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乳酸菌にはうれしい効果がたくさん!効率的な摂り方からよくある疑問まで徹底解説

乳酸菌にはうれしい効果がたくさん!効率的な摂り方からよくある疑問まで徹底解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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乳酸菌は、普段から私たちがよく口にする身近な食品に含まれています。乳酸菌が健康や美容に良いことは知っていても、具体的にどのような効果が期待できるのか、いまいちよく分からない方も多いのではないでしょうか。

そこでこのコラムでは、乳酸菌によって期待できる効果や代表的な食品、効率的に摂取する方法などを詳しくご紹介します。乳酸菌とはいったい何なのかという基礎的な知識やよくある疑問にもお答えします!

基礎知識!乳酸菌とはどのようなもの?

乳酸菌とは、オリゴ糖や炭水化物を分解し、乳酸と呼ばれる成分をつくる細菌の総称です。自然界や人間の腸内にも存在する菌で、私たちの身体にとって良い働きをすることから善玉菌と呼ばれることもあります。ビフィズス菌やLG21乳酸菌、フェカリス菌、ガセリ菌SP株など、多くの種類があり、人によって持っている乳酸菌の数や種類に違いがあるのだとか。乳酸菌は、腐敗物質や老化現象に関わりのある悪玉菌の働きを抑制する重要な菌です。

乳酸菌には、栄養がほとんどない環境でも生きられる植物性乳酸菌と、栄養豊富な乳の中に生息する動物性乳酸菌があります。また、生きた乳酸菌を生菌(プロバイオティクス)、死んだ乳酸菌を死菌(バイオジェニックス)と呼び、生死によって呼び方が異なることも覚えておきたい基礎知識です。

生菌は、胃酸や熱の影響を受けやすい乳酸菌で、主に腸内環境を整えるなどの特性があります。一方、死菌はすでに死んでいる菌なので胃酸や熱の影響を受けにくく、血圧を下げたり免疫を調整したりするなどの働きを担っている乳酸菌です。乳酸菌は、生きているか死んでいるかで呼び方だけではなく、働きが異なることも覚えておきましょう。

乳酸菌を摂取するメリット

乳酸菌を摂取するメリット

私たちの体内で良い働きをしてくれる乳酸菌。具体的にどのようなメリットがあるのかを詳しくご紹介します。

腸内環境を整える


乳酸菌のメリットとして代表的なのが、腸内環境を整える作用です。人間の腸内には、身体にとって良い働きをする「善玉菌」と、悪い働きをする「悪玉菌」、善玉菌と悪玉菌のどちらにも分類されない中間的な存在の「日和見菌」の3つが存在しています。悪玉菌が増えると、腸の働きが鈍くなり、便通が悪くなりがちです。

乳酸菌は腸内で炭水化物やオリゴ糖などを分解し、乳酸という物質をつくり出します。乳酸によって腸内が酸性に変化し、悪玉菌が住みにくい環境になるのです。その結果、悪玉菌の繁殖を抑えて腸の働きが活発になり、便通が改善するといわれています。

免疫力がアップする

豊富な種類が存在する乳酸菌の中には、免疫力をアップさせる種類もあるとされています。また、腸内は身体全体の免疫細胞の約7割が集まっているといわれる場所です。そのため、腸内を整える力を持つ乳酸菌がしっかりと働くことで、もともと備わっていた免疫機能が働きやすくなり、その結果として免疫アップにつながると考えられます。

コレステロール値を低下させる

さまざまな種類が存在する乳酸菌ですが、中にはコレステロール値を低下させる働きを持ったものもあります。コレステロールは、ホルモンや細胞膜などをつくり出す、人間の身体にとって必要不可欠な脂質の一種です。

そのコレステロールには、身体に良い働きをする善玉コレステロールと、身体に悪い影響を及ぼす悪玉コレステロールが存在しています。悪玉コレステロールは、動脈を硬くする作用があると考えられており、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を発生させやすくなるのです。その健康にとって有害な悪玉コレステロールを乳酸菌の一種が吸着し、血中のコレステロール濃度を低下させてくれると考えられています。

エイジングケアや美肌にも役立つ

乳酸菌は、老化の抑制にも役立つ種類があると考えられています。研究では、ある特定の乳酸菌を摂取することで、老化を遅らせることができる可能性があることがわかってきているようです。また、さまざまな効果が期待できる乳酸菌を使ったスキンケアも存在していることから、健康だけでなく美容にも深い関わりがあるともいえるでしょう。

ダイエットをサポートする

乳酸菌が腸内環境を整える働きを持っていることは多くの方が知っているでしょう。腸内環境を整えることは、痩せやすい体質にするためにも役立ちます。その乳酸菌の力が注目されることで「乳酸菌ダイエット」と呼ばれるダイエット法まで登場しているのです。

また、腸内環境を整えて便通が改善することも、ダイエットにとってはうれしい効果です。他にも、乳酸菌には代謝のアップや内臓脂肪の低減など、美ボディを目指せる効果がたくさんあるといわれています。適度な運動と一緒に乳酸菌を意識した食事を摂ることで、効率的なダイエット効果が得られるでしょう。

乳酸菌を多く含むおすすめの食材6選

乳酸菌を多く含むおすすめの食材6選

腸内環境の調整や免疫力アップなどの健康効果、エイジングケアやダイエットなどの美容効果も期待できる乳酸菌。これだけメリットが多くあれば当然「摂取したい!」と思いますよね。そこで、ここでは、乳酸菌を多く含む代表的な食品をご紹介します。

ヨーグルト

朝食やおやつとしても重宝するヨーグルトは、発酵の際に乳酸菌が使われています。あの酸味のあるさわやかな味わいは、乳酸菌が糖を分解してつくり出した乳酸によるもの。

発酵に使用する乳酸菌の種類によって異なる効果が期待できるため、メーカー各社から幅広い効能を謳ったヨーグルトが登場しています。一般的に乳酸菌は、熱や胃酸に弱いため、生きたまま腸に届きにくいとされていますが、独自の技術により生きたまま腸に届きやすいと謳った製品もあるようです。

チーズ

チーズもヨーグルト同様に発酵商品のひとつで、発酵の工程で乳酸菌が使用されている食品です。チーズは、主に「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2種類に分類されます。
 
ナチュラルチーズは、乳に乳酸菌や酵素などを加えて固め、水分を取り除き熟成させたものです。熱を加えていないため、生きた乳酸菌を含んでいるのが特徴です。このナチュラルチーズは世界に約1,000種類以上あるといわれ、熟成が進むにつれて味も変化します。

一方でプロセスチーズとは、ナチュラルチーズに熱を加えて溶かし、添加物を加えてつくったものです。熱処理を施すため、死んだ乳酸菌を含んでいます。

漬物

日本で古くから親しまれているご飯のお共「漬物」も乳酸菌を含む食品です。ぬか漬けやしば漬け、たくあんなどが代表的です。なかでもぬか漬けには、1g中1億個の乳酸菌が含まれていると言われており、一度にたっぷり乳酸菌を摂取したい方におすすめです。

ぬか漬けやしば漬けなどのある程度時間をかけて発酵した漬物には、豊富な乳酸菌が含まれています。しかし、調味料などでサッと漬けた浅漬けなど発酵していない漬物には、乳酸菌はほとんど含まれていないため、注意しましょう。

キムチ

日本の漬物だけでなく、韓国定番の漬物「キムチ」にも乳酸菌が含まれています。キムチは加熱せずにつくられるため、生きた乳酸菌を含んだ食品です。保存している間にも発酵が進むため酸味が増していく傾向がありますが、酸味が気になる場合にはごま油を加えて食べるとまろやかになるのでおすすめです。

キムチはそのままで食べられるのはもちろん、チャーハンなどの料理にもピッタリな食材です。ただし、加熱すると乳酸菌が死んでしまうことを覚えておきましょう。

乳酸菌飲料

乳酸菌飲料は、その名前からもわかるように乳酸菌を含んでいます。乳酸菌を使って牛乳を発酵させた飲料で、酸味のある味わいが特徴。乳酸菌飲料には、加熱処理を施して殺菌した商品や生きた乳酸菌を含む商品など豊富な種類があるので、選ぶ際には注意してチェックしてみてください。

また、乳酸菌飲料は、種類によっては甘味料を加えてつくられている商品もあり、ダイエットなどを目的としている場合には、飲みすぎに注意しましょう。

日本酒

少し意外に感じる方がいるかもしれませんが、日本酒の中にも乳酸菌が含まれています。日本酒を製造する際、乳酸菌を加えることで雑菌を死滅させ、腐るのを防ぐことができるのだそうです。しかし、製造工程には、火入れと呼ばれる加熱処理があり、乳酸菌は死菌となっていることを覚えておきましょう。

乳酸菌をより効率的に摂取する方法

乳酸菌をより効率的に摂取する方法

続いては、乳酸菌をより効率的に摂取する方法をご紹介します。せっかく体内に取り込んだ乳酸菌を無駄にしないよう、ちょっとした一工夫を加えて乳酸菌を摂取するようにしましょう。

食物繊維と一緒に摂取する

食物繊維は乳酸菌の餌になるため、腸内で乳酸菌を増やすのに役立ちます。また、食物繊維自体が乳酸菌と同じような働きをするため、積極的に摂取したい栄養素のひとつ。食物繊維は、日本人に不足しがちな栄養素のひとつといわれているため、積極的に食べるよう意識しましょう。食物繊維が豊富に含まれる食品には、ゴボウやそば、かぼちゃやしらたきなどがあります。

オリゴ糖と一緒に摂取する

乳酸菌は腸で糖を分解して乳酸をつくっていますが、糖のほとんどは乳酸菌が働く腸に到達する前に分解されてしまいます。しかし、オリゴ糖だけは分解されずに腸まで届く特徴を持っているため、乳酸菌の餌となってくれる大切な役割を担ってくれます。オリゴ糖を餌とした乳酸菌は、活発に働くようになるため、意識して摂取すると良いでしょう。オリゴ糖を多く含む代表的な食品は、大豆やバナナ、玉ねぎやニンニクなどです。

生きた乳酸菌を含んだ食品もおすすめ

乳酸菌が腸でしっかり働いてくれるよう、生きた乳酸菌を含む食品を選ぶことも大切です。また、乳酸菌の含まれた食品を購入した後に加熱調理を行わないように注意しましょう。乳酸菌は、もともと生きたまま腸にまで到達しにくいといわれているため、「生きたまま腸に届きやすい」などと謳っている商品を選ぶのもひとつの方法です。

食後や夜などのタイミングで食べる

乳酸菌をより効率的に摂取するためには、食べるタイミングにも配慮しましょう。乳酸菌は熱だけでなく胃酸にも弱い特徴があります。そのため、朝食前や空腹時など、胃酸の分泌が多いときに乳酸菌を摂取すると、腸に届く前に死滅する可能性が高くなります。反対に、食後や夜は胃酸の影響を受けにくいため、より効率的に乳酸菌の効果を発揮できるでしょう。

毎日乳酸菌を摂取することも大切

乳酸菌は1度食べても永遠に腸内で働き続けるわけではありません。そのため、継続して毎日摂取することが大切です。乳酸菌を摂ることをやめれば、身体にとってうれしい効果も徐々に薄れていってしまいます。1度に少量ずつでも良いので、毎日摂取できるよう食事内容を見直すことをおすすめします。

乳酸菌に関する疑問を解決!よくあるQ&A

乳酸菌に関する疑問を解決!よくあるQ&A

乳酸菌の適正な摂取量や死菌と生菌の摂取方法の違いなど、乳酸菌に関する疑問はまだまだたくさん!そこで、ここでは乳酸菌に関する素朴な疑問にお答えしていきます。

乳酸菌を摂りすぎるとどうなる?

乳酸菌は腸内に長くとどまっていることができないため、すぐに体外へ排出されてしまいます。そのため、乳酸菌を摂取しすぎても身体への悪影響はほとんどありません。

ただし、乳酸菌をたくさん摂取しようと食品をたくさん食べると「食べ過ぎ」になり、胃腸への負担やエネルギー過多になる恐れがあるため注意が必要です。

いろいろな種類の乳酸菌を一緒に摂っても大丈夫?

乳酸菌には多くの種類があり、その種類によって活動する場所や働きが異なると言われています。そのため、いろいろな種類の乳酸菌を摂取することで、多くのうれしい効果が期待できるでしょう。このことから、複数種類の乳酸菌を一緒に摂っても問題はありません。自分が求めている効果が期待できる乳酸菌が入った商品を選んで摂取すると効率的です。

生きた乳酸菌と死んだ乳酸菌の摂取方法の違いは?

乳酸菌には生きた乳酸菌である生菌と、死んだ乳酸菌である死菌があります。それぞれを摂取する際の違いについて見ていきましょう。

生きた乳酸菌の摂取方法

生きた乳酸菌(生菌)は熱を加えると死んでしまうため、加熱せずに摂りましょう。また、食材を保存している最中にも徐々に乳酸菌が死んでいってしまうため、できるだけ早めに使いきる(食べきる)ことがおすすめです。生菌の中には虫歯を促す種類もあるので、寝る前の摂取を控えたり、摂取後に歯磨きをしたりなどちょっとした配慮を心がけましょう。

死んだ乳酸菌の摂取方法

死んだ乳酸菌(死菌)は加熱してもほとんど影響がないため、熱処理をしてから摂取しても問題ありません。また、死菌は食材の保存中でも効果がほとんど低下しないという特徴もあります。死菌は熱や胃酸の影響を受けにくいという特徴があり、また生菌と同時に摂取しても問題ないため、好きな方法で自由に摂取しましょう。

納豆(納豆菌)・味噌(麹菌)と乳酸菌は違う?

納豆を作る際に用いられる「納豆菌」や味噌や醤油などを製造する際に使われる「麹菌」。これらの菌と乳酸菌の違いも気になりますよね。

まず、味噌などをつくる際に使用する麹菌は、糸状菌と呼ばれる「カビの一種」です。麹菌には酵素が豊富に含まれており、食材に甘味やうまみを加えます。

対して、納豆菌は「細菌の一種」。納豆菌は稲わらに多く生息する細菌で、発酵の過程でつくられる「ナットウキナーゼ」と呼ばれるたんぱく質分解酵素がうまみ成分であるアミノ酸をつくります。

一方で、乳酸菌は納豆菌と同じ細菌に分類されますが、糖を分解して乳酸を作るのが大きな特徴です。人間の腸内を含め、自然界のさまざまな場所に存在している菌です。乳酸菌によって乳酸がつくられると食材が酸性になるため、保存性が高まるのも特徴のひとつです。

このように、同じ「菌」が名前に含まれていても、そもそもの分類や役割は大きく異なります。また、菌それぞれの働きや食材に与える味わいにも違いがあることを覚えておきましょう。

おわりに

乳酸菌は、私たちの身体と深い関わりをもつ細菌の一種です。腸内環境を整えたり、免疫力アップやダイエット効果が期待できたりなど、身体にとってうれしいメリットが多くあります。乳酸菌は意外と身近な食品に含まれているため、比較的摂取しやすいのもうれしいポイントですね。食べるタイミングを意識しつつ、継続して摂取し、健康維持と美容のサポートに役立てましょう。

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