入れ歯のお手入れを怠ると、入れ歯に細菌が繁殖してしまう可能性があります。歯周病や虫歯、誤嚥性肺炎などの原因になるリスクもあるため、入れ歯はきちんとお手入れしましょう。

4-5.唾液腺マッサージ

唾液腺マッサージには、口腔機能の維持や向上の効果が期待できます。マッサージする箇所は、以下の「唾液腺」と呼ばれる箇所です。

  1. ・奥歯の近くの耳下腺
  2. ・下顎の内側にある顎下腺
  3. ・顎の下にある舌下腺

指を軽く押し当てて、円を描く要領で優しく刺激していきます。ゆっくりと10回程度を目安に繰り返します。唾液の分泌が促進されるため、虫歯や口臭の予防効果が期待できるでしょう。唾液腺マッサージは直接口腔内をケアする行為ではありません。しかし唾液の分泌を促すマッサージは、口内環境を良好に保つのに効果的なケアといえます。

5.口腔ケアにあると便利なグッズ

便利な専用グッズを口腔ケアで使用すると、より効果の高い援助を行うことができる場合もあります。ここでは、口腔ケアを行う際にあると便利なグッズを4つご紹介します。

5-1.歯間ブラシ

歯と歯の間を念入りに掃除するために、歯間ブラシを使用しても良いでしょう。また入れ歯のバネの部分にも汚れが溜まりやすいため、ブラシだけではきれいにできないこともあります。適切なサイズの歯間ブラシを使用すると、口腔内をよりきれいに保つことができます。

5-2.舌ブラシ

舌についた汚れを取り除くときには、舌ブラシもあると便利です。柔らかい素材でできたものであれば磨きやすく、舌の清潔を保持しやすいでしょう。舌の奥までしっかりケアできるものも便利です。

5-3.スポンジブラシ

スポンジブラシは口腔ケアのさまざまなシーンで活用できるアイテムです。粘膜部分の清拭をする際や、口内に残った食べ物を除去する際にも役立つでしょう。さまざまなサイズのものがあるので、ご本人の状態に合ったものを選びます。

5-4.うがい受け

ガーグルベースンとも呼ばれるうがい受けも、あると便利です。口から唾液を出したり、うがいをする際に使用します。口元に沿った設計で、水分を受けやすい形になっています。

6.口腔ケアを行う際の注意点

口腔ケアを行う際に注意する点は、以下の2つが挙げられます。注意点をしっかりおさえて、口腔ケアを安全に進めましょう。

  1. ・誤嚥に注意する
  2. ・無理にケアを進めない

6-1.誤嚥に注意する

水分や唾液を吐き出せない場合、口腔ケアによって誤嚥してしまう可能性があります。仮に誤嚥してしまった場合、誤嚥性肺炎といった病気の原因にもなりかねません。介護を受ける方が水分を誤飲しないように、細心の注意を払いましょう。

口腔ケアは座位で行うのが一般的とされています。しかし座った状態を保持できないといった理由から、体を横にする場合もあるでしょう。その際は、顔を横に向けて誤嚥を予防します。介護を受ける方にとって無理のない姿勢かを確認し、誤嚥防止に気を配ることも忘れないようにしましょう。うがいをする際には、やや下を向きながら行ってもらうと良いでしょう。危険のないポジショニングで口腔ケアをすることが大切です。

6-2.無理に行わない

口腔内にトラブルを発見したら、口腔ケアを無理に続行しないようにしましょう。以下のような場合では、トラブルの対処を優先します。

  1. ・ご本人が「痛い」と訴えている
  2. ・傷や口内炎がある
  3. ・腫脹している箇所がある

トラブルがある状態で口腔ケアを続けると、症状が悪化してしまう可能性があります。そのうえ、ご本人の不快感や不安感を高めてしまうことも考えられます。口腔ケアを開始する前に口の中の様子をよく観察させていただくと良いでしょう。

口腔ケアをしていて気になる点やトラブルを発見したら、歯科医師に相談します。トラブルは早期に対処して、悪化を最小限に防ぐことが大切です。また医師や歯科衛生士といった専門家から、ご本人に適した口腔ケアのコツや手順を提案してもらうのも良いでしょう。

7.正しい手順で口腔ケアをしよう

口腔ケアには、口内の清潔を保って全身の健康状態を維持する、重要な役割があります。そのほかにも、口腔機能の維持と向上を図り、心身の状態を良好に保つという目的もあります。不衛生な口内のままだと、誤嚥性肺炎や感染症の原因になる可能性もゼロではありません。

健康で質の高い生活を送るために、口腔ケアを継続することは重要といえるでしょう。口腔ケアに便利なグッズも展開されているため、ご本人の状態に合ったものを選んでみるもひとつの方法です。

口腔ケアの目的を知ったうえで適切な方法での支援を実践し、より安心で安全なケアができるようにしましょう。