基礎代謝を高くすれば太りにくい身体づくりができるだけではなく、体温が上昇することで健康な身体づくりもできます。生活習慣病が問題になっている現代だからこそ、基礎代謝は注目されるべき身体の機能と言えるでしょう。
このコラムでは基礎代謝の上げ方と低い方にみられる特徴を解説します。基礎代謝の向上やダイエットに興味がある方はぜひ参考にしてください。
基礎代謝とは
基礎代謝とは、人が活動をせずにいても消費され続けるエネルギーのことを指します。人が消費するエネルギーは『安静時代謝・運動誘発性熱産生・食事誘発性熱産生』の3種類があり、基礎代謝はそのうちの安静時代謝の一部です。
基礎代謝は人が消費するエネルギーの種類の中で一番多くのエネルギーを消費するとされており、男性が約1500Kcal、女性が約1200Kcalを1日で消費します。基礎代謝の消費量には個人差があり、性別だけでなく『年齢・体格・体温・ホルモン・肝臓や腎臓の健康度合い』などによっても変化します。そのため、基礎代謝を上げたい場合は筋肉をつけたりするだけではなく、内臓の状態を整えたりしても向上します。『基礎代謝の向上=筋トレ・運動』だけではないことを把握しておきましょう。
基礎代謝が高いとどうなるのか
基礎代謝が高いと1日で消費するカロリーが多くなるので、太りにくい身体になります。ダイエットをする際は運動で直接的に脂肪を燃焼する方法と、基礎代謝を向上させる2とおりの方法があり、よく聞く『食事でダイエット』『筋トレでダイエット』といった方法は基礎代謝を向上させる方法に当たります。
基本、直接脂肪を燃焼させるよりも基礎代謝を上げて脂肪を燃焼させた方が効率良くカロリーを消費できるので、ダイエットにはランニングよりも筋トレや食事改善の方がおすすめです。
基礎代謝を上げるには
基礎代謝を上げる方法は運動だけではありません、内臓を整えたり、体温を上げる食事を食べたりと、方法はさまざまです。基礎代謝を上げたいと考えている場合、まずはどんな方法があるのかを知って、ご自身に合った方法を選択することが大切です。
【基礎代謝を上げる方法】
- 筋トレ・ストレッチ
- 有酸素運動
- 適度な水分補給
- 身体を温める食事や飲み物をとる
- 腸内環境を整える
- 食事はよく噛むことを意識する
- 代謝の良い食べ物を摂取する
ご自身が興味のある方法から取り組むことで長続きしやすくなるので、ご自身にとって興味があってハードルが低いものから取り組むように意識してみてください。
筋トレ
人がエネルギーを消費するとき、一番多くの消費量を担うのは『臓器』です。臓器による消費は主に筋肉、肝臓、腎臓、脳による消費が当てはまります。その中でも筋肉はご自身の努力次第で増やすことができる唯一の臓器です。そのため、筋トレは基礎代謝を上げる際の基本的な方法として認識されています。
基礎代謝を上げるために筋トレをする場合は『下半身』を鍛えるのがおすすめです。下半身の筋肉は人が持つ筋肉の中で一番大きいので、下半身を鍛えれば他の場所を鍛えるよりも効率良く基礎代謝を上げることができます。
【下半身を鍛えるおすすめの筋トレ】
- スクワット
太ももを鍛える筋トレ。肩幅に足を開いて腰をまっすぐ下ろして戻る、を繰り返すことで鍛える筋トレ方法。
- ランジ
太ももとお尻を鍛える筋トレ。足を片方ずつ交互に前へ踏み込んで戻る、を繰り返すことで鍛える筋トレ方法。
ストレッチ
ストレッチをすることで自律神経を安定させて交感神経を優位にすることができます。そうすると、体温が上昇して基礎代謝が上がります。ストレッチをするときは下半身の筋肉をほぐすイメージで行うのがおすすめです。
下半身の筋肉は血流を促進させるポンプのような役割を備えており、ストレッチで筋肉を柔らかくすると血流の促進効果を向上させることができます。血流が促進すれば臓器の動きが活発になるので、基礎代謝の向上が期待できるでしょう。
腹式呼吸
腹式呼吸は腹横筋というインナーマッスルを動かすので、インナーマッスルの強化に繋がり、それと同時に基礎代謝も向上します。インナーマッスルを鍛えて体幹を強くすることは代謝の向上に良い影響を与えるので、腹式呼吸と合わせてヨガもするとさらに効果が高まります。
【腹式呼吸の方法】
- おなかを膨らませながら、鼻から7秒かけて息を吸う
- おなかをへこませながら、口から7秒かけて息を吐く
有酸素運動
有酸素運動はウォーキングやジョギングなど安定した呼吸の中で行う運動のことで、ダイエットの定番です。有酸素運動をすることで直接、脂肪燃焼ができるだけでなく、筋トレほどではありませんが筋肉の強化にも繋げられます。筋肉が増量することで基礎代謝が上がるので、ランニング時の消費と基礎代謝の消費で一石二鳥です。
ウォーキングは早歩きで呼吸が乱れないペースを維持しながら10分以上歩く方法が理想です。毎日何時間もする必要はないので、朝の通勤や帰宅の時に10分間意識的に早歩きを取り入れましょう。無理ない取り入れ方をすることで長期間続けられるメリットがあります。
適度な水分補給
水分が不足すると血液がドロドロになって血流が悪くなります。血流が悪くなると臓器の活動が悪くなるので代謝が低下します。それを防ぐために毎日適切な量の水分を補給するようにしましょう。ちなみに、内臓の動きをさらに活発化させたい場合は白湯のように温かい飲み物で水分を補給するのがおすすめです。
1日で摂取すべき適切な水分量は約1.2ℓとされています。
参照元:厚生労働省HP
身体を温める食事や飲み物をとる
基礎体温が低くなると臓器の活動量が低下して基礎代謝が下がります。これを改善するには基礎体温を上げる必要があるので、身体を温める食材を使った食べ物や飲み物を摂取しましょう。身体を温める食材は以下のようなものがあります。
【身体を温める食材】
- 根菜類や暖色の野菜
ごぼう、かぼちゃ、にんじんなど
- 発酵させた茶葉で淹れるお茶
紅茶、ウーロン茶など
- 薬味・香辛料
生姜、ニンニクなど
- 未精白のもの
玄米、全粒粉パンなど
身体を温める食材とは対照的に、体温を落としてしまう食材もあります。そういった食材を摂取する場合は、身体を温める食材と一緒に摂取するなど工夫して食べることが大切です。カリウムと水分が多い食材(きゅうり、スイカ、バナナなど)は体温を低下させやすいとされているので、基礎代謝を上げたい場合は食べ過ぎないように気をつけましょう。
腸内環境を整える
腸内環境を整えれば、腸の活動が活発になったり、腸内細菌が増えたりして基礎代謝が上がります。腸内細菌は代謝を促進する機能を持つ交感神経を活性化させる短鎖脂肪酸というものを作り出す機能があるので、腸内に腸内細菌が多いほど代謝が向上するでしょう。
また、腸内細菌は高脂肪食(牛乳、バター、脂肪の多い肉や魚など)を食べると減少してしまうともいわれています。そのため、食事を取るときは脂肪分の多い食材を食べ過ぎないように注意して、腸内細菌を増やすヨーグルトや食物繊維を摂取するのがおすすめです。
食事はよく噛むことを意識する
食事はよく噛んで食べましょう。何度も噛むことで交感神経が活性化して代謝が上がります。ダイエット中だからと言って食事をしない方がいらっしゃいますが、それは逆効果です。朝食はスムージーで済ませるというのも好ましくありません。量は少しでも良いので、噛むことのできる食事を毎日3食、噛む量を増やしながらしっかり食べることが基礎代謝を上げるコツです。
代謝の良い食べ物を摂取する【代謝の良い食材10選】
食材の中には代謝を向上させるものもあるので、そういった食材を積極的に摂取することで代謝の向上が見込めます。ただし、代謝を向上させるからといって過度に摂取したり、栄養バランスが悪くなるような食べ方をしたりしては、摂取カロリーが純粋に高くなってしまうので注意しましょう。
【代謝を向上させる食材】
- 生姜
生姜に含まれる『ジンゲロール』という成分が、血行を促進して代謝を上げます。
- 唐辛子
辛味成分の『カプサイシン』という成分が中枢神経を刺激して代謝を活発にしてくれます。
- タマネギ
タマネギに含まれる『硫化アリル』という成分は新陳代謝を活発にしてくれます。
- ニンニク
ニンニクには『アリシン』という成分が含まれており、抗菌作用と糖の代謝を高める効果があります。
- トマト
トマトに含まれる『リコピン』という成分には抗酸化作用、血流改善作用があります。
- 黒酢
黒酢には『クエン酸』と『アミノ酸』が含まれており、これらの成分には脂肪燃焼を促進する効果があります。
- アーモンド
アーモンドに含まれる『ビタミンE』には、血管を広げて血行を良くすることで代謝を向上させる役割があります。
- 豚肉
豚肉に含まれる『ビタミンB1』は糖の代謝に必要な成分です。
- 大豆製品
タンパク質の元となるアミノ酸が豊富で、筋肉のエネルギー消費、脂肪燃焼促進が期待できます。
- グレープフルーツ
グレープフルーツに含まれる『リモネン』は交感神経を活性化させて血行を良くすることで代謝を上げます。
基礎代謝が低い方の特徴
基礎代謝が低い方の特徴を把握することで、ご自身が当てはまっていないか確認することができるだけではなく、そういった特徴を持つ方にご自身がならないように意識した生活を送れるようになります。
【基礎代謝が低い方の特徴】
- 生活習慣が乱れている
- 筋肉量が減少している
- 脂肪が蓄積しやすい身体になっている
基礎代謝が低いと基礎体温が低下して病気になる可能性が高くなったり、太りやすくなって生活習慣病になりやすくなったりするので、低い方の特徴を把握して、そうならないように対策しましょう。
生活習慣が乱れている
基礎代謝が低い方の多くは生活習慣が乱れています。生活習慣が乱れると、自律神経が乱れたり、血流が悪くなったりして内臓の働きを低下させてしまうのです。そうすると、基礎代謝は下がり、太りやすい身体になって基礎代謝が悪くなる負の連鎖に陥ってしまいます。
また、生活習慣の乱れによって基礎代謝が低下する方は十分な休息が取れなかったり、食生活が乱れたりしているので、病気のリスクも向上することを覚えておきましょう。
筋肉量が減少している
基礎代謝を上げるには筋トレが良いと説明したように、筋肉量の向上は基礎代謝の増加につながります。逆に筋肉量が低下すれば基礎代謝が減少します。筋肉は歳を重ねるごとに運動不足と相まって減少していきやすいので、意識的に適度な運動を続けて筋肉量を維持するようにしましょう。
脂肪が蓄積しやすい身体になっている
基礎代謝が低下している方は代謝が摂取カロリーに追いついていないので、脂肪がつきやすい身体になっています。摂取カロリーの消費が追いつかないと、『太りやすく痩せにくい身体』になり、肥満症になるリスクが上がってしまうので注意してください。
おわりに
基礎代謝とは、人が活動をせずにいても消費され続けるエネルギーのことを指します。基礎代謝を上げると1日で消費するカロリーが多くなるので、太りにくい身体を作ることができ、病気のリスクを減らせるでしょう。基礎代謝を上げるには筋トレやストレッチ、食事改善などがあり、ご自身に合った方法で長期的に続けられるものを実行するようにしましょう。なぜなら、基礎代謝は生きていく上で常に気にすべき身体の機能であり、健康で生きていくためには何歳になっても維持すべき機能だからです。