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【医師監修】ドライアイの原因と対処法|ドライアイかどうかの判断基準と予防策もご紹介

ドライアイの原因と対処法ドライアイかどうかの判断基準と予防策もご紹介
伊藤 裕紀 医師

監修者

医師

伊藤 裕紀

名古屋大学医学部医学科卒業、名古屋大学医学部附属病院眼科、江南厚生病院眼科等に勤務。眼科専門医。水晶体嚢拡張リング講習会、BLS講習会、TeamSTEPPS導入研修、ICLS講習会、ボトックス講習・実技セミナー、病院での在宅医療連携研修会を修了。外来診療、眼底読影、白内障手術や眼瞼下垂手術、緑内障手術、硝子体手術、レーザー手術、結膜手術、硝子体注射などの業務を行ってきました。一人でも多くの患者を笑顔にするため日々研鑽を重ねています。

近年、スマートフォンやパソコンの普及によりドライアイに悩む方が増えてきています。ドライアイは環境要因によって発症する場合が多く、対策をすればある程度予防できます。ドライアイは放置すると角膜に傷を付けてしまうこともあるので、早い段階で対処する必要があります。

このコラムでは、ドライアイになった際の対処法と予防策について解説します。いまや日本に住む多くの方がスマートフォンを持つ時代になったからこそ、ドライアイは他人事ではありません。正しい知識を身に付けておくと安心です。 

ドライアイとは

1.ドライアイとは

ドライアイは「乾燥性角結膜炎」ともいい、「涙の分泌量の減少」や「涙の質の低下」を引き起こす疾患のことを指します。涙は目を守る重要な成分で、涙に異常が起きると目を正常に保護することができなくなります。

ドライアイの症状がひどくなると、目の不快感や視機能の異常が生じて角膜に傷を付けてしまうこともあるので、軽く考えてはいけない疾患です。

ドライアイは高齢化、エアコンによる乾燥、電子画面の注視などが要因で発症しやすく、生活の利便性が高まることと比例して患者も増加してしまっているのが現状です。

とはいえ、高齢化以外の要因は充分に対策できるものなので、正しい知識を身に付けてドライアイになる確率を下げることを推奨します。

ドライアイの基準

ドライアイに該当するかどうかの診断基準は日本ドライアイ研究会によって決められています。ドライアイは、「さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼の不快感や視覚機能異常を生じ、眼の表面の障害を伴うことのあるもの」と定義されています。これを基に作成された診断基準が以下の2つです。

【ドライアイの診断基準】

  • 目が乾くなどの不快感、視界不良など視機能の異常といった自覚症状の有無
  • 涙液層破壊時間(BUT)が5秒以下かどうか

以上の2点が当てはまった場合、「ドライアイ」と診断されます。ちなみに涙液層破壊時間とは「まばたきの後、目を開いた状態で何秒間涙の層が角膜を覆っていることができるか」を数値化したものです。

セルフで確認する場合は10秒間目を開けた状態を保持できるかどうかで判断できます。

ドライアイの原因 

ドライアイの原因はさまざまで、環境要因もあれば、加齢や病気によって発症する場合もあります。ですが、この中でも環境要因が問題視されています。

その理由として、スマートフォンなどの電子画面の普及や、冷暖房設備の充実化が挙げられます。電子画面から発せられる光線は眼に負担をかけやすいですし、冷暖房設備による空気の乾燥も目に負担をかけてしまいます。

他にも、コンタクトレンズの長時間着用や、不規則な生活なども影響しているとされ、健康な生活リズムを刻めていない方に発症しやすい病気ともいえるでしょう。

ドライアイになりにくくするには、目の負担を抑えることが重要なので、スマートフォンを操作する時間を意識的に減らしたり、室内の空気が乾燥しないように加湿したりしましょう。

ドライアイの症状

2.ドライアイの症状

ドライアイは涙の異常によって引き起こされる疾患です。発症すると以下のような症状が見受けられるようになるので、少しでも当てはまる症状があったらドライアイを疑いましょう。

【ドライアイの症状】

  • 目が疲れている
  • 目がゴロゴロする
  • 目が乾いた感じがする
  • 目に不快感がある
  • 目が痛い
  • 目が赤く充血している
  • 朝、目を開けにくい
  • 白っぽい目やにが出る
  • 見づらい
  • かすんで見える時がある

これらはドライアイの初期症状に当たります。ドライアイになったことがない方は「疲れているのかな〜」「今日は目の調子が悪いのかな〜」などと放置してしまうこともありますが、それは危険かもしれません。

放置したことによってドライアイが重症化してしまうと、角膜・結膜に損傷などを発症する恐れがあります。初期の段階で疑いがあれば、眼科に行くなどして正しく処置をしましょう。

ドライアイになった場合の対処法

3.ドライアイになった場合の対処法

ドライアイになった場合は適切な方法で対処することで重症化を防げます。また、重症化を防ぐには素早く対処することも事なので、対処法を知り万が一発症してもすぐに対応できるようにしておくと良いでしょう。

【ドライアイになった場合の対処法】

  • 目薬を使用する
  • 眼科を受診する
  • 温める・マッサージする

眼科にすぐ行くのが最も効果的ですが、時間の都合で行けないこともあると思いますので、応急処置として目薬や温める・マッサージといった方法も覚えておくと良いでしょう。

目薬

ドライアイは市販の目薬でも対応できます。ドライアイは涙(涙液)の異常によって発症する疾患なので、涙のバランスを整える成分が配合されている目薬であれば効果が期待できます。

【涙のバランスを整える成分】

  • 塩化ナトリウム
  • 塩化カリウム
  • 塩化カルシウム水和物
  • コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
  • パンテノール
  • ヒアルロン酸Na

市販の目薬を買う場合は、薬局に薬剤師さんがいる場合おすすめを聞いてみると良いでしょう。

眼科で受診する

ドライアイの治療は眼科で実施するのが一番効果的です。市販の目薬よりも効果がある目薬を処方してもらえたり、その他の症状に合わせた治療法を実施してもらえる場合があります。

保険適用内で診療してもらえるので悩む前に「とりあえず受診する」ことをおすすめします。

もし、市販の目薬でなんとかしようとしている方で、市販の目薬の効果が薄くなってきたり、目薬の使用によって違和感が強くなってきたりした場合には、すぐに眼科へ行くようにしましょう。市販の目薬でも使い方を間違えれば角膜に傷を付けてしまうことがあります。

温める・マッサージ

ドライアイは血行を良くするだけで症状が和らぐこともあるので、温かい蒸しタオルで目の周りを温めたり、目の周りをマッサージしたりして血行を良くするのもひとつの方法です。

あくまでも応急処置、また予防策のようなもので、完治を目指すことは難しいですが、すぐに病院に行けない場合などには試してみると良いでしょう。

ドライアイは日常からの予防を

4.ドライアイは日常からの予防を

ドライアイの多くは環境要因によって発症します。その場合、ドライアイの原因となる環境から目を保護することができれば、ドライアイを対策することが可能です。具体的には以下のような方法で対処します。

【ドライアイの対処方法】

  • 目の休息時間を取る
  • マイボーム腺を保護する
  • 乾燥を避ける
  • 手術でドライアイを防ぐ

手術は医師との相談が必要です。それ以外の予防方法は個人的に実施できるもので、理想は全ての実施ですが難しい場合は1〜2個の実施を目指しましょう。

目の休息時間を取る

パソコンやスマートフォンを利用する時は1時間につき10〜15分ほどの休憩を挟むようにしましょう。目の機能を正常に維持ができれば、ドライアイにもなりにくくなるので、目の負担を抑えてあげることが大切です。休憩をする際は、40度くらいのホットタオルを目に当てると休息効果が高まります。

マイボーム腺を保護する

マイボーム腺とは、まつ毛の生え際よりもやや内側にある、油分を分泌する器官のことです。マイボーム腺は油分を分泌することで、涙が蒸発するのを防ぐ働きをします。

マイボーム腺が正しく機能しないと、涙が蒸発して目が乾きやすくなり、ドライアイになる可能性が高まってしまいます。

マイボーム腺が正しく機能しなくなる一番の原因は「メイク」です。アイメイクでマイボーム腺を塞いでしまうと、油分の分泌が妨げられ、ドライアイの原因になってしまうでしょう。そのため、メイクをする際はなるべくまつ毛付近ギリギリまで塗らないように意識しましょう。

乾燥を避ける

ドライアイは乾燥によっても発症しやすいので、加湿器を使うなどして湿度が低くなり過ぎないように気を付けましょう。また、エアコンの風が直接目に当たらないように角度を調整するのも大切です。外出時は目薬を常備するなど、定期的に目の保湿ができるようにしましょう。

【例外】手術にてドライアイを解決する方法もある

涙の分泌機能に異常が生じるドライアイの場合、涙点と呼ばれる場所を塞げば涙を眼球表面に長く留めることができるのでドライアイを改善できます。

これは主に手術でしかできない方法で、涙点に小さなプラグを差し込むなどして涙点を塞ぎます。この手術をすれば、人工涙液では補えない、本来の涙の成分が目の表面に長く貯留できるようになるので、ドライアイに対して高い効果を見込めます。

ただし、涙っぽさの原因となることもあるため、医師とよく相談しましょう。

おわりに

ドライアイは「涙の分泌量の減少」や「涙の質の低下」を引き起こす疾患です。目の負担が大きくなったり、老化や病気が進行したりすることなどが原因で発症します。

前者の場合は、日頃の意識次第で対処できる可能性があるので、正しい対処法を把握してドライアイにならないように努めることが大切です。

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