白米を玄米に換えるだけで痩せられると注目されている玄米ダイエットですが、その効果やどのようなメリットがあるのか気になるところです。挑戦してみたいけれど、「玄米のおいしい食べ方や炊き方がわからない」という方もいるでしょう。
そこで、健康的な身体を目指す方に向けて、玄米ダイエットの効果とそのやり方、おいしい玄米の炊き方をご紹介します。玄米ダイエットを行う上で注意するポイントも併せて確認しておきましょう。
玄米と白米の違い
玄米はダイエット効果だけではなく、栄養が豊富で健康にも良いと注目されています。稲の実から、外側の硬い殻である「もみ殻」のみを取り除いたものを「玄米」といいます。栄養価の高いぬかや胚芽などが残った状態です。
特に胚芽部分には、抗酸化作用が高いビタミンB群や抗ストレス作用のあるGABA、ミネラル、体の毒素の排出を促す作用があるフィチン酸が豊富に含まれています。さらに、玄米の表皮には食物繊維が多く含まれているため整腸作用が期待できます。
一方の白米は、稲の実からもみ殻、ぬか層、胚芽などの全てを取り除いたものです。胚乳(主にデンプンとたんぱく質)と呼ばれる部分のみなので、やわらかく食べやすいですが玄米と比べると栄養価は低いです。
また、玄米と白米の糖質やカロリーは、ほぼ変わりませんが玄米は白米に比べ約5倍の食物繊維が含まれています。1日に1回玄米に置き換えるだけでも効率的に豊富な栄養と食物繊維が摂れます。
玄米ダイエットの効果
玄米には白米には含まれていない、さまざまな栄養素が含まれていることがわかりました。主にこのような4つのダイエット効果が期待できます。以下で詳しい内容をみていきましょう。
- 血糖値の急激な上昇を抑える
- 食物繊維で満腹感が得やすい
- 代謝が高くなる
- 便秘の改善
血糖値の急激な上昇を抑える
カロリーが高くても太りにくい食品があります。これらの基準となるのがGI値で、GI値が低いほど血糖値が上がりにくく脂肪を貯めにくいことを表しています。GI値が70以上は高GI、56〜69の間の食品は中GI、55以下は低GIと分類されているのです。
高GIの食品は、血糖値を急上昇させ、インスリンを大量に分泌します。そのため、膵臓に負担がかかるだけではなく、余分なエネルギーがやがて脂肪となり蓄積していきます。急激な血糖値上昇をさせる食生活を続けていると、内臓脂肪を溜めこみ、肥満や糖尿病、高血圧、高脂血症などのリスクが高まるのです。
低GIの食品は、血糖値の上昇をゆるやかにし、太りにくいとされています。低GIの炭水化物である玄米は栄養バランスを維持しながら、ダイエットも期待できます。健康的な身体を目指したい方は、玄米を1日に1回食べるようにするといいでしょう。
食物繊維で満腹感が得やすい
玄米には不溶性食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。不溶性食物繊維は、水に溶けない食物繊維のため便の量を増やし、腸内環境を整える作用があります。噛みごたえがあるため自然と早食い防止になるだけではなく、腹持ちもよく白米よりも少ない量で満腹感が得られることが特徴です。
そのため、肉などの脂質を摂りすぎたり、カロリーオーバーをするような量を食べて満足感を得たりする必要がありません。
代謝が高くなる
玄米は白米と比べるとビタミンB1が8倍、ビタミンB2が約3倍、鉄は6倍、マグネシウムは7倍あるといわれています。特にビタミンB群はエネルギー代謝を助けてくれる栄養素です。
ビタミンB1は、炭水化物(糖質)からエネルギーを作り出し、神経を正常に機能させる働きがあります。ビタミンB1を積極的に摂るとスムーズなエネルギー代謝ができ、身体の代謝が高まります。
反対にビタミンB1が不足すると、糖質の代謝がうまくできなくなって代謝が下がり、疲労が蓄積される原因となります。また体内の余分な糖質が代謝されない状態になると、余ったエネルギー分となりやがて脂肪に変換され溜まっていくのです。
ビタミンB2は糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生に関与します。特に脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪などの細胞の再生を促してくれます。ビタミンB2が不足すると体内に脂質が溜まりやすくなるため、積極的に摂りたい栄養素です。
便秘の改善
玄米は白米に比べ、不溶性食物繊維の量が約6倍と豊富なため、腸のぜん動運動が活発になりダイエット中に起こりがちな便秘改善が期待できます。
一方で便秘の状態は、腸のぜん動運動が低下しており、便が腸に長時間とどまっています。腸内の便の量が多くなり過ぎると、ぜん動運動が低下しているためさらに水分が吸収され硬くなり、とどまるのを繰り返し、悪循環に陥るのです。便秘のときは以下のような症状があります。
- お腹が張って苦しい
- おならがよく出る
- 残便感
- 便が硬くなり出しにくい
- 肌荒れ
- 頭痛・吐き気
便秘は腸内バランスの崩れだけではなく、自律神経も乱れる原因にもなります。日頃から身体や腸に良い栄養素や食事量を心がけることが重要です。
玄米ダイエットのやり方
玄米のダイエット効果についてみてきましたが、ここで玄米ダイエットのやり方について紹介します。以下で3つの方法をみていきましょう。
- 慣れるまでは1食、慣れたら3食を玄米に
- よく噛んで食べる
- 高たんぱく・低脂質・低糖質なおかずにする
慣れるまでは1食、慣れたら3食を玄米に
気合を入れていきなり3食全部を玄米にするのではなく、自分の体質に合うのかを確認するためにも1日1食からはじめてみると良いでしょう。
初めから3食を玄米にしてしまうと、玄米独特の味に慣れず挫折してしまう方が多いからです。一方で、玄米は香ばしい米ぬかの香りと、パラパラ・プチプチとした独特の食感があるため好みが分かれます。
漬物や味噌が苦手な方は玄米も苦手な可能性がありますが、五分づき米(半づき米)や七分づき米の玄米を購入して白米と混ぜると食べやすくなります。
他の方法としては、和食との相性がよいため、おいしそうなレシピを探すのも手です。玄米が自分に合っていて早くダイエット効果を感じたい方は、3食を玄米に置き換えていくといいでしょう。
また、運動などをしなくても週に数回、玄米などの低GI食品中心の食事に変えただけで、体脂肪率が減少するという研究結果も出ています。ムリのない範囲で少しずつ玄米を取り入れて、健康的な身体を目指しましょう。
よく噛んで食べる
玄米は「よく噛むこと」を意識しなければいけません。玄米は表皮に食物繊維や胚芽ついているため、白米に比べると固い食感です。食物繊維が豊富でプチプチとした弾力のある食感のため、よく噛まないと消化不良を起こし胃腸に負担をかけます。
また、よく噛むことで玄米の自然の甘みを感じられるだけではなく消化がよくなります。さらに咀しゃく回数が増えることにより、満腹中枢が刺激され少ない量で高い満足感が得られるのです。自然と食べる量が減っていくため、ダイエット効果が期待できます。
高たんぱく・低脂質・低糖質なおかずにする
白米を玄米に置き換えるだけで簡単にダイエットができると考えることは危険です。玄米は腹持ちがよく、糖質・ビタミン・ミネラル・食物繊維・脂質バランスのいい完全栄養食とも言われています。
しかし、玄米は白米と同様の糖質とカロリーがあるため、何も気にせずに好きな量を食べてしまうと逆に太ってしまいます。そのため、カロリー過多になりすぎないよう、おかずは少なめで和食を中心とした低脂質・低糖質・高たんぱくのメニューを心がけましょう。
特に高たんぱくの食材である、発酵食品は玄米との相性もよく、ダイエットや美肌効果が期待できるため積極的に摂ってください。
玄米の炊き方
玄米ダイエットをするのなら、おいしい玄米の炊き方を知っておきましょう。炊飯器はもちろん、土鍋や圧力なべでも炊けます。
【材料】
- 炊きたい分量の玄米と白米
- お好みで塩(2合なら小さじ1/2、3合なら小さじ2/3が目安)
白米と玄米を2:1の割合で混ぜるとおいしくなります。
【炊飯器での炊き方】
- 玄米をやさしく2~3回混ぜるように洗います。
- 水の量は玄米用の目盛りどおりに、なければ玄米1合約300mlが目安です。
- つぎに冷蔵庫の中で数時間から一晩置きます。
- 浸水が終わったら炊飯、または玄米モードで炊きます。
- 10分蒸らすとおいしくなります。
【土鍋での炊き方】
- 1から3の手順は炊飯器と同様。
- 水の量は玄米1合約250mlが目安です。
- 浸水が終わったら中火にかけて沸騰させます。
- 沸騰したら弱火で25〜30分、中に水分が残っていないか確認をします。
- 水分がなければ30秒程、強火にしてできあがりです。
玄米ダイエットの注意点
栄養が豊富な玄米ですが、間違った玄米ダイエットを行うと健康を損なうリスクが高まります。特に気をつけるべき点は、以下の2つです。
- 便秘や下痢になるおそれがある
- 貧血がひどくなるおそれがある
便秘や下痢になるおそれがある
お腹を壊しやすい方は不溶性食物繊維である玄米を大量に摂取すると、消化物を外へ排出しようとする腸のぜん動運動が活発になり下痢を引き起こす恐れがあります。
また、反対に便秘気味の方は、腸内の水分が不足しがちです。不溶性食物繊維は腸内で膨らむ性質があり、腸内がさらに水分不足になります。便のかさが増す効果もあるため、大量に摂ると便が詰まり排出できないことがあります。お腹の調子が心配な方は1日1食を玄米に換えて様子をみるといいでしょう。
玄米を食べるときは、よく噛んで水分をしっかりと補給をすることがポイントです。
貧血がひどくなるおそれがある
貧血の方は、もともと体内の亜鉛やヘム鉄が少ない状態です。玄米の成分のひとつであるフィチン酸により、貧血の症状が悪化してしまう可能性があります。フィチン酸は、体内の亜鉛や非ヘム鉄やミネラルなどと結合する性質があるため、これらの栄養素が吸収されづらくなります。
一方でフィチン酸は抗酸化作用があり、ガンの予防、血液がサラサラになる効果、尿結石予防の効果も期待できるといわれています。このように身体によい影響を与える栄養素でもあるのです。玄米を摂るときにミネラルや亜鉛やヘム鉄が多い食事を組み合わせることで、リスクを軽減できるかもしれません。
おわりに
玄米ダイエットの効果やコツ・おいしい炊き方をご紹介しました。玄米は代謝を高めるビタミンB群や食物繊維が豊富で、腹持ちがいいことからダイエットに最適です。玄米ダイエットをする時は便秘や下痢・貧血に注意をしながら楽しく挑戦してみましょう。